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サポーター

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第一章

                 サポーター
 シャルル=ボードワンは地元のあるサッカーチームの応援団に入っている。そのチームは正直に言うと大して強くなく人気もない。
 だが彼はあくまでそのチームの応援を続けていた、それは彼が物心がついてからであり学校を卒業して就職して家庭を持ってもだった。
 そのチーム一筋だった、その勝敗に一喜一憂して周りはチームのグッズに囲まれており旗も飾っていた。その彼にだ。
 妻のミレディーは首を傾げさせてだ、こう尋ねた。
「あのチームでないと駄目なの?」
「ああ、あのチームでないとな」
 それこそとだ、シャルルは真剣な顔で答えた。
「俺は応援する気になれないな」
「そうなのね」
「あのチームは確かに弱いさ」
 応援している彼自身もこう言う。
「それに人気もないさ」
「そうよね」
「けれどな」
「そうしたことを抜きにして、ってことね」
「俺はあのチームが好きなんだよ」 
 これが彼がそのチームを応援する理由だった。
「何ていってもな」
「私よりも?」
「御前は御前だよ」
 近頃少し肉がついてきた感じがするが黒髪を長く伸ばしていて黒い瞳にはっきりとした顔立ちでしかも胸が大きな妻を見ての言葉だ。
「女房は別だよ」
「それはそれってことね」
「ああ、御前は御前でな」
「チームはチームなのね」
「そうだよ」
「サッカーはあのチームなのね」
「他には考えられないな」
 こう言い切った、その茶色の短く刈った肉体労働者に相応しい髪に手をやりつつブラウンの目を光らせたうえで。
「到底な」
「それこそなのね」
「物心ついてあのチームを知って」
 そしてというのだ。
「応援しようって思ってな」
「それからだから」
「そうなのね」
「ああ、ちょっとな」
「他のチームは応援出来ないのね」
「全然だな」
「そこまで好きなのね」
 ミレディーもそう言われるとだ、返す言葉がなく。
 それでだ、夫にやれやれといった顔で告げた。
「それじゃあずっと応援するといいわ」
「勿論そのつもりだよ」
 こう返す彼だった。
「ずっとな」
「そうよね、けれど本当にね」
「あのチームの優勝はな」
 自分でも言うのだった。
「ないな」
「そうよね」
「ずっとだからな」
「ずっと弱小チームよね」
「俺がファンになってからな」
 まさに物心ついてから応援している間にだ。
「優勝どころかな」
「最下位ばかりよね」
「何やっても負ける、本当にな」
「勝つことはあってもね」
「たまだよ」
 それこそというのだ。
「勝率低いままだよ」
「それでも好きってことね」
「そうなるな、じゃあな」
「ああ、飲むか」
「そうしようか」
 こうしたことを話してだ、そのうえでだった。
 彼はそのチームの応援を続けた、勿論グラウンドにも足繁く通っている。そうして応援をして帰っていつも妻に言った。
「今日もだよ」
「負けたのね」
「テレビでもやってただろ」
「携帯で確認したわよ」
 携帯電話をインターネットにつなげてとだ、ミレディーは笑ってシャルルに答えた。 
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