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イエロージャーナリズム

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第二章

「火星人かよ」
「それかラグクラフトか」
「あの作家の作品面白いな、けれどな」
「そんな小説のネタみたいだっていうんだな」
「全くだよ」
「俺もそう思うさ、しかしな」
「そんなネタをか」
「信じる奴がいてな」 
 そしてというのだ。
「そういう奴が騒いでるんだよ」
「日本が世界を征服するとかか」
「そう言ってるんだよ、あれこれとな」
「黄色い紙の新聞なんてな」
 それこそとだ、ヘストンは言い切った。
「嘘しか書かないんだよ」
「あることないことな」
「売れるのだけ書くものだろ」
「馬鹿を騙してな」
「その馬鹿が騒いでるんだな」
「要するにそういうことだな、何かそれが変なことになってるな」
「事情はわかったさ、それじゃあその新聞を読まないことだな」
 ヘストンはそのへの字の口で言った。
「絶対にな」
「それが賢いな」
「ああ、普通の新聞を読むべきだ」
「まともな新聞か」
「さもないと痛い目を見るからな」 
 だからだというのだ。
「騙されて馬鹿なことをしてな」
「全くだな、けれどこのままだとな」
「合衆国と日本はおかしなことになるな」
「だろうな、馬鹿が騒いで」
「そこに政治家なりが乗ったらな」
「ややこしいことになるからな」
「政治家ってのは人気商売だよ」
 ヘストンはこう看破した。
「人気のある方に流れるからな」
「票を集める為にな」
「馬鹿の声が大きいとな」
「政治家もその馬鹿の声を受けるな」
「それで余計におかしなことになる」
「実際の日本を観ないでか」
「観てもおかしな先入観から観てな」 
 それで、というのだ。
「変な風にするだろ」
「そうなっていくか」
「ああ、今で何かおかしな感じだ」
「これがさらにおかしくなるか」
「そうならないといいな」
 ヘストンはこう言いながらだった、オーフェンにお勧めの肉を差し出してだった。
 あらためてだ、彼に言った。
「これ以上嫌なことにならないといいな」
「全くだよ」
 オーフェンもこう返す、二人はあまりいいものを感じてはいなかった。
 そして実際にだ、ヘストンは家の中で夕食を食べている時に妻に言われた。
「この街に日本人来たのかしら」
「来たのか?」
「何かね」
 それがと言うのだった。
「部屋を借りに来たとか」
「それでどうなったんだ?」
「不動産屋さんに行ってね」
 その日本人がというのだ。
「お部屋を借りたいって言ったらしいけれど」
「借りれたのか」
「追い返されたらしいのよ」
「そんな話があったのか」
「そうみたいよ」
「何で追い返したんだ?」
 その不動産屋がとだ、ヘストンは妻に問うた。 
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