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IS~夢を追い求める者~

作者:かやちゃ
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第2章:異分子の排除
  第19話「四組の代表決定戦」

 
前書き
今回は少しリリなの要素が強いかもです。
基本、エグザミアのAIは戦闘中は操縦者以外声が聞こえません。
 

 




       =ユーリside=



「.........。」

「.........。」

  アリーナにて、私とマドカさんは互いに沈黙したまま対峙します。

「(...マドカさんは総合的に見れば圧倒的に私より強い。....なら、勝つためには数少ない、私の方が優れた部分で...!)」

  先程までの緊張もどこへやら。
  私の思考は完全に戦闘状態へと切り替わったようです。

「【シュテル、レヴィ、ディアーチェ、準備はいいですか?】」

〈いつでも。〉

〈ドンとこーいっ!〉

〈場の掌握は任せるがよい。〉

  三者三様の答えに、私は笑みを漏らします。...行けますね。

「ディアーチェは場の掌握、シュテルは攻撃に対する細かいサポートを!レヴィは私と共に攻撃に専念してください!」

〈〈〈了解/よかろう!!〉〉〉

  試合開始の合図が聞こえた瞬間、私は近接用装備“バルフィニカス”を展開します。
  エネルギーを消費する事によって大鎌に変化するバルフィニカスですが...今は大振りな攻撃をする訳にはいきません。斧のままで行きましょう。

「はぁああっ!!」

「っ!」

  バルフィニカスを振りかぶり、マドカさんに向けて右から一閃します。

「(受け流された...!)」

〈左から斬り返し、来るぞ!〉

「っ....!」

  上へと逸らすようにブレードを当てられ、そのまま斬り返しで私に反撃してきます。
  それを、何とか後ろに下がる事で回避します。

「はぁっ!」

〈追撃が来ます!私が軌道予測を!〉

  もちろん、マドカさんも黙って私の攻撃を受けるだけではないので、追撃とばかりに私を攻めてきます。...ここは、シュテルの指示に従いましょう。

〈左から袈裟切り、返して右から薙ぎ、また返して左から逆袈裟です!〉

「くっ...!はっ!」

  まず袈裟切りを受け止めようとして力負けしたので、そのまま手元で回転させ、次の攻撃を柄で防ぎます。その次の逆袈裟はもう一度回転させたバルフィニカスで上手い具合に上へと逸らして隙を造ります。

「はぁああっ!!」

「甘い!」

  絶好のチャンス。そう思って斬り返しをしようとしましたが、マドカさんは肘と膝でバルフィニカスの刃の部分を挟んで防いでしまいました。

「(まずっ....!?)」

〈ユーリ!早く違う武器を展開せぬか!〉

「っ....!(ルシフェリオン!)」

  杖の形をした遠距離射撃装備“ルシフェリオン”に持ち替え、バルフィニカスは一端捨てます。...レヴィが“ボクのバルフィニカスがー!?”とか叫んでますが知りません。

〈距離を取れ!やはりうぬでは奴に近接戦で勝てん!〉

〈唐竹、来ます!〉

「くっ....!“パイロシューター”!」

  真正面からの唐竹をルシフェリオンの柄で防ぎ、瞬時にエネルギーを消費して、炎の弾を私の周りに展開して射出します。

「っと!」

「まだです!」

  後ろに下がって避けたマドカさんに対し、私はさらに距離を取りつつ、シューターを操作して再度マドカさんを狙います。

「追加です!」

「くっ...!」

  さらにエネルギーを消費する代わりにシューターを追加します。
  これなら、マドカさんも避けるだけでは済まされないはず...!

〈油断するでないぞ、ユーリ!〉

「っ!」

  ディアーチェの言うとおり、その考えは甘かったみたいです。
  ライフルを展開して全て撃ち落とされるなんて...!

〈まだまだ精密操作ができていないようですね。〉

「要練習ですね...。」

  動きながら撃つのを想定していたので、操作が甘くなっていたようです。

「考え事してる暇かな!?」

「っ!ぐっ....ぁあっ!?」

  瞬時加速で近づかれ、上段から思い切りブレードが振り下ろされます。
  それを、ルシフェリオンで防ぎますが、それごと地面に叩き落されてしまいました。

〈追撃、来ます!〉

「くっ...!」

〈ブラストファイアー!〉

  シュテルの警告に、咄嗟にルシフェリオンをマドカさんに向け、レヴィがそう叫んだ瞬間、炎の砲撃が放たれます。

「危なっ!?って、熱っ!?」

〈今だ!ユーリ!〉

「ルベライト!」

「しまっ....!」

  砲撃を避けた所へ、火の輪による拘束を仕掛けます。

「....ディアーチェ。」

〈よかろう。存分にぶちかますがよい。〉

  今の内にルシフェリオンを仕舞い、エルシニアクロイツを展開します。
  マドカさんは大抵の攻撃だと簡単に凌いでしまう。
  なら、防ぐことも躱す事もできない攻撃で....!

〈ルベライト、後2秒で解けます!〉

〈後もう少し!もう少しで撃てるよ!〉

  シュテルの警告と、レヴィの言葉に少し焦ります。
  ですが、これから放つのは広範囲攻撃...!ちょっとやそっとでは躱せないはず...!

「遠き地にて、闇に沈め...。」

〈闇に染まれ!デアボリック・エミッション!〉

  黒色に蠢く光球をマドカさんの近くに放ちます。
  そこでようやくルベライトが解けたマドカさんが逃げようとしますが...。

「間に合わな....!」

  光球は瞬く間に広範囲を飲み込みます。
  物理的ダメージはほとんどありませんが、範囲内にいるだけでシールドエネルギーが一気に削れるという恐ろしい攻撃です。

「これで...!」

〈っ!バカ!避けぬか!〉

「はぁああっ!」

「っ!?ぁあああっ!?」

  そう、物理的ダメージがないという事は、光球の中を突っ切ってくる事も可能という事。
  そのため、私は光球の中から現れたマドカさんに為す術なく斬られてしましました。

〈たたた、大変だよ!さっきのでもうエネルギーが半分切ってるよ!〉

「まずい....ですね...!」

「逃がさない!」

「くっ....!」

  すぐさまエルシニアクロイツで剣を防ぎます。
  しかし、防御の上から吹き飛ばされてしまいます。

〈このエネルギーでは戦闘の事を考えて、砲撃一発しか放てん!〉

「(何とかしないと....!)」

  ふと、後ろに下がった時に足元にある物に気付きます。

「(バルフィニカス....!)」

  そう、それはさっき弾き飛ばされたバルフィニカスでした。
  これなら...!

「はぁあああっ!」

「っ!はっ!」

  再び剣を構え突っ込んできたマドカさんに対し、すぐに足でバルフィニカスを蹴り上げ、それを掴んで剣を受け止めます。

「っ....!」

大鎌形態(スライサーフォーム)!〉

  マドカさんの剣を受け止め、レヴィの言葉と共にバルフィニカスの斧の刃の部分が開き、そこからエネルギーの刃が出て大鎌になります。

「しまっ....!」

「っと、はぁあっ!」

  マドカさんの剣に大鎌を引っ掛ける形になったので、そのまま縦に一回転する事で剣を弾き、そのまま大鎌で切り裂きます。

「レヴィ、すぐ元の形態に!」

〈分かってるよー!〉

  すぐさま斧の形態に戻します。このまま大鎌形態だったら、エネルギーが切れますからね。

「(エネルギーを消費しないで今以上に戦えるようにするには...!)」

  このままでは遠距離で戦う事ができないので近接戦で戦う事になります。
  しかし、近接戦では明らかに私の方が劣っているので、それでは勝てません...!

「(...!一つだけ、手が...!)」

  たった一つだけ、対価を支払いますが、勝てる見込みのある機能がありました。

     ―――ギィイイン!

「レヴィ!スプライトフォームです!」

  私とマドカさん、共に大きく弾かれ、間合いを離してレヴィにそう呼びかけます。

〈りょーかい!スプライトフォー...〉

〈待てユーリ!それはいかん!〉

「っ!」

  ディアーチェの制止に思わず動きを止め、マドカさんの追撃に対処する羽目になります。

「ディアーチェ、やらせてください。このままでは負けるだけです。」

〈しかし...!〉

〈...私は賛成です。ユーリ。分の悪い賭けは、嫌いではありません。〉

〈ボクのスピードなら勝てるよ!〉

〈む、むぅうう.....。〉

  しばらく私がマドカさんの剣を防ぎ、ディアーチェが悩んだ末...。

〈...分かった。我も許可しよう。〉

「レヴィ!行きますよ!」

〈オッケー!〉

  もう一度、大きくマドカさんの剣を弾き、同時に後ろに下がって間合いを取ります。

〈スプライトフォーム!レディー....ゴー!〉

「っっ!!」

  エグザミアの装甲が薄くなり、さらにスマートになります。
  そして、その瞬間、私の動きが格段に上がりました。
  ....代わりに、防御力がなくなりましたけど。

「なっ....!?」

「はぁああっ!」

     ―――ギギィイン!

  一気にマドカさんに接近し、剣を左に弾き、さらに下から上に弾く事で隙を作ります。
  そして、横に一閃し、すぐさま間合いを離します。

「速い...!」

「くぅぅ....!」

  マドカさんですら対処するのに慣れが必要なスピード。
  もちろん、それだけのスピードを出せば、私自身への負担もあります。

「....負けられないんです...!」

「っ、くっ...!」

  再び接近、高速の剣戟を繰り広げ、一撃を入れたらすぐ離れます。

「...もう、弱いだけの私でいたくないから...強くなったって、証明したいから....!」

「なっ!?避け....!?」

  離れた所に間髪入れずにライフルで狙ってきますが、むしろ弾をすり抜けるように回避しながら接近し、バルフィニカスで一閃します。

「だから、マドカさんに勝ちます!」

「っ....いいよ。やってみなよ!」

     ―――ギィイイイン!!

  高速で接近し、私のバルフィニカスと、マドカさんのブレードがぶつかり合います。

「はぁぁあああああ.....!!」

「っ....!はっ....!ぁっ....!」

  息を切らす間もない激しい剣戟。
  故に、体への負担もあり、どんどん私の体力は減っていきます。
  ...私が桜さんのような戦い方ができないのもありますけどね....。

     ―――ギィイイイン!!

「っ、はぁ、はぁ、はぁ....。」

「く、ぅ....!っ....!」

  ブレードの防御の上から、マドカさんを後退させます。
  そこで一端剣戟は止まり、マドカさんは息を切らせ、私はバルフィニカスを支えに何とか立っている状態まで消耗していました。

〈ユーリ!もうよい!そのままではうぬが....!〉

「まだ....まだです.....!」

  ディアーチェの言葉を無視して、私はよろよろとバルフィニカスを構えます。

「.........。」

「まだ、終わってませんよ.....!」

  バルフィニカスを正面に構え、無言になったマドカさんを見据えます。
  ...シールドエネルギーはもう一撃も喰らえないほど消耗しています。
  ここで決着を付けなければ.....!

「...黒騎士。」

「っ....!」

  マドカさんは静かにISの名前を呟き、ブレードの様子が変わりました。

「....いいよ、決着、付けようか。」

「っ、はぁああああああ!!!」

  その言葉と同時に、瞬時加速を使って今までで一番のスピードを出します。
  そして、マドカさんに向けて大鎌形態にしたバルフィニカスで一閃―――



     ―――キンッ!!



「......え.....?」

  しかし、それは金属が断ち切られたような音と共に、手応えなく振られます。

「....強く、なったね、ユーリ。」

「ぁ.....。」

  見れば、そこには柄だけになったバルフィニカス。
  遠くには斧の部分が無造作に横たわっていました。

「それだけ強ければ、誰も文句言わない....言わせないよ。」

「っ.....。」

  マドカさんはそう言いつつ、容赦なく私の首元にブレードを突きつけます。

「っ、ぁ.....降参....です。」

「ん。この後すぐに休みなよ。体、ボロボロなんだからさ。」

  そう言って、マドカさんは私を持ち上げ、ピットへと戻って行きました。





「....お疲れ、ユーリちゃん。」

「桜さん...。....はい、負けて、しまいましたけど...。」

  ピットに戻り、ISを解除した私を労わった桜さんにそう言うと、桜さんは優しく頭を撫でてくれました。

「ふえ....?」

「...よく頑張ったな。ユーリちゃん。」

   ―――よく頑張ったわね。ユーリ。

「っ.....!」

  撫でながらそう言った桜さんを見て、在りし日の母様を思い出します。

「ぁ...ぅぅうう.....!」

「わ、ちょっ、どうしたんだ!?」

  思わず、桜さんに抱き着いて泣いてしまいます。
  桜さんを困らせる事になりましたけど、今だけは...今だけは、こうしていたいです...。





       =桜side=



「うぁぁっ....ぁあああっ.....!」

「......。」

  俺に抱き着いて泣き続けるユーリちゃんを、優しく抱きしめ返し、撫で続ける。

「(....悔しかったんだろうな。勝ちたい、負けたくないって想いで挑んだのに、後少しで負けたのだから....。)」

  それに、ユーリちゃんは今までこういう時に優しい言葉を掛けてもらった事がない。
  会社でも労りの言葉自体は掛けるけど、それはユーリちゃんもそこまで苦労してない時の事だ。

「(きっと、俺を亡き母親と重ねたんだろうな。だから....。)」

  ユーリちゃんの母親だけは、ユーリちゃんに優しくしてあげた。
  つい、その事を思い浮かべてしまったのだろう。だからこうして泣いている...。

「(母親代わり...とは言えないが、親代わりにはなってあげよう。)」

  ユーリちゃんは本心では愛情を求めているはずだ。
  だから、俺が少しでも愛情をあげる事できればいいと思う。

「~~~♪~~~~♪」

  昔、母さんに聞かせてもらった子守唄を歌う。
  当時の俺も、その歌にはとても安心感を覚えたものだ。
  子守りのつもりではないが、きっとユーリちゃんも落ち着くはずだ。

「....すぅ.....すぅ.....。」

「...って、寝ちゃったか。」

  マドカちゃんも言ってた通り、疲れたんだろう。

「あの...桜さん。」

「どうした秋十君。今まで黙り込んでたが。」

  ずっとマドカの方にいた秋十君が小声で話しかけてくる。

「...なんか、割込めそうにない雰囲気だったので...。...後、それよりも、マドカも寝ちゃったんですが...。」

「....あれ?」

  見れば、秋十君はマドカちゃんを膝枕していた。

「桜さんの唄を聞いたら、すぐうとうととして...。」

「あれ~?そんな効果のある唄だったのか?安心感はあるけど。」

  まぁ、安心感がある=眠ってしまうだからかもしれないが。

「....と言う訳で四組である二人が眠ってしまったのですけど...どうしましょう?」

【んー、私に言われてもねぇ....。】

【それより、桜さんが敬語なのが違和感ありすぎです...。】

  四組の試合だったので、管制室にいるのはアミタとキリエに代わっている。
  ...まぁ、千冬とかもまだ管制室自体にはいると思うけど。

「学校でそれぞれ生徒と教師の立場なんだから仕方ないだろう。」

【そうねー...部屋が近いし、連れて行ってあげるとか?】

「....それが妥当か。」

  キリエの案に俺も賛成する。

【本来なら一組の人達も交えて試合の反省をする所ですが...まぁ、二人なら大丈夫でしょう。】

  そういう訳なので、俺はユーリちゃんを、秋十君がマドカちゃんを連れて行く。

「....母...様......。」

「“母様”....か。」

  俺、男だからなぁ....。母親と重ねられてもなんというか....。

「まぁ....いいか。」

  別に、特に困るような事はない。









   ―――余談だが、四組ではユーリちゃんが代表になる事への文句はなくなったそうだ。









 
 

 
後書き
ディアーチェの広域殲滅魔法が思った以上に少なかったのでオリジナル(はやて)の方から拝借しました。 
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