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エターナルトラベラー

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番外 リオINフロニャルド編 その4

明けて次の日。

「ヴィヴィオー、コロナー、アインハルトさーん」

「も、もう少しだけ…」

「あ、あと五分」

「……zzz」

ダメだコレは…何だかんだで一日目からハードだったからね。

仕方ないから1人で朝食に行くしかないかな。

食堂に向かう途中フェイトお姉ちゃんとシリカお姉ちゃんが先を歩くのを見つけると、走り寄った。

「あ、おはようございます、フェイトお姉ちゃん、シリカお姉ちゃん」


「おはようございます、リオちゃん」

「おはよう、リオ。あれ、リオ1人?」

他の皆はとフェイトさん。

「まだ部屋で寝ています」

深夜を回って部屋に移動してからも『発』の練習をしてたからね。

「昨日は『発』の練習を始めたんだって?」

「はい、慣れない事で疲れもたまったんだと思います」

「そっかー。それじゃもう少し寝かせといてあげようか」

「はい」

フェイトさんの質問に答えると、もう少しヴィヴィオ達は寝かせておく事にして、あたし達は食堂へ。

その後合流したアオお兄ちゃんと一緒に朝食を取ると、アオお兄ちゃんは領主代行の仕事があるらしく、ミルヒオーレさん達と会議だそうだ。

シリカお姉ちゃんは秘書として同行、フェイトお姉ちゃんとあたしは城内を散歩する事にした。

以前二週間滞在したフィリアンノ城。

何処に何が有るかくらいは覚えている。

足を向けたのは騎士団の訓練場。

キィンキィンと甲高い金属のぶつかり合う音が聞こえてくる。

訓練場の中心でエクレとシンクさんが真剣で打ち合っていた。

「リオさん、いらしてたのですね」

あたしがこの世界に始めた来たときにフィリアンノ城までエスコートしてくれた青い髪の騎士が声を掛けてくれた。

「あ、はい。おはようございます、エミリオさん」

「リオはエミリオとは知り合いだったの?」

とことこと、遅れて歩いてきたフェイトさん。

「フェ、フェイトさんもいらしてたんですか」

「うん、アオとリオ達の付き添いでね」

「そうでしたか…あの、僭越ながら我らに稽古をつけて貰えないでしょうか」

「えと、私が?」

「はい、是非に!」

「よろしくお願いしますっ!」

いつの間にか騎士団のメンバーに囲まれて断れる雰囲気ではなくなってしまっている。

「う、うん。分かったけど、今は剣を持ってないんだ」

「直ぐに用意いたします」

そう応えたエミリオさんは、いつの間用意したのか他の騎士から一本の長剣をフェイトさんに手渡した。

「それじゃ、誰から?」

「自分から行かせて頂きます」

そうして始まった騎士団とフェイトさんの模擬戦。

あたしは邪魔にならないように少し離れた所で観戦する。

こちらが騒がしくなるとシンクさんとエクレは模擬戦をやめ、ナナミさん、レベッカさん、リコッタさんと合流、見学するためにあたしの側までやって来た。

「あれ?エミリオ達すごいやる気だね。どうしたんだろ?」

と、シンクさん。

「それはしょうがないでありますよ」

「どういう事?」

ナナミさんがリコッタさんに聞き返した。

「フリーリア王国が四蝶(しちょう)、フェイトさんと模擬戦が出来るでありますから」

「四蝶って?」

今度はレベッカさんが聞き返す。

「フリーリア王国にはすごく強い四人の女性が居るで有ります。いえ…厳密に言えば領主であるユカリさまも居るので五人なのでありますが、フェイトさんと同年代の四人の女性を、その華麗に戦う様子から、いつの間にか四蝶と言われるようになったのであります」

「へぇ、そんなに強いの?」

「尋常では無いくらいなのであります」

エミリオさんの繰り出す剣を時には受け止め、時には弾き、隙を突いて一太刀入れると、エミリオさんは負けを認め、次の騎士へとスイッチする。

「それは一度手合わせをしてみたいね」

そう言うとシンクさんは模擬戦をしている方へと駆け出した。

「あ、こら、幾ら勇者とて、お前程度がかなう相手ではないぞっ!」

「わかってるー」

エクレの静止も何処吹く風。

いや、なにが分かってるのでしょう?

「まったく…」

悪態をつくエクレ。

騎士達に走りより、順番待ちの列に並ぶシンクさん。

「それにしても、本当に強いわね。騎士達がまるで相手になってない」

「はいなのであります。自分たちよりも圧倒的に強いと分かっているので騎士達は全力で挑めるであります。そう言った経験はなかなか出来ないでありますから、これはエミリン達にしてもいい経験になるであります」

と、ナナミさんのつぶやきにリコッタさんが答えた。

「あ、シンクの番だ」

と、レベッカさん。

「本当だ。がんばれーーーっ!シンクっ!」

「おーうっ!」

ナナミさんの声援に声を上げて応えたシンクさん。

しかし、何合かの斬り合いの末持っていた剣を弾き飛ばされてしまったようだ。

とぼとぼとこちらに歩いてくるシンクさん。

「いやー、強かったよ。まるで歯がたたないって言うかさー」

悔しさはあってもそこに妬ましいなどの負の感情は無いようだ。

さて、しばらくすると騎士達の練習も終わり解散する。

あたしはそろそろ起きたであろうヴィヴィオ達を迎えに行って、フェイトさんが付き合ってくれるとの事で念の練習。

裏庭へと場所を移動した。

「さて、昨日は『発』の練習だったんだよね?」

あたし達一同を見渡してフェイトさんが言った。

「はい」

あたし達の返事にうんと一回フェイトさんも頷いてから言葉を続ける。

一応皆で水を入れたグラスを持ってきている。

「あ、今日はそれは使わないから」

「え、そうなんですか?」

そうヴィヴィオの疑問の声。

「今日は一つの忍術を覚えてもらいます。まぁ、本来なら順番が逆なんだけど」

「忍術?」

と、皆訳が分からないと言った表情。

「忍術はオーラを使った技術を画一化したもの。プロセスを踏めば、誰でもとは行かないけれど、同じ効果を得られるものだね」

「それで、何を教えてくれるんですか?」

「影分身の術」

「「影分身の術っ!?」」
「影分身の術?」

フェイトさんの答えに驚いたのがヴィヴィオとアインハルトさん。疑問の声を上げたのがコロナだ。

「あれ?ヴィヴィオとアインハルトはどう言う物か知ってるの?」

「はい、以前になのはさんに教えてもらいましたから」

アインハルトさんが答えた。

「そっか。でもコロナは分からないようだから説明するね」

と、そう言って語った影分身の術の効果。

「え?何そのチート能力…」

「だよねー」

コロナの感想と、それに同意するヴィヴィオ。

「そんな訳で、リオは出来るよね?影分身」

「はいっ!」

「じゃあリオにも今日は先生をしてもらおうかな」

「影分身の術をヴィヴィオ達に教えればいいんですか?」

「印やコツなんかは私も教えるけれどね」

「分かりました」

そんな感じで始まった影分身の術の修行。

とは言え、オーラを意味ある形に行使するのは始めての皆には難しいようで…

「できなーい…」

「おなじく…」

「難しいです…」

「まぁ、高等忍術だからね」

「あーうー…」

「まぁ、出来なかったら出来なかったで地道にやっていこう」

「ちなみに、これを覚えれないと念の習得にどれくらい掛かるんですか?」

アインハルトさんの質問に少し考えてからフェイトさんが答える。

「うーんと…基本の四大行だけなら後一ヶ月くらい?」

「一ヶ月…」

「と言っても、基本だからね。だからってそれだけで戦える訳じゃない。四大行を覚えて始めてスタートラインに立てるんだよ。…まぁ、今そのスタートラインに立つ前にイカサマしようとしてるんだけど…」

イカサマって…

「四大行の他にその応用技があって、その上に念能力や忍術などがある。それらを全て影分身無しでマスターしようとすると…天才で2年くらい?かな」

「二年…」

「だから、ね?がんばろうっ!」

「「「お、おーっ!」」」

意気込み新たに影分身の術の体得に励むヴィヴィオ達。

結局その日に習得する事は出来ず、ミルヒオーレさん達にお礼を言ってアオお兄ちゃん達と一緒に夕方にはフリーリアへと戻る事になった。

馬車の中にて。

「そう言えば、アオお兄ちゃんはミルヒオーレさん達と何を話していたんですか?」

政治的な問題ならば聞いても答えないだろうし、聞いて答えてくれるものならばたいした事は無いだろう。

移動中のほんの些細な会話だ。

「ああ。今度四ヵ国合同戦興行を催す事になってね。その打ち合わせだよ」

「「「「四ヵ国合同戦興行!?」」」」

あ。あたし達の声がハモッた。

「前回の敗戦がとても悔しかったらしい。そこで前々から打診があったのだが、今回ビスコッティ、ガレット、パスティヤージュにそれぞれ勇者が起った事もあってさらにと言う事だろう」

「近年まれに見る規模の戦になりそうですよ」

と、アオお兄ちゃんの答えと、それを補足したシリカお姉ちゃん。

「あの、その戦、わたし達は…」

ヴィヴィオがアオお兄ちゃんに問いかけた。

「召喚者は俺だからな、フリーリアの戦力として参加してもらおうと思っている」

「と、言いますか。三国に勇者が居る状況。我がフリーリアに滞在している異世界人に参加を望む国民は多くなるでしょうし」

「な、なるほど…」

「まぁ、出たくないなら無理する事は無いけど」

「「「「出ますっ!」」」」

またハモッた。

「そっか。それじゃその方向で調整するよ」

「「「「はいっ!」」」」

フリーリアに戻り、次の日。

慣れない城の城内をメイドに案内されながらどうにか食堂へ。

食堂にはアオさん達が揃っていた。

「そう言えば、今まで聞かなかったんですが。ユカリさんは領主さま、アオお兄ちゃんはその息子さんですが、他の人たちはどう言った理由でこの城に居るんですか?」

朝食の席であたしは疑問をぶつけた。

「うーん。一応私は騎士団長としてお城に部屋を貰っているの」

騎士団の人達に稽古をつけていたらいつの間にかと、ソラお姉ちゃん。

「わたしは副騎士団長」

なのはお姉ちゃんが答えた。

「あたしとフェイトちゃんはアオさん付の秘書官兼護衛です。まぁ、アオさんに護衛は要らないかもしれないですけどね」

「うん」

そうシリカお姉ちゃんとフェイトお姉ちゃんが答えた。

「もう皆さん働いてるんですね」

「そうだね。能力があれば必要とされる世界だから、働くのも早いよ、フロニャルドは」

そうアオお兄ちゃんが締めくくった。

朝食が終わると、やはり念の練習。

今回の先生はどうやらソラお姉ちゃんのようだ。

城の裏手にある河原の近くに陣取ってヴィヴィオ達は影分身の練習だ。

あたしはソラお姉ちゃんの影分身と『流』の練習中です。

「はうー…出来ない…」

ヴィヴィオがそうつぶやいて小休憩。

「ヴィヴィオさん、これが出来なければリオさんとの差は縮まる事は無いのですから、頑張りましょう」

「分かってるけど」

「でも、確かに難しいよぉ」

終にはコロナもダレた。

「せめて何か切っ掛けが掴めれば…何か無いですか?」

と、コロナがソラお姉ちゃんに質問した。

「実はこの影分身の習得に躓くのは予想のうちなのよ。だから、当然それを打破する手段は有るの」

「だったら、最初からそれを教えてくださいよっ!」

「まぁ、何事も簡単には行かないと言う教訓だと思いなさい」

「教訓…」

「ですか…」

「さて、まぁ、そろそろ頃合かなとも思ってたからね。皆こっちに来て並んで」

「はい」

言われるままにヴィヴィオ達は横並びで整列する。

「リオにも忍術の全てを教えていた訳じゃないの。今回使用する技は使い方によっては人の尊厳を傷つける危険な技だから。…まぁ、忍術に危険じゃない技なんて少ないけど」

そんなに危険な技なんだ。

「これから私があなた達の体を内側から操って影分身の術を使うわ。その感覚をしっかりと覚えておきなさい。
それと、リオ、こちらに」

「あ、はい」

何だろう。

「この技を使うと自分の体が無防備になるの。倒れるだろうから支えてくれる?」

「はい」

倒れるくらいの技なの!?

あたしにも見せてくれるって事は覚えておけって事だよね。

そう思ってあたしは写輪眼を発動させる。

目線の先のソラお姉ちゃんは印を組むと術を発動させた。

『心転身の術』

「ソラお姉ちゃん!?」

ガクっとふらつき、倒れるソラお姉ちゃんを抱きかかえる。

心音、呼吸音はあるが、意識が無いようだ。

ヴィヴィオの方を見れば、明らかに雰囲気が変わっている。

「ヴィヴィオ…さん?」

アインハルトさんの問いかけ。

「ちがう。今この体を操っているのは私」

「ソラさん…ですね」

「そう。
心転身の術。この術は自分の意識を相手にもぐりこませ、相手を操る術」

「相手を…」

「操る?」

アインハルトさんとコロナがヴィヴィオの口から語られた言葉に驚いた。

「ソラ…お姉ちゃん?」

「うん」

説明されても驚きは抜けない。

「で、今から私がこの体で影分身の術を使う。ヴィヴィオ、何回かやるからしっかり体で覚えなさいね」

そう、ヴィヴィオの口からヴィヴィオへの言葉。

そして。

『影分身の術』

ボワンっと現れるヴィヴィオの影分身。

その後、何度かの影分身の後ソラお姉ちゃんは自分の体に戻り、今度はコロナへと心転身の術を使い、影分身の術を使う。

そして最後はアインハルトさん。

皆にそれぞれ心転身で乗り移り影分身を使うと、その後少しの練習で皆影分身の術を身につけた。

「いい?今回のコレは裏技のさらに裏技なんだからね。こんな事は普通しないんだから」

そう、ソラお姉ちゃんが注意した。

「それじゃ、今日いっぱいは影分身の術の修行だね。へとへとになるまで練習あるのみ」

「が、がんばります」

ようやく成功したとうれしさから一転。結局その日は日が暮れるまでヴィヴィオ達は影分身の修行だった。


夜、あたし達に与えられた部屋で影分身の復習しているヴィヴィオ達。

昼間ソラお姉ちゃんに教えてもらった成果もあって、皆影分身を一体は確実に作り出せるようになっていた。

ヴィヴィオに至っては既に二体まで作り出せている。

作り上げた二体の影分身。

「わ、ヴィヴィオすごいっ!」

それを見たコロナが賞賛した。

「ヴィヴィオは具現化系だからね。影分身は自分に有っているのかもね」

「そっかー」

翌日。

裏庭に集合するあたし達。

今日の先生はなのはお姉ちゃんのようだ。

「さて、それじゃヴィヴィオ達3人は影分身の術をやって見せて」

「「「はいっ!」」」

印を組むと、ポワンと煙が湧くようにもう一人のヴィヴィオ達が現れる。

ついでとばかりにあたしも影分身。

「うんうん、みんなうまく出来てるね。これなら十分だよ」

「ほ、本当ですか?」

と、アインハルトさん。

「うん、大丈夫。それじゃリオ以外の皆は『発』の練習。リオはこっちで別トレーニングね」

「「「「はいっ!」」」」

それからヴィヴィオ達はグラスに水を入れ、木の葉を浮かせると、影分身を使いながら『発』の練習だ。

あたしはなのはお姉ちゃんと対峙し、木刀を二本構え、御神流を教えてもらっている。

これはやはり一度見ただけではどうしようも出来ず、燻っていたところだ。

『貫』は何とかなったけれど、他の技はなかなかに難しいし、相手もいなかったからね。

今回の来訪の目的の一つでもあったので彼女の全てを盗む勢いで写輪眼を発動し、なのはさんと打ち合う。

日が中天を射し、そろそろ昼食。

そして、時間の制限をされなかったヴィヴィオ達がそろそろごねる頃合だった。

「あ、あの。なのはさん、この修行ってどの位すれば良いのでしょうか」

アインハルトさんが問いかけた。

「普通にやって一ヶ月くらいかな。影分身使用しても二週間以上はやらないとね」

「に、二週間…」

二週間と言う答えにアインハルトさんの表情が曇る。

確かに二週間と言えばこの世界にいれる日数のそのほとんどを使う事になる。

「なんとかなりませんか?」

「うーん、影分身以上の効率の良い修行なんて出来ないからなぁ。どうしてもって言うなら滞在時間を増やすとか?」

「それですっ!」

アインハルトさんが大声で言った。

「ど、どれ?」







なのはお姉ちゃんを通してアオお兄ちゃんに連絡を取ってもらい、以前使用したあの空間、『神々の箱庭』を使わせてもらえないかと交渉するアインハルトさん。

「これを?」

そう言って書斎の奥にある神々の箱庭を見やるアオお兄ちゃん。

「はい、使わせてもらえないでしょうか」

確かにあの中なら二週間なんであっという間だよね。

「まぁ、別に良いけど」

「ほ、本当ですか?」

「あ、ありがとうございます」
「ありがとうございます」

口々にお礼を言うヴィヴィオ達。

「構わないけど、時間の流れが速いと言う事はその分ちゃんと年は取るよ?」

「う…」

いいアイディアと思っていた3人の言葉が詰まる。

「だ…大丈夫です。二週間くらいなら…たぶん」

「だ、だよね…」

「だといいなぁ…」

あ、それでも行くんだ。

中への引率はそのままなのはお姉ちゃんが引き受けてくれるようだ。

「中には食料の備蓄などはほとんど無いから、なのは、これを持っていって」

「あ、うん」

そう言って手渡されたのはいつかの道具袋。

あの中には一体何が入っているのか…気になります。

さて、皆が箱庭のゲートへと向かう所にあたしも混ざろうとした所、アインハルトさんが待ったを掛けた。

「ごめんなさい、リオさん。今回は私達だけで行かせてください」

「え?」

「ふふっ、リオちゃん、アインハルトさん達の気持ちも考えてあげなきゃダメだよ?」

彼女達の気持ち?

「リオ、悪いんだけど、少し待ってて」

「お願い、リオ」

ヴィヴィオとコロナからもお願いされる。

「わ、分かったけど…」

「まぁ、リオの修行の続きは俺が見てあげるから、裏庭に行こうか」

「うん…」

アオお兄ちゃんにそう誘われたので今回は見送る事になった。

「それじゃ、ヴィヴィオ、コロナ、アインハルトさん、頑張ってきてね」

「うん」

「直ぐに帰ってきます」

そう言ってヴィヴィオ達は箱庭へと吸い込まれていった。

まぁ、確かにヴィヴィオ達は二時間ちょっとで帰ってきたのだからあたしからしてみれば直ぐだった訳だけど、ヴィヴィオ達は『発』の修行をなのはさんから合格点をいただいていた。

そうとう頑張ったらしい。

裏庭で合流したヴィヴィオ達。

さて、あの箱庭の中と外での時間の流れが違う事の弊害。

「次は何を教えてくれるのでしょうか」

「早く次の課題が欲しいです」

「だねー」

……ピンピンしてます。

疲れなんてこれっぽっちもありません。

聞くと余裕を持って一日ゆっくりして来たそうです。

まぁいいけどね。

「次かー。
うーん、次は『凝』になるね」

と、アオお兄ちゃんが答えます。

「「「ギョウ?」」」

「あー…これは俺がやるよりもなのはの方が良いか」

そうアオお兄ちゃんがなのはお姉ちゃんに話を振った。

「だねぇ、アオさんだと変化が大きすぎて逆に分からないかも」

と、なのはさん。

「ああ、確かに…」

そうあたしもつぶやいた。

アオお兄ちゃんやソラお姉ちゃん、そしてあたしなんかが凝をすると写輪眼が開眼してしまうからね。

「それじゃ、見ててね」

そう言ってなのはお姉ちゃんは自然体に立つと練をした。

「まずは『練』でオーラを増幅。そして次はそのオーラを眼に集中させる」

「あ、あの。その『凝』の効果って…」

ヴィヴィオが質問する。

「念での攻撃は基本的に念能力者でないと感知できないし、防御も難しい。これは分かるよね」

「はい」

アオお兄ちゃんの説明にヴィヴィオが相槌をいれる。

「さて、それじゃ皆ここを見て。ここに何が有る?」

そう言ってアオお兄ちゃんは右手のひらを上に向けて差し出した。

あたし達はもちろんそれを見るが、何も見当たらない。

「何もないです」

「何か有るんですか?」

「な、何も無いよね?」

ヴィヴィオ達が混乱している。

あたしは直ぐに凝をして写輪眼を発動させる。

「あ…」

アオお兄ちゃんの手のひらの上には直径10センチほどのオーラの塊が浮いている。

「ヴィヴィオ達には見えないだけで、ちゃんと有る。だからこれを…」

そう言ったアオお兄ちゃんはそのオーラの塊を手に掴むと振りかぶり、近くにあった岩目掛けて投げつけた。

ドーン

パラパラと砕かれた石ころが宙を待って落ちた。

「い、今のはっ!?」

「なっなにが!?」

驚くヴィヴィオ達。

「『絶』の応用技『隠』
これはオーラを限りなく見えにくくする技。つまり今ヴィヴィオ達には何も無いように見えたあの手のひらの上にはオーラの塊があり、それを投擲したためにあの岩は崩れたんだよ」

「対念能力者用の技と言う事ですか…」

と、アインハルトさん。

「そう。そしてそれを見破るための『凝』」

もう一度右手を手前に差し出したアオお兄ちゃん。その手のひらにはやはりオーラの塊が浮いている。

やってみてと促されたヴィヴィオ達。

「「「練っ!」」」

増幅したオーラを両目に集める。

「あ、見えましたっ!」

「私も…」

「わたしもです」

ヴィヴィオ、アインハルトさん、コロナともに見えたようだ。

しかし、その光景を見てアオお兄ちゃんがバツが悪いように戸惑う。

「あー…そっか…そう言えばヴィヴィオは写輪眼が使えたね」

あたしがそうなるように、ヴィヴィオも『凝』をすると、片目だけだが、写輪眼が開眼したようだ。

さて、まだ長時間の凝は難しいらしく、アインハルトさん達は凝を解いている。

多少肩で息をしているが、まあ最初ならそんなものだろう。

「アオさんは写輪眼の事を知っているんですか?」

と、アインハルトさんが問いかける。

それを聞いてアオお兄ちゃんはあたしに視線をよこした。

教えたのか?と。

あたしがコクンと頷くと、アオお兄ちゃんは話し出した。

「リオに写輪眼の事を教えたのは俺だよ」

「そうなのですか?ならばどうしてあなたは写輪眼を知っているのですか?」

「それは俺も写輪眼を持っているからね。リオよりは熟知しているつもりだよ」

「リオさんから写輪眼は竜王の家系に伝わるものだって聞きましたし、ヴィヴィオさんも竜王のハイブリッドだと聞きました。つまり、あなたも竜王に連なるものと言う事ですか?」

「そうだね。
ただ、訂正すると、写輪眼はうちは一族の血継限界…血族にのみ稀に発現する一種の特殊能力の事だ」

「ウチハ?竜王はそんな家名ではなかったはずです」

「うちは一族はベルカの地で栄えた一族では無いからね。別の世界の家系だよ」

「ならばそのウチハ一族の誰かが次元を渡ったと言う事ですか?だから竜王の技には特殊な物が多かったのですね。魔法ではなく、念能力ならば納得が出来ますが…」

が?

「私の中のクラウスの記憶にある竜王のバリアジャケット。それがあなたのバリアジャケットと同一なのはどうしてなのでしょう?」

「…君はクラウスの記憶を持っているのか?」

「はい。その記憶にある竜王とその妃達の名前。…アイオリア、ソラフィア、なのは、フェイト、シリカ。
そのデバイスの名前。…ソル、ルナ、レイジングハート、バルディッシュ、マリンブロッサム…」

「そ、それって!?」

「アオさんやソラさん達の!?」

アインハルトさんの言葉にヴィヴィオとコロナが驚く。当然あたしも。

「どういう事なの?アオお兄ちゃん」

「さて…アインハルトの中ではどう言う結論になったんだ?」

アインハルトさんに視線が集まる。

アインハルトさんは一度ぎゅっとコブシを握り締めて意を決したように言葉を発した。

「…あなたが竜王ですね。アオさん」

確信を持ってアインハルトさんが言った。

「「「ええええっ!?」」」

あたし達三人は余りの事に驚きの声を上げる。

「正解だ」

それはつまり、アオお兄ちゃんは過去に竜王だったって事?

って事は。

「わたしの遺伝子親?」
「あたしのご先祖さま?」

ヴィヴィオとあたしの声が重なった。

「そうなるね」

「「えええええっ!?」」

さて、少し混乱が収まるまでに時間を要した後、あたしは好奇心が刺激され、アオお兄ちゃんに一つの質問をした。

「あのっ、どんな所だったんですか?古代ベルカって」

「うーん。それを語るのには結構長い時間が掛かるのだけど」

「だ、大丈夫です。ね?ヴィヴィオ、コロナ」

「うん、わたしも知りたいですし」

「わたしも」

アインハルトさんはと視線を向ければ、

「私も興味があります。記憶にはない、竜王の視点から語られるあの国の話を」

と、告げた。

「そう。…まあいいか」

と、アオお兄ちゃんはあたしたちに時間が掛かるからと座るように進めてくれた。

「あれは…もう二つ前の人生の事だね」

そう言って語られるアオお兄ちゃんが過ごしてきた戦乱の時代が語られる。

丁度あたしが知っているアオさんの生が終わり、転生したのが乱世の古代ベルカであったらしい。

アオさんの転生先は小国の王子だったそうだ。

ユカリさんは下位貴族出身だったが、大恋愛の末、アオお兄ちゃんの父親であった国王と結婚し、一子をもうけた。

それがアオお兄ちゃん。

まさか自分とソラお姉ちゃん以外が転生してくるとは夢にも思わなかったようで、目の前の母親がユカリさんだと気付いたときはすごく驚いたんだって。

ソラお姉ちゃん達は貴族の子女に生まれつき、直ぐに出会う事になったそうだ。

しかし、時は乱世。

幼少の頃は人質に出され、そこでオリヴィエやクラウスと知り合う機会もあったみたい。

「よく二人と稽古していたよ」

成人を前に自分の国に帰るが、他国との争いが絶えず、戦争が頻繁に起こり、何とか回避しようと奔走するも戦争を回避できず、アオお兄ちゃんたちも戦争に出る事になったらしい。

戦争のさなか、父親である王様が片腕を失う重症を負う。

乱世の王で剣を振れないのはとアオお兄ちゃんに王位を譲ったらしい。

「まぁ、父には引退後も政治面の交渉では頼りっぱなしだったけれどね」

と、アオお兄ちゃん。

戦争に戦争が続く中で、オリヴィエやクラウスとも幾度と無く戦場でまみえたんだって。

「結局戦争が行き着く先は大量殺戮兵器投入による大量殺戮だよ」

そう言ってアオお兄ちゃんは握っていたこぶしをパっと開いて爆弾がはじけたようなアクションをした。

「まぁ、そうなると個人の能力がどうのと言う次元を超えるからね。世界が滅びる前に住民を『神々の箱庭』に移動してもらって目をつけていた無人世界にトンズラさせてもらったよ。他国の話だが大量殺戮兵器で国家ごと消えてなくなるなんて事を見せられたら民達も土地を捨てて逃げる事に賛成してくれたからね」

その後、殖民して、開拓して、新しい社会構成が確立し、王政を廃止し、民達が自分で歩けるようになったら王族は邪魔だと感じたのだろう。

アオお兄ちゃん達はそのままその世界を去ってミッドチルダに移住したそうだ。

その時の子孫があたしと言う訳。

「そんな事が有ったんですか」

と、ヴィヴィオ。

「今の時代からはとうてい想像できないね」

「うんうん」

あたしの言葉に頷くコロナ。

そんな中、アインハルトさんが意を決したような表情で言葉を発した。

「アオさんは戦場でクラウスの拳を見たことがあるのですね?」

「そうだね、何度も彼とはぶつかったからね」

「ならば…私の拳がどれだけ彼に迫っているか、相手をしてもらえませんか?」

え?

そんなアインハルトさんの提案で始まった二人の模擬戦。

互いにデバイスを用い、バリアジャケットを展開するが、双方無手だ。

アインハルトさんはいつもの変身魔法で大人モードになっている。

双方構えて試合が開始された。



試合開始の合図と共に、地面を蹴って、アオさんに駆け寄る。

念はルールとして使用しない。

魔法と体術と言うルールを決めての試合だ。

相手は歴戦の勇だ。待っていても事態は好転しないと思い、私は直ぐに駆けた。

繰り出した右拳。

それを左ひじで弾いたと思うと、アオさんは右腕を腰の回転の力も乗せて私の腹部目掛けて打ち出した。

「かはっ…」

肺から急激に空気が押し出され、吹き飛ばされて地面を転がった後に酸素を求めて咳き込んだ。

「ごほごほっ…はぁっ…」

まだまだと私は息が整うのを待たずに駆け出す。

左コブシでフェイントを入れてからの右コブシでの覇王断空拳。

決まればいくらアオさんと言えどダメージは必死。

しかし…

「え?…あっ!…くっ…」

アオさんの打ち出した右手で私のコブシは打ち払われ、さらに威力負けをして吹き飛ばされてしまった。

今のは断空拳!?

まだ私にはコブシで撃ち出す事しか出来ないというのに、あれはまさしく断空拳の本来の形だった…

「今のは断空拳…ですよね?」

と、戦闘中にもかかわらずアオさんに尋ねた。

「ああ、クラウスが使っているのを見て覚えた」

「見て?」

「正確にはコピーした、かな」

コピー?

「彼とは何度も戦ったからね。彼の使った技は覚えているよ」

それは、覇王流を使えると言う事?

「まさか自分の前に覇王流が立ちはだかるなんて…」

「どうした、やめるか?」

「いいえ、行かせていただきます」

繰り出したコブシ、蹴り、その全てを持ってアオさんを打倒せんと立ち向かうが、相手は何度も覇王流と戦ったのだろう。

確実に私の攻撃をさばき、的確にカウンターを入れてくる。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

強い…これが、王…それもベルカ最強の竜王…

まさかこれほどまでに力量差が有るなんて…

それも、魔法も念もほとんど使わないで、だ。

次で最後だ。

覇王流の中で一つだけ、特殊な技がある。

名を『天竜必墜・閃衝拳』と言う。

私は両足に再び力を込めると今までに無い速度で駆け、最大速度のコブシを繰り出した。

コブシの先に発光魔法を発動させ、繰り出したコブシでブレイク。

強烈な閃光が辺りを包み込む。

自分の攻撃に目がくらみつつも止まることなくコブシを突き出した。

「はあああああああっ!」

その一瞬、私は音すらも置いて来たように感じた。

『天竜必墜・閃衝拳』はクラウスが晩期に編み出した、ただ愚直なまでの正拳突きだ。

魔力で拳速をブーストし、目にも留まらぬ速さで敵を真正面から打ち砕く。

天の竜を必ず堕とす、つまり竜王を打ち砕くと言う事だ。

クラウスは晩年、この技を振るう相手もいないのに何度も練習していた。



ズバーンっ

乾いた音が辺りに響き渡る。

「まだまだ…ですね」

「いや、とどいてるさ」

私のコブシは受け止められ、そこで全ての力を出し尽くしてしまった私は意識を手放した。




アインハルトさんの最後の一撃は写輪眼でかろうじて追う事のできるくらい高速の正拳突き。

魔力でフルブーストされた体から撃ちだされたそれをかろうじてアオお兄ちゃんは受けた。

「まだまだ…ですね」

「いや、とどいてるさ」

その会話の後、崩れるように気を失ったアインハルトさん。

それを受け止めたアオお兄ちゃんの両腕の防具はことごとく破壊されていた。

「咄嗟に取った防御がたまたまアインハルトの攻撃の射線上にあっただけだ。今の攻撃は一体どのくらいの速度で攻撃したのやら。ありったけのブースト魔法の重ね掛けと言った所か」

その分反動も大きかったはずだとアオお兄ちゃん。

「気絶してるだけだろうけど、一応医務室に運ばないとかな」

変身魔法が解け、体が縮んで元のサイズに戻ったアインハルトさんを抱き上げ、アオお兄ちゃんはあたし達を伴ってアインハルトさんを医務室へと運びいれた後、仕事があるとその場を辞した。







「ここは…」

しばらくすると、ベッドに寝かされていたアインハルトさんは目覚めたようだ。

「医務室のベッドです。模擬戦の最後でアインハルトさん、倒れちゃって」

と、ヴィヴィオが説明する。

「それにしても最後の一撃はすごかったです。ほとんど何にも見えなかったし。一体何ていう技なんですか?」

コロナが少々興奮しながら問いかけた。

「覇王流、天竜必墜・閃衝拳。
クラウスが竜王を倒す為だけに編み出した切り札です。コブシに魔法を載せて打ち砕き、閃光で相手の視界を奪い攻撃する技なのですが、そんなことしたら自分の視界も遮りますよね。クラウスはどうしてそんな技を作ったのでしょうか」

「……多分、対写輪眼の切り札だったんだと思います」

「写輪眼…の?」

「写輪眼の能力の一つにその動体視力のすさまじさがあります」

「動体視力?」

「はい。その動体視力はおよそ常人の数倍。普通の人が知覚出来ない速度での攻撃も写輪眼には追う事ができるくらいです」

「つまり、自分ですら認識できないほどの速さで攻撃したと思っていてもアオお兄さんやリオには見えているって事?」

と、コロナが横から問いかけた。

「そうなるね」

「何そのチート能力!?」

とコロナが憤慨した。

あたしもそう思う。

「そうですか。それで合点が行きました。なぜクラウスがフラッシュを利用し、自分の視界を妨げるような攻撃を編み出したのか。それが、何故愚直なまでの高速攻撃だったのか…」

「どういう事ですか?」

そう言ったのはまたもコロナだ。

「写輪眼は結局『視る』能力なんだよ。視界をふさがれるような強力な光で視る事を阻害されたらやはり何も見えないんだ。それと、例え見えても防御が間に合わないような速度での攻撃なら、見えていてもかわせないからね」

と、あたしが解説した。

「あ、そうか」

あたしの説明に納得するコロナ。

「そう言えば、アオお兄ちゃんとの模擬戦、どうだった?」

ヴィヴィオが聞きたくてうずうずしていたのだろう。

そんな声色がヴィヴィオの言葉の抑揚から感じられた。

「どう表現して良いのか…ただただ凄かったです。あれが古代ベルカ時代に魔王と言われた英傑…」

アインハルトさんがため息と同時にそんな言葉をこぼした。

「魔王なんて言葉、普段のアオさんを見ていると全然似合いませんけどね」

と、コロナ。

「けれど、戦場に出た彼は1人で炎の壁を作り出し、敵軍を焼いた事もあるのです…」

アインハルトさんの言葉に沈黙するあたし達。

「…火遁・豪火滅却…ううん、もしかしたらあたしが教えてもらってないだけでもっと上の技かも…」

「当時は戦わなければ蹂躙され、搾取されるのが当たり前になっていた時代でした。殺さなければ殺される、そんな時代です…」

アインハルトさんはさらに表情を歪めた。

さらに場の空気が悪くなったのを払拭しようとアインハルトさんが話題を変えた。

「そう言えば、アオさんは覇王流をコピーしたと言ってましたが、コピーとはいったいどう言うことなのでしょう?」

ああ、そう言えば写輪眼のコピー能力はまだ伝えてなかった。

「写輪眼はね、その鋭い洞察眼で相手の技の解析して、記録してしまうんだよ。つまり相手の技をコピーしてしまうの。まぁ、素質の問題でまねできない物はコピーできないけれどね」

「ええええっ!?」
「ええっ!?」

あ、コロナだけじゃなく、アインハルトさんもたまらず驚きの声を上げたようだ。

「やっぱりチート能力じゃないっ!」

と、コロナが吠える。

「だよねー、わたしもリオから聞いたときそう思ったもん」

そうヴィヴィオも言った。

「つまり、その写輪眼のコピー能力でクラウスの使った技をコピーしたと言う事ですか…出鱈目ですね」

そう言ってアインハルトさんが締めた。
 
 

 
後書き
本当はここで古代ベルカ編をやろうと書いてみたのですが…すみません…結局詳細が分からないので、戦争理由がこじ付けになる。戦争の形式が分からない(飛行機等の航空機や銃や大砲、ビーム兵器などの有無)。文化レベルすら不明(夜天の書とかゆりかごやマジックデバイスを作れるくらいの技術があるのになんか中世くさいのは納得がいかないですよね)等の理由により断念しました。
アインハルトのオリジナル技は…一つくらいならあっても良いんじゃないかなと思って出した技ですね。覇王流にあんな技はありません。ご了承いただけますよう。 
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