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歌集「春雪花」

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 侘びぬれて

  きくは風琴

    忍びつつ

 夢の通い路

   なからむとても



 いくら恋しくても…彼には会えない…。
 時に辛く、居た堪れなくなることもある…。

 オルガンの響きは、どこか幻想的で…まるで別の世界へと誘うようで…。
 その響きに身を任せると、ほんのひととき…辛さから開放されるような気がするのだ…。

 たとえ夢でさえ彼に会いに行けずとも…ただ、このひとときだけは…。



 想いしも

  届かぬ恋の

    侘しさに

 わが世も虚し

     如月の雪



 どれだけ想っても…いくら深く愛しても…彼には届かないこの恋は、なんと切なく…もの淋しくなることか…。

 そんな風にしか愛せない…私と言う人の世界は、ただただ虚しく、積もりもしない二月の細雪のようで…。

 あると解っていても残らない…恋とは、斯くも儚いものなのだろうか…。



 
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