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新オズの腹ペコタイガー

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第十一幕その二

 黄色い煉瓦の道です、恵梨香はその道を進みながらトロットに言いました。
「この道は公道ですか」
「そう、オズマが開いたね」
「だから黄色い煉瓦の道なんですね」
「オズの国の公道はね」
「黄色い煉瓦ですよね」
「そうよ、けれどね」
「トロットはその道を歩きながら恵梨香に言いました。
「私達以外に行き来している人はいないわね」
「はい、道の左右も」
 恵梨香は道の周りを見回して言いました。
「何か」
「お家や畑も殆どないわね」
「ここはまだ開けていないんですか」
「そのこともあるけれど」
「さっきアン王女がお話されていましたけれど」
「皆薔薇の国についてはね」
「よく思っていないんですね」
 恵梨香はトロットに言いました。
「やっぱり」
「そうなの、アンも実際にあの国に行ってね」
 そしてというのです。
「不愉快な思いをしたの」
「だからなんですね」
「あの国には行かないから」
「ウーガブーの人達自体も」
「そして周りの人達もね」
 その薔薇の国のです。
「あの国には行かないの」
「好かれていないんですね」
「そうよ、私もあの国に行ったけれど」
 トロットもその鬨のことを思い出すと表情が曇ります。
「いい思いをしなかったわ」
「トロットさんがオズの国に来られた時ですね」
「あの時奇麗だと思ったのは一瞬で」
 それでというのです。
「すぐに不愉快になったわ」
「そうでしたね」
「だから私もあの国については」 
「トロットさんもですか」
「そうなの、けれどね」
「今はですね」
「あの国の人達も穏やかになったから」 
 昔と比べてというのです。
「安心してね」
「わかりました、それじゃあ」
「薔薇の国に行きましょう」
「今から」
 こうお話してでした、そのうえで。
 皆で先に先にと進んでいきます、その旅は楽ですがそれでもです。トトはお鼻をくんくんとさせてから言いました。
「後ろから何か来るよ」
「何かって?」
「うん、ウーガブーの国からね」
 そこからとです、腹ペコタイガーにも答えます。
「何か来たよ」
「人かな」
「そうみたいだね、この匂いは」
 トトはお鼻をくんくんとさせたまま言いました。
「アン王女だよ」
「あれっ、あの人が来てるの」
「うん、こっちに来てるよ」 
 匂いでそのことがわかるというのです。
「またどうしてかな」
「あれっ、おかしいね」
 モジャボロはトトのその言葉を聞いて首を傾げさせました。
「この道に入る時彼女自身が言っていたね」
「うん、王女さんもウーガブーの国の人達もね」
「薔薇の国の人達は好きじゃなくてね」
「この道を通る人達もね」
「いない筈だから」
「それでどうしてかな」
 トトも首を傾げさせます。 
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