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目が覚めたらカロス地方

作者:焼きそば
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第一歩『目が覚めたらメイスイタウン』

20xx年11月19日

現在時刻23時42分

現在位置は東京都渋谷区の
一件のマンション

そこにスーツ姿の男性が入ってきた
否、帰ってきたのだ

男性は疲れ果てた様子だ、呼吸も荒い

「…疲れ、た」

男性はスーツを適当に脱ぎ捨て、
そのまま寝室へ歩きベッドに横になる

「………」

男性は、すでに。
まるで“死んでいる”かの様に眠った

そして時は流れ12月7日

日本のニュースでこんな
内容が報道された

『本日午後1時30分に、
東京都渋谷区の一件のマンションで、
男性の遺体が発見されました
名前は《ーーーー》さん26歳
死因は極度の疲労と栄養失調と
考えられています、これに対し警察は―』






―――――――――――――――――――――



……ん?
朝、か?

なんだか、お腹のあたりが重い…

はっ!これが俗に言う金縛り!?

…怖くて目が開けられないが、指は動く

呼吸も出来るし、足も動く

…というか、なんか呼吸しやすいな

ヘビースモーカーの俺は肺がやられて
呼吸がしづらいはずだが…まぁ、
最近煙草やめたけど…医者に
『これ以上吸ったら死ぬよ?』
と言われてから一本も吸ってない

まぁそれはいい

どうやら金縛りではないようだし、
目を…うっすらと開けて…

「……ゑ?」

「ブイ?」

俺の腹に乗っていた犯人は、
日本人ならば誰しもが知っているであろう
超有名ゲーム『ポケットモンスター』に
出てくる『イーブイ』だった…



…いや、どういうことだってばよ
なんで俺の腹にイーブイが?てかよくみたら
ここ俺のマンションじゃねぇ

外からは鳥っぽい鳴き声が聞こえる
俺が起き上がると、イーブイはベッド
から降りる、ふと横を見たら壁掛けの
時計があった

『午前7時00分』

俺は混乱していた

ここはどこ?

なぜイーブイが?

そもそもここはどこだ?(2回目)

わけのわからないまま、俺は
またしても異常に気付いた

手が、小さい

というか綺麗

どこからどうみても三十路間近の
オッサンの手では無かった

俺は布団をめくり、自分の姿を
みて、さらに驚く

「…体が、小さい」

俺はベッドから降りて立ち上がり、
色々備わっている家具をスルーして
部屋から出て、洗面所を探す
足元にはイーブイがついて来ている

俺は洗面所を発見し、鏡を見た

「な…!?」

俺は、若返っていた

…というより、別人だなこりゃ

小さい頃の俺はこんな整った顔はしてない

だが俺の目の間に映っているのは、

ボサボサで伸びっぱなしだった
黒髪は綺麗な銀髪に変わり、

死んだ魚の様な黒い瞳は
まるで海の様に綺麗な碧眼

お世辞にも整った顔では無かった
不細工面も、まるで人形の様な幼顔
に変わっていた

「誰だよ…いや、俺…なのか?」

閑話休題(そこからいろいろあった)

俺が目を覚ましてから1時間後、
色々な事が分かった

まず俺がいる場所、此処は
『カロス地方』『メイスイタウン 』

タンスの中にはポケモントレーナーを
表すトレーナーカードが入っていた

ここでの俺の名前は『ルーク』
決して吸血鬼の兄でもなければ
レプリカでもない


…さて、つまりは…だ


「俺は転生したのか?」


というかそれ以外考えられない
だって夢にしてはリアルすぎる

さっきだってうっかりタンスの角に
小指を思いっきりぶつけたが、
めっちゃ痛かった

あまりにも痛すぎて悶えてた俺を見て
イーブイがめちゃくちゃ心配してた、
超可愛いです

「…1人で考えててもしょうがない、か」

俺はクローゼットから適当な服をあさり
それを着込んだ、全体的に黒いが、
まぁいいだろう、それはともかく

「…イーブイ、お前も来るか?」

「ブイッ♪」

イーブイは当然♪と言っているかの様に
返事をした

「そっか…じゃあ、これからよろしくな
イーブイ…じゃあ味気ないから名前でも
考えるか?」

「ブイ!」

イーブイは嬉しそうに返事をした

名前…名前かぁ

イーブイ…

「じゃあ…『シオ』はどうだ?」

「…!ブイブイッ!」

イーブイはとても嬉しそうだ

ちなみにシオ、とは
フランス語で『仔犬』という意味だ
イーブイにぴったりだろう

発音はシ↑オ↓ではなく、
シ↑オ↑だ、前者だと塩になるからな

さて…イーブイの名前も決まったことだし
…いわゆる旅の準備、か

…なんだろう、すっごく
ワクワクしている自分がいるぞ

三十路間近のオッサンが若返って
ポケモンと一緒に旅(?)か…

年がいもなくワクワクしてきたぞ!

まぁ見た目は15かそこらだろうけどさ

俺は再度家を物色すると、
色々な物が見つかった

まずはポケットモンスター定番の
『ポケモンずかん』だ

形的には…多分xyのポケモン図鑑だと
思うけど…

「いろんな機能ついてんなぁ…」

まずは『全国図鑑』
そして『ラジオ』に、これは…
『がくしゅうそうち』…マジか、
あとは『タウンマップ』機能か

あと見つけたのは『ホロキャスター』
これは現代でいう携帯電話みたいなもんだ

…連絡先、ゼロだけどな

めげずにいこうじゃないか!

そして、気付いたのが、
トレーナーカードに貯金額が
書いてある

えーっと…ひーふー…あれ?

「えぇ…」

ドン引きするほどの額が書いてあった

「うん、見なかったことにしよう…」

あとは手提げ袋の様なバックパックだ
ゲームみたいに物を入れられるのか試して
みたら、バックパックの中に消えていった

…え、消えたんだけど

俺はバックパックの中に手を突っ込むと
俺の手には今入れた傷薬が握られていた

なるほど、原理はよくわからないが、
バックパックに手を入れて欲しいと
思ったものが出てくるのか

…まるで意味が分からんぞ

「まぁ、考えてもしょうがない…
そろそろ行こうかな」

俺はコート掛けに掛かってた
黒い帽子を被る

「シオ、行くよ!」

「ブイ!!」

これからなにが起こって、
なにが待ち受けているかは分からない

でも、前に進もう

今は、それしか俺にはできない




さて、家を出たのはいいが

どこに行こう?

何も考えずに出てきたからもちろん
旅の内容はノープランだ

ちなみにシオは俺の足元にいる

ひとまず噴水が見えたので、
近くに行く

そこには看板があり、内容は

『ここは メイスイタウン
川面に よりそう 町』

どうやらガチでメイスイタウンっぽいな
この噴水広場も見覚えがある

「…どこ行こっか、シオ」

「ブイ…」

早速途方に暮れた俺達だが、
目の間で事件が起こる

「キャー!?私のスボミー!?」

「!?」

俺は悲鳴が聞こえた先を見ると、
なにやら赤いスーツを着た
変なファッションの男がこちら
に『スボミー』を抱えて走ってくる

ポケモンの誘拐!?
いや、考えている場合じゃない!

「シオ!」

「ブブイ!」

「『たいあたり』!」

シオは助走をつけてから
赤いスーツの男の脛辺りに
たいあたりをぶちかました、うわ痛そう

「ギニヤァアアア!?」

「今だっ!」

俺は男が手放したスボミーを
取り上げて、距離をとった

「よくやってくれた、シオ」

「ブイッ♪」

どんなもんよ、と言いたげなシオだ

すると、男が脛を抑えながら
こちらを睨んできた

「テ、テメェ…よくもやってくれたな」

「子供の頃にママに教わらなかったか?
『ひとのポケモンとったらドロボー』
ってな!」

「テンメェ!!行け!ヘルガー!」

スーツの男が出したのは『ヘルガー』
『あく』と『ほのお』の2タイプの
力を持った強力なポケモンだ

対してこちらはシオ…イーブイ一匹

くそっ…どうする?なにか策は…なにか

「ヘルガー!『はじけるほのお』!」

「ガァッ!」

「!?シオ!『みきり』!」

「ブイ!」

シオは相手の攻撃を完全にみきり、
はじけるほのおを躱した…が
みきりは『まもる』と同じく
連続で出すと失敗しやすい…どうする?
シオのレベルはたぶん10くらいだ、
ヘルガーは…おそらく30か…

どうする?と、悩んでいた俺の背後から
声が聞こえた、凛とした、美しい声だった

「ガブリアス!『ドラゴンダイブ』!」

「ガルァッ!!」

ヘルガーにむけられた攻撃は、
『ドラゴンダイブ』そしてポケモンは
『ガブリアス』そして俺を庇うように
前に出たのは…

「もう大丈夫よ、勇敢なトレーナー君」

「シロナ…さん?」

ポケットモンスターDP、BWで登場する
シンオウ地方“チャンピオン”
『シロナ』の姿がそこにあった

「あら、私を知ってるの?
ここらへんじゃあまり知られてないと
思っていたけれど…」

「そ、そりゃ…貴女に会うのは
俺にとっては夢でしたから…」

「夢?」

夢、というのは間違っていない

なにしろ、俺はポケットモンスターの
女性キャラクターで、シロナが一番好きだからだ

「はい、俺は…貴女の様な
トレーナーになりたくて、ポケモントレーナー
になったんですから」

これもある意味嘘ではない
子供のころ、友達が持っていたダイヤモンド
を見て、シロナというキャラクターを
知り、俺はポケモンを始めたのだ

「フフ、嬉しいわね
…あら、いけない」

「どうかしたんで…あっ」

シロナさんとの会話に夢中で
赤いスーツの男が逃げたのに気づかなかった

「あ、あの!」

「えっ?」

俺はまた後ろから声をかけられる
見た目15歳の女の子だ

「私のスボミー、取り返してくれて
ありがとうございます!」

「あ、ああ…どう致しまして」

俺は抱えていたスボミーを女の子に返す

「ああ…良かった!お帰り、スボミー!」

「キュル♪」

スボミーは女の子に抱きしめらて
心底安心した様な表情を浮かべる

「あの、これお礼といっては
なんですが!受け取ってください!」

「えっ?」

そういって女の子が取り出したのは
『オボンのみ』がたくさん入った
バスケットだった

「これ、友達のお父さんが
畑でたくさん採れたらしくて、
たくさん貰ったんですけど食べきれなくて…
良かったら、受け取ってください」

「いや、でもこんなに…」

「あら、女の子のお礼は受け取ったほうが
いいわよ?新米トレーナー君?」

うっ…そう言われると…
ふと、シオの方をチラリと見る

「…!」

わぁ〜い、すっごい目がキラキラしてる

「えっと…それじゃあ、お言葉に甘えて」

オボンのみ を 20個 手に入れた !

「ありがとうございましたー! 」

そういって、女の子は去っていった

「…ねぇ、君」

「え?」

「さっきのイーブイへの対応、すごく
早かったわね、それに反応したイーブイも
イーブイだけれど…」

「アハハ…ありがとうございます」

「ふむ…そうねぇ、立ち話しもなんだし、
あそこのカフェでお茶でもしない?」

「はいっ!是非!」

「フフフ、素直な子は好きよ、
それじゃあ行きましょう」

俺は今日死ぬかもしれない

俺はシロナさんの後ろ姿を見ながら、
心の底からそう思った

 
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