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ストライク×ウィザード

作者:akirascall
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プロローグ

バルクホルンside

「なんだ・・・・・これは・・・・・」

そう言いながら、私はぐらぐらする視界のまま、あたりを見渡す。
視界には轟々と燃え横たわる車が一台、ほかに人影はなかった。
どうやら運転手は無事ではないようだ。
だが―――――――――

「くくくく、たやすかったな、ゲルトルート・バルクホルン
これで私は―――――の王になれるのだ、ヒャハハハハハ!!」

そんな自分を笑う声が聞こえ、そちらを向く。
そこにはよく見えない黒い影のようなものが立っているのが見えた。

(くっ・・・・・こいつは・・・・・)

視界がどんどん赤くなっていく。
それとともに思考が出来なくなっていく。
そして視界が真っ黒になった。


バルクホルンside END




ミーナside

「今日ね、トゥルーデが戻ってくる日は」

そう言いながら私は書類に目を通していく。
書類をつかむ私の手が軽い。
それほど気分がいいのだろう。

「うむ、あいつからも連絡があった。
もうじきここに来れるそうだ」

そんな私に察してくれたのか微笑を浮かべながら美緒――坂本美緒少佐は頷いた。
いい土産話が来るといいなと呟く美緒を横目につい先日のことを思い出した。
それはトゥルーデが休暇をもらう少し前、彼女が無茶をし、重症を負ったあの日のことを。

「宮藤さんが来てトゥルーデもいい方向に変わってくれて、本当によかったわね・・・・」

「そうだな・・・・これから私たちの戦いが始まるんだ」

美緒が心底嬉しそうに、だが気を引き締めて呟く。
そう、これからなんでしょうね。
これからが私たちの、本当の501戦闘航空団、ストライクウィッチーズのネウロイを倒す戦いは。
ネウロイを倒し、ガリアを解放させるための戦いにはトゥルーデの力も必要不可欠。
でもその不安ももう終わり。
そんなことを考えている、その時だった。

「大変だ!」

ドアが勢いよく開かれる音を室内に響かせながら2人の少女が入ってきた。
エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉とサーニャ・V・リトヴャク中尉だ。
2人は今日は見回りへ行っていたはずなのだけど・・・・

「どうした、騒々しいぞ」

美緒が彼女たちにそう注意するが、エイラさんは知ったことがないというように叫ぶ。



「大変なんだ!
バルクホルンの乗ってた車が爆発したんだ!」



「・・・・・え?」

私の口からそんな気の抜けた言葉が聞こえ、心臓が止まりそうになる。
その後、エイラさんの報告を聞きながら私の意識が真っ白になった。
そこから先のことは曖昧にしか覚えていない。
だけど次の日、朝刊の一面にはこんな記事が載っていた。
『ゲルトルート・バルクホルン行方不明 カールスラント軍に宣戦布告か?』という記事が。


ミーナside END





????side

「はぁ・・・・・さぶっ・・・・」

そう言いながら、オレ―相馬 龍也(そうま たつや)はスーパーからの12月の帰り道をゆっくりと歩いていく。
スマホを見ると、もう18時を切っている。

「早く帰るか、門限があるんだよな・・・」

オレの通っている高校は寮制で生徒一人には一部屋貸してもらい、自主性を身に着けてもらう、というのが学校のいいところなのだが門限が厳しい、というのが難点であった。
18時半までに部屋にいないと内申点に減点が入る、というのが規則だ。
オレはもう高3、卒業に必要である成績には一応デリケートにしておかないといけない時期だ・・・・

(ま、内申点なんてどうでもいいんだけど・・・・・・)

オレは舌打ちをしながらスマホをポケットにしまう。

「はぁ・・・・・」

オレはため息をつきながら頭上を見上げる。
そこには満天の星空がある。

「あぁ・・・・平和な空だな・・・・・」

きれいに輝く星々をバックに黒く輝く夜空を見上げてうっとりとする。
これがオレの平穏な毎日の楽しみだ。
オレはこうしてきれいな空を見てその写真を撮る。
そしてこの絶好の空の下で吹き荒ぶ風を駆け抜ける、それがオレの趣味だ。
そのためか、オレは土日祝日にはいつもバイクでどこかへ行く。

(今週末はどこへ行こうか・・・・・トラブルのないところへ行きたいなあ)

そう言いながら、オレはため息をつく。
オレはこのドライブでたびたびトラブルと遭遇する。
軽く迷い猫の里親探しや車に引かてしまった子供の応急処置から緊急病院まで送っていくことから地上げ屋と揉めあったなんて時もあった。

「ああ・・・・不幸だなぁ」

記憶に残るそんな出来事を思い出しながらオレはまたもため息をつく。
命が惜しくなり見捨てて逃げたくなる時ももちろんあったが、その時には発作が起こって胸が苦しくなりじんましんが出来てしまう。
そして毎度最後まで人助けをしてしまうのだ。
もちろん人助けをして後悔したことは一度たりともないのだが、それでもけがはする。
そのたび高校の先生からは大目玉をくらったり補修をもらったりなど災難が必ず待っている。

「オレは上条さんかってーの」

そんな愚痴をこぼしながらオレはとぼとぼ重い足取りで歩く。

(んなわけねえな、もしそうだったら今まで助けた人の中の女性たちは今頃、オレにゾッコンだもの!!)

開き直りながらフンスと鼻息を荒くしながらこぶしを握る。
これでもオレは高校生、思春期真っ盛りの時期だ。
これくらいの夢は見ても罰は当たらないだろう。
はい、そこ夢見すぎとか言わない。
だがそんな夢のような出来事は起きることはない。
まあそれでも感謝の手紙が届き、いい気分になれるのは満更でもない。
だが―――――――

(こんな毎日だけど、せめて1日くらい平和な日が来ねえかな・・・・・)

そう思っても罰は当たらないだろう。
そんな風にため息をついたその時だった。

「お!」

オレがそんなことを呟きながら視線を前に戻そうとした時、視界の端で一筋の流れ星のようなものが見えたような気がした。

(流れ星か、めずらしいこともあるんだな・・・・・・)

珍しい出来事にオレは少し驚きながらも足取りを軽くして自宅まで歩いていく。
その時だった。
ふっと視界を何かが横切る。

「はあ・・・・・はあ・・・・・」

息を荒げるその影はそのまま路地裏まで走っていった。

(さっそくですか、そうですか・・・・・・)

いつも通りの光景にため息をつきながらオレはその人影を追っていく。
路地裏に入ると、すぐの足もとにその人影はいた。
真っ白い布きれを目元までかぶせている。
息も切れ切れとしているその肩を見て只事じゃないな、と思いその人物の顔を見た。
するとそこには茶色い髪をしたきれいな女性が頭から血を流したまま意識をうしなっていた。



これがオレと彼女、トゥレーデとの最初の出会い、そしてオレの希望へと続く物語の始まりの始まりとなる。
そのことをこの時のオレは知る由もなかった。






 
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