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お化け屋敷

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4部分:第四章


第四章

「お父さんとお母さんじゃない」
「父さんが?」
「母さんがって?」
「私をお化け屋敷に連れて行ってくれてお化けの本とか読ませてくれたじゃない」
「確かにそうだけれどな」
「それはね」
 両親もそのことは覚えていた。それもよくだ。
「そういう本も買ったし」
「遊園地には絶対にある場所だから」
「だからよ。それで昔からね」
「妖怪は平気だったのか」
「そうなのか」
「そういうことよ。わかったわね」
 こう話してだった。そうしてであった。
 朋子はだ。自分の周りにいる妖怪達にだ。こう言うのだった。
「じゃあこれからもね」
「これからも?」
「これからもっていうと?」
「決まってるじゃない。一緒にいましょう」
 笑顔で妖怪達に言うのである。
「このお話の流れだとそうなるじゃない」
「そういえばそうだね」
「この流れだとね」
「じゃあ。家はここで」
「朋子ちゃんと一緒にいていいね」
「家賃は払ってね」
 それを言うのはだ。絶対に忘れない朋子であった。
 しかしそれと共にだ。こう言うのも忘れていなかった。
「楽しく。一緒に暮らそうね」
「うん、ずっとね」
「一緒にね」
「妖怪とかそういうのはどうでもいいのよ」
 朋子は己のその考えも話した。
「大事なのは性格だからね」
「性格ねえ」
「外見じゃなくてなんだ」
「それが大事なんだ」
「よく言われてることだけれどね」
 それはその通りだった。そうしたお決まりの言葉は道徳の本でもよく書かれているし言われていることだ。朋子も子供の頃から言われていることだ。
「どんな姿形でもよ」
「性格だっていうんだ、朋子ちゃんは」
「そうなんだ」
「そうよ。大事なのは性格」
 また言う彼女だった。
「それが悪いとどうしようもないから」
「それも言ったけれどな、子供の頃から」
「それでもね」
 両親はその朋子にまた話す。いささか呆れてはいる。
 しかしそれ以上にだ。言ったことをそのまま実践している娘にはだった。
 感心してだ。こう言うのだった。
「それを実践できているのはな」
「凄いわね」
「凄い?何処が?」
 朋子はそう言われるとだ。こう返すのだった。
「こんなの普通じゃない。性格悪い人の方が問題じゃない」
「そう言えることだよ」
「凄いっていうのよ」
 自覚のない娘にまた話すのだった。そうしてだ。
 娘にだ。こうも話した。
「じゃあ一緒にな」
「住みましょう」
 両親も遂に受け入れたのだった。娘の心を見てだ。
 朋子は妖怪達と住むことになった。そうして楽しく過ごしたのである。お金以上にだ。多くの友人に囲まれて幸せに過ごしたのである。


お化け屋敷   完


                 2011・3・29
 
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