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3部分:第三章


第三章

 その切り方はだ。背中から切った。署長はそれを見てすぐに男に対して言った。
「御前が東京での殺人鬼だな」
「えっ!?」
「間違いないですか」
「そうだ、間違いない」
 驚く警官達に対して言うのだった。
「こいつだ。捕まえろ」
「ですが証拠は」
「証拠はありませんが」
「証拠はある」
 署長は強い声で言い切った。
「わしは今それを見た」
「今とは」
「それは一体」
「後で話す。しかし今はそいつをだ」
「捕まえる」
「そうするのですね」
「そうだ、捕まえろ」
 まずは何につけてもそうしろというのである。
「わかったな」
「はい、では」
「すぐに」
「くっ・・・・・・」
 男は捕まえられようとすると逃げようとした。しかしであった。
 警官達がその彼を取り押さえた。そうしてすぐに取り調べがはじまった。
 取り調べの結果だ。男が犯人であるとわかった。男の部屋から毒が大量に見つかったのである。そして東京でのことも全てわかったのだ。
「本当にあいつが犯人でしたね」
「そうでしたね」
 警官達が署長に対して話す。今彼等は署長室で署長の席の前に立ちだ。そのうえで話していた。
「危うく大阪でも殺される人間が出るところでした」
「全くです」
「そうだな」
 署長も自分の前に立つ彼等の言葉に応えて頷いた。
「本当にだな」
「その通りですね」
「しかし署長」
 ここで警官の一人が彼に問うてきた。
「どうしてあいつが犯人だとおわかりになったのですか?」
「そういえばそれは」
「何故ですか?」
「それは」
「鰻だ」
 彼はここでそれを話に出してきた。
「鰻でわかったのだ」
「そういえばあそこで鰻を切らせましたが」
「それでなのですか」
「あの男は東京から来たな」
 署長はこのことから話してきた。
「そうだったな」
「はい、その通りです」
「生まれも実際にあちらだとか」
「だからだ。鰻を切らせてみたのだ」
 その鰻だというのである。
 
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