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おぢばにおかえり

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第二十一話 授業中その九

「天理大学もあるし」
「年上・・・・・・」
 憧れちゃいます。といっても実は背の高い人、私より高くて優しい人がいてくれればそれでいいんですけれど。まずはやっぱり心ですから。
「親里高校もあるしね。他にも男の人一杯いるし」
「何だかんだでおぢばって出会い多いんでしょうか」
「出会いっていうかお引き寄せ?」
「そうよね、やっぱり」
 佐野先輩が高井先輩の御言葉に頷かれました。
「親神様のね」
「特に神殿の中で思わない人とばったりって多いし」
 これは私も何度か経験があります。おぢばにいるとまさかっていうような人と会うことも多いです。これこそがお引き寄せなんです。
「だから出会いは多いけれどね」
「それに天理中学校」
「中学校!?」
 私は先輩の方々の御言葉の意味が少しわかりませんでした。
「中学校がどうしたんですか?」
「何言ってるのよ、出会いは年上ばかりじゃないわよ」
「そうそう」
「年上ばかりじゃない」
 そう言われても何か今一つピンと来ません。
「っていいますと」
「あのね、ちっち」
 佐野先輩が少し呆れた感じで私に声をかけてきました。
「はい?」
「相手は年上ばかりじゃないから」
「そうよ」
 高井先輩も仰ってきます。
「年上もいるじゃない」
「だからよ」
「私年下の子は」
 どうしていつもいつも言われるんでしょうか。私が年下好みじゃないっていつも言ってるのに。
「あまりなんですけれど」
「そう?似合うわよね」
「ねえ」
 けれど先輩達はこう仰って。何でなんでしょう。
「ちっちってお姉さんタイプだからねえ」
「実際にあれでしょ?」
 また私に言ってきます。
「妹さんおられたわよね」
「ええ、まあ」
 これは本当のことなんで隠しません。別に隠すものでもないですし。
「そうですけれど」
「じゃあやっぱりお姉さんじゃない。違う?」
「弟さんが一人できたと思ってね」
「弟って」
 すっごい違和感のある言葉です。高校に入ってからこう言われることが多くて困ったりもします。何でいつも言われるのか不思議なんですけれど。
「そんなに似合います?」
「似合うわよね」
「ねえ」
 佐野先輩が高井先輩に頷かれます。
「絶対に似合うわよ」
「だから頑張って中学生を捕まえなさい」
「捕まえるって」
 猫じゃないんですけれど。男の子は。
「私は別にそんなことは」
「嫌なの?」
「捕まえるものじゃないじゃないですか」
 これが私の考えです。男の子は捕まえるものじゃなくて出会うもの。お引き寄せがあって出会うものだと思いますけれど。違うんでしょうか。
「別に私は。だから」
「私は?」
「だから?」
「今は待ってるんです」
「駄目ねえ、そんなのじゃ」
「ねえ」
 また先輩達が仰います。駄目なんでしょうか。 
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