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魔法少女リリカルなのはINNOCENT ブレイブバトル

作者:blueocean
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DUEL6 八神堂へ………

「ふぁ〜あ」

朝目覚め、身体を伸ばす。ここの生活も随分と慣れてきた。


春休みも残り僅か。俺はと言うと、あの一戦以降どっぷりとブレイブデュエルにハマり、暇さえあればプレイしていた。
しかし相手になってくれたのはグランツ研究所の面々。嫌という程ボコボコにされた。

特に酷かったのはシュテルだ。







『マスター、また!!』
「ちっ、くそっ!!」

誘導弾の攻撃なのに一向に状況が好転しない。

「魔神剣!!」

魔神剣は最近覚えた技だ。魔力の燃費も良く、今の俺の唯一の遠距離攻撃だ。しかしシュテルは片手でシールドを張り、難なく防ぐ。

「駄目か……やっぱり近づいて………」
『マスター!!』

駆け出した瞬間に、光の輪に捕まり、身動きが取れなくなる。

「これは………」
「バインドですよレイ。何も攻撃することだけがブレイブデュエルと言う訳では無いです」

ゆっくりと近づいたシュテルがそう説明してくれた。

「戦闘中だってのに随分と余裕だな……」
「いえ、これでも驚いていますよ。レヴィを倒しただけはあると思います」

本心で言ってるのか嫌味なのかは分からないが、ものすごく悔しい。
シュテルはああ言ってるものの、まだ1度もシュテルにダメージらしいダメージを与えていないのが情けなかった。

「さて、少々早い気もしますが終わりにしましょうか………」

そう言って無慈悲に杖を向ける。

「あまり……舐めるなああああ!!!」

拘束しているバインドを力尽くで引きちぎり、抜刀の構えをする。

「葬刃!!」

魔力は誘導弾をバンバン放ってくれたので充分ある。

しかし不意を突いたと思われた一撃はシュテルに当たることなく空を切る。

「終わりです」

そして向けられた杖で無慈悲の一撃を喰らったのだった………








「レイに足りないのは攻撃のバリエーションです。パターンが少ないので、暫く戦闘しているとどうしようもなくなります」

あの後も何度か戦ったが、一方的に攻められ結局負けてしまった。
そして戦闘が終わったかと思いきや、シュテルと共に今回の戦闘の反省会が始まった。ここ最近シュテルと戦った、もしくはシュテルが見ていたバトルにはシュテルのアドバイスが入る。俺にとっては願っても無い事であり、ありがたく聞いているが、一向に褒められない。

褒めて伸びるタイプかどうかはさておき、伸びない自分が恥ずかしくなってくる。

「後は鞘の回復を優先しているのは良くないです。魔力は多いに越した事はないのですが、それを使えなければ意味がありません。それにレイは元々魔力は高めなのですから、もっと自分に戦い易い状況を作るのを優先した方が良いですよ」
「なるほど………」

確かに今の戦いは初回から放ってきた誘導弾を吸収するために防御に入った。しかし時間が進むに連れ、俺はその場から離れられなくなっていた。四方八方から向かってくる誘導弾。それに対応するのにいっぱいいっぱいになってその場から離れられなくなってしまったのだ。

「もっと技があればなぁ………」
「それも工夫すれば単調にならず戦えます。レイ気がつきましたか?私は3つしかスキルを使っていないんですよ?」
「………あっ!!」

シュテルの言う通り、誘導弾のパイロシューター、バインドのルベライト。そしてトドメに受けた直射砲のブラストファイヤー。

「レイの技にも色々と特徴があると思います。それらを理解してうまく使えば技が少なくたって戦えますよ」










「とは言ってもなぁ………」

前日のシュテルのアドバイスを思い出しため息を吐く。
シュテルのアドバイスの事は俺も常々考えていた。だが、未だにこれと言った手応えが掴めていない。

「魔神剣がなぁ………」

最近新たに増えた技を思い出し、再びため息が出る。
覚えた当初は念願だった遠距離攻撃だと喜んでいたが、いざ使ってみるとガッカリした。

魔力の燃費も良く、抜刀時でも刀を抜いた状態でも放て、とても使い易い。
しかしその反面、威力は低く、斬撃は遅いため、遠くから放つと余裕を持って避けられる。

「スキルの特徴を理解して戦うか………」

信号が赤なのが見え、止まる。

(まあ今はやる事やって、それから考えるか………)

今、俺は1人で出掛けていた。目的は文房具で足りないものなどの買い物。求人雑誌。そして探索。

「海、見ておきたいしな………」

既に買い物と求人雑誌は確保し、ブラブラと探索してる。

まだ潮の香りはしないので海まではもう少し先のようだ。

「喉乾いたし少し休憩するか……っと良い所が!」

ちょうど近くに大きめの公園が見えた。砂では無く、緑が多いので散歩やピクニックに利用する人が多そうだ。

「入ってみるか………」

俺はそう呟きながら中に入るのだった………










「…………えっ?」

俺は目の前の光景に驚き固まっていた。
公園をのんびり進んでいると目の前にはメガネを掛けた見覚えのある少女。それはシュテルであった。今日はぽかぽか陽気でとても過ごしやすい天候なので外で読書でもと思ったのだろう。

その姿に驚いた訳ではない。



「にゃぁ〜!」



ベンチで座るシュテルの周りを囲むようにいる猫、猫、猫!!
シュテルの足にもくっつきながら座り、座ってるベンチの上、膝の上、背もたれから肩の上に伸びながら乗る猫。しまいには子猫が頭の上に乗って垂れている。なのにシュテルは気にせず本を読むのに没頭していた。

「にゃんこアーマー………」

全身猫に包まれたシュテルを見て、そう感じてしまった。

「レイ?」

視線を感じたのかシュテルが俺に気がついた。なお、猫達は動こうとしない。

「どうしたんですか?」
「それはこっちが聞きたい………」

俺の問いに不思議そうに首をかしげるシュテル。

「いや、その猫達だよ」
「ああ、この子達ですか。この子達は野良猫ですよ」
「野良!?」

どう見ても人に懐いている飼い猫にしか見えない。

「何故か私、猫に好かれやすくって、外で本を読んでいるとこうやって集まってくるんです」

と他人事の様に言う。本人は全く気にしていない様だ。

「レイはどうしたんですか?」
「あっ、ああ俺は買い物した帰りに周辺をぶらぶらしようと思って………」

そう話しているうちにシュテルの本に目がいった。
こう見えて、小学生の時は読書少年だったのだ。中学に入るにつれて、喧嘩ばかりになってしまったが、図書館等があれば無料で本が読める。
本屋でも良い。漫画はともかく小説なら長い時間楽しめる。

「なあシュテル。この街って図書館とか本屋ってあるか?」

そう聞きつつ、シュテルの隣に座る猫に近づいてみる。あまり動物と触れ合った事が無い為、緊張する。

「そうですね……この近くに市営図書館があって結構大きいですよ。後は前に行ったショッピングモールの中の本屋と………」

説明している中、俺の動きに気がついたシュテルが注目する。

俺は恐る恐る手を出し、撫でようと近づける。

「………」
「………」

後僅かという距離で猫と目が合った。

「フシャー!!!」
「痛っ!?ええっ………」

不意に怒られた驚きと、払われた際に猫にひっかかれた事で心の傷を負った。

「ウウウウウ……!!」

まるでシュテルとの時間を邪魔するなと言わんばかりに唸りながら威嚇する。

「俺も仲良くしたいだけなんだよ、モフリたいだけ…」
「シャー!!」

鋭い引っ掻きが俺の目の前に振るわれる。
どうしても俺は邪魔の様だ。

「ふふふ………」

そんな俺の反応が面白かったのかシュテルが小さく笑っていた。

パシャ!

「えっ?」

俺の行動は早かった。素早くポケットからスマホを取り出し、カメラでシュテルを取った。無駄に手ブレ防止機能付きなので写りも素晴らしい。

「か、貸してください!」

撮られた事に気がついたのか顔を赤くしながら俺もスマホを奪おうとする。

「やだ。折角綺麗に可愛く撮れたんだ。みんなにも見せてあげたいし」
「見せなくていいです!!」

顔を真っ赤にしたシュテルも中々見ないので、写真を撮りたいと思ったが、今取ったら猫を使ってでも力ずくで奪いに来るだろう。

「レイ!!」
「さあシュテル、案内よろしくな!!」

俺はスマホを無理矢理取ろうとするシュテルの手を取り、無理矢理引っ張っていった………








「………」
「………」

沈黙が怖い………。
俺の前を振り返らずに歩くシュテル。公園を出てからスマホを奪おうとはせず、手を離し、前を歩く。怒ってるのかも分からないが、話し掛けるなと背中が語っている様に感じた。

(この辺りはさっき通ったよな………)

シュテルは先程通った駅周辺の道を歩く。
結構街を回ったつもりだったが、図書館、もしくは本屋が駅周辺にあるのだろうか?

そう思ってるとシュテルは道の外れに入っていった。
狭くは無いが路地裏を歩く。

「にゃぁ〜」

猫に声を掛けられながらも相変わらず無言で前を歩くシュテル。

………これはシュテルの何かの意趣返しなのではないか?

なんて思ってるとシュテルの足がピタリと止まる。

「着きましたよ」

路地裏を出て、直ぐ右に。
正面に大通りが見えるビルの間にその店はあった。

「八神堂………?」

普通の本屋とは違い、古風的な雰囲気のある店であり、一目でここが古書店だと分かった。

「なるほどな………」

正直普通の本屋を案内していると思っていたので、これは予想外だった。本を読むのは嫌いではないが、古書となると自分の興味に惹かれる物があるがどうか微妙な所だ。

(もしかしてこれがシュテルの意趣返しか………?)

流石に案内されてこのまま別の場所へとはいかないし、仕方がないので入ってみる事にした。

「いらっしゃい~あれ?シュテルどうしたん?」

そう言いながら中から1人の少女が出てきた。栗色の髪で、年はシュテルより少し年下か。八神堂と名の入ったエプロンと三角巾を頭に付けており、掃除をしてたのか羽ほうきを持っていた。

「こんにちははやて。今日は店番ですか?」
「せや。ちょっと休憩も兼ねてとアインスに言われたんや。上はともかく下は大賑わいやからね。ところで………」

そう言いながら俺を品定めするようにジロジロと見てくる。

「こっちのお兄さんはシュテルの彼氏さん?」
「なっ、違います!!」

驚いた様子と共にシュテルが即否定する。

「俺はつい最近グランツ研究所に居候させてもらってる有栖零治って言うものだよ」
「ああ、博士から聞いとるで!何でも開発の初期メンバーの息子さんやろ?」
「ああ、そうらしい。俺も最近知ったんだけどな」
「へぇ~そうなんか………っと、私は八神はやて。このお店の店主です」
「へぇ、よろし………店主!?」
「そや!!」

と誇らしげに胸を張る。

「この街は未成年が働いても大丈夫なのか?」
「未成年ですけど、こう見えて大学を首席で卒業してます」
「はぁ!?」
「俗に言う天才児と言う部類です」

シュテルの説明に「そんなんやないんよ別に………」と否定するが、シュテルが言うのである以上事実なのだろう。

「それに別にもう1人いるし………本当は同じに見られたくないんやけど………」
「はやて?」
「そ、それでシュテルとお兄さんは何しに来たんや?ブレイブデュエルしに来たん?」

シュテルに声を掛けられ、誤魔化すように話を変えた。

「ブレイブデュエル出来るのか?」
「そうですよ~。こことグランツ研究所、そしてT&Hが最初ですから。今じゃ色んな場所に出来始めていますけど、まだまだここは大賑わいしてますよ!!」

と自信満々に言うが、店の中は人が誰も居ないと思えるほど静かだ。とてもグランツ研究所の様な大賑わいはしていない。

「レイ、せっかくだし見て行きますか?」
「そうだな………本当なら本を見に来たんだけどここまで聞いたら気になって来た」
「そうですか!!でしたら案内しますね!!」

そう言ってはやては中へと案内してくれた………











「………」
「流石に驚いてますね………」
「ふふふ。この反応を見れるだけでも作ってもらったかいがあったわ~」

本当に驚いた。言葉を失うとはこのことだ。
何も無い場所に立てと言われ、丁度店の真ん中辺りに立った俺達は、八神堂の店員である八神シャマルさんに操作してもらい、下へ降りた。

「さっき下って話してた理由がよく分かったよ………」

シャマルさんがレバーを下ろすと同時に柵が地面から伸び、下へと遊園地のアトラクションの様に降りて行く。
まるで秘密基地へと下っていく感覚とアトラクションの迫力と共に、着くと歓声に沸く、ブレイブデュエルの会場に着いた。

「楽しんでもらって良かったです。本当にグランツ博士には感謝せなあかんなぁ………」
「これ作ったの博士か!!!」

博士は一体何をしているのか………

「それよりもレイ、ほら………」

そう言ってシュテルの視線の先にはブレイブデュエルの画面。しかしそこに映っているのはいつもやっている戦闘は違っていた。

「ああ、あれはゲートクラッシャーズです。簡単に言えばどちらが先に強固な壁を破壊し尽せるかってゲームですよ」

とはやてが説明してくれた。確かに2人のプレイヤーがスキルを使って次々と壁を破壊していく。

「へぇ………だけど俺はやっぱりバトルする方がいいな」
「お兄さん結構自信あるん?………ってあっ!」
「無理して敬語使わなくて良いぞ。レヴィなんてかなりフレンドリ―だからな」
「それはレヴィだからかと………」
「ディアだって」
「王ですから」

………その理屈はよく分からない。

「あはは、じゃあ普通に喋らせてもうらうでお兄さん」
「ああ、それで良いよ」
「ありがとな。お兄さん!」

と笑顔でお礼を言うはやての頭を撫でる。

「ふぇ!?」
「いやぁ……本当に良い子だよ………レヴィと交換される気ない?」
「そうしますと王のストレスが溜まりそうです」
「ディアが?」

その言葉の意味は分からなかったが、頭を撫でられて惚けているはやての顔を見て気がついた事があった。

「ディアの妹………?」
「そや!!!」
「違います」

即答するはやてに即座に否定するシュテル。

「かなり………と言うよりはそっくりですが違います。王の前で言わないでくださいね。満更でもないと思うもですが、照れ隠しで怒るので」

………照れ隠しで怒るディアが見てみたいと思うので、いずれ試してみよう。

「私と王様は本当にそっくりやけど、シュテルやレヴィもなのはちゃんやフェイトちゃんに結構似てるで」
「フェイトって娘は確かレヴィにスキルカードを借りたって言ってた娘か。………んでなのはって娘は白い悪魔って呼ばれてるんだよな?」

「「白い悪魔?」」

驚いた事に2人は知り合いみたいだが知らないらしい。

「焔が教えてくれたんだけど、ステージを破壊し、攻撃をくらってもピンピンし、高火力で粉砕するとかなんとか………」
「それは………」
「あながち間違いじゃないですね………」

互いに顔を見合わせ苦笑いする2人。
どうやら噂は本当らしい。

「ま、まあそれは取り敢えず置いておいて………せっかく来たんやし、うちの自慢のプレイヤーと勝負していったらどうや?」
「勝負か………」

最近はディア達3人とばかり勝負してきたので願ったり叶ったりだ。

「ありがたい。シュテル達に揉まれてどれ位強くなったか確かめたかったんだ」
「ダークマテリアルの面々に指導されとるなんてここの皆が羨ましがるやろな。えっと………あっ、いたいた。お〜い、ヴィータ!!」

はやての声に反応し、1人の女の子が反応する。
はやての姿を確認するとぱぁっと笑顔になったが、こっちを見て、表情が変わった。

「何の用だよランキング1位……」

赤い髪を2つに三つ編みにした女の子がシュテルを睨みつける。年はユーリと同い年くらいか?それでもユーリと違い気が強そうだ。

「いえ、私は特に。用があるのはこっちのレイです」
「レイ……?」

そう言って俺睨みつける女の子。

「こら!初対面で人を睨めつけたら駄目やろ!」
「うっ、はやてでもぉ………」

と怒られたら直ぐにころっと変わった。怒ったり涙目になったり忙しい。

「このお兄さん、有栖零治さんって言うんやけど、最近ブレイブデュエルを始めたばっかで、暫くはダークマテリアルの面々と練習していたらしいんや。……それで今日は腕試しに来よったんよ」
「へぇ………」

そうはやてに聞くとヴィータは獲物を見つけた肉食獣のようにギラめく目で見てきた。

「面白そうじゃん!!私がどれ位やれるか見てやるよ!!」

そんな態度にはやては小さく溜め息を吐きヴィータに何か耳打ちをした。
その瞬間、ヴィータの顔が真っ青になり涙目になりながら「生意気言ってごめんなさい」と謝った。

………一体何を言ったのだろうか?









「今回は荒野か………」

リライズして入った世界は緑の少ない荒野だった。小さめの禿げた山々があり、隠れるのは無理でも障害物として使えそうだ

「準備はOKか?」

声がした方を振り向くと赤いゴジックドレスの様な格好でハンマーを持って仁王立ちしているヴィータがいた。

「私は鉄槌の騎士。戦闘方法は近中距離を得意としたフェンサータイプだ」
「自分の手の内を明かしていいのか?」
「初心者に対してのハンデだよ……」

そう言ってニヤリと笑う。どうやら相当自信がある様だ。

「焔……おい、焔………!!」

研究所にいるらしいが、近くにいなくとも、戦闘になればラグナルを経由していつも通りフォローする事が可能だと説明を受けている。

「何で返事来ないんだよ………おい焔!!」
『うるさい!!今再放送のドラマが良いところなの、後にして!!』
「ドラマ!?戦闘が始まるんだよ!!」
『後20分位したらそっち手伝うから!!』
「20分過ぎたらもうバトルなんて終わってるだろ!!おい!!」

と、叫ぶが、ブチッという音と共に焔の声が完全に聞こえなくなった。

「えっと………何がどうなってるのかよく分からないけど、デバイスのフォローが無いと勝てないとか言わないよな?」
「くっ………」

ヴィータの言うことはもっともだが、焔のフォロー無しで戦うのは初めてだ。

「………」
「覚悟は決まったみたいだな………」

俺は無言で抜刀出来るように構えるのを見てヴィータは嬉しそうにハンマーを構える。

「いっくぜー!!」

その後、ヴィータが急加速して迫ってくるのだった………










「防戦一方やね」
「…………」

はやては呟いた後、特に言葉が返ってこなかったので、シュテルを見てみたが、静かに映像を見ていた。

「何か怒っとる………?」
「別に………」

一般の人が見れば変化らしい変化は無かったが、それなりに付き合いのあるはやてにはその変化が分かった。

「ただ動きがいつもと違うと思ったので…」
「そうなん?」
「……一体何をしているんでしょうね………」

と再び画面に集中するシュテル。

(やっぱ怒っとるなぁ………)

そう感じながら、数日前、グランツ博士との会話を思い出した………











『ハイブリッド?』
『そう。まさか今になって雅也が開発していたホルダーが出てくるとは思わなかったよ!』

零治が来て数日経った後である。研究後の徹夜のテンションを抜いてもその日のグランツ博士はいつも以上にテンションが高かった。

『確か開発の初期メンバーの1人ですよね?』
『そう。担当してたのはカード全般。今あるのは事故で亡くなった後に残されていた僅かなデータを元に作った物なんだ』
『なるほど……それでハイブリッドとは?』
『零治君と言うんだけど、彼が持つ雅也の作ったカードの戦闘スタイルさ。楽しみにしててくれ、まだ使えないだろうが、いずれ驚くことになると思うよ!!』








「さて、何を見せてくれるんかお兄さん………?」

そう呟きながらはやて興味深々な顔で画面に集中するのだった………
 
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