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がっこうぐらし!The world in confusion

作者:ウィング
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chapter39

魔力全開の身体魔法で5分もしないうちに祠堂家の敷地内にたどり着いた。

アークの報告通り正面門は破壊されて既に敷地内に奴等が入り込み敷地の地面には赤く染まった箇所がちらほら…既に犠牲が出ていることを物語っていた。

「このやろう!」

取りあえず、周囲の敵を一掃するのが先決だ俺は近くの奴等を4体ほど倒して引き付けるように大声を出した。

「かかってきやがれぇ!!!!」

精一杯の大声で叫ぶと奴等は俺に向かって一直線に迫ってきて目標を俺に変えることに成功する。

こんな密集地では斬撃やファイアは飛ばせないだから一人ずつ近接戦で叩いていく。

「くっ!」

動きが鈍い、まだダメージは抜けきれていないか

だが今は一瞬のミスも許されない状況、瞬時に判断し対処していくしかない。

「っ!?」

四方八方の敵の群れを近づくものを斬り倒していると館の方角に大勢の人の集まりがあることに気づく。

だがその集まりはいっこうに減らない…

普通なら中にはいって減るはずなのだが…

「何かあったのか!?」

直ぐに行きたいところだがこの数を引き連れていくわけにはいかない。

「これなら!まばゆき光彩を刃となして 地を引き裂かん! サンダー!」

サンダーを広範囲に放ち30体以上の奴等を感電させて倒す、広範囲にすればするほど威力が弱まるのはこれを見てわかることだが、奴等にとってはこれでも一撃で倒すことが可能であった。

「サンダー!サンダー!サンダァァー!」

それを無詠唱で連発さらに威力が落ちるが一通りの奴等を倒すことに成功し第二陣がくる前に館の前にたどり着いた。

「開けてくれ!頼む!」

「何で開けてくれないんだよ!」

たどり着くと扉を叩いて開かれることを懇願する避難民の行列。

「まさか、開いてないのか!?」

なぜ開いていないと疑問に思うがこの扉は内側でしか開けられないようで、外がは鍵があれば開けられるがピッキングをするにしても人が密集していてすることができない。

俺が内側から開けるしかないか!

そう思い近くの窓を破って中に侵入し直ぐにエントランスの玄関の扉の鍵を開けて扉を開ける。

「落ち着いて!入ってくれ!」

そう外の人たちに聞こえるように促すが聞こえるはずもなくどんどんと我先に中にはいってくる。

俺も飲み込まれそうになったがなんとか2階に上がり圭が心配になり圭の部屋に向かう。

「どうして、気配が感じられない」

近くの部屋などから人の気配がなく何故と思っていると奥から銃声が2発ほど鳴り響く。

「っ!?何かあったの!?」

俺は進むスピードを早めて銃声がした部屋に急いだ。

SIDE圭

「はぁ…どうすればいいのかな…」

既に日が沈んで夜になり私は部屋のベッドに寝転がり今後のことで悩む。

お父さんに勝手な行動を禁止された。

勝手なことをして困るか、心配だからと色々と理由もあると思うが恐らく前者が理由であろう。

勝手なことをして家に泥を塗りたくないそういった意味合いがあった。

正直、そんなこと今の状況ではどうでもいいことなのに…大人ってそういうことも固執しているのだろうか

私は家族のことで悩んでいると外が何やら騒がしいことに気づく。

「?なにかあったのかな?」

遠いところで貸すかに聞こえるのは叫び声と…悲鳴!?

私はただ事でないとふんで部屋を出て二階の窓から外を覗くと正面の門が破壊されて無数の奴等が敷地内へと侵入してくる光景を目にした。

「あんなに大勢…」

正面からくる奴等の多さに圧巻とするが私は何とかしなければと部屋に置いてあるドラグノフを取りに部屋を入ろうとしたときだった。

「お待ちくださいお嬢様」

とっさに私を止めたのはここのメイドをしている女性だ。

「あの、私は急いでいるんです、話なら後で」

「源司様がお嬢様をお呼びになっております、源司様のお部屋にお連れするようにと申し使っております」

「お父さんが?」

こんな緊急時に呼び出すなんていったいなんのつもり!?

「わかりました」

どうせ、拒否してでも無理矢理だろうから今は従うしかない…外のことは今は先輩に任せるしかない。

そうして、メイドに連れてこられて来たのはお父さんの部屋だ。

「旦那様、お嬢様をお連れしました」

「入れ」

「失礼いたします」

そういってメイドが先頭に中にはいると部屋の中にはお父さんと同じく呼び出されたと思うお母さんがいた。

「お前は下がれ」

「かしこまりました」

そういって連れてきたメイドは部屋を退室しこの部屋には私達家族しかいなくなった。

「お父さん、なんのつもり?外は大変な時に部屋に集めるなんて」

一刻を争うことなのだ、少し私は機嫌が悪い中お父さんに話の内容を聞く。

「まさか、外に出て助けにいくなんて考えてるのか?圭」

「そうだけど、なにか悪いですか?」

どこも悪いところなどないはずだけど

「勝手なことをするなといったはずだ!」

そういってお父さんは私の頬叩く。

「っ!」

「いいか、外の人が死んだところで俺達にはな、関係ないことなんだよ!」

そう、気にくわない私をそう暴言した。

「いいか、俺達はな緊急用の脱出道から外に出るんだ…この家にいたほとんどがその道を通ってる…」

「外にいる人たちはどうするんですか!?」

今度はお母さんがそう話す、けどお父さんは気にくわない顔でお母さんを殴り床に倒れさせた。

「お母さん!?」

「だから!俺達には関係ないっていってんだろ!」

そのままお父さんは怒り任せでお母さんのお腹を蹴る

「かはぁ!?」

「そうやって他人の心配してよ、俺だけを心配してればそれでいいんだよ!」

もう一発お父さんはお母さんを蹴った。

「もうやめて!」

「お前は黙って俺の言うこと聞いてればいいんだよ!」

「きゃっ!」

流石に私も止めようと割ってはいろうとしたがお父さんに突き飛ばされお母さんの前で尻餅をつく。

「気に食わねえから殺しても問題ねえよな…今はこんな状況だか罪には問われねえしな」

殺す?お母さんを?

それじゃあお母さんを逃がさなきゃ…駄目だ、完全に怯えていて動ける様子じゃない。

ここにいるのは二人を除いたら私しかいない…私が…私が…お母さんを守る!

私は雄也先輩の忠告で携帯していたベレッタを手に持ち、銃口をお父さんに向けてセーフティを解除した。

「うわあぁぁぁぁっ!!!!」

私は絶叫と共にそのトリガーを2回弾き、ベレッタから放たれた2発の弾丸はお父さんの胸に当たった。

「はぁ…はぁ…わ、わたし…」

整わない息で私は目の前の光景をみる。

胸に銃弾を受けて仰向けで倒れたお父さん…血がこぼれ落ちて床を濡らしていく。

撃ってしまった…衝動的に…実の父を…私がぁ!

「大丈夫か!?圭!!」

すると部屋の扉から勢いよく雄也先輩が入ってくる、恐らく銃声を聞いて急いで来たんだろう、手にはルミナスアークを持って警戒しているのに気づける。

「っ!これは!?」

お父さんの亡骸をみて事の次第を理解した雄也先輩は私に顔を向けた。

「私…お父さんを…殺しちゃった…!」

苦しい…ものすごく胸が苦しい…撃ってしまった罪悪感をやってしまった今になって実感した。

「お母さんが…お父さんに…殺されそうになって…私…お母さんを守ろうと…!」

罪を懺悔する私に雄也先輩はそっと抱き締める

「もういい、言わなくて」

雄也先輩の胸に頭を押し付け優しく接してくれる。

「必死にお母さんを守ろうとしたんだろう?凄いよ、圭は…だから自分を…罪悪感で飲み込まれないでくれ」

そう雄也先輩は私に言い聞かせる、この言葉はやっぱり管理局にいた時のことを思い浮かべているのだろうか。

(「もう逃げない!自分の罪から戦いから!」)

あのとき先輩がいった決意…今になって私も実感できた、罪を受け入れるって…こんなにも簡単に言えるけど…実際は難しいんだと。

先程までの取り乱していたはずのに今は雄也先輩がいるからなのか心を落ち着いている。

ドクンドクンドクンドクン

ただ胸の鼓動が高鳴っていることを除けば普通だ…どうしてこんなに胸が高鳴るの


「奴等がはいってきたぞ!!!!」

部屋の外から男性の大声が聞こえてくる、私の家に奴等が入り込んできたのがその声でわかった。

「雄也先輩!」

「圭、俺がここに来る前、中にいた人たちが見当たらなかったんだが…」

「それは…緊急用の脱出道で…みんな」

「…そうか…わかった、圭は落ち着いたら避難民の誘導を頼む…敵の足止めは俺がする…」

「わ、私も!」

多分、私の心情も察して戦うことはできないと思ったのだろうけど私は雄也先輩が心配で共に戦おうと口にする。

「今回は避難民が一杯いる、その人たちの避難誘導も大事なことなんだ…」

「…うん」

「それじゃあ頼むぞ!」

そういって雄也先輩は抱き締めていた腕を解いて立ち上がると優しい表情から真剣な表情に替わり部屋を出てエントランスの方向へと走り去っていく。

「雄也先輩…」

今は雄也先輩の無事を祈るしかなかった。

 
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