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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第44話 エリアXー2

 
前書き
ネオ・アルカディア本部に侵入 

 
コピーエックスとバイルがいるネオ・アルカディア本部であるエリアXー2に転送されたゼロとルイン。

「エックスの送ってくれた座標データのおかげで安全な場所に転送出来たね」

これからコピーエックスやオメガとの戦いが待ち受けているため、出来るだけ消耗は避けたい。

「ああ、だが気を抜くな。行くぞルイン」

ゼロがZセイバーを抜き、ルインもZXセイバーを抜いて一直線に進んでいく。

立ち塞がるパンテオンとメカニロイドを斬り捨て、上下に動く足場に気をつけながら飛び移り、センサーに引っかからないように先を進むと、奥で道が分かれていた。

「ゼロ、私は右に向かうから、ゼロは左をお願い」

「分かった。何かあったらすぐに通信を寄越せ。」

それだけ言うと、二人は別々の道を駆けた。

「かなりの数の敵だね。おまけに所々にあるセンサーが非常に厄介」

流石はネオ・アルカディアの現統治者であるコピーエックスのいる場所であり、それに相応しい防衛網がある。

「まあ、ステルス性能の高いPXアーマーがあるからセンサーに引っかかることはないけど…」

センサーはPXアーマーのシャドウダッシュなどで回避出来る。

しかし、パンテオンやメカニロイドからの攻撃は凄まじく、咄嗟にPXアーマーの能力であるバリアを展開した程だ。

「危ないな…シャドウダッシュでも回避しきれそうにないねこれ…ならPXアーマーのスピードを見せてあげるよ!!」

一気にジャンプして天井に張り付くと、下にいるパンテオン達に向けてクナイの雨を降らすとクナイがパンテオン達に当たり、次々に爆散していく。

バスターを装備したパンテオンが天井にいるルインにショットを放つが、天井に張り付いた状態でダッシュすることでショットをかわし、左腕に鈎爪を発現させた。

「ハンギングウェッジ!!」

本来これは、鈎爪を壁に引っ掛けたりしてぶら下がるなどに使用するが、武器として使えない訳ではない。

寧ろPXアーマーにとって貴重な近接武器代わりであり、鋭利な鈎爪でパンテオンを斬り裂き、右腕にエネルギーチャージすると、手裏剣を発現させた。

「喰らえ、十字手裏剣!!」

勢い良く手裏剣が投擲され、かなりの数のパンテオンとメカニロイドが薙ぎ倒されていく。

バックステップで距離を取ると、クナイを連続で投擲することでパンテオンとメカニロイドが少しずつ数を減らしていく。

「一気に決める!!」

PXアーマーからHXアーマーに換装して、チャージを終えたダブルセイバーを構えた。

「ダブルプラズマサイクロン!!」

二つの巨大な電磁竜巻が繰り出され、周囲のパンテオンやメカニロイド達は電磁竜巻の吸引力で次々と巻き込まれていく。

電磁竜巻が消えると、パンテオンやメカニロイドの残骸が散乱する。

「ふう…この辺りには…もう敵はいないね…」

周囲を見渡し、周りに敵がいないことを確認したルインが先に進もうとしたら。

「相変わらず見事な戦いぶりだねルイン。」

「え?」

いきなり聞こえてきた声に目を見開きながら背後を見遣ると、蒼い球体のサイバーエルフ…次の瞬間に人型になり、こちらに笑みを浮かべてきた。

「エックス、どうしたの?どうしてこんな場所に?」

「君達の手伝いに来たんだ。この先にあるコンピュータルームに行って、敵が君達を追い掛けられないように。」

力が殆ど残っていなくても、それくらいなら出来るので、ネオ・アルカディア本部のコンピュータルームに向かおうとしていたのだが、まさかルインがいるとは思わなかった。

「エックス、私も手伝うよ。コピーエックスはゼロに任せて」

「え?いいのかい?」

「うん、だってゼロは一回コピーエックスと戦って勝ってるんでしょ?一回戦って勝った相手に負けるほど、ゼロは弱くないから…だって私はいつだってゼロのこと信じてるからね。エックスもそうでしょ?」

ゼロを信じているからルインはエックスを手伝うことにした。

エックスのしようとしていることが、結果的にゼロの役にたつことが分かっていたからだ。

「そうだね、ありがとう…こっちだ。ついて来て」

「うん」

エックスについて行き、ネオ・アルカディア本部のコンピュータルームに入ったルイン。

当然そこにもパンテオンなどの守りがいたが、ルインにはどうにでも出来る。

基本形態のZXアーマーに換装して、セイバーでパンテオンを斬り捨てた。

「…ごめんね」

残骸となったパンテオンに謝罪をしながら、エックスは端末の方に向かう。

「エックス、これで分かるの?」

「うん、ここで本部の内部の全貌を知ることが出来る。まずはゼロにエリアX-2の玉座の間までの最短ルートを教えないと」

「分かった。通信と同時にゼロにコピーエックスのいるエリアX-2の玉座の間までの最短ルートを送るよ」

「頼むよ。僕はゼロの所に追手が来ないように隔壁を降ろす。」

「お願い」

エックスがサイバー空間へ向かう時の要領でコンピュータの中に侵入した。

モニターにネオ・アルカディア本部の全貌が表示され、ルインはメモリにインプットし、玉座の間までの最短ルートを割り出し、ゼロに通信と同時にデータを送る。

「む?」

突如、メモリに送られてきたデータにゼロは動きを止めた。

それと同時にルインから通信が来た。

『ゼロ、聞こえる?今、ゼロにエリアX-2の玉座の間までの最短ルートを送ったよ。届いているよね?』

「ああ、確かに届いた。ルイン、お前は今、どこにいる?」

『私?ネオ・アルカディア本部のコンピュータルームでエックスと一緒にいるよ。偶然ここに来ていたエックスと会ってね。私はこれから追手が来ないようにエックスと一緒に隔壁の操作をするから』

「了解、ならばサポートは任せた。コピーエックスは俺が倒す」

『お願いね』

ルインから送られてきた玉座の間までの最短ルートを駆け抜けていくゼロ。

エックスの指示を受けながらルインは端末を操作し、本部の所々にある隔壁を降ろしていく。

「よし、これでもう大丈夫だよ。ルイン、お疲れ様」

「うん、エックスの指示が良かったからすぐに終わったよ。今からコピーエックスの所に…」

「…ルイン!!」

「え!?」

咄嗟にエックスがルインの体を引き寄せ、後ろにジャンプすると、こちらに向かって放たれた巨大な光弾二発をかわした。

「この攻撃は…」

「ま、まさか……」

二人が冷や汗を流しながら光弾が放たれた方向を向くと、そこには巨大なエナジーソードを構えたオメガがいた。

「これは…少し予想外だったなあ…。」

苦笑を浮かべながらZXバスターを構えるルイン。

計り知れない力を持つオメガに接近戦を挑むのは自殺行為だと思ったからだ。

オメガが再び光弾を放ち、ルインはそれをダッシュでかわし、オメガの胴体にチャージショットを放った。

一方その頃、ゼロはまるで一年前の再現のようにコピーエックスと対峙していた。

「来たネ…ゼロ。ルインがこコにいないのは残念だケど、君は自分が何をシていルか分かってイるのかい?テロリストの味方だよ…?伝説の英雄が悪の軍団の手助けをしていルんだヨ?」

「俺達が悪の軍団で…お前達は正義の味方…ということか……。」

一年前と全く変わらない…いや、それどころか悪化しているようなコピーエックスの態度に対しての冷ややかなゼロの言葉にコピーエックスは得意気な笑みを浮かべた。

「その通り、僕達は人間達の圧倒的な支持を受けている……。テロリストを倒すことは、彼ら人間…みんなの夢なんだよ」

「飼い慣らされた人間達が望む正義に……一体何の価値があるって言うんだ。」

シエルの姿を見守ってきたからこそ、偽りの平和を享受し続ける人間が望む正義に価値があるとは到底思えないゼロ。

「価値なんてどうでもイいんダよ…ネオ…アルカディアのやっテいることは正しい…。その正義の証明になればそれでいイのさ!!」

コピーエックスが両腕を交差させ、一気に広げると凄まじいエネルギーが解放された。

白を基調とした天使を思わせるコピーエックスの強化アーマー、アルテミットアーマーを装着して腕をXバスターへと変形させる。

「また天使気取りの強化アーマーか」

「僕は全知全能の存在、このアルテミットアーマーもこの僕に相応しいように造られた物。このアルテミットアーマーも前とはひと味もふた味も違う…試してみるかい?」

「強化アーマーの力に頼る時点でお前はオリジナルのエックスを超えることは出来ない。本当の強さはそんなものじゃない」

“僕はアーマーの力で強くなったんじゃない!僕が強くなれたからアーマーを授かったんだ!強さは…僕の中にあるんだ!!”

いつの頃のものかは分からないが、微かに蘇った記憶の中では強化アーマーなど無くても戦ったエックスの姿が脳裏を過ぎった。

しかしそんなことなど知る由もないコピーエックスはチャージを終えたバスターをゼロに向けた。

「そウ…なら確かめてミレばいい!!」

ゼロもチャージを終えたバスターショットを構えてコピーエックスと同時にチャージショットを放ち、戦いが始まった。

チャージショットの威力はほぼ互角。

「はあっ!!」

「くっ!!」

ダッシュで距離を詰めてチャージセイバーが繰り出されたが、コピーエックスは咄嗟にバックステップでかわす。

「喰らエ!ファイアーショット!!」

即座に属性を切り替え、バスターから火炎を放つ。

「俺に一度見た攻撃は通じん、サウザンドスラッシュ!!」

火炎をかわし、リコイルロッドによる連撃を浴びせる。

「ぐっ!なら、これなラどうだ!ノヴァストライク!!」

コピーエックスは前方にエネルギーの膜を展開しながらゼロに突進してきた。

速度は以前よりも速いが、対応出来ないほどではない。

ゼロはロッドのエネルギーチャージをしながら壁を蹴り登り、コピーエックス目掛けて真上を取るように勢い良くジャンプした。

「墜ちろ!!」

「がはっ!?」

そしてコピーエックスの背にロッドのチャージ攻撃を叩き込むと、背を襲う衝撃によってコピーエックスは勢い良く床に激突した。

「やはり弱いな、どれだけパワーアップしても中身が伴わなければオリジナルのエックスには遠く及ばん」

「黙レ!アイスショット!!」

激昂しながらコピーエックスは氷属性に切り替え、ゼロに極低温の氷弾を放つ。

それをかわし、ゼロは壁に着弾して分裂した氷の破片に気をつけながら、ダッシュで距離を詰めると、セイバーによる三連撃を浴びせる。

「ウわあっ!!」

「光幻刃!!」

セイバーの直撃を受けて悲鳴を上げるコピーエックスにゼロは追撃でソニックブームを放ち、コピーエックスの体に深い裂傷を刻ませる。

「く、くソっ!!レイジングエクスチャージ!!」

「チッ…」

立ち昇る光の柱に触れたらダメージを受けるために、ゼロは一旦コピーエックスから離れる。

「喰ラえ、エレキショット!!」

体力を回復し、電気属性に切り替えて電撃弾を連射するコピーエックスだが、ゼロは距離を取りながらバスターを構えてショットを連射する。

「お前の戦い方は既に分かっている。その対処法もな」

「ダったら、こレでドうだ!リフレクトレーザー!!」

無属性に切り替えてバスターのチャージを終えたコピーエックスの体が一際光った瞬間、バスターから巨大なチャージショットが放たれた。

かつての戦いの時の無属性のチャージショットと違う攻撃に顔を顰めたが、ゼロはそれをかわす。

それを見たコピーエックスは笑みを浮かべた。

「……?…何!?」

咄嗟に体を捻ったことで、右肩に掠っただけで済んだが、コピーエックスのチャージショットが反射したのだ。

コピーエックスはようやくゼロにダメージを与えられたと、笑みを浮かべた。

「さ、流石ノ君も、反射の軌道は読めナいだロう!これで終わりだ!リフレクトレーザー!!」

「舐めるな、この程度の技、今までの戦いで嫌という程に見てきた。もう当たらんぞ」

実際に今までの戦いで反射を利用して攻撃してくる敵はいたので、コピーエックスのリフレクトレーザーを危なげなくかわしながらゼロはコピーエックスにセイバーを振るった。

そして一方で、オメガと対峙していたルインは何発もチャージショットを喰らわせても全く堪えないオメガに表情を険しくしていた。

「はあっ…はあっ…何なのこいつは…本当の化け物?」

距離を取りながら戦っているためにオメガの攻撃をかわすことは容易ではあったが、どんなに攻撃を浴びせてもエネルギー反応が衰えるどころか全く揺るがないオメガ。

ルインは一瞬気弱になりかけたが、気を持ち直して再びバスターのエネルギーチャージを開始した。

「グ…オオオオ!!」

ソードを持った右腕が分離し、そのままルインに向かって来る。

「(速い!!)」

速いが、避けられない程ではない。

ルインはダッシュでそれを回避して再びチャージショットを叩き込んだのだが、オメガの頑強なボディには傷一つ付かない。

「(これだけ攻撃を当ててるのにノーダメージなんて…あのアーマー…どれだけ強化されてるの…?アルマージの特殊合金のアーマーとかが生温く思えてくるよ…)」

宇宙船で戦った時よりも自身はかなりパワーアップしているはずだが、それでもダークエルフを取り込んだオメガには通用しない。

まるで昔に戦ったアルマージのことを思い出させるが、あちらはまだ何らかのリアクションがあったのでまだマシな方だ。

「ルイン…っ!!」

「エックスは来ないで!サイバーエルフの状態で攻撃を受けたらただじゃすまないよ!!」

「っ…」

思わず加勢しようとしたエックスだが、ボディを失ってサイバーエルフとなったエックスが戦うなど危険すぎる。

並みの戦闘型のサイバーエルフよりは強いが、ボディを持っていた時に比べれば今のエックスは脆すぎる。

バスターでは埒があかないと判断し、セイバーに切り替えるルイン。

「(バスターじゃ、あのアーマーにダメージを与えられない…一か八かだ!奥の手を使って叩き斬ってやる!!)」

セイバーを握り締め、これを使うことを決意する。

「オーバードライブ!!」

初めて使用するZXアーマーでのオーバードライブ。

オーバードライブは一時的にアーマーの出力を上げ、攻撃力と性能を上昇させることが出来る。

ZXアーマーで出来るかは分からなかったが、どうやら上手くいったようだ。

「(問題は…今の私のエネルギーでどれだけオーバードライブが保てるかどうか…)」

オメガが両腕を分離させ、リング状のビームを放ってきたが、ルインはダッシュとジャンプでそれを回避しながらオメガの胴体に回転斬りを喰らわせた。

「グ…オオオオ…!!」

オメガが怯んだ。

それを見たルインはバスターに切り替えてチャージショットを放ち、まともに喰らったオメガが大きく後退した。

「こいつでとどめだ!!」

渾身のチャージセイバーを叩き込み、オメガの胴体に深い裂傷を刻んだ。

ダメージを受けすぎたためか、オメガの両腕が落下した。

「勝負あったね。」

もうオーバードライブ無しでも大丈夫だろうとオーバードライブを解除した。

「いや、ルイン。まだだ…」

「え?」

「オメガはまだ…本気を出してはいない…!!」

「!?」

その言葉が信じられず、ルインはオメガを見遣る。

すると、どういうわけかは分からないが、オメガのエネルギー反応がどんどん高まっていく。

「そ、そんな…ま、まだ上がっていく…」

「チカラヲ…モットチカラヲ…!!」

「ま、まずい…」

ここでダークエルフの力を解放されたら自分達は一巻の終わりだ。

エックスがせめてルインだけでも守ろうと、残る力を振り絞って障壁を張ろうとして前に出た時であった。

「クーックックック…オメガ…もうそれくらいにしておけ。退屈なのは分かるが、ダークエルフの力を解き放つにはまだ時期尚早というものだ」

「Dr.バイル…」

オメガの隣に現れたバイルを睨み据えるエックス。

バイルも嘲笑を浮かべながらエックスを見据えた。

「クーックック…久しぶりだなエックス…随分と弱っているようだな…。ボディを破壊され、戻るべき体を失い、そのまま消えていくだけのお前など最早恐るるに足りん」

「ぐっ…」

「行くぞオメガ。わしらにはやるべきことがある……。心配するな、時期が来れば思う存分暴れさせてやる…。今は退け」

「グオオ…バイル…サマ…」

エネルギーの上昇が止まり、バイルとオメガは転送の光に包まれ、この場を去った。

「………」

「大丈夫かい?ルイン……」

「う、うん…正直ショックだな…私…かなりパワーアップしたと思ったけど…」

「そう…残念だけど、今のゼロとルインではダークエルフの力を得た今のオメガには敵わない。今はオメガとの戦いを避けて、少しでも力を蓄えるんだ」

「うん…」

悔しいが、あの時のオメガは自分の力を大きく超えていた。

今の自分では逆立ちしても敵わない。

「ルイン…ゼロの所に…玉座の間に向かおう」

「うん」

二人はゼロとコピーエックスのいるエリアX-2の玉座の間に向かうのだった。

一方、場所は玉座の間に戻り、セイバーを構えながらコピーエックスを見下ろすゼロと、全身から火花を出しながら膝をついているコピーエックスの姿があった。

「くソっ…何故だ…!僕は…僕は正義の英雄なんダぞ…!!」

コピーエックスは信じられないと言いたげな目でゼロを見た。

あの時とは比べ物にならないほどの力を手に入れた。

今度こそ自分が勝ち、本物の英雄に、オリジナルエックス以上になれるはずだったのにゼロに完膚無きまでに叩きのめされた。

ゼロにはラーニングシステムが搭載されており、最初のコピーエックスとの戦いもインプットされている。

コピーエックスの戦闘時の癖など、完璧に把握していた。

いくらパワーアップしようと、相手の戦い方さえ把握していれば恐るるに足りない。

「バイル!Dr.バイル!オメガを…オメガを出セ!!コイツを捻り潰セーッ!!」

追い詰められたコピーエックスはヒステリックに叫んだが、バイルはコピーエックスの声に応えなかった。

「彼はもう…ここにはいないよ」

「オメガを連れて…ここから出て行ったからね」

玉座の間に現れたのはエックスとルインであった。

コピーエックスはエックスを見ると目を見開いた。

「な…何だ、お前ハ!?」

「エックス…!!」

ゼロがそう言うのを聞いて、コピーエックスは目を見開く。

「…エックスだと…!?お前が…僕の基にナったオリジナルのエックス…!?」

「バイルは…この本部を捨て、別の所に移ったよ。オメガを連れてね……。君はバイルに利用されていただけなんだよ…」

「ねえ、何であんな奴なんか信じたの?君に仕えてくれていたハルピュイア達を切り捨ててまで………利用されるだけされて捨てられて…本当に可哀想な子…」

エックスとルインの憐れみの言葉にコピーエックスの表情が激しい怒りと憎悪に歪んだ。

「ギ…ギギッ…どいツも…こイつも…僕を馬鹿にしやがッテ…!!」

コピーエックスの怒りの凄まじさを表すかのように、その声に酷いノイズが混じる。

「許サナイ…許サないぞ…!僕の…本当の力を…見せテやル…!!」

コピーエックスはふわっと宙に浮かび上がり、両腕を自分の前に翳して力を集中させ始めた。

一年前のゼロとの最終決戦に見せたシャイニングトランスフォームを発動しようとしているのだ。

「ハああああああアあっ!!」

コピーエックスの全身が白く光り始め、更なる戦闘形態であるエンジェルエックスへと姿を変えようとした途端、エックスが叫んだ。

「いけない!バイルは君の体に罠を!!」

コピーエックスが自分の体の異変に気づいたのはその時だった。

「ギ…ガガ…!?カ…体が…痺れ…グガガッ…アアアアアアーーーッ!!!」

コピーエックスの全身から様々な色の膨大なエネルギーが溢れ出し、今までと桁違いの力がコピーエックスを中心として辺りに充満する。

だが、それは今の傷ついたコピーエックスの体には耐え切れないほどの膨大な力であり、断末魔の叫び声を上げながらコピーエックスは爆散した。

ゼロはエックスとルインを庇うようにして床に伏せた。

エックスの代わりとして生み出され、無実のレプリロイドを弾圧、一度は倒され、そして最後にはバイルの都合のいい傀儡となり、自爆同然の死を迎えたコピーエックスの哀れな最期だった。 
 

 
後書き
コピーエックスって戦闘経験皆無なんじゃないですかね?
だって統治者だから滅多なことでは前線には出ないだろうし、過保護な四天王がいるから出る必要もないだろうし。 
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