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キズナ

作者:shoogel
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出会い

 
前書き
キズナ第4話です! 

 
「ふわぁぁぁああ……、もう朝か…」

俺は完全に覚醒していない状態で時計を見ると6時間10分だった。

少し早いが俺は用意してあった朝食を食べて
学校の準備をして家を出た。

「6時40分か…、ゆっくり行っても7時には着くな…」

俺は朝の少し冷えた風を自転車で切りながら
20分掛けて学校に到着した。


「現社…復習しておくかなぁ」

俺は駐輪場に自転車を停めて、教室に向かうと
2ー1の隣の教室の明かりが点いていた。

「ん?2組の奴もう来てんのか?早いな…」

俺が教室に鞄を下ろし、隣の2組を覗いてみると
そこには見覚えのある女性の姿があった。

茶色のショートカットの髪…。
あの女性は昨日一緒に戦った彼女なのか…?

俺は半信半疑の状態で女性に話しかける。

「カレン…?」

「えっ…?」

彼女は俺の方にゆっくりと顔を向けると
驚いたように声を上げる。

「サクマさん…?サクマさん!」

彼女は俺のところに小走りで駆けてきて話す。

「サクマさん!うん!私だよカレンだよ!」

「やっぱりカレンだったか!朝早くから明かりが点いていたから覗いてみたんだよ」

「サクマさん、朝早いんだね!私も早起きして今来た所なんだよ!」

俺はカレンを見つつ、口を開く。

「なあ、カレンの本名は?俺の本名は如月 蓮司だ」

「蓮司くんだね!私の名前は橘 恋華です!」

恋華だからプレイヤーネームがカレンか…。なるほどな…。

「それにしてもサクマさん…蓮司くんが同じ学校だなんてね!何かの縁かなぁ?」

「まぁ、偶然にしちゃあ出来過ぎだな…」

恋華は自分のスマホを取り出すと、自分のメアドを見せる。

「良かったらメアド交換しよ?せっかく知り合えたんだもん!」

「ああ、そうだな」

俺たちはメアドを交換し合うと、俺のお願いで一緒に勉強をすることにした。


「すまないな、勉強手伝わせて…」

「ううん!私も復習になるから大丈夫だよ!」

俺は隣で勉強を教えてくれる恋華に話す。

「恋華は今日もキズナにログインするか?」

「蓮司くんがログインするなら私もログインしようかなぁ。私も蓮司くんみたいに強くならないと!」

「俺は強くないよ。この前だって本当にギリギリだったし…」

「ううん、私にとっては蓮司くんは強いよ…!助けに来てくれた時、本当に嬉しかったから…」

俺たちは時折キズナの話をしながら勉強をしていると、外が少し騒がしくなっていた。

「もう皆、登校して来ているな…。俺もそろそろ自分の教室に戻らねぇと…」

「あ、もうそんな時間なんだ…。あっという間だったね。お互いにテスト頑張ろうね!」

「ああ!サンキューな恋華!!」

俺はその後、自分の教室に戻り復習をしていると
チャイムギリギリで遊が教室に飛び込んできた。

「はぁ…はぁ…。ふぅ〜、間に合ったぁ〜」

「珍しいな遊がギリギリなんて…」

「こっちの台詞だよ…。いつも遅刻ギリギリの蓮司がこんなに早いのさ…。蓮司の家に行ったらもう居ないんだもん!」

「あー。なんか早く目が覚めてさ、学校で勉強してたんだ」

「えっ!?蓮司が1人で勉強してたの!?」

「いや、恋華と一緒に勉強してた」

「れ、恋華って誰!?ま、まさか彼女!?」

「阿呆。恋華ってのは、昨日キズナで会ったカレンの事だよ」

「か、カレンさん!?あっそうか!隣のクラスだったね…って、恋華ァァッ!?」

「い、いちいち朝からうるさいなぁ!」

「恋華って呼び捨てでカレンさんのことを……。しかも朝から2人で勉強してたなんて……」

「お、おい…遊」

遊はふらふらと自分の机に向かい、椅子に座ると机に顔を伏せ何やら呟く。

「……どうして蓮司だけ…なんで僕に春は訪れないの……ぶつぶつ……」

そんな遊を見ていたクラスメイトも口を開く。

「出た出た遊の根暗モード…、最近じゃ1ヶ月に一回は見るようになったなぁ…」

「あ、遊くん今日は根暗日?また何かあったの?」

最終的には根暗日と一言でまとめられるようになっていたのである。

「お前ら、席に着け〜」

すると、うちの担任の先生、ゴンちゃんこと、山下 五右衛門 先生が
ガラガラと扉を開け話す。

「出席とるぞ〜」

俺らは朝のHRが終わるとすぐにテストの席に変えられる。

1時間目に現社、2時間目に現文が行われ
俺はある程度の手応えを感じつつ今日のテストを終えた。


残りの3、4時間目の授業が終わった俺が売店に向かうと
俺のスマホに一件のメールが来た。

「ん…?あ、恋華から…?」

俺がメールを見てみると。

『テストどうだった?私は手応えありかな?そうだっ!良かったら一緒に中庭でご飯食べない?良かったら中庭で待ってるから!』

俺は待たせたら悪いと、急いで売店でパンを買い、中庭へ向かった。

中庭に到着すると、2人用のベンチに恋華が座っていた。

「悪りぃ!待たせたな!」

俺が恋華に声を掛けながら近付くと、恋華は嬉しそうな顔をしてベンチの右側に寄る。

「来てくれてありがとね!ここいいよ!」

恋華がトントンと叩いたベンチの左側に俺は座った。

「恋華のお陰でテスト手応えあったよ、ありがとう」

「私もいつも1人で勉強してることが多いから、今日みたいに蓮司くんと2人で勉強出来て楽しかったよ!」

俺は売店で買ってきたカレーパンにかぶりつきながら、話し掛ける。

「恋華が良かったらさ、明日ある科学も教えてもらえないだろうか?」

すると恋華は嫌そうな素振りも見せずに、サンドイッチを咥えながら首を縦に動かす。

「うん!いいよっ!」

そう言って笑顔で話した恋華にドキッとしまう俺。

「あ、ありがとう。恋華が書いたノートとかかなり見やすくてわかりやすいからな、本当に助かる!」

「勉強はどうしようか…、キズナに19時くらいに入れる?」

「ああ、多分入れる。昨日ログアウトしたところで待ち合わせしようか」

「そうだね!あっ、もうこんな時間…!次、体育だからもう戻るね!」

「この度はお誘いありがとうございました」

「いえいえ、どういたしまして…」

最後にそんなやりとりをして2人で笑いつつ、俺たちは教室に戻った。



5、6時間目、掃除も終えた俺たちは帰りのHRを済ませ
自分たちの帰り道の道を帰り、家に辿り着いた。

俺の家は3人家族だが父さんが単身赴任で大阪に住んでいて
母さんはパートとして近くのスーパーで働いている。

実はうちの母さんは県でも剣道で有名で、女性で五段を獲っており
俺が冗談半分で剣道で挑んだ時は、瞬殺された記憶がある。

「そのうち真剣に剣道教えてもらおうかな」

俺は軽くシャワーを浴びると、時間を確認して布団に横になる。

「17時20分…。暇だしログインするか…」

俺はキズナを開き、ブレインコントローラーを付け瞼を下ろした。 
 

 
後書き
キズナ第4話でした! 
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