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戦国異伝

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第二百四十話 果心居士その十二

「しかしこれならこれでよい」
「これだけのならず者達が集まるのなら」
「戦力としては充分」
「だからこそですな」
「やはり戦は数じゃ」
 老人は暗くくぐもった声で述べた。
「それを揃えてこそじゃ」
「ですな、しかも慣れた場所で戦うもの」
「海での戦ならば」
「やはりあの者達ですな」
「海のならず者達ですな」
「それでじゃ」
 だからこそというのだ。
「あの者達をかき集めたが」
「思って以上にです」
「よく集まりました」
「ではあの者達も使い」
「日の本を滅ぼしましょう」
「スペインやポルトガルには適当に約束をした」
 そうした国々のだ、日本を狙う者達にはというのだ。
「そうしたらほいほい乗ってくれたしな」
「そしてあの者達にも与えますか」
「この国を」
「この国が滅びればよい」
 老人は結論から言った、彼だけでなく魔界衆全体の。
「ならばな」
「あの者達に国をやっても」
「それでもですな」
「構いませぬな」
「一行に」
「あの国の民なぞどうなってもよい」
 彼等もというのだ。
「日向におるまつろう者達なぞな」
「ですな、では」
「我等はあの者達に分けるものを分けて」
「そのうえで」
「戦いましょうぞ」
 こう話してだった、彼等は夜の海の中に集まる異国の船達を見ていた。次の戦いの時は確実に迫っていた。


第二百四十話   完


                          2015・8・19 
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