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クロンペン

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第四章

「可愛く着てね」
「あっ、我が国のですね」
「民族衣装ですね」
「これ着てですね」
「撮影とかするんですね」
「ええ、そうよ」
 その通りと言うのだった。
「そうしてもらうわ」
「そうですか」
「今回はこうしたお仕事なんですね」
「民族衣装を着て」
「それでオランダ料理をPRですね」
「そう、その服はね」 
 具体的な民族衣装についてだ、クリスティーネはさらに話した。
「ファーレンダムの服を選んでるから」
「あっ、私の故郷です」
 モデルの少女の一人が言って来た。
「そういえばあそこの服ですね」
「色々考えてね」
「それで、ですか」
「今回はこれでいこうと思ったの」
「服が可愛いからですね」
「ファーレンダムの服がね」
 オランダの民族衣装の中で最もというのだ。
「可愛くてPRにいいと思って」
「女の子で宣伝するには」
「そう、だからね」
「ファーレンダムの服なんですね」
「それにね」 
 クリスティーネは少女達にさらに言った。
「靴も。これはわかるわね」
「はい、木靴ですね」
「あれですよね」
「クロンペンよ」
 それだというのだ。
「これは外せないわね」
「そうですよね、我が国の民族衣装は」
「やっぱりあれですよね」
「木靴ですよね」
「クロンペンですよね」
「あれを履いてもらうからね」
 こう言うのだった、そしてだった。 
 クリスティーネは実際に少女達にオランダファーレンダムの服を着てもらいクロンペンを履いてもらってだった。そのうえで。
 撮影や街頭宣伝をしてもらった、それを見てだった。
 CMを観た者や街頭宣伝を目にした観光客達がだ、口々に言った。
「何かいいな」
「ああ、女の子可愛いな」
「風車にチューリップもいいけれどな」
「運河に海も」
「牧歌的なオランダって感じでな」
「しかもな」
 何といってもと言うのだった。
「女の子が着ている服いいよな」
「凄く可愛いな」 
 見ればだ、その民族衣装は。
 くるぶしまでの赤地に白と青、緑の縦縞のラインがはいったスカートにだ。胸の部分に白地のところに赤い花や緑の葉に茎をあしらった黒地のエプロンにだ。頭は三角巾の様な白い可愛い帽子である。そして靴は。
 奇麗なオランダの風景が描かれた木靴、クロンペンだ。その服装を見てだった。
 彼等は唸ってだ、こう言ったのだった。
「いいな」
「オランダの民族衣装いいな」
「木靴は前から知ってたにしても」
「思っていたよりいいな」
「そうだよな」
「あの服欲しいな」
「帽子も」
 そしてだった。
「木靴もな」
「ただ木を彫って作ったんじゃなくてな」
「絵まで描いてあってな」
「かなり奇麗だな」
「オランダ料理もいいが」
 それ以上にだった。 
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