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IS~夢を追い求める者~

作者:かやちゃ
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第2章:異分子の排除
  第15話「代表決定戦まで・後」

 
前書き
異様に長くなって三つに分かれてしまった...。
今回でタイトル通り代表決定戦までいきます。 

 


       =秋十side=



「ふっ!ふっ!ふっ!」

  息を吐くのと同時に木刀を振り下ろす。

「ふっ!ふっ!....ふぅ...。」

  日課である早朝の素振りを終わる。
  ちなみに、他にも色々あるのだが、素振りが一番最後なので既に終わっている。

「お疲れ、秋十君。」

「あ、桜さん。」

  桜さんが素振りを終わらした俺にタオルと飲み物を持ってきてくれる。

「今日はいませんでしたけど、何してたんですか?」

「んあー?あー、ちょっと簡易メンテしてた。」

  そう言って待機形態のペンダントを見せる桜さん。

「ちなみに日課はその前に終わらしておいた。」

「..早いですね。通りで起きた時にはいなかった訳ですか。」

  桜さんも俺と同じ日課がある。俺としてはそれがなくても桜さんは十分に強いと思うのだが、桜さん曰く“うさぎとかめ”みたく追いつかれるかもしれないからやっているらしい。

「まぁな。....さて、いっちょ一本やるか?」

「....そうですね。」

  そう言って桜さんは木刀を構える。
  偶にやる、日課後の模擬戦だ。剣道場内でやる訳じゃないからより実戦的だ。
  ...実戦的だからって役に立つ時はあってほしいくないけど。

「それじゃあ、行きますよ...!」

「よし、来い!」

  俺はしっかりと木刀を構え、桜さんに突っ込んでいった。







「....いつつつ....。」

「いやー、強いな。」

「ほとんど防いでおいてなに言ってるんですか...。」

  結果、当然の如く圧倒的差で負けた。

「そうは言うが、秋十君、本気じゃないだろ?」

「そりゃあ、模擬戦ですから。桜さんもでしょう?」

  桜さんの本気(ISは未使用)を俺は一度だけ見た事がある。
  けど、それは今回のと比べものにならないくらい強かった。

「...なるほど、代表決定戦のお楽しみってか?」

「はい。お互い、手の内を全て晒す訳にはいきませんから。」

  ...本当はほとんど晒し合ってるけどな。
  桜さんの場合はさらに奥の手とかありそうだけど。ISを生身で倒すほどだから。

「さて、そろそろ朝食に行くぞ。マドカちゃんもユーリちゃんも起きてるだろうしな。」

「はい。」

  放課後は代表決定戦に向けて対策だ。







「....ま、先輩らが使ってて使用許可降りないわな。」

「ですよね~....。」

  時間は飛び、放課後。
  案の定対策をするためにアリーナとISを借りようとしたが、予定がいっぱいで無理だった。

「ユーリちゃんも色々やってるし、マドカちゃんもそれに付き合ってるし...。」

「どうしましょうか?」

「...しょうがない。剣道場辺りを借りて生身を鍛えるか。」

  そういう訳なので、剣道場を使わせてもらえるか確かめるために剣道場へと向かった。





「....なんだ?」

「何かあったのですかね?」

  剣道場に行くと、少し人だかりがあった。

「何かあったのか?」

  桜さんが一人の女子生徒に尋ねる。

「えっ?あ、噂の男性操縦者が剣道で特訓してるんだって。」

  ....そう言う事か。あいつが何かしてるんだな。
  そう思って見てみると、箒があいつを扱いていた。....弱くね?

「でもなんか弱いらしいんだよねー。」

「ふーん...。」

「どうしましょうか?」

  あいつに会うのは癪だが、鍛えるなら剣道場がいいしな。

「...別に、俺たちが使ったらダメって訳じゃないよな?」

「えっ?うん。大丈夫だよ。」

「じゃあ、ちょっと剣道部の部長に...。」

  そう言って桜さんはキョロキョロと見回す。
  俺も部長がどこにいるか(誰かも分からないが)探す。

「あの人...かな。じゃあ、秋十君、ちょっと話をつけてくる。」

「あ、はい。待ってます。」

  部長っぽい人を見つけたのか、桜さんは人ごみを掻き分けてその人の下へ向かった。

  しばらくすると、桜さんは戻ってきた。

「木刀を借りてもいいってさ。早速やるか?」

「はい、やりましょうか。」

  二人で木刀を取りに行く。周りの人達も俺たちに気付いたのか、あいつの方だけでなく、俺たちの方にも注目してくる。

「なんだ貴様ら!ここは今、私と一夏が使っているのだ!」

「だからって剣道場を使ったらダメな理由にはならないだろ。部長にも許可を取ったし、別に邪魔をするつもりはない。」

  突っかかってきた箒になんでもないように桜さんは言い返す。

「さて、秋十君。やるぞ。あ、それと、見てる人には悪いが俺たちがやるのは剣道じゃない。.....剣戟だ。」

「....行きます!」

  木刀を構え、隙を伺いつつも踏み込み、一閃する。

「..っと。」

「っ...せぁっ!」

  当然、そんな単純な攻撃は防がれる。なので、すぐにぶつかり合った木刀を引き、反対から袈裟切りを繰り出す。

「甘い。」

「くっ....はっ!」

  しかし、それも簡単に叩き落される。すぐさま切り上げを行うが...。

「ほっ...。お返しだ。」

「っ....!」

  上体を逸らされただけで避けられ、反撃に一閃をしてくる。
  何とか、後ろに飛び退く事で避ける事に成功するが...。

「ほら、今度はこっちの番だ。」

「しまっ....!?」

  間合いを離してしまったうえに、飛び退いた際の隙を利用され、桜さんから攻撃してきた。

「はっ!」

「ぐっ....!?」

「せっ!」

「くぅっ....!」

「はっ!」

「っ....!」

  さっきの俺の攻撃を繰り返すかのように桜さんは木刀を振ってくる。
  俺も桜さんと同じように対処するが、最後の切り上げだけは上体をそらし、避けるだけで精いっぱいだった。

「...速さも力も俺より上ですね...。」

「まだまだ年下に負けてられんさ。」

  笑ってそう言う桜さん。...いや、桜さん天才だから関係ないんじゃ...。

「...まぁ、ウォーミングアップはここまでにするか。」

「そうですね。」

  今のはどっちも手加減...体を慣らすための動きだった。さっきの力量の差も、慣らす前の力量の事だ。実力とは違う。

「すー....はっ!!」

「っ!」

  息を吸い、吐くと同時に間合いを詰め、木刀を振り下ろす。
  もちろん、さっきまでとは段違いの速さと力でだ。

「っ...はっ!」

「くっ....せぁっ!」

  受け流され、反撃。それを受け流し、反撃。それを繰り返すように剣戟を繰り広げる。

「くぅ....!」

  しかし、やはり俺の方が劣っているため、防戦一方になる。

「....“散華”!」

「っ..!」

  突然、桜さんは散りゆく華を連想させるように舞いながら連撃を放ってきた。

「(まだ、これは何度も見た事はある...!)」

  初めてこの技を喰らった時は、ほとんど防げなかったけど、今なら全てを防ぎきれる...!
  俺の周りを舞う様に桜さんは斬りかかってくる。それを、何とか凌いでいく。
  そして...。

「......今!!」

「っ、しまっ....!」

  最後の一撃を綺麗に受け流し、鋭い反撃を放つ。
  完全なタイミング。これで良くて直撃。悪くても大きな隙を作れ.....!?

「躱した...!?」

「ふぅ、今のは危なかった。相変わらずカウンターが上手いな。」

  上に跳ばれ、斬撃を躱したうえで木刀の上に乗る。
  木刀は丈夫で、俺も一切剣に乱れがないように用心しているから、対して重い訳でもない桜さんが乗ってもどうという事はない。...というか、会社で振っていた木刀より少し重いくらいだ。

「え?乗ったことには驚かないの?」

  俺たちを見ている女子の誰かがそう呟く。
  ....うん。至極真っ当な意見だと思う。でも、桜さんなら普通なんだ...。

「チッ.....はっ!」

「っと。ふっ!」

  すぐさま乗せている木刀を引き、突く。
  当然躱され、反撃が繰り出されるが、身を捻らせ、回避する。

「(しまっ....!これは....!)」

「詰み....だ。」

  そのまま回転し、一閃を放つが、同じく身を回転させて繰り出された下からの攻撃に木刀が弾き飛ばされてしまう。

「....俺の負けです。」

「ふむ...本来ならまだ続けるが、木刀だけでだからな。ここまでか。」

  まさか俺の防御の特徴すら利用して誘導するとはな...。

「(...これは俺の戦い方に変化をつけるべきか?)」

  桜さん曰く、俺は今までの経験を活かせば容易に負けなくなるらしい。

「....あれ?」

  あまりに桜さんと俺の世界に集中してたからか、周りの女子達が盛り上がってたのに気付かなかった。

「すごーい!」

「あんなの、現実でできるんだー!」

  詰め寄られて、そんな事ばかり言われる。
  二つ目の発言に関しては、ISでも似たような事ができると思うが...。

「(....あ、固まってる。...そこまで驚くことか?)」

  ふと人ごみの奥に、驚愕の顔で固まっている箒とあいつがいた。

「あー...えっと....失礼したな!」

「あ、ちょ、桜さん!?」

  大量に寄ってたかられて、さすがに桜さんも耐えかねて剣道場から逃げ出す。
  俺も慌てて追いかける。





「....ダメだ。剣道場も使いづらい...。」

「ど、どうしましょうか...。」

  なんとか、一部の追いかけてきた女子を撒き、俺と桜さんは休憩がてらそんな話をする。

「...もう、無理に一緒に特訓しなくてもいいだろう。理論的な対策は部屋でもできるし、個々で特訓するようにしよう。」

「....ですね。」

  アリーナも剣道場も使えない。
  ....となると、もう空いている場所を転々とするように使うしかない。

「じゃ、俺は適当に千冬にちょっかい出してくる。」

「....反省文、書かされないようにしてくださいね?」

  あの千冬姉にちょっかいって...さすが幼馴染。性格を知り尽くしてるんですね。

「(俺は...マドカの所にでも行くか。)」

  確か、マドカはユーリと一緒にクラスメイトの専用機制作を手伝ってるんだったな。





「...ここか。」

  中に入ると、早速マドカ達を見つける。

「あ、秋兄!どうしたの?」

「いや、手持無沙汰になったからな。様子を見に来た。」

  見れば、一人の女子生徒のサポートとして、ユーリが色々していた。
  マドカは道具を運んだりしているみたいだ。
  ....って、あれ?

「布仏さん?」

「あれー?やっぱりあっきーだ~。」

  やっぱり、布仏さんだった。どうしてここに?

「私はねー、かんちゃんの従者だからねー。手伝うに決まってるよ~。」

「...なるほど。」

  布仏家は更識家のお付き的な家系って桜さんの資料にあったな。

「.....誰?」

「クラスメイトのあっきーだよ~?」

「...それじゃあ、分からないだろ...。篠咲秋十だ。」

「マドカの兄の...?私は更識簪。よろしく...。」

  大人しそうな子だな...。ユーリと気が合う訳だ。

「できれば何か助けになろうとしたけど...充分みたいだな...。」

「あ、じゃあ~、飲み物買ってきてよ~。はい、お金。」

「おう、任せろ。」

「ちょ、そんなパシリみたいな...って、いいの秋兄!?」

  じっとしてるよりも動いた方がいいからな。

「後~、私の事はそんな他人行儀な呼び方じゃなくていいよ~?」

「あー...分かった。本音。」

「むぅ....。」

  ...どうしてそこでむくれるんだ?マドカ。

「大丈夫だよまどまど~。別に取ったりしないから~。」

「っ..ほ、本音!」

  ....まぁ、いいか。とにかく行こう。

「(......ん?)」

  整備室を出た所で、ある気配を感じ取る。

「....誰かいるんですか?」

  物陰に向かって声を掛けてみる。...これで誰もいなかったら恥ずいな。

「...また気づかれた...鍛え直すべきかしら...?」

「貴女は....。」

  水色の髪で、さっきの更識簪さんと似通った所がある。そうだ、この人は...。

「いかにも。私が現生徒会長で、この学園最強の更識楯無よ。」

「....教師も含めてですか?」

「えっ?」

  あ、今の一言で分かった。この人お姉さんキャラに見えて結構弄られたりする人だ。

「いえ、“学園”だと教師も含むので、そうかと思ったんですけど....。」

「う....生徒最強...よ。」

  ...実際、桜さんに適いそうにないから生徒最強も怪しいんだが...。

「何の用ですか?」

「...特にないわ。ただ、偶々貴方を見かけただけ。」

  そうなのか?俺はてっきり...。

「妹の様子を見てたら男性操縦者の一人が現れたから、気になったのかと思いましたよ。」

「あなた達兄弟は揃って人の心を抉ってくるわね!?」

「えっ?桜さんも同じような事を?」

  いつの間に会ってたんだろうか。

「じゃ、俺は飲み物を買って来るので。」

「え、あ、そうね。」

  ....この人が生徒会長で大丈夫なのだろうか...?





「....とりあえず、自分なりに鍛えたけど...。」

  あれから数日。代表決定戦になった。
  あの後は、特に何かある訳でもなく、簪に名前で呼んでいいと言われた以外、自主練だけだった。...この日までアリーナが借りれなかったなんて...。

「先生、誰からやるんですか?」

【...生憎、織斑の専用機がまだ届いていない。おそらく、オルコットと貴様らのどちらかからやるだろう。】

  通信で別室にいる千冬姉に聞くと、そんな回答が返ってきた。

「どっちがやる?俺はどっちでもいいが...。」

「...桜さんが先でお願いします。」

  さすがに試合が始まっても専用機が届かないという事はないだろう。
  多分、最適化などをするために先にオルコットの試合をするという感じなので、多分一つ目の試合が終わったら次はあいつと誰かが戦うのだろう。
  ...なら、その相手は俺がしたい。

「....ところで、どうしてマドカとユーリはここに?」

  今俺たちがいるのは試合をするためにISがアリーナに行くための場所。
  マドカ達は普通観客席にいるはずだが...。

【エーベルヴァインが四組の代表になった際、不満の声があったらしくてな。それで実力を見せるために篠咲妹が相手になるそうだ。】

  あー、そういえば、そんな事を食事の時とか言ってたような...。

「うう....緊張します...。」

「一組の後なんだから落ち着きなよ...。」

  既にユーリは緊張していた。...まぁ、公の場での試合だからなぁ...。

「....ところで桜さん。あそこで俺たちを睨んでるの、何とかできません?」

  少し離れた所で俺たちを睨んでくる箒とあいつ。

「いや、俺に言われてもな...。」

「名前変えて伊達眼鏡付けてるだけなのに、あいつは気づかないんだね。」

  桜さんは困ったようにそう言い、マドカは眼鏡をかけただけでマドカだと分からないあいつに対して嘲笑を浮かべていた。
  ...辛辣だな。まぁ、擁護するつもりは一切ないけど。

「さすがに気づいてると思うがな....。」

「まぁ、どうでもいいんだけどね。」

  すると、山田先生が慌ただしく通信を繋いできた。

「織斑君織斑君!来ました!織斑君の専用IS!」

「っ!」

  その言葉に、織斑が反応する。

【織斑、さっさと一次移行を済ませて置け。アリーナの時間は限られているからな。先に篠咲兄とオルコットの試合をしてもらう。】

「なっ...!?」

【なんだその驚き様は。まさか、一次移行も済んでいない奴を試合に出す訳がないだろう。】

  まぁ、そりゃそうだよな。なんであいつは驚いているんだ?

【精々、どのような機能があるか確認しておけ。】

【では篠咲桜君、試合に出てください。...行けますか?】

「いつでも。」

  そう言って桜さんはISを展開し、位置に着く。

「じゃあ、秋十君。」

「はい。」

「少し、教導してくる。」

「....はい?」

  教導って...何をするつもりなんですか?

「行くぞ、想起!」

「あ、ちょっと...!」

  ...聞く前に出て行ってしまった...。

「教導って...どういうことなんだ?」

「....もしかして桜さん、オルコットさんに何か見出すような力があったのに気が付いたんでしょうか?それで、教導しに...。」

「....相変わらず、桜さんの考えは読めないな...。」

  ...ま、桜さんが負ける事はないだろう。

「とりあえず俺は桜さんの動きをよく見ておかないとな。...でないと負けるし。」

  教導って事はそれなりに長引くだろうし、参考にさせてもらいますよ...!









 
 

 
後書き
正直ぐだってしまった。反省はしている。
...とまぁ、ともかく、ようやく次回は代表決定戦です。 
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