| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ハイスクールD×D~黒衣の神皇帝~ 再編集版

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

補習授業のヒーローズ
  匙とヴリトラとの会話×黒鐵神殿へのお導き

元のフロアに戻ろうとした時に、廊下で見知った人物が前を通りかかったので僕は歩を止めて声を掛けた。

「・・・・匙君」

匙君だった。僕が話しかけるとあちらも手を挙げてたけど、彼の影からヴリトラが意識体として出ていた。

「よ、木場」

「どうしてここに?」

僕がそう尋ねると息を吐きながら言う。

「ま、会長がちょいとリアス先輩の様子を見に来たって所かな。本来ならヴァーリ達黒神と一緒に行っていたと思っていたが、ソーナ会長はシトリー眷属と共に冥界に来た訳なのさ。会長はアイツの婚約者でもあるけど、黒神からの命によりここに来たと言う訳。俺は会長の付き添いで来たが、表ですれ違い様にフェニックスのヒト達にも会ってきたのよ」

『我も心配はしているが、分身と共に来たがその顔を見るや心配はなさそうに見える』

「そっか、ありがとう・・・・ここには黒神のメンバーがいるからか、僕以外のメンバーをサポートしてくれているから少し余裕があるのさ」

会長も部長の様子を見に来てくれたんだね、本来なら悲しいはずだけどシーグヴァイラさんとソーナさんも各眷属と合流していた様子だ。ヴリトラの疑問を聞いて答えていく内に、先程まで居たフロアまで歩いて行く。すると彼とヴリトラの決意の眼差しで言った。

「木場、俺も今回の一件に参加するつもりだ。都市部の一般人を守る・・・・俺の相棒であるヴリトラと共にな」

『ああ、我と我の分身と共に盟友だった一誠の仇は我らが取ると・・・・分身と共に意気込んだ所だ』

匙君がそう言った後、意識体であるヴリトラが匙君の影から出てきてそう言ってくれた。シトリー眷属も冥界の危機に立ち上がったようで、実力のある若手は召集を掛けられているから大王バアル眷属と大公アガレス眷属も出撃するだろう。でもソーナさんもシーグヴァイラさんは平気なのか?一誠君の婚約者だから、僕はてっきり悲しんでいると思っていた。

「その顔、もしかして会長とシーグヴァイラさんの事を心配してるのか?」

「だってソーナさんとシーグヴァイラさんは、一誠君の婚約者だ。消滅したって聞いたら心配するでしょ?」

「心配すんな、俺もそう思ったんだけど黒神眷属から連絡が来てな。会長とシーグヴァイラさんも黒神から通信が来てから、兵藤の復活を信じて今やるべき事を優先させるように言われたんだと。フロアにいたレイヴェルさんも色々と情報収集しているしさ、念話やら通信が来たそうだ。で、お前らは戦えるのか?」

「僕達は後程合流するけど、今の部長らの状態では戦えないと思うよ。でもだからこそ戦うしかないと思うし、今の状態じゃきっと一誠君にお説教を喰らう羽目になる。冥界の危機に力のある悪魔全てに召集が掛かっているならば、僕達は力のある悪魔だからこの危機を脱する為に戦わないとダメだと思うね」

僕は今の状態を言いながらだったけど、今の心情を語ってからグレモリーのあるべき姿を重ねてから言うと匙君が笑みを浮かべて大きく頷いた。

「だよな」

笑みを浮かべていた匙君だったが、一転して表情を怖くする。

「兵藤を殺した奴は分かるか?『我も知りたい』俺の相棒であるヴリトラも、同じ気持ちとして話してくるからな。知っているなら教えてくれ」

「うん分かるよ、どこにいるかまでは知らないけどね。一誠君が創造した地球の一つ『ナイトメア』は旧魔王派を救う為に創られた星と言うのは知っているよね?でもそれを知らない残党共がいたのさ。旧魔王派と英雄派の残党がね、神殺し系統の剣や弓矢に塗られた毒で殺されたらしいよ」

「そうか。会長も言ってたんだ、兵藤を殺したのは神殺しの剣や弓矢で殺ったと。アイツを殺した奴らは、旧魔王派と英雄派の残党をぶっ潰せばいいのか。全員ヴリトラの黒炎で燃やし尽くしてやるよ『その時は全力でカバーさせてもらうぞ!我が分身よ!』ああ、頼むぜヴリトラ!」

「匙君とヴリトラは、赤龍帝と白龍皇のように会話をするみたいだね」

『我は初だが、ドライグやアルビオンは歴代だとこうして話していたようだ。だが我は信じている、一誠がタダで死ぬような者ではないと知っているからな。創造神黒鐵である一誠は、簡単に死ぬような男ではないからだ』

匙君とヴリトラとのコンビネーションは、まるで赤龍帝と白龍皇が喋っているように思えた。内から凄まじいオーラを内部から滾らせていたし、今まで背中を追い掛けるように辛い修業を耐えて来た。それにヴリトラは呪いの黒炎として、死んでも消えない呪術的なのがある。

「死んでもらっては困りますが、私も我慢しているのですよ。匙」

振り向けばそこにはソーナ会長の姿があった。

「会長」

「匙、感情的になるのは分かります。普段冷静の私まで感情が爆発しそうなのですが、戦うなら生きて燃やしなさい。私の夫である一誠君の言葉ですが、ヴリトラも今まで以上な出力で頼みましたよ」

ソーナ会長もか・・・・一誠君の言葉を聞いた匙君は、涙を袖で拭いて大きく頷いて再度自分の相棒であるヴリトラとどう相手を倒すかを考えていた。とこちらに視線を移したソーナ会長。

「私達はこれで失礼します。魔王領にある首都リリスの防衛及び都民の避難を協力するよう、セラフォルー・レヴィアタン様から仰せつかっているので」

最上級悪魔の強者は各ドウターの迎撃に回っているからか、政府は有望な若手に防衛と民衆の避難を要請している。僕達も本来ならばそこに行かなければならない状況だ。

「部長にお会いになられたんですね?」

僕の問いに会長は静かに頷かれた。

「部屋に籠りっきりです。私が問いかけても反応がありませんでした・・・・私やシーグヴァイラのように心が強くないと思います」

親友のソーナ会長でもダメだったのか。

「代わりにこう言う時にうってつけの相手を呼んでおきました、私は信じています。一誠が戻ってくる事を・・・・」

「うってつけの相手?」

一体誰を呼んだのか教えてくれなかったが、誰を呼んだのだろう?ソーナ会長は薄く笑まれるだけだったが、一誠君が必ず復活して戻ってくると信じ切っているようだ。僕がフロアに戻ってくると、丁度テレビには首都の様子が映し出していた。

避難が続く状態であり、大勢の人々が冥界の兵隊により安全な場所に導かれて行く所を映していたようだ。テレビに映し出される首都の子供達だったが、レポーターの女性が一人の子供に尋ねたのだった。

『僕、怖くない?』

レポーターの質問に子供は笑顔で答える。

『へいきだよ!だってあんなモンスター、くろがねさまがきてたおしてくれるもん!』

満面の笑顔でそう応える子供だったが、手には第二の姿である黒鐵様を模した人形が強く握られている。画面の端から元気な顔と声が次々と現れていく様子を見るけど、不安ではなく希望を持ってインタビューに答える子供達。

『そうだよ!くろがねさまがきてたおしてくれる!』

『くろがねさま!くろがねさま!』

子供達は不安な顔一つ見せずに、ただただ『黒鐵様』が助けてくれると信じ切っていた。

『はやくきて、くろがねさま!』

子供達の元気な姿を見て僕は・・・・口元を押さえ、必死に込み上げてくるものを堪えていた。見ているかな、一誠君。君を待ち望む子供達の姿、皆不安な顔一つ見せてないし創造神黒鐵様が助けてくれると信じ切っているよ。

「俺達が思ってる以上に、冥界の子供達は強い心情を持っているようだ」

「そうね、そしてその力は一誠を呼ぶ力かもしれない」

突然の声!いつの間にいたのか隣にその男と女がいた。

「貴方達は!」

「兵藤一誠は、いや違うな・・・・黒鐵様はとてつもなく大きなものを冥界の子供達に宿したんだな。久しいな、木場祐斗。リアスに会いに来た」

「お久しぶりです、木場祐斗。本来なら私はアガレス眷属と共にですが、黒神眷属の命を受けて参りました」

その人はサイラオーグ・バアルとシーグヴァイラ・アガレスだった。ソーナ会長に呼ばれたというサイラオーグさんとシーグヴァイラさんは、僕を連れて部長の部屋の前に到着する。するとシーグヴァイラさんは通信機をハメて誰かと会話をしていたが、サイラオーグさんも分かっているのかしばらく待っていたようだ。

『奏様、今リアスさんの所へ到着致しました』

『そうですか、ならばリアスさんが持っている黒の駒をこれから送る魔法陣の上に置いて下さい。そうすれば、黒鐵神殿のキーとなって召集されるでしょ』

『黒鐵神殿と言うのは、そこに一誠さんが居ると言う事でしょうか?』

『そうです。そしてそこには肉体を再構築しながら、ドライグとティアマットとサマエルが会話しているようです。本来黒鐵神殿には入れないのですが、黒の駒が鍵とされています。黒神がいる次元の狭間本家にいるアグニらにも、黒鐵神殿にお呼ばれする予定ですから』

しばらく通信していたシーグヴァイラさんだったが、小型魔法陣を受け取ってから通信機をハメたままサイラオーグさんに合図を送る。

「入るぞリアス」

それだけ言ってサイラオーグさんは部長の部屋に堂々と入って行く。室内を進むとベッドの上で体育座りをしていた部長の姿で、表情は朱乃さん以上に虚ろで目元は赤く腫れていたのでずっと泣いていたようだ。サイラオーグさんは近づくなり、つまらなそうに嘆息する。

「情けない姿を見せてくれるもんだな、リアス」

その態度を見たのか、部長は不機嫌にこちらを見たら驚愕していた。僕らではなく、ここにいないであろうシーグヴァイラさんに向けていた。

「なぜ貴方がここにいるのよ!シーグヴァイラ・アガレス」

「本来なら前線に行ってるはずですが、私は一誠さんの婚約者であり黒神眷属の命を受けて参りました」

「俺はソーナ・シトリーから連絡をもらってな。安心しろ、プライベート回線だ。例えあの男が死んだとしても大王側には一切漏れていないし、強く結ばれている上層部達も情報操作により一切漏れていない。俺らバアル側にはゼクラム様のお陰で、秘匿回線で知った事だからな」

大王側の政治家らは、一誠君の死が伝われば混乱後にどのような手段で現魔王政権に食って掛かってくるか分からない。だがバアル側は、一誠君の死について知った事を秘匿にしている者によって安心しているようだ。

最後に出た名は、初代バアル家当主の名であるが聞いた事がある名だけである。噂によるとサイラオーグさんと母親の自由させた事で、蒼い翼から派遣された者を裏から監視していたようだけどそれを知った蒼い翼CEOが初代当主に言った。サイラオーグさんは部長に真正面から言い放つ。

「行くぞ!冥界の危機だ。強力な眷属を率いるお前が、この局面に立たずにしてどうする?俺とお前は若手の最有力として、後続の者に手本を見せなければならない。それに今まで俺達を見守って下さった上層部の方々、魔王様の恩に報いるまたとない機会ではないのか?」

最もな意見を彼は口にする。普段ならそれを聞いて奮起するだろうが、部長は顔を背けた。

「・・・・知らないわ」

「自分の友だった男が行方知らずと言うだけでここまで堕ちるか、リアスよ」

「リアスさん、貴方が持っている黒の駒を貸してくれないかしら?私はある命を受けてここに来たのだから」

部長は手に持っていた一誠君の駒、黒の駒をシーグヴァイラさんに渡した。小型魔法陣を開いて黒の駒を置くと、突如光り出した。目が眩しい程になったので、サイラオーグさんと部長と僕は手で目を覆っていた。

目を開けるとそこは真っ暗な場所で、先程までいた部屋ではなくまるで神殿内に招待されたかのようにフロアにいるアーシアさんとギャスパー君と小猫ちゃん。黒歌さんとイリナさんとレイヴェルさんと別室にいるはずの朱乃さんとバラキエルさんと朱璃さんが、この神殿内にいたからだ。

「・・・・ここはどこだ?真っ暗で何も見えんが、シーグヴァイラは一体何をしたのだ?」

「ここは一誠さんがいるとされている、黒鐵神殿内だと思われます。それにこの城内にいたレイヴェル達がいるフロアと朱乃ら姫島家がいる別室を繋げて、ここを召集した本人にでも聞きましょうか」

真っ暗な空間となっているが、フロアにいたアーシアさんらと別室にいた朱乃さんらとは一切聞こえてこない。どうやら各フロアや部屋にいた者らと話せるが、別の場所にいた者らとは話せない状況となっていた。すると僕らの下にはカプセルがあって、よく見るとそこには肉体を再生中のヒトが寝ていた。すると聞こえてきた声の方向へ向けると、そこには黒鐵改と一誠君がいたからだ。

『我の神殿へようこそ、グレモリー眷属と黒神眷属の者達よ』

「黒の駒が鍵となり、私達を導いてくれたようですよ。一誠さん、私達はこれからどうすればいいでしょうか?」

『本来ならこの空間に居る事は出来ないが、我と我の相棒らがここに居る事で我の肉体は再構築中だ』

「・・・・貴方は死んだはずではッ!」

半透明な一誠君が話し掛けているけど、部長は一誠君を見て思わず死んだのでは?と質問を投げかけていたが、その前に肉体を再構築中だとの事を知ったので下を見るとカプセル外には知らないヒトらがいた。オーラを感じ取ったが、そこにはドライグとティアマットとサマエルだった。

「よう、グレモリー眷属とその関係者達よ。俺らはしばらく相棒と話し相手してたが、どうやら繋がったようだな」

「私が紹介させて頂くと、ドライグとサマエルがヒト化となっているのよ。ここは外部遮断としているから、外から開ける事が出来ないらしんだけどそちらにはキーがあったようね」

「僕らはしばらく暇だったけど、そちらから来るとは驚きだよ」

『さてと、我は全てを創ったとされる創造神である。そこにカプセルがあり、現在肉体を再構築中だからそんなに心配そうな顔をするな。リアス、朱乃、アーシア。シーグヴァイラとサイラオーグは、本来の任務に戻り冥界を守護しといてくれ。我が黒神の面々は、もう少しだけグレモリー眷属の側に居て欲しい。そろそろ限界が来たので、お前らがいた場所に戻すが、特にリアスよ・・・・我は必ず戻ってくるのでな、我の駒を大切に持ってくれるだけでいい。いつものリアスに戻ってくれる事を拙に願う』

黒鐵改が立っていて、目の前にいた一誠君が告げた後にまた目を覆う程な眩しさだったが目を開けると先程いた部屋の中だった。僕達は幻術を見ていたのか?と思ったがシーグヴァイラさんによると、一瞬で黒鐵神殿内に行っていた証拠として城内にいるレイヴェルさんら全員が同じ事を言ったので真実なのだと知った。黒の駒が部長達を導いたとして、一誠君がいる黒鐵神殿はどこにあるのだろうか?

「リアスさん、先程のお言葉を聞きましたよね?一誠さんはもう間もなく復活し、超巨大ドウターであるゼットンを必ず倒すでしょう。それに子供達の声は聞こえていたようでしたし、私やソーナも信じていますが私が言える事はそれだけですがサイラオーグは何か言う事はありますか?」

「全て言われてしまったが、リアス。あの男が簡単に死ぬ訳でもないし、先程聞いたように創造神黒鐵様のお導きによりその言葉を聞いたはずだ。俺とシーグヴァイラは、黒鐵様が言う本来の任務に戻らせてもらう。先に戦場へ行くが、必ず来いリアスと眷属悪魔であるグレモリー眷属!これから動こうとしている黒神眷属もだったが、情報収集していたレイヴェルや必ず復活を信じている黒歌らがな」

そうを言い残すと、サイラオーグさんとシーグヴァイラさんは僕達の元から去って行った。突然の訪問に驚いたが、ソーナ会長の『うってつけ』とはこう言う事か。彼が生きているとの事も聞けたし、これで部長も元気になるだろう。

部長の瞳は少しだけ光が戻ったように見えたけど、僕の心中は希望が戻ってきたし黒鐵様から召集を受けたとすればきっと朱乃さんやアーシアさんも同じ事を聞いたんだと思う。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧