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戦国異伝

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第二百四十話 果心居士その三

「しかし」
「その前にじゃな」
「赤松満祐殿に討たれました」
 その彼にというのだ。
「そうなりましたので」
「義教公のこともじゃな」
「あの者達は関わっていませんでした」
「それでもそこから幕府は衰え」
「そして後は力がなくなるのを待つだけだったんで」
 そうした状況だったからだというのだ。
「あの者達は応仁の時もです」
「幕府には仕掛けておらぬか」
「左様でした」
「しかしその後でじゃな」
「戦国の陰で散々に蠢き」 
 そうしてというのだ。
「血を楽しんできました」
「そうしたことはしておったな」
「そうです、ですが」
「わしが天下布武を目指してじゃな」
「天下に泰平をもたらされようとしていることを知り」
「わしの邪魔をしておったか」
「あらゆる手管を使って」
 果心居士は信長のそのことを話した。
「そうしてもきました」
「そして弾正もじゃな」
「あの御仁は確かに魔界衆でしたが」
「それでもじゃな」
「魔界衆から離れようとされていました」 
 そうだったというのだ。松永は。
「そして日の当たる場所で生きようとされていました」
「そうだったのじゃな」
「はい、そうでしたが」
「血には逆らえなかったか」
「残念ですが」
「そうであったか」
「はい、そのうえで」
 松永は滅んだというのだ。
「あの様になってしまいました」
「そうであったのか」
「あの方は確かに多くの悪を為してきましたが」
「それもじゃな」
「魔界衆の命でした」
「あの老人のか」
「あの者の名はありませぬ」 
 魔界衆の中心にいるその者のそれはというのだ。
「何も」
「名がないとな」
「はい」
 その通りだというのだ。
「あの者につきましては」
「そうであったのか」
「他の魔界衆の者には名はあります」
「十二家のじゃな」
「あの家の者だけは姓も名もないのです」
 その両方がというのだ。
「それで御前と呼ばれています」
「闇のか」
「そうです」
 こう信長に答えた。
「あの者だけは」
「そうであったか」
「して、です」 
 今度は果心居士から言って来た。
「その魔界衆のです」
「それじゃな」
「はい、妖術のことですが」
「破れるか」
「それはわかっております」
 その妖術のことはというのだ。 
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