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ペルソナ VANESSA

作者:鬼心
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4話 夢を絶つ者達

ポロニアンモール裏路地

「俺ら、学校抜け出しちゃったけど、いいのかな?」
倫子がそう慶平に耳打ちした。

「別に今に始まった事じゃねぇし、元々誉めらるような人間じゃないしな」
相変わらず、慶平は無愛想にどこか一点を見つめながら答えた。
そして、少し場が静寂に包まれた後、結城がやってくる。

「いや~、すいません!早退の言い訳···」
結城は慶平が少し不機嫌そうな顔になったのに気が付くと、声のトーンを徐々に落として、遂には黙ってしまった。

「お···おい慶平、なんでそんなピリピリしてんだ?もっと仲良く行こーぜ!」
倫子が場を和ませようと、明るい雰囲気で慶平に訴える。

「ケッ、行くぞ」
慶平は吐き捨てるかのようにそう言って、鏡の中に入って行った。

「へへ···悪いね、前はアイツあんな無愛想な奴じゃ無かったんだけどな···やっぱまだ鈴菜の····」
さっきまで明るく笑顔だった倫子の顔が俯き、どこか悲しそうな目になった。

「···倫子さん」
結城は突然の事に多少驚いたが、倫子の肩をポンと叩いて、鏡の中に入って行った。
倫子もそれを見て
「へへ、後輩に慰められちゃうとはね···!」
そういって鏡の中へと入って行った。

「おせぇ、何してやがった」
慶平が少し怒り気味に言う。

「いやぁ悪いね。大丈夫、問題ない」
倫子は頭に手を回し、何時もと変わらない屈託のない笑顔を見せた。

「んで、今日は何を教えてくれるんですか?」

「そうだな、時期的にも近いしな····お前最近、急に人が居なくなる“神隠し”の噂知ってるか?」
慶平が話始める。

「はぁ、まぁ多少は····家に居たのにも関わらず、忽然と姿を消す、って奴ですよね?」
結城は顎に手を当て考える素振りを見せながらそう言った。

「実はこのアナザーワールドにも人が住んでいてな、ここの住人は夜になるとシャドウが出てきて、家に閉じ込もっちまう。それはシャドウが怖いのと、もう一つ、シャドウとして暴れ巻くって居るのは元、ここの住人だからだ」

「···いまいち意味が···?」
結城は慶平に言われた事の意味があまりに分からなかった。

「ここの住人は“3つ”の条件でシャドウになっちまうんだ。
まず一つ、時がが来ると···寿命が来ると、シャドウになる。二つ目、シャドウに攻撃を受け、死んでしまったとき。三つ目、人生に絶望してしまった時。この3つだ」
慶平は目を閉じ、集中して結城に説明した。

「そしてここは、人の夢の中らしいんだ。つまり、ここの住人はその人が見ている夢自信であり、この場所は、人類の夢の場所なんだ。」

「それと神隠しになんの関係が?」
結城が質問をする

「あぁ、住人達がシャドウにやられると、夢を見ていた本人がこの世界に誘われ、夢の住人と共にシャドウになっちまうんだ」

「この世界に来ちまった奴は誰でも“ルール”が適応される。
夢を失った張本人は、夢も希望もなんも失ってこの世界が嫌になり、元の世界もきっと最悪だと自己暗示を掛け、“人生が嫌になる”こうして、第二のシャドウの完成って訳だ」
倫子が慶平に続きそう言った。

「でも、そんなんだったら一匹一匹倒してってもキリがないんじゃ···」
結城が少し不安そうに言った。

「その問題は大丈夫だ、大型のシャドウが何処かしらに点在している。そいつらをぶっ倒せば、この現象を少し抑えることが出来る」
倫子が質問に答える

「そして“それ”を狩るのが今日って訳だ」
倫子に続いて、慶平が答えた。
その慶平の顔は何処か生き生きとしていた。







 
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