歌集｢春雪花｣

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　雪雲の

　　淋しさ降らす

　　　夕暮れの

　儚き光りに

　　　　君ぞ想いし

　雪を降らす雲に､微かに夕焼けの紅い光が滲んでいた…｡

　淋しさだけが覆う世界…どことなく物憂げな風景は､私の心へと入り込み…彼への想いを強く叩く…｡

　願ってはならない…夢見てはならない…そう自分を窘めても､心は哀しみに喘ぎ…彼を求めてしまう…｡

　雪原の

　　夜の冷え冷えし

　　　届かねば

　心のなんぞ

　　　　虚しとぞ思ふ

　冬の夜の冷たい風の吹く雪原を眺めると､自分と言うものが無駄に思え…彼へのこの想いさえ､届くことがないのであれば…全く意味のないものではないかとさえ考えてしまう…｡

　何度…出会わなければ良かったと思ったか知れない…｡

　ただただ…虚しいだけ…｡

　しかし…それもまた…人の生き方なのかも知れない…｡

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