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新オズの腹ペコタイガー

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第六幕その四

「そうだったのね」
「どうしたの、一体」
「実は私達今から貴方のお父さんのろこに行くつもりだったの」
「そうだったんだ」
「そうなの、今からね」
「ふうん、そうだったんだ」
「だから今から行くつもりだけれど」
 ここで、です。ジュリアはです。
 三人にお顔を向けてです、こう言いました。
「この子の探しているスパイスをね」
「僕達もですね」
「一緒に探してあげる」
「そうしようとーーいうのーーですね」
「どうかしら」
 こう尋ねるのでした。
「これからね」
「いいと思うよ」
 最初に答えたのは臆病ライオンでした。
「困っている人を助けるのは当然のことだよ」
「そうしたことは忘れるな、ですよね」
 ジョージも微笑んでジュリアに答えます。
「いつも」
「その通りーーです」
 最後に言ったのはチクタクでした。
「放ってーーおいてはーーいけまーーせん」
「そうね、若し嫌って言ったら」
 その時はとです、ジュリアは三人にこうも言います。
「私怒っていたわ」
「そうですよね、困っている人を見捨てていたら」
「そんなことをしたら絶対によくないから」
 ジョージにも言います。
「ここはね」
「ロンドのお父さんのところに行く前に」
「そう、まずはそのスパイスを探してあげましょう」
「わかりました、それじゃあ」
「それからよ」
 ジュリアはまた言いました。
「行くわよ」
「そうしようね」
 臆病ライオンは微笑んで応えました、そしてです。
 ジュリアはロンドにです、あらためて尋ねました。
「それでいいかしら」
「はい、何でしょうか」
「貴方の探しているスパイスだけれど」
 尋ねたのはこのことです。
「どういったものかしら」
「お父さんから色とか形とか聞いてないかな」
 ジョージもロンドに尋ねます。
「どんなのか」
「うん、まず色は赤くて」
「カドリングにあるからかな」
「それとは別でね。元々赤いんだ」
 そうした色のスパイスだというのです。
「小さくて細長い実を持っているんだ」
「小さくて細長いんだね」
「唐辛子に似ているんだ」
「じゃあすぐにわかるんじゃないの?」
 ここまで聞いてです、ジョージは赤い草原の草花を見ました。その草花も草原にあるものです。
「この草原にはない感じだから」
「そう思うよね、ジョージも」
「うん、そうじゃないの?」
「僕もそう思ったけれど」
 それがというのです。
「見付からないんだ」
「それはおかしなことだね」
「二時間は探してるけれど」
「場所はここにあるんだよね」
 臆病ライオンはロンドに尋ねました。
「お父さんにそう言われたんだね」
「うん、そう言われたからここに来たけれど」
「ないんだ」
「そうなんだ」
 まさにというのです、困ったお顔で。
「どうしても」
「それはーーです」
 チクタクが言うことはといいますと。
「一人だけーーだからーーでは」
「僕だけだから?」
「ここは広いーーです」
 ロンドが探している草原、ここはです。 
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