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その手で引き金を引け!!

作者:櫻木可憐
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第九章 長い長い一日
  第一話 秘密

またしても夢だと私は気づいた。
しばらく見ていなかったあの夢。
見えない誰かが話しかける夢だと。
言われてみれば、四塚市あたりから見ていなかった。

「少し変わったね、前回と」

「あなたが前って言ったのは、繰り返す時の話だったのね?
はじめからそう言えばいいのに。
勿体ぶるのは嫌いよ」

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
少なからず、君は何も変わっていないからね。
変わったのは周りだ。
周りが繰り返す時の中で積み重なり、未来を変えうる力を手にした。
次元を越えてしまう記憶と共に。」

「私は変わっていない?
私も繰り返す時にいたのに・・・」

「君は繰り返す時の中で繰り返さないものを持つから、人より多く・・・
それを人によっては破壊と言う。」

それはリリスちゃんぐらいにしてください。
破壊の女神・・・ね。

「中二厨展開はいらないわよ?
トリップでさえ凄いっていうのに、そこから何を追加するの!?
第一霊力者がトリップする夢小説なんてそうないわよ!!
すでにイレギュラーなのに、何があるの?」

いや、私は間違っている。
イレギュラーな事態はイレギュラーを呼び寄せている。
神隠しの件はいい例ではないか。イレギュラー事件として。
ならこれから先もあり得てしまう。

「彼は教えなかったのか、君には」

~~~~
強さは何に比例するか。
綺麗事なら思いの強さとか訓練の成果とか言うが、結果は才能だと思う。
なければそれまで。先には進まない。
仕方がないが、仕方がないでは済まされないこともある。
自分の命がかかるなら尚更。

ぼくは自分の命をかけるようと思う。
悔しいぐらいにぼくは勝てない。
あの金髪ロリコン野郎には!!

「歌川、菊地原は何回負けてるんだ」

「20本目です。ユウさんの動きは無駄と隙がなくて・・・俺でも勝てません」

「そうか。」

風間さんと歌川の会話が綺麗に聞こえる。
明日遠征に行く前に、手合わせ程度にお願いしたはずが、何故か相手が全力でくる・・・
嫌われているらしい。
低く笑いながら、話しかけてきた。

「弱いな。まだ本気じゃないんだが。」

使用してるトリガーは彼が使い慣れない弧月のはず。
しかし、可憐以上の速さと的確さに押される。なんだ、この人は。

「風間さん、一本いいですか。」

ぼくより風間さんに目をつけたロリコン野郎に、ぼくらはトレーニングステージから出される。
風間隊じゃないくせに主導権を握るなんて許せない。
しかし、ぼくらを出迎えた可憐は笑っていた。

「仕方ないわよ、ユウからしたら弧月は使い慣れた武器だもの」

「えぇ~アフトから持ってきたトリガーそんな形してなかった」

「あれか。ユウはもとは日本刀みたいなタイプがいいんだけど・・・
まあ、あのアフトのトリガーは私が使うからいいや。」

そんなことは聞いてないのに。
それに可憐が使うのか。元の世界で使い慣れた形状なのかな。

「可憐はさ、」

「えっえぇ!?」

何故か驚かれた。心音がはやい。
この心音は嫌いじゃないな、と感じる心音だった。
その心音が出た理由が気になり、耳を近づけてみる。

「ちょっと、何!?
てめー、近づくんじゃねぇ!!」

「うわ~いきなりその話し方はないよね」

「あ、風間さん負けた」

「えー、風間さんが!?」

風間さんが負けるなんて有り得ない。
不良に負けるなんて許さない。
そしてそんな不良が好きな可憐はもっと許さない!!

~~~~
「Your Japanese is very good.
Have you studied for a long time?」

そう言った俺は言われた方の反応を見た。
恐らく菊地原も歌川も気づいていないはずだ。
ユウはイギリス人であることに。明かしても良かったが本人が言わないのでわざわざ言うまでもない。

「Shoot! You caugth me.
って、別に日本語でいいですが。」

「俺より年上だろ。敬語はよせ」

「・・・OK.なら言わせてもらう。
They’ll quickly find out if you try to cut.」

手を抜いていたのがばれていたか。
仕方がない。

「如月より弱いのか?」

「女より弱いのは不愉快だな。
まあそんなもんだ。風間さん、あいつを頼みます。」

恋人なら自ら守るなり、救うなりすればいい。
こいつは責任放棄する気か。
イギリス人代表としてはっきりしないのか。

「あいつの話をしましょう。
隠し通せる話でもありませんがね。」

ユウはゆっくり、小さな声で話し始めた。
この部屋でその英語を聞き取れるのは俺だけだった。 
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