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『茉莉花-マリカ-』

作者:零那
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『抜け殻』



久々に逢った。
いつも綺麗にしてた髪が、いっぱいもつれてた。
クマもすごくて頬も削げてる。
茉莉花先輩自身が薬漬けになってるんちゃうかって思うほど。
目も虚ろで心此処に在らずで、たぶん、零の事も誰なんか解って無かったんやろな。

部屋の雰囲気からすると、数日間食事した形跡無し。
どぉしよぉ...
おもゆ作ってみようか...
食べて貰わな...
水分すらって感じやし、声も出せれんのんかも...

お米を用意してた時、玄関が開いた。
茉莉花先輩の家の合鍵を持ってるのは、零と彼氏だけ。
挨拶はした。
彼氏は茉莉花先輩に声をかけた。
茉莉花先輩は声が出んものの叫ぶように彼氏を殴りつける。
すごく痛々しかった。

愛花サンが言ってた。
茉莉花先輩の彼氏は、愛花サンを抱いたって。
薬の事より、彼氏が愛花サンを受け入れた事がショック過ぎたんやろな。
誰がどう見ても幸せなカップルって感じの2人やったから...
零もショックだった。

抜け殻みたいだったのに彼氏には反応した。
彼氏は、おとなしく殴られてた。
ただただ謝ってた。
チカラ尽きて倒れた茉莉花先輩を置いて、零に『頼んだよ』って言って出て行った。

放心状態で、たまに笑って壊れてた。
辛かった。

おもゆを作った。
ベッドに持って行く。
茉莉花先輩の体を起こして、痩せ過ぎた骨の感触がした。

零も家では滅多に御飯食べさして貰えんからガリガリやったけど、他人の骨の感触は怖い。
女らしい丁度良い感じの体は、零の理想やったから...
悲しかった。
こんなに細くなって...

今此処に居る零の事すら解ってないし、どうなっても良いって感じだった。

こんな状態で外に出たら、誰に何されるか...考えたくもない。
1人で外に出んことを願う。

まず、カサカサの唇に、茉莉花先輩愛用のリップを優しく塗った。
少し、唇が反応した。
少し冷ましながら、おもゆを口に運ぶ。
飲み込んでくれた。
無表情で無反応やけど、少しずつでも食べてくれたら...
祈るしかない。
10口くらいは食べてくれた。


 
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