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おぢばにおかえり

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第十九話 夏ですその九

「野球選手には野球選手の筋肉があるんだから」
「そういえばそうね」
「野球は野球だからね」
「そんな筋肉つけても無駄よ」
 これが彼女の主張でした。
「怪我も多くなるのに決まってるわ」
「それじゃあ」
 私はそれを聞いてふと思いました。
「野球選手がラグビーとか柔道をそのままやったら危ないのね」
「ええ、そうよ」
 やっぱりそうでした。そうじゃないかしらと思ったら。
「柔道の人がラグビーやってもそんなに問題じゃないでしょうけれど」
「ふうん、そうなの」
「だから清原は怪我が多いのよ。信じられないけれど西武時代は怪我に強くて足もそこそこ速かったらしいし」
「嘘みたいな話ね」
「ねえ」
 あの清原が怪我に強くて俊足って。別人なんじゃないでしょうか。
「だから。合ったことをしないと」
「そうなの」
「そういうこと。ほら、おみちだって」
 おみちについてのお話にもなりました。
「合ったことをしないと駄目じゃない」
「そうよね。参拝の時に座禅とかしても意味ないしね」
「っていうか間違い探しになるわよね」
 こういった表現ならわかります。清原がどれだけおかしいか。
「だからよ。あれじゃあ駄目よ」
「駄目なの」
「そのうち大変なことになるわよ」
 大変なことというと。やっぱり怪我でしょうね。清原は本当に怪我が多いですから。
「まあもう戦力にならないでしょうけれどね」
「そうよね。三振も多いし」
「たまにバットに当たれば飛ぶだけだしね」
 清原はそれだけの選手になっています。三振の多さとデッドボールが異常に多いです。
「今の巨人の象徴みたいな選手ね」
「そうね」
 やっぱり皆巨人が嫌いです。好きにはなれません。天理高校には巨人に入った方もおられます。けれど監督が入団したその時にその人のことを忘れてしまっていたそうです。凄い話です。
「昨日も負けたしね」
「あっ、そうなの」
 これは私にはわかりませんでした。寮にいると新聞もテレビもないです。だからわからないんです。野球だけじゃなく他のことも。
「打たれまくって終わりだったのよ。もう見事な惨敗」
「いいニュースね。今日はこれでいい一日になるのが決まったわ」
「そうね」
 本当にそれだけで胸がすっきりします。おかげで朝が急に気持ちよくなってきました。
「今日も一日ハードでしょうけれどね」
「頑張っていきましょうよ」
「そのハードさだけれど」
 自宅生の娘がまた声をかけてきました。
「何?」
「寮生って本当に凄いのね」
「まあそれを言ったらね」
 私達はそれを言われてその寮生同士で話し合います。
「何かと忙しいのは確かね」
「実家と全然違うし」
 これも重要です。
「何だかんだで実家って楽よねえ」
「結構よね」
「慣れてるからね」
 皆あらためてこのことを実感するのでした。
「それ考えたら今はしんどいわよね」
「これもしこみなんだけれどね」
「そうなるわよね」
 簡単に言うと修行ということになります。親神様の思し召しで色々経験することです。自分で向かっていっているように思えてもそれは違うことで親神様の思し召しということになるのが天理教の教えになります。
「一年の時ってねえ。それでも」
「ハードなものがあるわよね」
「それも一学期が終わりだけれど」
 長いようであっという間です。その間だけでも色々なことがありましたけれど。 
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