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提督がワンピースの世界に着任しました

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第05話 鎮守府への帰還

 救助した捕虜たちを開放するために、一番近くの島まで数時間を掛けて向かうことになった。島の位置は、先ほどの人命救出や物資の回収している間にこっそりと手に入れた海図を頼りにして進路を決めた。

 目的地としている場所へは、今から向かえば日が沈む前には到着する予定だったので、捕虜とした海兵達は全員甲板上にまとめて座らせておいて、艦内には招き入れないことにした。一応捕虜たちの扱いについてはボクダン少将と話をして、海軍側も島に到着して開放されるまでは捕虜という扱いを受け入れると了承した。

 しかし、俺とボクダン少将との上同士で相談しあって合意を得ている間に、ボクダン少将が兵たちに指示を出す前に一部の捕虜たちが暴れだしてしまった。

 ただ暴れ出した捕虜6名は監視していた天龍と吹雪の2人の艦娘達によって瞬時に取り押さえることで、数分で鎮圧が完了してしまった。天龍はもちろん、外見は幼い子供に見える吹雪にも力で全く歯が立たず押さえ付けられた捕虜たちはもちろん、状況を見守っていた捕虜たちにも衝撃を与えたらしい。こちらとしては意図せずに、俺達の戦力が艦隊戦だけでなく生身で向かい合っても十分に脅威であるという事を示すことができて結果的に良かった。



 目的地へ向かう航海中は俺も長門と共に艦橋へ詰めているので、ボクダン少将も一緒に艦橋へと招き入れた。彼だけを招いた理由は、なるべく海軍と名乗っていた彼から色々な情報を引き出そうという考えでだったけれど、ボクダン少将側も俺達の正体を少しでも探って知っておこうという意図があるように思われた。

 先ほど手に入れた海図。かなり大雑把に島の配置関係や、航海の目標となるようなシンボル、停泊するために錨を入れる海域等が記されているが、なかなか情報が足りなくてこれだけでは参考程度にしかなりそうにない。しかも、ある程度の地域情報しか記されていないので世界の全体図が分からない。しかし、何もないよりはマシだと考えることにする。帰ったら、この海図を基にして海域情報を集めてもらわないと、と考えていた。

 ボクダン少将には、俺達の存在については適当な作り話で存在をボカして語ってみた。例えば、俺達は今まで外海と一切の交流を持たないで独自発展した島の住人であるとか。ある日の事、一切外海と交流を持っていなかった我々の島に外海から流れ着いた人によって外の世界について知ることになり、外海調査することになったとか。
 そして、今いる俺達が先遣隊として偵察航海しているという設定のカバーストーリーを話してみると、ボクダン少将は思いの外に信じてくれたみたいで親切心で海軍側の一般常識についてを教えてくれた。

 それとなく、俺の記憶として持っている日本という国についてや、艦娘達に関係があるかもしれないと考える大日本帝国という国について探ってみたがボクダン少将から一切の反応無く、知らないと答えられた。それからは艦娘、深海棲艦という敵、俺の居た所以外に鎮守府等が無いかを探ってみるが、こちらも一切の反応はなかった。本当に知らないのか、それともボクダン少将の表情を俺が読み切れていないのか……。

 捕虜たちを下ろす予定の島に到着するまでの6時間。俺とボクダン少将と虚実を交えた話し合いは続いた。ボクダン少将からは色々とこの世界についての話は聞けたので、後はその話を鵜呑みにはしないで、真偽を確かめるために他に信頼できるような情報源を探して比較することが必要だろう。

 島に到着するなり、甲板に座らせていた捕虜たちが逃げるように艦から降りて上陸していった。兵たちは背を伸ばして身体をほぐしたり、友人たちと上陸を喜び合ったりしている。ただ、一番最初に騒動を起こしてから以後は一切問題を起こさなかったので助かった。
 捕虜が全員下船すると最後にボクダン少将が艦から降りていく。


「最後までお見送りありがとう、平賀少将」
「礼には及びません。海軍本部への帰還までお気をつけ下さい、ボクダン少将」
 表面上は互いに敵意が無いとにこやかに笑い合い、別れの握手をする。だけど元々は海上で敵として出会って戦闘に入ってしまい、勝者と敗者に分かれることになってしまったので思うところが有るだろうけれど、ボクダン少将は柔らかい笑顔を浮かべていて表面には出さないで、悪意を一切感じさせられなかった。
 しかし、ボクダン少将の後ろで控えている海兵たちは俺の方を憎々しげに見ているので面倒事が起こらないうちに早くココを離れたほうが良いだろうと判断し、ボクダン少将に別れを告げて立ち去る事に。

 そして捕虜としていた人達を下ろした後、鎮守府に帰還することを決めてすぐに帰路に就くことにした。
 予定とは大きく違っていたけれど、初戦闘で初勝利を手に入れることができ、海兵という存在を知ることができ、そして戦利品を手に入れることができた。
 さらには、鎮守府回りの海図、海賊という存在、幾つかの情報も手に入れたので鎮守府から思い切って出てきたのは大正解だっただろう。 
 

 
後書き
2016/06/22
主人公が世界地図を入手した件を修正し、グランドラインについて知った箇所を削除しました。 
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