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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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ロックマンゼロ2
  プロローグ

 
前書き
ゼロと夢主の再会 

 
砂嵐が吹き荒れる広大な砂漠は、普通の人間ならば誰もが死地と答えるだろう。

砂漠には水一滴どころか草一本さえなく、ただ酷い砂嵐が吹いているだけであり、そんな砂漠の中を歩く一つの人影があった。

しかし、この砂嵐の中でまともな人間が歩けるわけがない。

彼はレプリロイドであり、その証拠に紅いヘッドパーツ、その中央には逆三角型のクリスタルがはめ込まれており、そして更に目につくのが背中にたなびく美しい金色の髪である。

そのレプリロイドの名は伝説の英雄にして、破壊神と言われているゼロである。

彼はボロボロになったマントで体を覆い、少しでも前にと歩き続けていた。

ネオ・アルカディアに弾圧されたレプリロイドを救うためにレジスタンスを結成した人間の少女・シエルによって百年の封印から再び蘇ったゼロではあったが、ゼロは百年間眠り、放置されていたところをサイバーエルフ・パッシィにより強制的に目覚めさせられたためか、記憶を全て失ってしまっていた。

ゼロは何も分からないままレジスタンスと共に戦うことになり、ついにはネオ・アルカディアを統治し、性能の低いレプリロイドを弾圧していたオリジナルエックスのコピーであるコピーエックスを倒したのであった。

しかし、統治者であるコピーエックスが倒されてからも、レジスタンスへの攻撃は止むことなく続き、ゼロは自ら囮となることでネオ・アルカディアを引き付け、シエル達レジスタンスを逃がしていた。

そして今も同じく、ネオアルカディアからの逃亡を続けており、そんな生活も一年近く経とうとしていた時であった…遠い昔に失ってしまった大切な存在と運命の再会をする事になるとはこの時のゼロは思っていなかった。

いつの間にか砂嵐が止んでおり、周囲を見渡すと廃墟となっている都市を見つけ、その都市をどこか懐かしいと感じていた直後に複数の足音がゼロの耳に入った。

「チッ…」

舌打ちをしながら、一年近く酷使し続けたために出力が以前と比べて明らかに低下している高出力エナジーセイバーであるZセイバーを抜いた。

同じくレジスタンスの技術者であるセルヴォから受け取った武器であるシールドブーメランとトリプルロッドは武器チップが壊れていて既に使い物にならない。

背中に取り付けているバスターショットは碌にエネルギーチャージが出来なくなっているが、まだ使える。

背中から引き抜き、予備のセイバーをマガジンとして取り付けるのと同時にバスターを連射し、追いかけてきたパンテオンを次々と破壊していくゼロ。

パンテオンはエックスのDNAからコピーエックス同様に造られたものであるが、量産型のため、あまり知能は高くない上、人格もないに等しいので倒すのに苦労はしない。

「チッ…キリがない」

しかし、敵の数が多すぎて斬っても撃ってもどんどんパンテオン達が姿を現し、ゼロにバスターを向けて攻撃してくる。

ゼロは殲滅を諦めてセイバーとバスターショットを収めるとパンテオン達から逃れるため、逃走をする。

こういう時に防御手段のシールドブーメランを失ってしまったのは痛い。

敵から放たれた攻撃を受けてきた結果、一年前のゼロとは比較にならない程に機動力が落ちていたが、それでもパンテオンから逃れるくらいのスピードはあった。

しかし、敵であるネオ・アルカディアも簡単に逃がすようなことはしない。

突如地面が盛り上がり、サソリを思わせる大型メカニロイド、メガ・スコルピアと呼ばれるネオ・アルカディア最新鋭の戦闘用メカニロイドが姿を現した。

メカニロイドはレプリロイドと違い、思考力がないただの機械と呼べる代物であり、蜘蛛型のメカニロイドは奇声を上げると自身の爪でゼロを貫こうとする。

しかしゼロは次々とそれを避けていき、反撃としてセイバーを振るうが、僅かなところで届かない。

「くっ、セイバーが届かない…!!」

セイバーは近接戦用の武器であり、どうしても間合いを詰めなければならないので、セイバーによる攻撃は諦めてバスターを構えて連射するが、メガ・スコルピアの装甲には歯が立たない。

「…バスターも効かないか…」

せめて完全なエネルギーチャージさえ出来れば話は別なのだが、この状況で修理など出来るはずもなく、ゼロが危険を覚悟でセイバーを構えた時であった。

メガ・スコルピアが鋏のような物を射出し、初見である上にゼロはダメージにより反応が遅れ、まともにそれを喰らってしまった。

吹き飛ばされ、地面に叩きつけられてしまうが、それがゼロの運命を大きく変える。

時間の流れのせいかアスファルトが酷く脆くなっていたのか、地面が罅割れてゼロは地下へ落下していく。

「っ…ここは…」

地下の地面に叩き付けられた落下の痛みに顔を顰めながらもゼロはゆっくりと立ち上がる。

万全の状態なら着地出来たのだが、ダメージの蓄積によって体が思うように動かない。

どうやら助かったようだと判断したゼロは重たい体を引きずりながらも少しずつ前進して目の前の扉を潜る。

「ここは…地下研究所…か…?」

そう、扉を潜った先には沢山の機材があったのだ。

ゼロから見ても何かの研究室なのだと分かり、中央に置かれている沢山の機材に繋がれた一つのカプセルがあった。

長年放置されていたためか埃を被っているが、そのカプセルに引き寄せられるかのように近付いて埃を払うと、そこには一体のレプリロイドが眠っていた。

「っ…」

そのレプリロイドを見た瞬間、ゼロは思わず息を飲んだ。

腰にまで伸びた金髪と朱色のアーマーが特徴の、どこか自分に似た容姿のレプリロイドであった。

「ル…イン…」

思わず自分が口走った単語にゼロは思わず、疑問を感じた。

自分はこのレプリロイドを知っている?

何故かこのレプリロイドを見ると不思議な感じがする。

まるで無くしてしまった宝物が見つかったような…。

レプリロイドが入ったカプセルにはこの研究所の主であろう人物の名前が刻まれていた。

ジェームズ・ケイン

「ケイン……。俺はこの名前を知っている…」

ゼロは無心で端末を操作した。

何故かは知らないが、これの扱い方が分かるのだ。

まるで使ったことがあるように手が動いてカプセルが開き、少女の目が開いた。

徐々に虚ろだった目に光が宿り、ゼロの方を見遣った。

「ゼ…ロ…?」

「ルイン……」

思わず口から出た単語だが、それを聞いた少女は微かに笑みを浮かべた。

「ゼロ……ここは、ケイン博士の研究所…だよね…?エックスはどこ?ゼロはどうしてボロボロなの?シグマは…?」

「お前は…誰だ…?何故、俺の名前を…いや、それよりも…何故俺はお前のことを知っている…?」

「私…エックスとゼロの後輩のルインだよ?…もしかして私のこと忘れちゃったの…?」

悲しげにゼロを見つめるルインにゼロは珍しく口ごもる。

「何なの…?この研究所の変わりよう…シグマとの戦いからどれくらい過ぎたの…?ねえ、ゼロ…」

ゼロは自身が知る情報を出来る限り教えることにした。

とは言っても、自身の記憶は殆どないに等しいので、細かいところはシエル達から聞くしかない。

「に、二百年…?そんなに過ぎてたの…?」

あまりの長すぎる年月の経過にルインは言葉を失う。

VAVAとの戦いで機能停止して、目が覚めたら二百年も過ぎていたとは誰が想像出来るだろうか?

「じゃあ、ケイン博士も…私の知る人達はみんな…エックスは…エックスはどこにいるの…?」

「さあな…ネオ・アルカディアにいたのはエックスのコピーだ。本物のエックスがどこにいるかまでは分からん」

「そっか…でも、良かった。例え記憶喪失でもゼロだけでも生きていてくれて…私だけだったらどうなってたか…」

「そうか…」

「それにしても…ボロボロだね、ゼロ。修理してあげようか?」

「…今は時間がない。早くここを…いや、もう遅いか……」

「え?」

複数の足音が聞こえ、無意識にルインは手元にあった自身の武器をセイバーに変形させるのと同時に構えた。

二百年間のブランクがあるが、そこらのイレギュラーならどうとでも出来る自信がある。

そして研究室に複数のパンテオンが雪崩込んでくる。

「え?エックス!?」

一瞬、初めてパンテオンを見たルインはアーマーの色からエックスかと思ったが、良く見ればアーマーの細部が違うし、エックスと決定的に違うのは顔だ。

「あれは…何なの?」

「あれはパンテオン…シエルから聞いた話ではエックスのDNAを元に造られた量産型の劣化コピーだ。」

「エックスのコピー?どうせコピーするならもっと真似ればいいのに!」

ゼロのセイバーに匹敵する出力のエナジーセイバーでパンテオンを斬り刻むルイン。

ゼロもセイバーでパンテオンを一体ずつ確実に仕留めていく。

「ゼロ、離れて!行っけえ!!」

ルインのセイバーがバスター変形し、チャージショットを放つ。

貫通力に優れたチャージショットを受けたパンテオンは残骸すら残さず消滅した。

「ゼロ、これからどうしよう…?」

二百年間眠りについていたルインは今の世界のことなどゼロから聞いたことくらいしか知らない。

「とにかく何とかシエル達と合流するしかないだろう…。」

しかし、それはゼロも殆ど同じであり、ゼロも今の世界のことなどあまり知らない。

しかし、今はシエルとレジスタンスに合流しなければならない。

「うん…」

ルインも頷いて研究室から出るが、パンテオンがまた出て来た。

「しつこい奴らだ…」

「待ってゼロ」

セイバーを握り締めるゼロだが、ルインに制された。

「ルイン?」

「ここは任せて。多対一なら有効なアーマーがあるから。アーマーチェンジ、FXアーマー!!」

「っ!!」

炎を纏い、二丁の大型バスターのナックルバスターを持つ橙色のアーマーに換装したルインに一瞬だけネオ・アルカディア四天王の一人であるファーブニルの姿が重なった。

そしてそれはゼロだけでなく、パンテオン達も同じのようだ。

「フ、ファーブニル様!?」

「この反応はファーブニル様に…」

「この攻撃は避けられないよ!」

ナックルバスターの銃口から高出力ショットが放たれた。

大型故に一発一発の威力が高く、誘導性能でもあるのか、回避しようとしても直撃し、瞬く間にパンテオンは全滅した。

「ああ、良かった。アーマーチェンジシステムも直ってる…さあ、行こうゼロ」

「…ああ、ルイン。その姿は…」

「え?ああ、アーマーチェンジシステムの炎属性のFXアーマーだよ。シグマの反乱で……ああ、覚えてないんだっけ……ごめん」

「いや…他にもあるのか?」

「勿論あるよ?機動力特化のHXアーマーに寒冷地・水中戦特化のLXアーマー、隠密特化のPXアーマー、さっき見せた火力特化のFXアーマー。そして基本がこのZXアーマーなんだよ」

そう言って丁寧にも全てのアーマーを見せてくれたルインにゼロの脳裏にハルピュイア達の姿が過ぎる。

ルインの先程見せたアーマーはどれもネオ・アルカディア四天王であるハルピュイア達の容姿に酷似していたからだ。

「(まさか、ハルピュイア達はルインのアーマーをベースに造られたのか?)」

もしそうだとしたらルインはネオ・アルカディア四天王のプロトタイプにあたるのだろうかと考えたが、今考えたところでどうにかなるわけではない。

「(今はシエル達と合流しなければ…)行くぞ、ルイン」

「うん」

ゼロとルインが歩き出した。

最初のシグマの反乱から二百年の長い時を経て、現世に舞い戻ってきた朱の戦士はこの荒廃した世界で何を見るのだろうか? 
 

 
後書き
ルイン復活。
因みにルインは女神の介入無しで復活したために機能はシグマの反乱時のまま。
唯一の違いはオーバードライブが使えること。
武器はエックスが既に返却している。

 
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