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SAO二次:コラボ―Non-standard arm's(規格外の武器達)―

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prologue:Unexpected weapon(予想外なる武器)―――episode2

 
前書き
コラボ参加者様にまたまたご注意。

 この物語はIFなので、本来はキリトと繋がりがある人達であっても、全く面識がなかったりします。
 またしつこいようですがキャラ崩壊は必至。
 参加者様の望みと違ってしまう可能性や、やり過ぎかなと思ったスキルの改変も有りますので、ご了承ください。


 ……では、本編をどうぞ。 

 
 
 
 市街地外れの、とある廃屋街。

 断続的に発砲音が響き、金属の打ち合う音がし……かと思うと数分と立たずに消える。


 そして―――その騒ぎの中心“だった”で有ろう、ドラム缶やコンテナが散乱した、ある程度開けた地形を取る一か所。


「……」


 体勢様々に倒れ込み、美しき青の欠片と化して消えていく男達を、まるで存在して居ないかのように見ようともせず、スマートフォンにも似た機材を耳に当てている少女が一人いた。


「……まだですかね」


 艶めいているからか何処か銀に近い白髪セミロングに、紅蓮なる焔を称えているかと錯覚させる、余りに綺麗な紅い瞳。
 美少女と呼んで差支えない、充分以上に整った見た目だ。

 そして服装は……袖自体が長く袖口が広く、裾が腰辺りまである紫色のコートを纏っており、下半身は黒いスカートにスパッツ。
 白骨を意識して描かれたであろう、刺青の様な模様が際立つ黒いニーソックスと、鉄細工の施されたブーツを着用している。

 何より風に棚引く闇色のマフラーを巻いている事、そして機会を用いて設計されたが如き造形を持った、硬質的な質感と輝かぬ暗赤色なる長柄武器『大鎌』が、彼女の容姿と同じく目を引く要素であった。


 連絡危機を持ってる事、今しがた呟いた台詞からして、機械越しに何者かと連絡を取ろうとしているらしいが……未だに向こうと繋がらない様子。
 携帯電話から耳を離し、またつけ、耳を離してはまたつけ、それを不規則かつかなりの間をあけて、何度か繰り返している。


「此方がハズレだという事は、別段特筆すべき証拠が無い時点で理解できました。そうなると“彼等”の方に大本があると考えて良いでしょうし……連絡が無いのは不安ですね」


 独り言のように少女は呟き、もう一度通話ボタンらしき場所……ではなく、『電話そのもの』を指先でクリックする。
 本来ならばそれで動く事などあり得ない筈なのに、通話準備中の“リリリリリ……”と聞こえる、特徴的なサウンドが耳をついた。


「あ~……まだ連絡が取れないッスか、“セツナ”さん。あいつ等とは」


 黒マフラーの少女・セツナへと、タバコを吸いながら煙を撒き散らし声をかけたのは、気の所為かと思う程僅かながらに黒髪混じった、老人よろしく白髪な男性。
 セツナとは違い、輝きも艶も見られないので何処かくすんで見え、『銀色』等という単語は蚊ほども思い浮かばない。

 気怠げな表情と左目のアイパッチが印象的で、黒揃えなジャケットとジーンズ、それとは対照的な真っ白な長めのコート。
 しかし……何故着続けているのかも分からないぐらい至る所がボロボロで、裾が特に酷く最早長さなど関係なくなるぐらいだ。

 極めつけは、両の腰に保持された大型の拳銃だった。
 銃身やグリップ含めて角形を取っている事もそうだが、一番は銃そのもののの形。
 本来なら左右均等に作られている筈の物が、右の物は右側が大きく、左の物は左側が大きく、それぞれ比重が傾いている形なのだ。
 問題無く撃つ事は出来る様だが……何故そんな奇怪な形を取っているのか、理解が出来ない。
  

「はい、“ニヒト”さん。恐らくは気が付いてないか、交戦中だと思います」


 ニヒトというらしい男性に、目線を向けぬまま返事をするセツナ。
 ……否、目が細められ、鋭いモノが視線へ宿っている事からするに……煙が顔にかかってウザったいが為、顔を固定しているだけらしい。

 そんな事などつゆ知らずとばかりに、ニヒトは有らぬ方向を向いて煙を吐き出した。
 セツナは顔をしかめた。


「取りあえず一旦、“リュウ” と “アマリ” を待って……え~、選択肢を二種類は用意しておく……と」
「それが妥当ですね」


 ニヒトが短くなっていたタバコを捨てると、道に落ちてポリゴンの様な破片を散らして消える。
 現実ではありえない光景に、常人ならばまず目を疑うであろう。

 そして二本目を咥えて、相変わらず方向考えず煙を吹いている。





 数秒二人の間に会話が消え…………いっそ、不気味なまでに音が無くなった。




「ッハァ!」
「!」


 突然だった。
 行き成りニヒトが声を上げたかと思うと―――右の拳銃を抜き放ち、有ろう事か『セツナ』に付き付ける。
 重苦しい発火音が轟き、サイズに見合う銃弾がセツナ目掛けて突き進み―――


 顔色一つ変えず、彼女は顔を傾けて避けた。


「ぐはあああぁぁ!?」

「ほい、命中ッス」
「……はぁ……全く」


 通り過ぎて先ず響くは男の悲鳴。

 つまりニヒトの狙いはセツナではなく、背後の敵だったのであろう。
 ……心臓に悪すぎる対応方法である。

 続いてゾロゾロと十数人は似た恰好の男達が集まって、二人を取り囲み武器を構え始めた。
 が、セツナは呆れ顔を崩そうとせず、ニヒトは煙草を口から話そうとしない。何処まで行っても余裕という態度を、自分から手放そうとはしない。
 

「合図ぐらいしてください。危険ですから」
「いーじゃないスか別に。緊急且つ必要ないし……留意しろと告知する事でもないし」
「まあいいです……結果オーライで」


 心なしか、刺激されたらしき周りの敵集団に、苛立ちが見える。
 連絡を待っていた時とは全く別の、身体を絞め付けられる独特な緊張感が、二人と集団の間に走った。

 誰がそうしたか……石が転がり、鳥が羽ばたき、揺れていた動作が止まり硬直し―――


「かかれぇっ!!」
「「「おおおぉぉっ!!」」」

「……ッハァ……やってやりますか」
「―――さぁ、始めましょう……!」


 発生と同時に、ニヒトへ切りかかってくる二振りの刃。

 一つ目を銃ではじいて二つ目はダッキングで回避し、弾いたまま上を向いている右方の拳銃で一人の脳天を穿つ。

 立ち上がりながら振りかぶるもう一人の喉を、左肘で打ち即座に右の銃を発砲。
 悲鳴も上げられず後頭部から叩きつけられた。

 間隔を置かず脚を伸ばしたまま宙返りする。
 逆さま状態のまま空中から乱射を行い真下の敵二人をハチの巣にし、着地と同時に背後へ足払いをかました。


「ほれっと」
「へ、はっ?」


 間抜けな声をあげ上下逆に“させられ”た敵を、左の銃で二度撃ち抜いた。

 そのまま軽く仰け反って銃口を後ろへ。其方を向かずにトリガーを引く。
 後ろ陣取った構成員は抵抗も出来ず、二つの銃口から放たれた弾丸で錐揉み回転させられた。


「ハッ!」


 ……オマケとばかりに左右の兵へも追加発砲。
 背後から引っ張られた見たく、無様にすっ飛んで行く。


「ぞおりゃあっ!!」


 気合を入れる為に響いたらしき、聞くに堪えない痰の絡んだ濁声がニヒトへ届く。

 音源を確認するまでもない。
 先から機会を窺っていた敵が前方から迫り、切っ先を構えて突っ込んで来たのだ。


「ほーらよっ」


 対するニヒトは僅かに口角を上げて、軸をずらし斜め前方へ跳躍。
 身を捻り翻して、丁度敵の側面がニヒトの正面を来た瞬間、迷わず三連射を見舞った。



「せあ゛っ!!」
「ハッ!」


 またも響くダミ声に、良く通る澄んだ声。
 ……セツナもまた、手段を相手して優位に立っている。

 正面よりの一撃を鎌刃の背でガッチリ受け止め、パリングしてから間を置かず後方を鎌で一刀両断。

 武器を構えた格好のまま、敵の体がフリスビーみたく宙を舞う。


「せっ!」


 柄尻で背後へ一突き。
 先にいなした一人の腹を強かに打ち、振りかぶった格好となった事を利用して、振り下ろしから前方の敵兵を真っ二つ。

 己が反転しながら鎌も頭上でクルリと回し、柄尻に峰にと散々叩かれた構成員をスッパリ、二枚降ろしにしてみせた。


「はあっ!!」

「!? う、ぐへぇ!」
「かは……!」


 突進からまたも一度刃が閃き、真横へ薙がれた大鎌が二人の身体を刈り取る。


「しゅっ……!」
「うごっ?」


 両手で持ち、右側で鎌を高速回転させれば、鋭利な切っ先が下方から敵の身体を串刺しに。
 そして無言のまま上半身を両断する。


「おるあぁっ!」
「……む」


 其処で何か考え付いたか、セツナは前から来た相手だけに集中して、柄を利用し斬撃を捌いていく。

 当然背中側はがら空き。そんな事をすれば死角には隙が生じ……不安を体現したように、無言のままに一人の男が切り付けてきた。

 セツナの視線は以前前向きのまま。
 これではダメージを負う事が確定して―――


「らぁ―――」
「よっと」


 瞬間、軽い掛け声と共に肩越しに延ばされるは、鎌刃の峰。


「うげえぇっ!」
「―――いっ!?」


 ガチィン! と其処を打ちつけてみれば、握りを態と甘くしていたか勢いよく大鎌が押され、飛びだした柄尻に向こうの構成員が腹を撃たれた。

 潰れたヒキガエルの様な悲鳴に驚く……が、息を整える間もなくセツナのバックソバットが突き刺さる。


「ィイヤアアァッ!」


 そのまま通り過ぎた鋭利なる一斬にてまず背後一人目を打倒。

 回れ右をしながら、徐に頭上手鎌を弄び、慣性を利用してもう一閃。
 腹を叩かれた男は哀れ、刃により二つの塊と化してしまった。


「……はっ!!」


 視界の端にチラと映るピストルを構えた敵に向け、半身の形を取り猛回転した鎌を投げつけた。

 流石に距離が距離の為防がれるが、バウンドしたソレをキャッチすべく走り跳躍。
 敵は視線を彷徨わせた所為で、チャンスも作れず立ち尽くす。


「ぐ……こんのぉぉっ!!」


 鎌を空中でキャッチし、乱射された弾には大鎌を風車の様に扱ってやり過ごす。
 ……そして顔面を蹴って前方宙返りを決める。


「てめ―――って、うばああっ!?」


 その敵に遠方から銃弾が命中し、直後に爆ぜた。
 視線を傾ければ……そちらを向かずに銃口だけ構えた、サポートしたであろうニヒトの姿が見えた。
 銃撃の反動をも無駄にはせずグリップ部分を用い、隙ありと近寄る敵は強かにぶん殴られた。


「まだまだ」


 間、髪を置かずに二丁構えて連発で、ハチの巣にせんばかりに銃弾を浴びせた。


 向こうでは、着地前に鎌を振り下ろしていたセツナの手により、一人目がポリゴンの欠片と消える。
 地面に突き刺さった得物をあえて抜かず、それどころかポールのように扱って助走をつけ、二人目を蹴り怯ませる。

 引き抜いた勢いで鎌の背をぶつけ、追い打ちとして吹き飛ばす。


「あー……またッスか―――よっと!」


 やる気0でニヒトが呟くのとは裏腹に、鋭いスナップを利かせて右の銃を上へ投げた。
 更に飛んできた構成員へ側転の要領で踵打ち上げを決め……


「ぐふっ!?」


 寄り高く宙に飛んだ敵へと駄目押しか、左手の大型拳銃よりコレでもかと剛弾を叩き付ける。


「! ……やろおっ!!」


 ニヒトが少し場所をずらして銃を構えれば、刃の腹と拳銃のグリップが衝突し明るく派手な火花が散る。

 刃物を持つ構成員の顔に浮かぶ笑みの意味は、銃火器相手ならショートレンジは有利だ、という余裕から来る物であり―――


「ほっ……じゃっ!」


 その余裕も上から落ちて来たもう片方の拳銃による一撃で、脳天を貫かれ脆くも無に帰した。


「こい、こいつらぁっ……!」
「くそったれ……!」


 残るはセツナの前に居る二人のみ。
 戦闘開始から五分と経っていないだろうに、これこそ余りに早すぎる展開といえる。


「くそがああっ!!」
「……愚かですね」


 まるで片鎌槍の使うかの如く、セツナは鎌の峰で刺突を繰り出し腹部を殴打する。
 怯みよろめいたその隙を逃さず一旦刃を立てると、より向こう側へと腕を伸ばした。

 時間は置かない。
 右腕を縮め、左腕を後ろにし、柄を支える。

「せえぇいっ!」


 そして体ごと思い切り鎌を引いて―――鎌状武器の本領である引き切る、否『刈り取る』攻撃で断つ。


「はあっ!」


 体の周りをぐるっと回転させ相手の武器を跳ね飛ばし、左上へと高々掲げられた鎌刃が殺気を内包―――刹那に袈裟切り。
 最後の敵も何ら目を引くエピソードを見せず、余裕のままに葬られたのだった。


「うーっし……お疲れさまッス」
「不意打ちは驚きましたが……まぁこの程度ならば、まだまだ続けられましたね」
「だるいから、俺はパスの方向で」
「貴方は冬眠中の熊ですか?」


 気の抜けたやり取りが再開され、ニヒトは半笑いなままにポケットへ手を突っ込んだ。

 途端、ニヒトの顔に驚愕の色が濃く表れる。


「チッ、しまった……!?」
「どうかしたんですか、ニヒトさん……?」
「ちょっと不味いなぁ、これは……!」


 段々と暗い顔つきに変わり、気だるげなモノこそ消えないだけで、十二分に緊張をあおる空気を醸し出している。

 笑顔に戻りかけていたセツナの顔にも、並ならぬ焦りが見てとれる。

 ギリ……! と歯軋り一つ決め、ニヒトが重大な言葉を言い放つ―――!


「煙草切れてるし……そりゃないッスって! こんなとこでよぉ……!」
「……心配した私が馬鹿でした」


 酷く私的な事だった。セツナが頭を抱えたのも仕方ない。
 誰が気にするのかといえば、ニヒトしか気にしない事柄であった。
 先まで咥えていた煙草を口から話してないあたり、実力故の残念さとその要らない執念が窺える。

 もう一刻も早くこの空気から脱したいが為か、セツナはやり取りが始まる前からもしきりに、携帯通信機器を気にしていた。
 されど彼女の懇願届く事無く、“リュウ”と“アマリ”からまだ連絡は入らない模様だ。

 一方のニヒトはまだ諦めきれないか、ひどく前屈みになってまで落ちた煙草を探している。
 踏み潰されて使えなかったモノを見ては溜息をつき、湿って火が着かないモノを見ては口を“へ”の字に曲げ、煙草に似た偽物を拾っては親指で弾いて頭をふる。

 それでも! とばかりに、何故か右手の指を二本揃えてスライドさせた。
 其処から驚くべき事に、パソコンのデスクトップを抜きだした風にも見える、ホログラフ的質感の“何か”が目の前に現れる。
 Mainemenu→you ah select? →itemの順にクリックしていき、やがて目的が達せられなかったか肩を落とした。


「あ、繋がりました!」


 そんな絶不調一直線な彼とは対照的に、セツナの方ではどうも進展があったらしく、両肩が挙げられ調子がはずんでいる。
 初対面であったなら兎も角、少し前までの彼女を確認していたのならば、それなりに嬉しそうなのが見て取れた。

 項垂れるニヒトの肩を叩いてから、通信機へ意気揚々と耳を付ける。


「リュウさん、アマリさん、聞こえてますか? そちらで何が有ったのか、なるべく細かに説明して貰えると―――」





“ズグアァァァッ! ガシュウゥゥゥン!”
『いやっふーぅ』
『うおおおぉぉああぁぁぁ!?』

「は?」


 聞こえたのは人間の声……だけではなかった。
 厳密には音、機会が発する独特の、冷たく硬質的なモノが、通信機から響いて来たのだ。
 突然の事にセツナは目を丸くし、ニヒトも若干顔を上げる。

 またも通信機から轟音が響く。


“ギュオオオオオォォン!!”
『あっはぁ! これすごいです、すごすぎるですよー』
『言ってる場合かよ!? もっと速くだアマリィ!!』

「な、何かあったんですか?」


 一瞬で狼狽を内へ押し殺し、向こう側の状況をセツナが問う。
 すると、すぐさま焦りを隠さない大声でリュウの返答が来た。


『ロボット! クソデカいロボット! 背後から来ているんだ、どこぞのストーカみたく!』
“ギイイィィィン!!”
『あっはぁ……はい、楽しそうですけど流石にピンチなのですー』
『お前はせめて狂っててくれ! コッチの調子が変になる!!』


 冷血かつ重厚な音は間違いなく、リュウが指しているロボットの物。
 カカカカッ、と軽快な音は恐らく地面“以外”を走る音で、時折聞こえるガカッ! とした物は跳躍だろう。
 
 まずリュウ自身が『クソデカい』と言っているのだから、地面を走れば追いつかれるのは間違いない。
 その所為で彼等は今、建物から建物へ飛び移っていると、セツナは通信機越しでも察した。

 怒鳴り声で言葉をぶつけ、ちょっと震えている間の抜けた声が聞こえ、言い合いならぬ言い合いを繰り広げてはいるが、建物が無くなれば一発でアウトになってしまう為、余裕はそうそうないだろう。

 救出すべく、セツナは最も重要な質問をした。


「それで、御二人は今何処に居るんですか―――」

“ガッション! ガッション! ガッション!”
『「あっはぁ! ピンチー」』
『「おぉ助けええぇぇぇ!?」』


 ……唐突に近くから響く、二種類のサウンド。


「…………居た」
「居たなぁ」


 ―――リュウ等からの返しを待つ間もなく、ちょっと遠くをその“答え”が通り抜けて行った。
 数秒茫然としてしまうが、激しく頭を振ってセツナは我に返る。


「ニヒトさん! 分かっているでしょうけど、二人がピンチの様です……すぐに行きますよ!」


 頷いて当然なセツナの言葉に、しかしニヒトの反応は何故だか薄い。
 心なしか嫌がってもいる。


「……なぁ……?」
「何ですか」
「……俺のバイク、使う気ッスかい?」
「だって貴方以外、バイク持ってませんし」


 あんぐり口を開けながら何がダメなのか、ニヒトが貸すのは嫌だと弁を捲し立てし始めた。


「アレ、56万3千ルピアしたんだってーの……フラグ立ったこんな非常事態に使いたくないってーか、なんというか……」
「取りあえずどちらが運転するかを決めましょう」
「あのさ…………はぁ~……で、俺が運転して良い?」
「遠距離武器が使えるのならば、運転はニヒトさんより私が適任ですね。早く行きましょう」
「話をさぁ、聞いてくれッスよぉ……」


 言いながらニヒトのバイクまで二人は向かう。……正確には、ニヒトはドナドナもかくやと引き摺られている。
 それでも何が重要か分かっているのか、それとも既に諦めたか強引に乗せられた。
 コレまた近未来的な装いの、濃い灰色をしたバイクは大型で、充分二人でも乗れそうだ。

 押しのけながら運転席へセツナもまたがり、またも『謎のメニュー』を開く。
 幾つかの窓をクリックしてから、最後にゴーグルを指でタップして頭へ持っていく。
 するとどうだろう……何もなかった額付近へ、オレンジ色のゴーグルが何時の間にやら装着され、目の辺りまでセツナはそれを降ろした。
 これぞ、Mr.マリ○クもビックリのイリュージョンだ。


「さぁ! ロボットを粉々にしてあげましょう!」
「……バイクが粉々にならねぇと良いなぁ……」


 酷く対照的な温度差を見せつけながら、エンジンを震わせバイクが飛び出して行った。

 
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