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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)

作者:あちゃ
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第43話:正当な報酬

 
前書き
あけましておめでとうござい。

本年も宜しくお願い致しまする。 

 
(グランバニア城・国王主席秘書官執務室)
アローSIDE

メイドのマオさんから台車を借りて、マリーの物(という建前のゴミ)をグランバニア城1階の道具屋に売りに行く。
着た事あるのか判らない衣類や、読んだ形跡のない書物の他に、大量の貴金属が混じってたので、それなりの売値を期待した。

そしたらなんと……
総額で12000(ゴールド)もの大金で売り払う事が出来た!
査定金額が出る直前まで、売る事を渋ってたマリーだが、12000(ゴールド)もの大金を前に突然態度が変わる。

「やりー! 思ってもみなかった臨時収入♥ よ~し、皆には世話になったから、50(ゴールド)ずつバイト代出しちゃうね」
と偉そうに言う。
何で上から目線なんだよ!?

「アンタの部屋にあった物の殆どがウルフに買って貰った物でしょ。このお金はウルフに返すのが筋よ! 50(ゴールド)のバイト代なんか受け取る気は無いし、アンタに12000(ゴールド)を渡す気も無いわ!」

「ちょ、ちょっと待ってちょっと待ってお姉さん!」
リューノの厳しい言葉に、妙なリズムで反論をしようとするマリー。
だがしかし、そんな反論は受け付けないとばかりに12000(ゴールド)を受け取りアニキの下へと踵を返すリューノ。

「お、おい。ちょっと待てやコラ!」
金持って逃げ出そうとするリューノを、慌てて捕まえようとするマリー……
その間に割り込み、抜刀の構えをするリューラが邪魔をする。

「行けリューノ。コイツは私が足止めする」
「サンキュー、リューラ! タイミングを見計らって貴女達もウルフの執務室に来てね」
そう言うとオイラ達を置いてダッシュで逃げていった。

「おい、私と遣り合おうってのか?」
「私にそんなつもりはないが、お前次第だ」
リューラは強い。剣術だけでならマリーなんて敵じゃない。

しかしマリーの魔法は桁外れだ。
正直、こんな所で戦うのは拙いと思う。
でも二人からは殺気が溢れ出している……

「私はお前を倒す必要は無い。時間を稼げば良いだけの事……お前はどうだ? 今すぐにでもリューノを追いたいのだろ」
「私の魔法を持ってすれば、アンタなんか一瞬で消え去るわよ。良いのかしら?」

「構わんさ……私を吹き飛ばして、リューノを吹き飛ばして、12000(ゴールド)を手に入れれば良い。だが、お前にはそれだけだ。12000(ゴールド)の為に人を殺したお前を、お父さんは如何思うかな? その後もお前は姫様として、この国で生きて行けるのかな?」

そうか……マリーの魔法は強力すぎて、手加減(殺さず)出来ないんだ。
となると魔法は封じられたも同然。
体術(剣術)ならば、リューラの方に分があるのだし、目的の足止めは問題なく行える。
手加減って大切だなぁ……

アローSIDE END



(グランバニア城・国王主席秘書官執務室)
ユニSIDE

物凄い勢いでリューノちゃんが入室してきたと思ったら、ウルフ殿にかなりの大金を差し出す……と言うより、押し付けた。
「何だよ急に……? この金は何なんだよ! 怖ーよ、何の金だよ!?」

「はぁ、はぁ、はぁ……お、お金……返す……はぁ、はぁ」
「こんな大金を貸した憶えねーよ。説明しろよ、怖ーから!」
何を慌ててるのか解らないが、本気で駆け込んできた為かリューノちゃんの息が上がり、真面に喋る事が出来ない。

リューノちゃんの息が整うのを待ってると、またもや勢いよく入室してくる面々が……
「それ私のお金だから! 返してよウルフ、私のお金なんだからね!」
「お前んじゃない。ウルフに返すのが正当だ」

「ホント何なんだお前等は? この金は何なんだよ!?」
「何だリューノ……まだ説明してなかったのか? 随分と時間稼いだはずだが」
「リューノちゃんも30秒程前に来たばかりよ」

何処から如何来たのか解らないが、まだ息の上がってるリューノちゃんの事をリューラちゃん達に説明する。
「30秒だと!? どんだけ足が遅いんだお前は?」
「しょうが無いよリューラ……リューノはオイラ達と違って肉体派じゃないんだよ」

「でも頭脳明晰って訳でもないわよ(笑) アンタ……もっと鍛えなさいよ、頭でも身体でもいいから」
まだ喋れないリューノちゃんに姉妹が言いたい放題。
だが彼女のレベルが低いのではない。他の姉妹達の能力が高すぎるのだ。
リューノちゃんは年相応の普通の女の子だ。

「そんなん良いから、早くこの金の事を説明しろ!」
「だから私の金だってば!」
多分マリー様の言ってる事は正しいんだろうけど、彼女に渡しちゃダメなお金なんだと思うわ。

「アニキ、その金はマリーの()()()にあったゴミ(不要物)を売って得た金なんだ。だから出何処はアニキの財布だろ。だからアニキの金って事なんだよ」
「なんだ……マリーの部屋の片付けを手伝ってくれたのか?」

「だって……私達が手を貸さないと、この()ちゃんとやらないじゃない。でもお仕置きは必要でしょ? だから、そのお金は没収って事で、ウルフに返金する訳なのよ」
やっと息の整ったリューノちゃんが、先程の姉妹達からのバッシングにもめげず説明してくれた。健気で可愛いわぁ……

「そうか……じゃぁ俺の金って事だな」
「だから違ーって、私んだってば!」
言いたくはないが、リュカ様の娘様の中でマリー様が一番王族に向いてないと思う。

「うるさい黙れ。お前がもっと部屋を綺麗に使用してれば、こんな事態にはならなかったんだろ! ペナルティーだと思って諦めろ」
「くっそ~……」
ウルフ殿に言われれば大人しく従う可愛いマリー様。

「じゃぁ諦めるけど、臨時収入があったんだから、私にアダルティーでハデハデなパンツ買ってよ!」
「まだ懲りてないのかお前は!? 物が多すぎて部屋が散らかったってのに」
こんなに喋るリューラちゃんを初めて見る。そんなに凄い部屋だったのね。

「俺の趣味じゃないパンツは買わんと先程言っただろ! ノーパンで居ろ馬鹿……そしたら直ぐにでも物陰に誘ってやるから」
馬鹿はお前だ!

「何だねユニさん、その蔑んだ目は? 男は皆こんなモンだよ、君の憧れのリュカさんを含めてね(笑)」
「リュカ様は超絶美形の絶世のイケメンダンディーだから良いんですぅ! 他の男がそれをやっても最低なだけ……貴方を含めてね、ウルフ殿」

「ああそうですか」
現実を解らせてやろうとウルフ殿に言ってやったが、さして感銘を受ける事無く流される。
ホント……生意気な男だ。

「さて、リューノ達には手伝ってくれたお礼をしなくちゃな。ほら、この12000(ゴールド)から4000(ゴールド)ずつ持って行きなさい。バイト代だ」
よ、4000(ゴールド)!? 子供にそんな大金を持たせて良いの?

「あらそう? じゃぁ4000(ゴールド)貰っちゃうわね」
そう言ってマリー様がシレっとお金を取ろうとした……
本当に品がないわよね。

「お前にじゃない馬鹿マリー! それに受け取れないわよウルフ……大金過ぎるわ」
ある意味一番品があるリューノちゃんが、マリー様へのツッコミとウルフ殿への丁重な断りを入れる。勿論、リューラちゃんもアロー君もリューノちゃんの意見に賛成模様。

「そうか大金過ぎたか……じゃぁ2000(ゴールド)ずつ持って行け」
そこまで言い切ると、ウルフ殿は立ち上がって2000(ゴールド)ずつを3人の懐にねじ込んだ。
そして貰えないと拒絶する3人に向かって……

「俺は忙しいから、もう出て行け」
と言って、返金を拒絶。
力尽くで4人を退出させると、何時も通り書類に目を通し始める。

何……ちょっと格好いいじゃないの!

ユニSIDE END



(グランバニア城内)
リューノSIDE

「ど、どうしようっか?」
「如何もこうも……困るわよね、こんな大金」
私とリューラが2000(ゴールド)という大金に困ってると……

「元々私の金なんだから、私に返すのが筋でしょ♥」
とマリーが可愛らしく両手を差し出す。
その可愛さに、思わず渡しそうになる。

「お前に返すくらいなら燃やすわ、馬鹿が!」
だがマリーの可愛さにやられないリューラは、キツイ言葉で返金拒絶。
「案外がめついわねぇアンタ」
お前が言わないでよ。

「まぁまぁ、疲れたしカフェで一息入れない? 奢るわよマリー」
「私の金だったんだから、上から目線で『奢る』なんて言わないでよね」
私の心遣いに、最もがめつい女はクレームを付ける。

「奢ってやる事ないのにリューノ……そいつの自業自得なんだから」
「何だとクソ坊主! お前最近生意気だぞ!」
最近言う様になってきたアローが、またマリーを刺激する。

「勝手に喧嘩してなさい。私は一人でもカフェでお茶するから……」
疲れた私はマリー・リューラ・アローを置いて、サッサとカフェへと歩き出す。
すると……

「待って待って~……もう金が戻らないのなら、せめてお茶などを沢山奢って貰っちゃうからぁ~」
「おい、そいつに還元するつもりなら私にも奢れ! そしてマリーへの還元率を下げろ」
「あ、オイラもマリーの還元率低下に協力する! 奢ってくれリューノ」

何だコイツ等……
人の金ならばと随分な集り様だぞ!?
「ア、アンタ等だって私と同じ金額貰ったでしょ。自分の分は自分で出しなさいよ」

「勘違いするなリューノ。私はお前に奢って貰いたいのではない。マリーの還元率を下げたいだけだ!」
「そうそう、オイラも同様だ」
「何言ってんのアンタ等? 結局は私の出費が増えるだけでしょ!」

「堅い事言わないでよリューノちゃん。一番常識人なアンタが、常識的対応で非常識な私達に奢ってくれれば良いって事なのよ」
「おいマリー……私が非常識人だと言うのか!?」

「あ~らリューラさん。常識人は『還元率を下げる』とか言わないのよ。だって意味解んないもの」
「そうだよリューラ。オイラも言ってて意味解らなかったよ。でも良いじゃん非常識人でさ。そうすれば奢って貰えるんだし……ね?」

「た、只の集り屋か!」

リューノSIDE END



 
 

 
後書き
従姉の子供にお年玉をやるのが、大変イヤなあちゃは、
新年の挨拶である、親戚が集まる行事をボイコットします。

良い子の皆は、あちゃみたいな大人にならず、
ウルフの様な器の大きい大人になって下さい。 
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