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銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)

作者:azuraiiru
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第二話 始まり

 俺の名前は佐伯 隆二といった。年齢は25歳。独身。まあ恋人はいる。地方公務員で市役所に勤めていた。いたって普通の一般人だったと思う。いまだに何があったんだかさっぱりわからない。気付いたらこの世界に生まれ、赤ん坊になっていた。

 最初はパニックになったね。起きようと思っても起きられない。声をだしたら「おぎゃー、おぎゃー」だよ。何だよコレ、と思って手足をばたばたさせたら、金髪に青の御眼目の美人と人の良さそうな黒髪黒目の白人男性が俺の前にやってきた。

 なんで家に外国人がいるの?でまたパニックになったけど、二人は俺の体を触ってなにやら話しあってた。自慢じゃないが外国語なんかさっぱりわからん。お前ら何者だ、何で俺の家にいると抗議(実際にはぎゃーぎゃー泣いているだけだったが)していると、いきなり女の方がオッパイを出して俺を抱き上げた。

おいおいちょっと待てよ。それはまずいだろ、と思っているといきなり授乳ですよ。気がついたら夢中で吸っていましたよ。いやーあれって癒されるのね。お腹も一杯になるし、なんていうか安心する。自分が赤ん坊になってるって受け入れられたのもアレが大きいと思う。

 自分が赤ん坊になっているのは理解できたけど、どこにいるのかが良くわからなかった。俺の両親(俺はこの二人の子供として生まれたんだろうというのはなんとなく理解できた)が話している言葉がドイツ語だということはすぐ解かったからヨーロッパなのかと最初は思っていた。あの当時自分が一番不安に思っていたのは元の自分がどうなったのかだった。生きているのか、死んでいるのか。多分死んでるんだろうが、自然死かそれとも誰かに殺されたか。まさか恋人に毒殺されたとかなんて考えたりした。自分の死因がわからないてのは非常に気持ち悪いね。

 自分が銀英伝の世界に転生したって解かったのは3歳ぐらいだったと覚えている。俺は銀英伝の大ファンだったし、そりゃ何度か、いや何十度か銀英伝の世界にいけたらと考えた事はあったけど呆然としたよ。俺の生年は帝国暦465年、ローエングラム王朝はあと20年ちょっとで誕生するし、ラインハルトは既にこの世に誕生していることになる。ため息が出た。
 ま、世の中はこれから良い方向に向かうんだと気持ちを切り替えて生きていこうとしたよ。くよくよしても仕方ない。

 俺の新しい家族を紹介しよう。
 俺の父はコンラート・ヴァレンシュタイン。弁護士だった。友人と共同で事務所を開いていた。そこそこ繁盛していたようだ。母はヘレーネ・ヴァレンシュタイン。美人だった。綺麗というよりは可愛い感じの美人だった。司法書士の資格を持っていて父の事務所で働いていたらしい。それがきっかけで結婚したと聞いた。

 俺はこの二人から溺愛されたと言っていい。生まれたとき体が弱かったのだ。一度呼吸が止まって大騒ぎになったこともあるという。俺の転生もそれが関係しているのかもしれない。実際、俺が転生してからも何度か体調不良で病院の世話になっている。そのため大切にされて育った。俺もこの二人が大好きだった。大きくなったら弁護士になる、一緒に仕事をしようといって両親を喜ばせた。

 実際そのために勉強もした。元々ある程度の知識はあるし、意欲もある。俺はあっという間に小学校を飛び級し十二歳のときには、中学の卒業を迎えることになった。自慢の息子だった。よく父は俺の頭をクシャクシャと撫で母は優しく抱きしめ、額にキスをしてくれた。幸せだった。あのまま、ずっと幸せな日が続くと思っていた。ずっとだ。

 愚かにもおれは肝心なことを忘れていた。この世界には門閥貴族という人の命を虫けら程にも思わない連中がいるということを。
 
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