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仲直り

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3部分:第三章


第三章

「何でここにいるんだよ」
「チアリーディング部の部活が終わってよ」
「それで帰るっていうのか」
「そうよ。それはあんたもでしょ」
「ああ、そうだよ」
 バッグを肩から背負った姿勢で不機嫌な顔になってだ。隼は言葉を返した。
「今終わったところだよ」
「全く。何だってのよ」
 梨香子もだ。不機嫌な顔で言う。
「こんなところで会うなんて」
「だから言ってるだろ。こっちの台詞だよ」
「あのね、あんたね」
「何だよ」
「ハンバーグにケチャップって何なのよ」
「それが王道だろうが」
 彼女も彼女で言いたいことだった。それを彼に言ったのである。
「マヨネーズなんて邪道もいいところだろ?」
「いいえ、マヨネーズが王道よ」
 何時しか二人は向かい合ってだ。そのうえでだ。
 ハンバーグについて言い合う。完全に子供の言い合いだった。
 それを暫く続けてからだ。二人同時にだ。
 顔を背け合ってだ。そうしてだ。
 別れてだ。最後に言い合ったのである。
「またな」
「またね」
 こう言い合って別れて下校に就く。そしてだ。
 梨香子はそのまま帰り隼はだ。仲間達に言ったのである。
「じゃあ行くか」
「御前な、言わせてもらうけれどな」
「完全に子供だろ」
「全く。何だってんだよ」
「何時までこんな下らない理由で喧嘩するんだよ」
「許せることと許せないことがあるんだよ」
 あくまで意地を張って言う彼だった。そのうえでだ。
 仲間達にだ。あらためて言ったのである。
「じゃあ帰ろうな」
「ああ、それじゃあな」
「行くか」
 こう話してだった。彼等はだ。そのうえでだ。
 下校するのだった。隼は憮然とした顔で家に帰る。
 家で家族と御飯を食べて風呂に入って勉強もする。しかしだ。
 母親からだ。寝る前に言われたのだった。
「どうしたのよ、今日」
「今日って?」
 寝る前にいつも飲んでいるホットミルクをテーブルに座って口にしている時に言われたのだった。
「どうしたのよって何だよ」
「あんた家帰ってからたずっと不機嫌じゃない」
 母が言うのはこのことだった。
「お父さんも気付いてたわよ。どうしたのよ」
「別に何ともないよ」
 その不機嫌な顔での返事だった。
「本当にさ」
「梨香子ちゃんと喧嘩したの?」
 こう言われてだ。隼は内心ぎくりとなった。しかしだ。
 それは何とか見せない様に抑えてだ。母に言ったのである。
「そんなことないよ」
「いえ、図星でしょ」
「だから違うって言ってるじゃないか」
「どうせ下らない理由の喧嘩でしょ」
 だが、だった。母は鋭い。その鋭さからだ。
 息子に対してだ。鋭く言ってくるのだった。
「どうでもいいような」
「だからそれはさ」
「あんたみたいな年頃はそういうことも多いけれど」
 親としてだ。息子に言う言葉だった。
「それでもよ。仲直りはしなさいよ」
「俺は悪くないんだよ」
 言ってしまった。自分から。
「それで何でそうして」
「いいから。仲直りはしなさい」
 自分で言った我が子の迂闊さはあえてスルーしてまた言う母だった。
 
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