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不眠症

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2部分:第二章


第二章

 そしてだ。彼はこう言うのだった。
「最近あれなのだ」
「あれ?」
「あれって何だ?」
「一日八時間しか眠れていない」
 それだけしかだとだ。総一郎は言った。
「困ったころだ。眠れなくなった」
 彼の今の言葉を聞いてだった。
 クラスメイト達はまずは唖然として。すぐに呆れた顔になってだ。彼に問うた。
「おい、今何て言ったよ」
「一日八時間しか寝てない?」
「いつもそれだけ寝てるのか?」
「そうなのか?」
「これまでは十二時間寝ていたのにだ」
 半日である。
「それだけしか寝ていないのだ」
「はぁ!?」
「一日十二時間!?」
「御前それだけ寝てたのかよ」
「半日寝てたのかよ」
「それが今では僅か八時間だ」
 また言う彼だった。
「一体どうしたものか」
「あのな、御前どんだけ寝てるんだよ」
「半日なんて寝過ぎだろ」
「普通六時間や七時間だろ」
「八時間でも多いぞ」
 クラスメイト達はだ。呆れながら彼に話す。
「それまでが寝過ぎだろ」
「っていうか何をどうやったらそこまで寝れるんだ」
「そっちの方がおかしいだろ」
「おかしいか?」
 総一郎の言葉は全く自覚していないものだった。
「拙者は寝過ぎなのか」
「ああ、おかしいよ」
「異常だろ、そこまで寝るのは」
「全く。何かって思って聞いたら」
「有り得ないだろ」
 クラスメイト達はまだ彼に言う。
「というか御前もう少し起きてろよ」
「十二時間も寝るな」
「っていうかそれで不眠症ってな」
「御前は三年寝太郎か」
 童話の主人公の名前まで出るのだった。そんな話をしてからだ。
 授業を受けた。その時だ。総一郎は。
 ずっと寝ていた。授業中は常に熟睡している。それを見て彼等は不眠症、彼が言うところのそれの秘密がだ。わかったのだった。
「御前寝過ぎだよ、授業中」
「一限目から六限目までずっと寝てるだろ」
「それじゃあ夜八時間しか寝れないのも当然だろ」
「八時間でも相当だがな」
「むう、そうであったか」
 言われてだ。総一郎も納得した。
「それがし。昼も寝ておったか」
「授業中ずっとな」
「一度も起きてないぞ」
「流石にいびきはかいてないけれどな」
「寝てばかりだよ」
「左様であったか。拙者は寝ておったのか」
 こう考える総一郎だった。話を聞いてだ。
「十二時間。寝ておったか」
「というか昼は起きろよ」
「本当によ。どれだけ寝るんだよ」
「不眠症っていうか過眠症だよ」
「全くよ」
 クラスメイト達はあらためて呆れたのだった。彼のその寝る有様にはだ。
 かくして総一郎の不眠症の理由もわかった。しかしだった。
 クラスメイト達にとっては全く以て呆れた話だった。それでまた彼に言った。
「寝る子は育つか」
「身体だけは立派だよな」
「全くよ。猫みたいに寝やがって」
「半日寝たらもう満足だろ」
「ううむ、確かに健康にはいい」
 総一郎も腕を組んで言う。
 
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