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『殺し、失い、得たもの。』

作者:零那
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『舞』



何故か妙に零を慕ってくる可愛い子。
目はクリクリ。
ぷっくりアヒル口。
両親不仲で、父親は愛人宅。
母親は若い男とセックス狂い。

『舞がおってもおらんでも家庭は崩れてる。誰もおらん家に帰る意味がない。お姉ちゃんは、おるけど微妙な関係』

そう淋しそうに泣く。
守りたくなる。
そんな子だった。

いかにも女の子って感じの子は嫌い。
舞は見た目も中身も女の子らしい女の子。
本来なら好かんタイプ。
でも、不思議と舞は放っとけんかった。

守りたい。
守ったらなあかん。
居場所を求めてんねや。
其れは解る。

自分の存在に意味やか無いって思ったまんま、生きていって欲しくなかった。
そんなん、ごっつ辛いし、苦しいやんか...

血を分けた妹の様に、大事な大事な存在になった。


『桜』

舞の実姉。
零は、舞と桜の関係性を知る為、桜に近付いた。
強気で勝ち気で生意気。
口が悪くてプライド高い女。
自分がもう1人おるみたいやった。

喧嘩中の桜に加勢。
でも、喧嘩中にも関わらず、零の胸ぐら掴んできた。

『おどれ誰ぞ』
『似たモン同士』
『はぁ?アホか』
『お互い様。とりあえず終わらそ』
『おぉっ!』

喧嘩が終わって色んな事を話した。
気が合うってゆうか分身?
そんくらい許し合えた。

目的は家族の話。

『妹おるやんなぁ。超可愛い♪』

『...知り合いなん?』

『慕ってくれてる♪』

『そっか、アンタが傍におるんなら良かったわ』

『...複雑なん?』

『姉の意地やな。何も出来なんだ。合わす顔やか無いわ』

『詳しくは知らんけど、その気持ち舞には伝わってないよな?』

『助けてやれなんだ!合わす顔やか無い言うてるやんかっ!』

自分を責めるように泣き出した。
苦しくてイタイ気持ち。
助けたい人を助けれんかった...
そのイタミは、ほんまにイタイくらいに解る...

『桜、大丈夫。舞、其処に来てる』

舞は、泣きながら桜を優しく包み込むように抱きしめた。


『姉妹愛』

長年のボタンの掛け違い。
想うが故の遠慮。
想うが故のイタミ。

元の仲良し姉妹に戻った。
何のシコリもなく。
良かった...
ほんま嬉しかった。
つい、涙が流れるくらいに...


 
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