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東方変形葉

作者:月の部屋
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番外編 ~東方変成海~
  東方変成海1話 「無意識の力」

 俺、葉川裕海は休日を満喫する……つもりでいた。
 今日は久々にゆっくり休めるぜと高笑いしていると、一人の少女が尋ねてきたのだ。
 その少女とは、こいしである。
「ねぇお兄さん、こいしと遊ぼ?」
「え……今から寝るんだけど」
「……だめ?」
「くっ……。……。……はぁ、仕方ないな」
「わぁい!」
 俺はこいしの上目遣いにあえなく撃沈。心理戦(?)で敗れた俺は、家に上げることにした。
 人形たちは今、メディスンと遊びに出かけている。人形同士でしかわからないこともあるのだろう。あの子たちの出番も今度ちゃんと作るから、またいねぇ!とかは言わないでいただきたい。誰に向かって言ってんの、俺。
「それで、何するの?」
「恋人ごっこしよ!」
「そっかそっか恋人ごっこかぁぁぁぁああああああ!?」
 朝っぱらから喉仏がぶっ飛びそうになった。そして朝っぱらから何を言い出すのだこの子は。これが無意識の力か。
「お姉ちゃんにね、お友達と親密になるにはどうすればいい?って聞いたら、恋人ごっことかいいんじゃない?って言われたの~!」
 何を教え込んでいるんださとりさんよ。
 あるいはそういう意味で言ったのではないのだろうか、というかそうであってほしい。
「恋人って、なにするの?」
「え……」
 当然だが、俺は外の世界にいたときに恋人なんて作ったことなんてないし、作ろうとも思わなかった。なので、恋人がすることといえばキスとかデートぐらいでしょ?程度の認識なのである。
 外に行くのが面倒なのでデートは選びたくなかったが、キスは論外なのでやむを得なかった。
「……。……えぇと、デートに行く、とか」
「でぇと?門のこと?」
「そりゃゲートだ。違う違う、デートっていうのは、その……えぇと、恋人同士の仲をもっと親密にするために、思い出づくりをすることだよ」
「ほえぇ~」
 納得したのかはさておき、一応理解してくれたのだろう、ふむふむと頷いている。
「じゃあ、初めにキスすればいいの?」
「うん……は?」
「お姉ちゃんが、最初はキスよって言ってたの」
「……」
 あの子は心だけじゃなく未来まで読めるようになったのかね。
 というかなに適当なこと言っちゃってくれてんの!?キスから始まるデートなんて聞いたことねぇよ!多分!
 ……さて、どうしたものか。
「……キスって、何か知ってる?」
「ちゅーでしょ?」
 知ってやがった。
 くそう、これじゃごまかせねぇ。
「う……こいしとちゅー、嫌?」
「え?そんなことはないけ……ど」
 しまった。
 罠にはまった。
 こいしがはやくはやくと急かしてくる。正気かこの子。
 意識するだけで心臓がバクバクと跳ね、だんだんこいしの匂いがフェロモンのように思えるほど俺を誘惑してくる。これが男という生物の宿命。
 こうなれば。
「んひゃっ……ふぇ、ほっぺ?」
 頬に口づけをした。
 マシュマロのようにふにふにと柔らかく、しっとりと湿っていてみずみずしい。こういうのもあれだが、一言で言うと、おいしかった。
「……そうだよ。恋人はいきなり口から始めない。ほっぺから始めるんだよ。ほっぺから始まって、デートの回数を重ねて、それでようやく口でできるんだ」
 と、恋愛経験ほぼ0の俺が語ってみる。
「へぇぇ、そうなんだぁ。何回くらいデートすればちゅーできるの?」
「え?……20回ぐらいかな」
「うん……めんどくさくなってきちゃった。恋人ごっこはやめよっ」
 よかった、諦めてくれた。
 こうしてこいしも、立派な大人になってくれたらいいな。
「次はね、新婚さんごっこしよっ!」
「……え?」
「お姉ちゃん言ってた!新婚さんは、しょや?に二人だけで大人のゆうぎをするんだって!やろっ!」
「……」
 うん。
 なるほど。
 後でさとりに何か買っていこう。
 無意識な妹の世話って大変だねって。






☆おまけ
 適当に描いたやつ貼り付けます
 
 

 
後書き
番外編はまだまだ終わらない……! 
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