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転生とらぶる

作者:青竹
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Fate/stay night
  1183話

 影のゲートから姿を現すと、そこは数時間前にも影のゲートで出た場所だった。
 即ち、衛宮家の中庭。
 もっとも、今は既に夕方だ。2月だけに日が沈むのも早く、まだ5時前だというのに既に真っ暗になっている。

「あ、いい匂いがするわね。どうやら夕食には間に合ったらしいわよ」

 凛が疲れた……といった様子で肩を解すように回しながら呟く。
 実際、魔術協会や聖堂教会の両方に電話を掛けて連絡をし、言峰がやらかした事の報告をしたんだから、それは疲れるだろう。
 冬木のセカンドオーナーであると言っても、本来の凛はまだ学生でしかない。
 そんな凛が、この世界の裏では大きな力を持っている組織2つを相手に交渉したんだから、疲れるのも当然だ。
 それでも幸運だったのは、どちらの組織にしてもそこまでお偉いさんが出張ってこなかったって事か。
 何だかんだで結局冬木で行われている聖杯戦争は、この世界だと片田舎で行われてるものだという認識があるらしい。
 そのおかげで交渉も特に難航せず、無事纏める事が出来たとか。
 特に聖堂教会に関しては、凛が一方的に攻める結果となった。
 当然だろう。聖堂教会から監督役として派遣されていた言峰が、実は前回の聖杯戦争で召喚されたサーヴァントを所持し続けており、更には前回の聖杯戦争の被災者を魔力タンクとして非人道的な扱いをし、そして魔術協会から派遣されたバゼットを不意打ちして殺した――正確にはまだ生きてるんだが――のだから。
 裏の組織云々と言ったところで、これは誤魔化すに誤魔化せない程大きい出来事だった。
 なので至急新しい監督役を送ると言ってきたらしいが、それでも5日程は掛かるとか。
 ……多分、もう聖杯戦争終わってる……
 まぁ、こっちの脅威となる人物は既に言峰しか残されておらず、桜に寄生していた臓硯はもうどうにもならない状況になっており、俺以外のサーヴァントやマスターにとっては致命的な存在でもある金ぴかも既に倒した。
 だとすればそこまで急いで大聖杯を処理する必要はないんだけど、ここで無理に時間を掛ければ言峰が妙な行動を起こしそうだし、大聖杯の方も妙な事になったりしかねない。
 だとすれば、やはり早い内に何とかした方がいいのは事実だろう。

「あ、遠坂。美綴とアークも。戻ってきたんだな」

 俺達が中庭に姿を現したのに気が付いたのか、衛宮が廊下へと出て来て、窓からそう声を掛けてくる。

「ええ、魔術協会と聖堂教会の方は取りあえず何とかなったわ。聖堂教会の方からも出来るだけ早く……早ければ5日、遅くても1週間以内には人を寄越すって言ってたから、教会の周辺や、助けた人達の方も何とかなると思うわ」
「そっか。ああ、ちなみに教会から助けた人達は爺さんに頼んで連れて行って貰ったから、取りあえずは安心だと思う。……まぁ、結局そのせいで藤ねえはまた今日もこっちに来られなくなったんだけど」

 苦笑を浮かべつつも、衛宮の顔にはどこか後悔の色がある。
 大火災での被害者が今日まで苦しんできた事に全く気が付かなかった悔恨だろう。
 衛宮の性格を考えればおかしな話じゃないけど、気にし過ぎなような気がする。
 いや、俺がここで何を言っても衛宮は頷かないだろうから、その辺は口に出さないが。
 この件に関しては、衛宮との仲が進んでいるっぽいセイバーや桜に任せておけば大丈夫だろう。

「で、いい匂いがしてくるけど、夕食の時間か?」

 その代わり、話を逸らすようにそう尋ねる。

「ん? ああ、食事の準備は出来てるぞ。遠坂達を待ってたんだ。ほら、上がってくれ。さっさと食べよう」
「そうだな、衛宮の料理は美味いからな。実は楽しみにしてたんだ」

 話を誤魔化せたのか、あるいは衛宮が誤魔化しに乗ったのかは分からないが、とにかく美綴の言葉に笑みを浮かべて引っ込んでいく。

「さ、何はともあれ今日の目的は大体果たしたわ。後は、今日ゆっくり眠って……明日で決着を付けるわよ」

 この言葉を聞く限り、どうやら凛は明日で聖杯戦争を終わらせるつもりらしい。
 それはいいんだが……実は最大の問題って、言峰を見つけ出すとか、大聖杯をどうするかとかじゃなくて、柳洞寺に住んでいる者達をどうするかなんだよな。
 まさか馬鹿正直に今から大聖杯を破壊して、その際に柳洞寺にも大きな被害が出るかもしれないので避難して下さい……なんて、とてもじゃないけど言えないし。
 いや、それ以前に言っても信じて貰えないだろう。
 それどころか下手に信じられたりすれば、ここ最近冬木で起きている出来事と結びつけられて警察に連絡されかねない。
 きちんとした監督役がいればどうにかなったんだろうけど、その監督役がいないしな。
 だとすれば……いっそ無理矢理にでも眠らせるか? 凛の魔術を使えば、そういうのも可能だろう。
 俺の空間倉庫には、スタングレネードの類はあるけど催眠ガスとかはないんだよな。
 そもそも、相手を無力化するのなら俺が気絶させればいいだけだし。
 となると、いっそ俺が柳洞寺にいる奴等を全員気絶させる?
 ……まぁ、無理じゃないだろうけど、手間が多すぎる。
 一度全員気絶させてしまえば、運び出すのはスライムを使ってどうとでもなるから問題はないんだが……迷うな。
 そんな風に考えながら、衛宮家の居間へと到着する。
 すると、テーブルの上にはハンバーグやポテトサラダ、ビーフシチューといった豪華な料理の数々が乗っていた。

「うわ、随分と豪華な料理だな。これ、衛宮が?」

 綾子の言葉に、衛宮は首を横に振る。

「いや、これは桜だよ。洋食に関してはもう完全に俺を抜いてるし」
「そんな、私はまだまだ先輩には追いつきません」
「そんな事はないと思うぞ。桜の料理は心が籠もっていて、食べていて暖かい気持ちになるし」
「先輩……」

 何だこの2人。いきなりイチャつきだしたぞ。
 というか、やっぱりこの2人はそういう関係になったのか?
 まぁ、原作とは違って、桜は黒桜となって人を殺したりはしていない。
 だとすれば、確かに衛宮とくっつくのはそんなに抵抗感がないんだろう。
 特に桜の場合、元から衛宮好き好きオーラを出していたしな。
 ワカメや蟲に犯されたってのはあるかもしれないけど、これを見るとそっちは乗り越えているんだろう。
 やっぱり人の命を奪ったか、奪わなかったかというのは桜にとって相応大きかったらしい。
 そこまで考え、思わず動きを止める。
 ……待て。待て待て待て。
 もしもこのまま衛宮が桜とくっついたりした場合……桜が凛の妹である以上、もしかして衛宮は俺の義弟という事になったりするのか?
 本当にそうなったら、何だか色んな意味でこっちに迷惑が飛んできそうな気がする。

「コホン。シロウ、桜、料理が冷めてしまいます。早く食べましょう」

 言葉を挟んできたのは、セイバー。
 これが衛宮と桜に対する嫉妬からのものであれば面白い出来事になっていたんだろうけど……どう見ても、その視線は料理の方へと向けられている。
 確かに衛宮に好意を抱いてはいるんだろうが、それでも今は料理の方が大事だといったところか。
 そんなやり取りを離れた場所で笑みを浮かべて眺めているのはライダーであり、どこか面白くなさそうに不満な表情を浮かべているのはイリヤ。
 この辺の人間関係は、色々と面白い事になってそうだな。
 それに比べると俺は深い立場の関係者が凛と綾子だけなので、2人との関係は良好だ。

「っと、ああ。悪い。そうだな。折角桜が作ってくれた料理なんだ。じゃあ、全員揃ったし、そろそろ食べようか」

 こうして家主の許可も出たので、皆で豪華な食事へと手を伸ばす。

「カレーライスはいい。このビーフシチューも飯には合う。ただ、クリームシチューのようなのを飯に掛けるのはちょっとな……」
「待て、アーク。じゃあ、ドリアとかどうなるんだよ。あれだってどちらかといえばシチュー系だぞ?」
「まあな。だから俺の好みとしてはドリアは好んで食べない。ミートドリアなら話は別なんだけど。パンとシチューなら普通にありなんだが」

 この辺は、あくまでも個人の好みだろう。
 実際、美砂や円は普通にシチューを飯に掛けて食べたりするし。

「うーん、シチューならあたしも作るのは結構得意なんだけどな。今度アークに作ってあげようか? いつも遠坂の料理だけじゃ飽きるだろうし」
「ちょっと、誰が飽きるのよ。飽きるって言うなら、寧ろそういう大勢で食べる料理しか作れない綾子の方でしょ?」
「それは否定しない」
「……美綴先輩、そこは否定しましょうよ」

 自分の先輩の堂々とした言葉に、桜が思わずといった様子で突っ込んだ。
 そんな風に皆で賑やかな食事をしていると、衛宮の方も教会で助け出した者達の事を思い出さなくても済むんだろう。笑みを浮かべながら食事をしていく。
 ちなみに、個人的にはアジフライが美味かった。
 外はサクッとした衣で、中はしっとりとしたアジの食感。
 そこにソースを掛ければ、飯を何杯でも食べられる。
 更には付け合わせのナポリタンまで手作りをしている力の入れようを考えると、この料理を作った桜が衛宮に元気になって欲しいと思っているのが良く分かる。
 尚、唐揚げとかフライとかカツとかにレモン汁を掛ける掛けないってのでよく論争になっているみたいだが、個人的にはどっちでもいい派だ。
 ただ、嫌な人もいるんだろうから、掛けたい人は自分の皿に取ってから掛ければいいと思う。
 それと、アジフライを含めてフライにはソース派だったり、タルタルソース派だったり、醤油派だったり、塩派だったりする奴も多いが……まぁ、目玉焼き論争に近いものがあるな。
 俺はフライにはソース、目玉焼きには醤油だな。
 そうして食事が終わり、今は皆でお茶を飲みながら一休みしているところだ。

「……さて、そろそろこれからの事を話しましょうか。まず、最初に報告しておくと、魔術協会と聖堂教会には連絡が取れたわ。聖堂教会の方からすぐに新しい監督役をやるって話だったけど、それでも5日から1週間くらいは掛かるらしいわよ。魔術協会の方からも人は来るらしいけど、こっちはもっと掛かるみたいね」
「ふーん、じゃあ大聖杯の方はどうするの? 新しい監督役が来るのを待つ?」

 イリヤのどこか挑発するような問い掛けに、凛は首を横に振る。

「それは色々と不味いでしょうね。大聖杯自体が危ないというのもあるけど、何より危険なのは綺礼よ。あいつがまだ自由に動けている以上、大聖杯を放っておく訳にはいかないわ」
「そうだな。俺としてもそっちの方がいいと思う。遠坂の言う通り、言峰って男を自由にしておくのは危険過ぎる」

 凛の意見に衛宮が賛成し、他の者達も同様に頷く。
 勿論俺もだが。

「そ。じゃあ、取りあえず大聖杯をどうにかするのは確定って事で。……で、問題は柳洞寺にいる人達をどうするかね。まさか大聖杯破壊するのに、柳洞寺をそのままにしておく訳にもいかないし」
「……確かに。でも、どうするんだ? 遠坂の魔術でそんなのが出来るのか?」
「1人ずつならともかく、皆纏めてってのはちょっと難しいわね。ガンドを使ってもいいのなら、どうにでもなるけど」
「おい」

 思わずそう声に出す。
 恐らくこの場にいる者の中で、もっとも多く凛のガンドを撃たれているのは俺だ。
 それだけに、そのガンドの威力は十分に理解している。
 ちょっとした銃弾並の威力があるそれは、ぶっちゃけ連射性も考えると宝石魔術よりも余程強いように思える。
 特に嫌らしいのは、もしその強力な一撃を耐えたとしてもガンド特有の効果で病気になってしまうことだ。
 さすがにそれを柳洞寺にいる者全員に撃ち込むのは可哀相だ。

「何よ。じゃあ、他に何かあるって言うの?」
「……他に何かある奴はいないのか?」

 凛の言葉に、周囲を見回す。
 イリヤやライダー辺りはどうにか出来そうだけど……だが、2人共が特に何を言う様子もない。
 これが本当に手段がないのか、魔術的な秘匿の問題なのか。
 どちらにしろ、手段がない以上はどうにかする方法は……

「まぁ、最悪俺が1人ずつ気を失わせていくという方法もあるけどな」
「……それは時間が掛かりすぎないか? それも、柳洞寺にいる人達は結構多いんだぞ? 気を失わせているところを見られるかもしれないし」
「まぁ、衛宮の言いたい事も分かるが、影のゲートを使って気を失わせた奴から運んでくれば大丈夫だろ」

 その後も色々と話をしたが、何かいい意見がある訳がなく……結局は俺の意見が採用され、1人ずつ気絶させるという方法を取る事に決まる。
 実行は明日の夜。
 今夜の方がいいという意見もあったのだが、今日は色々と忙しかったからということで却下される事になった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188 
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