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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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第二魔法

 
前書き
私がこちらで読んでいる作品のあるキャラの言葉を聞いて思い出した真島先生の4コマ漫画。ちょっとアレンジを加えて・・・

ルーシィ「あたしは?」
フレア「金髪ぅ」
ナツ「俺は?」
フレア「桜髪・・・」
シリル「俺は?」
フレア「水髪?」
ジュラ「ワシは?」
フレア「・・・と・・・透明髪・・・(汗)」
ジュラ「優しい女子(おなご)であるなぁ(涙)」

どんな4コマ漫画やねん!! 

 
その頃、シリルが交戦する予定だったタクトと戦闘しているグレイは・・・

「アイスメイク・・・氷創騎兵(フリーズランサー)!!」

グレイは氷の槍を大量に放ちタクトを襲う。しかしタクトはそれを見るとすぐに地面に手をつける。

青い山脈(ブルーマウンテンチェーン)!!」

彼の前に現れた巨大な青い山がグレイの魔法を防ぎきる。そこからタクトはすぐさま剣を右手に換装しグレイに迫る。

「剣の舞!!」
「アイスメイク・・・(シールド)!!」

舞いを踊るように斬りかかったタクトの攻撃をグレイは盾を作り出して防ごうとする。しかし、氷の盾は一瞬のうちに粉々にされてしまい、グレイは悲痛の声をあげる。

「花のワルツ!!」
「ぐはっ!!」

花びらを纏った風がグレイの腹部を直撃し後方に押される。タクトはそのグレイに追撃といわんばかりに長い足を活かした蹴りをお見舞いしようとするがグレイは頭を下げてその攻撃を避ける。

「アイスメイク・・・戦神槍(グングニル)!!」
「うおっ!!」

地面から飛び出してきた氷の大きな槍がタクトを捉える。彼はそのまま空高くまで捕まえられるかと思いきや、自由に動かせる両手を空に向けて魔法を発動する。

「太陽の征服」

突然として気温が上昇する地上。たかだか数秒程度の魔法だったが、自分を捕らえている氷の槍を溶かすのには十分だった。
タクトは空中でくるりと体を翻し、上空からグレイを見下ろす。

「しまった!!」

グレイはその姿のタクトを見て失敗したという顔をする。2日目のバトルパートで見せたタクトの超必殺技。エルザの防御力が高すぎたために失敗はしてしまったが、あれを繰り出されると非常にまずい。

音楽魔法(ミュージックマジック)・・・ウィング!!」

タクトの広げられた両手から流星群の如く魔法が地上に突き刺さる。
砂煙が立ち込め地上の様子が確認できない。タクトはゆっくりと地面に落ちると砂煙で見えなくなっているグレイの方を見る。

「そんなもったいぶらなくていいですよ。今の威力じゃ倒せないのはわかってるので」

タクトがそう言うと、砂煙の中から無事に立っているグレイが現れる。彼は氷の盾を上空へと翳していたらしく、地面の至るところにウィングの威力でいった凸凹があるが、彼の盾で隠れている場所にはそれが出来ていなかった。

「ったく、どんなパワーしてんだよ」
「いや、そちらのラクサスさんほどじゃないですけどね」

わずかにではあるが腕から血を出しているグレイ。彼はそこを押さえながら愚痴をこぼすがタクトはそんなことなど気にすることなくそう返す。が、

「お前・・・ラクサスの戦ってるとこ見たことあんのか?」
「え?」

ラクサスは大魔闘演舞では戦っているところを見た人物はいないはずなのである。なぜなら彼は唯一ではバトルパートで、対戦相手であるアレクセイ・・・という名で大会に参加していたイワンの策略で、観衆を欺くために幻覚の中で戦っていたからだ。

「戦ってるとこは知らないけど・・・ほら、妖精の輝き(フェアリーグリッター)だが使った・・・」
「そいつはカナだ!!」
「それだ!!」
「おい!!」

タクトはどうやらカナとラクサスを間違って覚えていたようで、グレイは思わずずっこけてしまう。
見た目どころか性別すら違う2人・・・なぜタクトが間違って覚えていたのかは誰も知ることができなかった。





















その頃、三つ巴になっているエルザとカグラとミネルバは観客たちの予想通り激しい戦いを繰り広げていた。
その3人の激戦とは正反対に、シリルとソフィアの方ではゆるゆるっとした展開になってきていた。

「ゴホッゴホッゴホッ・・・」

突如白い煙に包まれたせいでむせてしまうシリル。彼はその中でもソフィアが自分に近づいてきたらすぐに逃げれるようにと彼女を警戒し、睨んでいる。だがソフィアはそんな素振りなどまったく見せずにじっと彼の方を見続けている。

(目眩ましにして近づいてくる魔法じゃないのか?だったらこれって一体・・・)

シリルがそんなことを考えていると、次第に視界が晴れてくる。微かに吹いている風などの関係で煙が流れたからだった。
シリルはソフィアの方を向いたまま視界が完全に晴れるのを待つ。しばらくすると煙も消え、シリルの姿を観客たちも魔水晶(ラクリマ)ビジョンから確認することができるようになる。

「よし!!」

煙の中から出てきたシリルはソフィアの方を見ながら戦闘体勢に入る。しかし、その姿を見たドムス・フラウの観客たちは

「「「「「オオオオオオオッ!!」」」」」

一斉に歓声をあげた。


















シリルside

「フフッ、きっと今ごろドムス・フラウは大興奮だろうなぁ」
「は?」

俺がいつでもソフィアに突っ込んでいけるようにしていると、何やら笑みを浮かべながらそう言う。
ここはクロッカスの中でも一番端の場所。ドムス・フラウは街の中心部にある華灯宮メルクリアスの東に数キロいったところに位置しており、ここからはかなりの距離があるため、声なんかはまったく聞こえない。
俺たちが会場から聞こえるのはこの声だけ。

『ああっと!!これは!?』

実況席にいるチャパティさん、ヤジマさん、マトー君の3人の声だけだ。
街に設置されている魔水晶(ラクリマ)ビジョンの映像に合うように音声がついてくる。そのため、他の出場者たちの状況なども考えることができ、初代の作戦の精度の高さを知ることができたわけだが。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のシリルたん!!ソフィアの魔法によって煙に包まれたかと思ったら、その中から素晴らしい姿で出てきてくれました!!』
「・・・え?」

チャパティさんが何を言っているのか理解することができずに思考が停止してしまう。素晴らしい姿って・・・何?

「ほら!!皆大喜びだしソフィアもうれしいし。一石二鳥だね!!」

ソフィアも俺の方を見ながらそう言う。どういうことなのかよくわからなかったが、次第にある異変が俺を襲う。

「なんか・・・足元が寒い・・・」

今日は気温は決して高くはないがかといって低い訳でもない。至って平温である。なのにこんなに足が・・・特に太もも付近のある一部が異様に寒い。おまけにその一部分の下辺りから妙な圧迫感を感じる。まるでパンツと長めの靴下を履いているかのような感覚だ。

「な・・・なんだろう・・・」

とりあえず摩擦で暖めてみようかと思ったらあら不思議、ジーンズを履いているはずなのに太ももの寒いところが妙にスベスベする。さらには圧迫感があるところはガッツリジーンズとは違う生地の感触がする。

「いや・・・いやいやいやいや・・・」

もうどういうことなのかわかっているよ?でも絶対認めたくない!!なんでこんなことになっているのかさっぱりわからないし、逆に言えばわかりたくもない。
俺はなぜこんなことになっているのかおおよそわかっていたけど絶対に自分の目では確認したくない。なんか心が折れそうな気がするから。

「どうしたの?シリルちゃん」
「大丈夫。たぶん大丈夫だから」

できるだけソフィアと目を合わせないようにと鼻のあたりを掻きながら答える。すると今度は袖の部分にも変化があることに気づく。
今日の俺の格好は下はジーンズに上はTシャツの上に適当な赤のジャケットを羽織っただけのシンプルな格好。なのに今自分の目に見える袖はどう見ても黒いのである。何がなんだか本当に頭が追い付かなくなってくる。

「ふーっ・・・」

しょうがない。もう現実から逃げるのはやめよう。今何が起きているのかこの目で確認しよう。俺も男だし、潔くね。
心の中でそう言い、俺は満を持して自分の服装を確認する。
上は白のワイシャツに黒のカーディガンで首もとにリボンがついていて、下は黒の股下ほどまでしかないフリルのついたミニスカート、それに合わせるように太ももの中段ほどまであるニーソ、そして靴は少し低めのヒールという、所謂ロリータファッションのようなものになっている。

「なーーーーーっ!!?」

その格好を確認したと同時にすぐにスカートの裾を押さえる。しかもそのスカートはなんとか下着を隠しているだけのような長さしかない。もしかしたら前を押さえているせいで後ろが見えてるかもしれないけど、そんなことは気にしてられない。だって恥ずかしいんだもん。

「ウフフフフ♪恥ずかしがってるシリルちゃん、超可愛いよ♪」

ソフィアは俺が顔を真っ赤にして下着を隠していることに嬉しそうに微笑んでいる。こ・・・こいつ・・・

「あっ!!」

そこに来て俺はあることを思い出す。リュウゼツランドでシェリアとこいつが言っていたことを。

『じ・つ・は!!人魚の踵(マーメイドヒール)で一番女の子から依頼がくるのはソフィアなんだよ!!』
『あ・・・もしかして・・・あの魔法?』

ソフィアが依頼の指名でギルドの中で女の子から一番依頼が来る理由を聞いた。それはなんでも返し魔法(カウンター)以外の魔法にあるらしい。もしかしたら今の俺の服が変わっているのはその魔法のせいなのかもしれない。

「もしかしてこの格好って・・・」

俺が片手でスカートを押さえつつもう片方で軽くシャツを摘まみながら問いかけると、ソフィアのその通りと行った感じでニヤリと笑う。

「そう!!ソフィアのもう1つの魔法!!名付けて・・・
















『女の子は誰だって可愛く!!』だよ!!」

「何そのネーミング!!」

あまりにも得意気に自分の魔法の名前を言い放つソフィアに突っ込んでしまう。普通にファッションマジックとかでいいじゃん!!しかも俺にその魔法かけてる時点で女の子じゃないし。

「それにしてもシリルちゃん本当似合うなぁ。ウェンディちゃんに直接見せてあげたい」
「それだけはやめてくれ!!」

こんな服装をウェンディに見られたら嫌われるかもしれない。いや、むしろ受け入れられたら困るけど。

「もっとスカート短い方が可愛いかな?」
「ちょっ!!マジで勘弁して!!」

ソフィアがゆっくりと俺に近寄ろうとしているので後ずさりしながら距離を一定に保つ。一瞬でも気を抜いたら本当にヤバイ。社会的にとかそういう意味で。

「まぁ、それは冗談として」

いきなりまじめな表情になるソフィア。さっきまでの変態モードからのギャップがありすぎて驚いたけど、今はそれどころじゃないんだよな。

「どうする?ソフィアに勝たないとずっとその格好のままだよ?」
「くっ・・・」

狙いはこれだったのか。ロリータファッションで俺の精神力を打ち砕くのではなく、自分と戦わざるを得ない状況を作り出すためにこれを使ったんだ。
ソフィアの魔法は相手の魔法を跳ね返して攻撃するもの。つまり相手が攻撃してくれないと意味がない。ましてやこんなに俺やらウェンディやらにセクハラ行為をしてくる奴だから女の子は基本近づきたくない存在だ。
となると勝負の前に相手が逃げてしまってポイントを奪うこともできない。しかしこうすれば相手が向かわざるを得ないのだからポイントも取りやすくなるし、女の子相手なら体に触れるチャンスも格段に上がる。
なんとも計算高いやつだ。もっと違うことに使えばいいのに。

「ほらほら!!こっちおいでおいで!!」

ソフィアは両手を広げて俺に向かってくるように仕向ける。速攻倒して服装を元に戻すべきだけど、下手に動くと下着が見えそうでなんかやだ。

「ん?」

そこできて俺は気づいた。そういえば・・・

「ちょっと待てよ」

俺はソフィアにこっちに来ないようにお願いしてからあることを確認する。
まずはスカートのウエスト部分に指を入れて中身を確認する。よし、とりあえずいつも通りの奴だからこっちは大丈夫だな。
続いてワイシャツのボタンを1つ開けて胸元を確認する。どうやらTシャツがワイシャツに、ジャケットがカーディガンに変化しているらしいことを確認できた。
つまりだ、ソフィアは自分の目に見えている部分しか服を変化させることをできない。ということは別に戦って下着が見えたところでなんら問題はないと思う。つーかよく考えるとシェリアとかルーシィさんとかガッツリスカートで戦っているし、別に自分が気にしなければ何も問題ないんじゃないんだろうか?

「よし!!理由付け完了!!」

これから戦闘するに当たって自分の行動を正当化する理由を頭の中で唱えてからソフィアを見据えるように構える。

「あれ?もう恥じらいタイム終わり?」

ソフィアはそんな俺を見て驚いている様子。どうやら俺が恥ずかしさで動きが限定されると思っていたらしい。

「残念だったな。俺が気にしなければ問題ないことに気づいたんだよ」
「ふ~ん。意外、シリルちゃんってそういうの結構気にすると思ってた」

ソフィアはそういうと俺と同じように戦うための構えに入る。といっても彼女の場合は相手の魔法を跳ね返すしかないからそんなに意味はないような気もするけど。

「行くぞ!!」

俺は文字通り先制パンチということで拳に水を纏いソフィアに飛びかかる。それを見たソフィアは同じように右手に魔力を纏わせている。

「水竜の・・・鉄拳!!」
「甘~い!!」

俺の鉄拳に合わせるように手のひらをぶつけてきたソフィア。そのせいで俺の体が後方へと飛ばされてしまう。

「くっ!!」

自分の魔力にプラスしてソフィアの魔力も加えられたような感じ。おかげで俺が相手を攻撃するよりも飛距離が大きい気がする。
俺は体を一捻りして着地する。そしてあえて低い姿勢からブレスを放出する。

「水竜の・・・咆哮!!」

足元を狙っての魔法。これなら跳ね返すのは難しいだろう。だって返し魔法(カウンター)は腕で基本的に行うものって初代がいってたから。

「残念!!それぇ!!」
「え・・・」

ソフィアは足元に飛んできた水のブレスをなんと右足で蹴り返してくる。

「うおっ!!」

俺はすぐに横に飛び返ってきた水を回避する。

「そっか、シリルちゃんはソフィアがバトルパートに出てた時お眠してたんだもんね」

ソフィアは含み笑いを浮かべながら地面に膝をついている俺を見下ろす。確かソフィアは3日目のバトルパートの第一試合に出てたんだよな。そこでこの魔法の使い手だということが判明した。だけど俺はその時伏魔殿(パンデモニウム)のダメージと疲労で倒れてしまっていたから直接は見てない。ウェンディやグレイさんからどんなものだったのか聞いただけだ。

「普通は絶対にできないんだけど、ソフィアは足でも返し魔法(カウンター)を使うことができるんだよ!!」
「何!?」

全然知らなかった・・・というか聞いてなかった。そういえば初代が「普通は腕でしかあの魔法は使えません」とか言ってたってことは、ソフィアは普通じゃない部分があったということになるのか。もっと細かいところまでソフィアの戦い方とか聞いておくべきだった。いや、本当はタクトさんとやる予定だったから初代も詳しく教えてくれなかったんだろうけど。

「ほ~ら!!どんどん攻めてきなよ!!全部返してあ・げ・る♪」
「うぅ・・・」

ずいぶんと余裕の表情のソフィア。だけどそれも仕方ないことか。あの魔法は基本的にはどんな魔法も跳ね返せるんだろうし、こっちの動きさえ見落とさなければそうそう負けることはないんだろうから。

「だったら・・・」

ちょっと攻め方を変えてみようと思う。肉弾戦はダメ、遠距離系もダメ、なら武器を使った攻撃はどうなんだろう。ソフィアは素手しかないだろうし、案外通用するのではないのだろうか。

水竜の斬撃(ウォータースライサー)!!」

右腕を水の剣にして斬りかかる。本当はエルザさんやカグラさんのような剣の方が友好的だと思うけど、生憎俺にはそれがない。だけど腕を剣に変えるガジルさんやジュビアさんのような攻撃なら・・・

「おっと!!」

ソフィアは俺の斬撃を体を横にずらして避ける。通り過ぎたところで振り向き様に水の剣をソフィアに打ち込もうとする。しかし、ソフィアの右手がその俺の剣となった腕を弾く。

「うおっ!!」

自分に返ってくるということはなかったが、強く返されてしまったせいでバランスを崩しそうになってしまう。なんとか足に力を入れて踏み止まった後、距離を取るようにジャンプして後ろに下がる。

「攻め方が難しいな・・・」

汗を拭いながらそう呟く。咆哮だと簡単に返されるし、鉄拳だとそれに合わせるようにダメージを受ける。かなり攻撃方法が限られてはいるけど・・・

「やっぱ斬撃でいくしかないかな」

さっきお試しで使ってみた水竜の斬撃(ウォータースライサー)。あれが一番無難な気がする。咆哮みたいに返ってくることはまずないし、鉄拳とは違ってソフィアが完全に同じダメージを与えられる訳ではない。ただ単に弾いているだけ、という感じな気がする。

「そうと決まれば!!」

もう1度腕を剣にしてソフィアに向き直る。そして彼女の懐に飛び込もうとした時、

ドゴォン

「「!!」」

俺の後方で凄まじい爆音が響き、驚いてそちらを振り向く。空に浮かぶ雲を消し去るような光る柱が天高く伸びている。それはエルザさんとカグラさんと戦っているミネルバさんの“ヤクマ十八闘神魔法”というものだったらしい。

「なんだあれ・・・」

その時の俺はエルザさんの戦っている姿を見ていなかったため、何が起きたのかわからずにそちらを見上げてしまっていた。後ろに絶対に背を向けてはいけない相手がいたのにも関わらず。

「ソフィアに背中を見せるなんてシリルちゃん実はMっ子かな?」
「!?」

耳元でいきなり囁かれた俺はそちらを見ようとしたが、それよりも早くソフィアが俺の胸を触るように抱き付いてくる。

「シリルちゃんゲーット!!」
「ひゃっ!!」

リュウゼツランドの時みたいに体をベタベタ触ってくるソフィア。しかも今度は服装が彼女の策略で着せられているものなためより手つきがいやらしい。

「離せこの!!」
「無理無理!!シリルちゃんの体の柔らかさじゃ後ろの人は攻撃できないよ~」

肘打ちをソフィアの脇腹にしようとしたのだが、ソフィアはそれができないようにと腕を体と一緒に抱き締めていた。踵で脛でも蹴ってやろうかと思ったがそれも読まれていたみたいで足を軽く動かされただけで交わされてしまう。

「お仲間さんの心配もいいけど、戦っている最中に敵に隙を見せるのは感心しないなぁ」
「ソフィアはカグラさんが心配じゃないの?」

ソフィアの腕から逃げようと体を色々と動かしながらそう問いかける。あれだけの爆発だといくらエルザさんとカグラさんでもかなりのダメージを受けているはず。さすがにやられるとは思わないけど、三つ巴の戦いを考えると結構まずいんじゃないかな?

「全然!!」

ソフィアは首を振り余裕の表情を浮かべる。

「カグラさんなら()()()()の魔法、なんてことないよ。エルザさんはどうだか知らないけどね♪」
「むっ」

それを聞いて俺は少し怒りを感じる。

「カグラさんが無事ならエルザさんだって全然余裕だよ!!むしろあの人なら無傷かもしれないなぁ」
「じゃあなんで心配そうにあっちを見てたのかなぁ?」
「うっ」

痛いところをついてくるソフィア。一瞬とはいえまずいかもとか思ってしまったけど、エルザさんがそう簡単にやられるわけないのは確かだ。今のはちょっと爆発が大きすぎて冷静さを欠いただけだと思う。

「それよりも今は自分の心配をしなよ。ソフィアは素手でもある程度は戦えるんだから」

返し魔法(カウンター)は相手の魔法を受け止め、さらにはそれを押し返すだけの強い筋肉と体が必要らしい。だけどソフィアの体は至って普通。シェリアとほとんど変わらないようにしか見えない。それであの魔法を使うと体が悲鳴をあげるって聞いたけどソフィアはそんな様子は一切ない。つまり、何かしらの方法で代用しているのは明らかだ。その何かを使えばある程度格闘技もできるとは思うし、今は何よりも俺のことを完全に羽交い締めにしている状態。ここから鳩尾にでもパンチされたらかなり痛いだろうし、他にも気を失わせる方法はあるだろう。
気絶もしくは戦闘不能にすることでポイントが加算されるのだからこの状況は結構ヤバイ。ソフィアが攻撃してくる前になんとかしなければ・・・

「天竜の・・・」

俺が脱出方法を頭の中で考えていると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「咆哮ォ!!」
「え?きゃああああ!!」

横から吹いてきた風と共に俺にくっついていたソフィアが吹き飛ばされていく。
ソフィアは横に飛ばされ地面に1度倒れたものの、すぐに立ち上がって自分を襲ったものの方を睨む。

「ちょっと誰!?せっかくのお楽しみタイムだったのに!!」

怒りを込め、声を荒げるソフィア。俺もこの状況をなんとかしてくれた人の方を向く。
俺とソフィアが追いかけっこをしていた通路から歩いてくる小さい人影。
赤色のゴムで藍色の膝元まである長い髪をツインテールにし、ノースリーブで短めのスカートにフリルのついたワンピースを身に纏っており、首とウエスト部分に赤い蝶々結びにされたリボンを合わせていたその少女は、日焼け対策の服と同じ白いのアームカバーを腕に着けていた。

「え・・・」

幼い頃から・・・今は行方不明の俺たちの親(ドラゴン)からこの魔法を教えてもらっていた時からずっと一緒にいた少女・・・普段はかわいらしく、そして愛くるしいパッチリとした目は怒ったようにつり上がっており、離れたところにいるソフィアを見据えている。

「ソフィアさん!!シリルにそんなことしちゃダメですよ!!」

ナツさんたちと一緒にルーシィさん救出に向かったウェンディ。いるはずのない、というよりもいてはならない少女の登場に、俺とソフィア、そしてこの様子を見ていたすべての人たちの思考が一時停止した・・・











 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
ソフィアの2つ目の魔法はまさかの服装を変える系の魔法でした。
そして最後の最後になぜか出てきたウェンディ。
これは次でどういうことなのかわかりますので、ぜひ待っていてください。 
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