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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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17.真実は常に一つ。しかし、それを見る目は複数ある。

<ラインハット城地下通路>

俺はスライムナイトの攻撃を避け後ろに回り込む。
そしてスライムナイトの兜を頭から奪い素顔を晒させた。
そこには、栗色の長い髪の毛に同じ色の瞳をした美少女の顔が現れた。

「やっぱり美少女だった!声からして、そうじゃないかなぁーって、思ったんだよねー!」
「な!?」
「ねぇ、君可愛いね!名前は何て言うの?」
「こ、これが貴様の攻撃か!」

顔を真っ赤にして俯き震えている。
あら?
恥ずかしがっちゃってる?
もしかして!

「んー…まぁ、その一環…かな?」
「ふざけるなー!!」
彼女が再度攻撃を再開し始めた。
しかし、『可愛い』と言われたのが恥ずかしいのか、先程よりスピードがない。
とは言え、これ以上退がるとヘンリーの隠れている所まで被害が出る。

俺は渋々鉄の杖で彼女の剣撃を去なす。
さらに彼女の隙を付いて鎧の継ぎ目に杖の枝を差し込み、力一杯にコジリ切る!
ベキッ!
鎧を繋ぎ止める金具が壊れ鎧が地面に落ちた。
鎧の中には青いウエットスーツの様なボディ・ラインに沿った服を着たいた。
お!スレンダーながら女性らしい膨らみが色っぽい!



<ラインハット城地下通路>
スライムナイト(ピエール)SIDE

この男、強い!
私の再三の攻撃も杖如きに去なされている。
しかも余裕を持って。
後ろで蹲る仲間にベホイミをかける余裕があるのだ!
そして私の隙を突き強烈な一撃を繰り出した。
「くっ!?」

しかし、私の身体にダメージはなく攻撃されたのは鎧だけだった。
私の鎧は、あの男の杖により留め具が壊され地面に落ちた。
「何?」
この男、私の防御力を削ぐ事ばかりしてくる。
いや、そもそも殺気を感じない。
私など大したこと無い…たかが村が滅ぼされただけで怒り狂う女など、取るに足りない…そう言う事なのか?
それとも…

男は私の集中力が途切れた刹那、私の後ろに回り込み羽交い締めにする。
いや、もっと最悪だった!
「おぉぉ!小ぶりに見えたけど結構大きいぞ、このオッパイ!」
「き、き、きゃぁー!!!!!!!」
こ、この男は最悪だ!私の胸を揉みまくると体中をなで回し始めた!

「やっぱ女の子の身体は柔らかくていいなぁー!」
男は私を抱き上げて体中を触り撫でまくる。
「いやー!!やめろー!!きゃー!!触るなー!!」
私は持っている剣で切りまくる!
しかし、この近距離で当たらない!
私のスライムのスラッシュも、体当たりで攻撃しているが軽くステップを踏んで全てかわす。
何者だ!?
いや、何なんだ、この男は!?
イヤすぎる!誰か助けて!誰か!!

(ポカリ!!)
「あいた!」
男の仲間が近寄り男の頭を殴りつけた。
男の腕から力が抜け私の身体が自由になった。
すぐさまスラッシュと共に男より離れ、壁際でスラッシュの後ろに隠れつつ剣を男らに向ける。

「何すんの?ヘンリー!折角………」
「うるさい!黙れ!俺の目の前で女性へのセクハラは許さん!」
どうやら仲間の方は…ヘンリーと呼ばれている方はまともな様だ。
「申し訳ない。もう、こいつにはセクハラはさせない。だから取りあえず戦うのを止めて、俺達の話を聞いて欲しいんだ。頼む!」
ヘンリーと呼ばれる男は真剣な眼差しで語りかけてきた。

「…取りあえず…一時休戦だ!だが、まだ信用した訳では無い!」
「それで構わない。こっちへ近づかなくてもいい。この場で話をしよう。まずは自己紹介から。俺はヘンリー。で、こっちの最悪最低な男がリュカ。君の名は?」
「私はピエール」
夜中の地下通路で、ぎこちない会話が始まった。

ピエールSIDE END



<ラインハット城地下通路>
ヘンリーSIDE

俺達は互いの事情を話し、ある程度の理解をし合う事ができた。
彼女の名はピエール。
そしてスライムの方はスラッシュ。
無論スライムの方はモンスターだが、彼女の方はホビット族だ。

彼女が以前、暮らしお世話になっていた村が税金を払わなかったと言う理由で太后に滅ぼされた。
そして、怒り狂った彼女は太后を殺害すべく城に忍び込んだという事だ。
「なるほど、あなたが10年前行方不明になられたヘンリー様でしたか。知らぬ事とはいえ大変失礼致しました」
「いや、それは構わないさ」

「しかし、この男は何なんです!?私は、この男は許せない!先程の行為の事だけは許せない!他の事は認めます。彼の村も滅ぼされた事や、奴隷になっていた事は…しかし、先程の行為は常軌を逸している!」
「確かに、やりすぎの感はあった。心からお詫びを申し上げさせてもらうし、こいつにも謝罪させる。おら!謝れ!馬鹿者!」
「あー、ごめんね!久しく美少女に触れたもんだから、ついやりすぎました。本当にごめんなさい」
「くっ!しかし…」
リュカの軽い口調に、ピエールの怒りが再発する…

「だが、やりすぎた事については悪かったが、やった事については正しかったと思っている」
「な!?貴方まで非常識な事を…」
「いや、非常識なのは俺じゃない。先程までの君だ。ピエール!」
「わ、私を愚弄する気か!」
ピエールは剣を構え身を乗り出した。

「落ち着け!今は話し合いをするのだろう!それとも、騎士であるのに君は嘘を吐いているという事か!?」
「…いや、失礼した…話を聞こう!」
「先程の君は怒りで話を聞かない状態だった。俺も太后の縁者であると言ってしまったのがいけなかったが」
「うっ…確かに…」

「こいつと…リュカと戦って分かっただろうが、君では…少なくとも、今の君では勝てない。なのに、こいつは君を攻撃しなかった。何故だか分かるかい?」
「こいつがスケベなだけだろう!」
「それが無いとは言わない。いや、言えない。だが、リュカは君の村が滅ぼされた事を理解した。だから攻撃出来なかった。敵では無いから…」
ピエールは目を閉じ静かに考えている。

「…確かに、私が間違っていた…私は、リュカに救われたのかもしれない」
「謝意の言葉はいらないよ。両手いっぱいに前払いしてもらったから」
リュカはそう言うと、イヤらしい手付きで両手の指を動かす。
ピエールは顔を真っ赤にし、両腕で身体を隠す様な仕草をした。
「あ~、本当、やりすぎはすまなかった。で、どうだ?俺達と一緒に行かないか?目的は同じだろ?」
「…その前に一つ、聞きたい事がある。リュカ!」
リュカに対し真剣な目で問いかけてきた。
「何故スライムがお前と一緒にいる?そのスライムは、お前にとって何だ!?手下か?家来か?」
するとリュカの顔から笑みが消えた。

ピエールに近づくと平手打ちをかます。
(パシン!)
「え!」
思わず驚き、声を上げてしまった。
ピエールも頬を押さえ、驚き戸惑っている。

「手下?家来?ふざけるな!友達以外に見えるのか!?」
なるほど!こういう奴なんだ、こいつは…
「スラリンに謝れ!スラリンは自分の意志で僕らに付いてきたんだ!」
「ご、ごめんなさい。リュカ!」
「違ーう!スラリンに謝れ!僕は構わないんだ!慣れてるから」
「あ!スラリン。ごめんね」
「ぴっきー」
「スラリンは心が広いなー」
「ぴきーぴっきー」
「あぁ、なるほど」
え!?何が?

「ポヨン、ポヨヨン!」
「な、スラッシュまで!」
俺の目の前で、二人と二匹が会話に花を咲かせる。
「ポヨ~ン!」
「いいぞ!スラッシュ!言ってやれ!」
「ちょっと、裏切る気!スラッシュ!」
「ポヨヨ~ン、ポヨン!」
「ぴっきー!」
「うっ…わかった!わかったよ!二人してリュカの味方するなんて…」
何で会話が成立してるんだ?
「ヘンリーは、どう思う?」
うっ…どうもこうも一個も分からん。
「…俺は…中立だ!」
「ぴっききー…」
「しょうがないよ。ヘンリーはそう言う奴さ」
「ポヨンポ」
「本当…ガッカリだ」
くっそー…訳分からんが屈辱だ!

ヘンリーSIDE END



 
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