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新オズの腹ペコタイガー

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第一幕その十二

 ナターシャは汗をかきながらです、一緒に汗をかいている恵梨香とトロットに対してこうしたことを言ったのでした。
「このサウナはロシア風だけれど」
「それでもなの」
「サウナはフィンランドでもあって」
「どっちかっていうとなのね」
「私はこちらが本場だと思っているけれど」
「フィンランドの人は違うわね」
 恵梨香も言います。
「やっぱりフィンランドのサウナの方がね」
「本場ね」
「そう思うわね」
「結局お好み焼きもね」
 このお料理もというのです。
「一緒ね」
「どっちも本場って言って引かないのね」
「けれどどっちのお好み焼きも美味しくて」
「どっちのサウナも気持ちいいわね」
 トロットが言ってきました。
「そういうことね」
「はい、私はそう思います」
「ここでこう言えるのがね」
 まさにというのです。
「ナターシャらしいわ」
「私らしいですか」
「ええ、冷静に見られて言えて纏められることが」
「私なんですね」
「五人の中でナターシャはね」 
 彼女のポジション、それはといいますと。
「纏め役ね」
「その立場ですか」
「リーダーはジョージ、参謀は神宝でね」
「カルロスはムードメーカーですね」
「それで貴女は纏め役ね」
「そうなるんですね」
「ええ、五人の中でね」
 こうナターシャ自身にお話するのでした。
「そうだと思うわ」
「そうですか」
「それじゃあ私は」
 五人の最後の一人になった恵梨香がトロットに尋ねました。
「一体」
「五人の中でどうしたポジションか」
「はい、どうなるんでしょうか」
「困った時の恵梨香かしら」
「困った時の、ですか」
「いつも何かあった時に皆をフォローするね」
「それが私ですか」
 少しきょとんとしたお顔になってです、恵梨香はトロットに応えました。
「フォロー役ですか」
「そうだと思うわ」
「ううん、確かに私前に出ませんし」
「いつもこれだとは言ったり動いたりしないわね」
「はい」
「けれどそれが恵梨香の持ち味でね」
 そしてというのです。
「皆が困った時に恵梨香がいてくれたら」
「それで、なんですか」
「いつも助かっているわ」
「そうなの、恵梨香がいないと」
 ナターシャも言います。
「私達困っている時多いわ」
「そうなの」
「私達五人は誰が欠けても駄目なの」
 一人として、です。
「貴女についてもね」
「だといいけれど」
「五人がいてこそ」
 また言うトロットでした。 
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