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リリなのinボクらの太陽サーガ

作者:海底
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決闘

 
前書き
ひとまずメインストーリーはこの回で終了です。この後はシークレットシアター的な何かを執筆していきます。


メタルギア風ラストを目指した回 

 
~~Side of はやて~~

マキナちゃんとの決闘。ずっと錯乱していた私は王様に叱責され、その約束を取り付けてもらう事でようやく自分を取り戻した。王様に言われるまで……私は待っていたのかもしれない。彼女と戦い、罰を与えてもらう事を。でも王様は私にサバタ兄ちゃんから言われた事をもう一度認識させてくれた。おかげで私は……また立ち上がれた。そして今度は前に歩き出すために……彼女とぶつかってお互いの気持ちに白黒をつける。彼女の友達を犠牲にして生き残ってしまった以上、今更謝ってもどうしようもない。だから……彼女に私が生きる意思を見せなくてはならない。証明しなくてはならない……私がサバタ兄ちゃんから教わったものを、私の影とも言える存在に。

万感の想いで決闘当日を迎えた私は、瓦礫がまだ大量に残っていて、パイルドライバーの魔方陣も消えた広場の中心で一人、彼女の到着を待っていた。結界の向こうにはファーヴニルが封印されて地面に潜った穴を、絶対に誰も入れないように塞ぐための機材が用意されているが、まだ準備中なので工事は始まっていない光景が広がっている。なお、騎士達や皆は戦いに巻き込まれない様に、サーチャーを通して離れた場所から見ている。それと皆に徹底している事が一つ……“何があっても決闘を止めないこと”。これは正々堂々決着をつけなくてはならない戦い……だからこの戦いに感情だけで入って来るのは私とマキナちゃんに対する侮辱だと、そう言い付けている。

「来た……」

上を見上げると王様が操縦するラプラスが飛んできて、そこからマキナちゃんが飛行魔法を使って飛翔し……ゆっくりと私の正面数メートル先に降りた。そのままラプラスはどこか別の場所で着地していると思うけど、それはともかく私とマキナちゃんの間には言い様のない緊張した空気が流れていた。ただ……マキナちゃんは身体の至る所に血の滲んだ痛々しい包帯が巻かれていて、あの時にラタトスクに付けられたダメージがまだ色濃く残っているのが目に見えてわかった。そんな状態で決闘を申し込んでくるとは、彼女も強い決意を伴ってこの場にやってきたのだろう。だから私も、彼女の気迫に立ち向かうべく足に力を籠める。

「……今更戦いたくない、なんて言うつもりはあらへん。でも戦う前に聞かせてほしい……やっぱり私が憎い?」

『……』

「何も答えないならそれでも構わへんよ。私はマキナちゃんの友達を犠牲にして生き延びてしまった、憎まれたってしょうがな―――」

『ストップ、私は八神の自虐を聞きに来たんじゃない。というか、憎まれたいの?』

「別にそうじゃないけど……」

『ならわざわざ憎まれようとする台詞は言わない方が良い。それは余計な火種を生むだけだ』

「……ごめん」

『それと、人の気持ちを勝手に理解したつもりにならないで。あと、私が八神を憎んでいるかどうかなんて……答えを聞いても誰も得しないでしょ?』

「せやね……聞いた所で弁明のしようもないんやし、知らない方がずっと考え続けていられるよね」

『その通り……八神は常に考えてもらわないといけない。自分に向けられた感情を、自分の命の使い方を……』

徐にデザートイーグルを構えたマキナちゃんは私に銃口を向けて構える。対する私もクルセイダーを構えて心臓の鼓動が大きく聞こえる中、応戦の姿勢を取った。

『さて……これ以上の言葉は不要だ、八神。この広い世界(Open World)に出る前に、その意思を私に示してもらう!』

「ええよ……そのつもりで私はこの決闘を受けた! 行くよ、マキナちゃん!!」

『さあ、来いッ!!』

瞬間、発砲と同時にデバイスを格納して全速力で相手に殴りかかる。それが決闘の幕開けだった。

私もマキナちゃんも遠距離型の魔導師適性なのに反し、身体強化魔法をかけて接近戦を挑む姿勢にモニターの向こうにいるなのはちゃんやフェイトちゃん達は驚くが、戦術を理解しているクロノ君や騎士達はむしろ納得と言った表情をしていた。なぜなら遠距離で戦ったらかなりの持久戦になってしまい、いつまで経っても決着がつかないと思い至っているからだ。
例えばマキナちゃんが潜伏しているであろう場所に向けて私が広域殲滅魔法を発動したら、当然マキナちゃんは見えない様に別の場所に移動する。そして新たに魔法のチャージを行っている私に向けて、彼女は狙撃をしてくるだろう。だけど私も防御魔法などで防いで、またその位置に広域殲滅魔法を放つ。そうしたら彼女はまた移動して狙撃、私は防いで魔法、という風にいたちごっこに陥ってしまう。それでは意味が無い……いや、時間をかければ勝敗はつくんだろうけど、私達が求めているのはそういう膠着状態じゃない、納得のいく決着だ!

全身にかけた身体強化のおかげで大人並みに動ける状態の私は右拳を突き出し、マキナちゃんはその腕を両手で絡めとって地面に叩き付ける。即座に立ち上がった私は右足でキックを放つが、またしても防がれた直後に彼女は私の胴に腕を回しこみ、また地面に叩き付けた直後に追い討ちの意味で正拳突きを放つ。急いで転がって回避した私のすぐ横で、マキナちゃんの拳が地面を殴って手形に凹ませ、鈍い音を響かせる。その後、やっぱり痛かったのか腕を振って痺れを誤魔化していた。

急ぎ立った私は構えて彼女と睨み合い、今度はマキナちゃんが右から拳を放つ。即座に柔道の要領でその腕を掴み、彼女の体を地面に投げ落とす。咄嗟に立ち上がった彼女は右の拳を流れるように放つが、私は彼女の腕の関節を上手く掴んで背中にひねる事で動かせないようにする。しかしマキナちゃんは反時計回りに回転して左ひじのフックを私の後ろ首に当てて吹き飛ばし、私が抑えた右腕を解放されてしまう。

反撃と言わんばかりに正拳突きをこちらから放ったのだが、またしてもCQCで腕を掴まれて地面に叩き付けられる。しかし追撃される瞬間、両足をばたつかせて牽制する事で攻撃出来ないようにし、その間に立ち上がった私は一気に足に力を込めて踏み込み、渾身の正拳突きを放つ。それをマキナちゃんは腕を十字に交差させて防ぐが、一応威力がそれなりに乗っていたため、後ろに数センチ地滑りしていた。ダメージはあまり通っていないようだが……ある程度の距離を保ちながら、私と彼女は身構える。

『見覚えがあると思ったら、それはベルカの格闘術? まだまだ荒削りだけど、筋は良いね』

「そりゃどうも。ザフィーラから教わった甲斐があったもんや」

『盾の守護獣ザフィーラ……確かに守りにおいて、彼に匹敵する拳術使いはいないかな』

「うん、私の誇れる騎士で、自慢の家族や」

私達の言葉を聞いて、モニターの向こうでこの戦いを見守っているザフィーラが寡黙な笑みを浮かべる。それは主である私からお褒めの言葉をもらったためなのか、それとも先代主の娘のマキナちゃんが11年経った今、自分の拳を思い出してくれたためなのか、それは彼しかわからない。ただ……今はこの瞬間のために、彼に頼んで格闘術を教えてもらった事を感謝したい。

一昨日の事だ……私はマキナちゃんの決闘を受けた後、すぐザフィーラに頭を下げていた。その時の会話は次の通りだ。

『……ザフィーラ、お願いがある。私にベルカの格闘術を教えてくれへんか?』

『主が求めるなら構いませんが……どうして今格闘術を? 当日まで体力の回復に専念した方がよろしいのでは?』

『私の怪我なんて、皆と比べたら無いも同然や。あの戦いで負った怪我は、マキナちゃんとシャマルの治癒魔法のおかげでとっくに治っとる。むしろ私とマキナちゃんの実力差を考えたら、当日までに出来るだけ強くならないとあかんねん』

『それはそうかもしれませんが、そもそもクロスレンジで戦うと決まった訳ではないはず? 彼女はスナイパーとしての戦術も使えるから、むしろロングレンジ同士の戦いになると思っているのですが……』

『確かに管理局らしく魔法戦で白黒つけるんやったら、そういう勝負にはなるかもしれへん。でもマキナちゃんは納得のいく純粋な決着を望んでるし、かくいう私も同じ気持ち。だけど……このまま戦っても負けるのは確実や。それじゃあ心をぶつける以前の話になってしまうんよ。せやから、お願い……ザフィーラも怪我しててキツイのはわかるけど、それでも頼みたい……』

『主……わかりました。この盾の守護獣ザフィーラ、全身全霊を以ってご指導させて頂きます!』

胸を張るザフィーラの影でシグナムとヴィータが自分達では駄目なのかと思って頬を膨らませていたが、私は剣術もハンマーもからっきしやし、何より戦いの趣旨が異なっているからちょっとね。そんな訳で私はザフィーラの指導の下、格闘術の訓練を行った。前にタンカーで私を倒した銀髪の子が言ってたように、遠距離からのサポートや殲滅なら管理局流では十分なんやけど……一対一の状況や屋内戦闘、近接戦では明らかに能力不足。近づかれると途端に貧弱になってしまう大砲みたいな魔導師が今の私。魔法の適性は生まれ持った才覚によるから流石に変えようが無いが、大元の身体が直接格闘の技術を身に着けることに制限は無い。つまり……魔法は駄目でも体力は鍛えれば何とかなるって話や。

「だから私はベルカの格闘術を少しは身に着けた。マキナちゃんもCQCをまだ完全に身に着けていない以上、近接戦の実力はお相子や」

『お生憎様、私はファーヴニルとの戦いの前にいくつもの困難な訓練をしてきた。確かに私も未熟かもしれないが、まだ始めたばかりの八神ほど弱くは無い』

「それでも! 私かてそれなりの訓練は受けてきた……魔法無しでも負けるつもりはあらへんよ!」

『そうだ、それでいい。闘いの基本は格闘だ。武器や装備に頼ってはいけない!』

啖呵を切った私とマキナちゃんは同時に駆け抜け、相手に殴りかかる。私の右ストレートを腕で防いだマキナちゃんは、円を描いて抉り込むような攻撃を繰り返して来る。しかし守りに関しては特に指導されたため、私もまた腕で防ぎ続ける。互いにまだクリーンヒットが入らない中、不意に足払いされた私はたまらず転倒する。だがこちらも倒れた直後に身体を回転させてマキナちゃんの足を蹴り上げ、支えを失った彼女も地面に倒れ込む。

どうにか先に立ち上がった私は、即座にこちらを向いた彼女の左頬へ右ストレートを打ち込む。だが向こうもそれを想定していたのか、クロスカウンターで左ストレートを私の右頬に抉り込ませる。ゴリッ! と顔の骨から嫌な音が響き、同時に顔面にヒットした事でたまらず唾が飛び散って後ろによろめく。急ぎ呼吸と平衡感覚を整え、足の震えを気合いで抑えて再び相対する。

身体を小さく縮め、歩法で一気に懐へ迫った私はバネのように勢いをつけて右アッパーを放つ。対するマキナちゃんは咄嗟のバックステップで勢いを殺したアッパーを両手で掴んで抑え込み、着地の反動を利用して私の喉元に手をかけ、グンッと押されたせいで背中から叩き付けられる。またしても追い討ちで右ストレートが放たれるが、私もさっきと同様に横に転がって退避。状況が振り出しに戻る。

絶え間なく連続攻撃を仕掛けてくる彼女の拳術を、腕を動かして何とかガードで耐え続ける。少し焦れた彼女が右の手に力を溜めてストレートを放つが、その射線上に私は自分の頭を置く。頭部の骨の硬さは相当なもんや、それにいきなり当てられた事で彼女の右手は地面を殴った時並みに痛み、一時的に連続攻撃が止む。そこから私は彼女の頭を掴み、二回、頭突きする。頭突きは一回撃つだけで天地がグラグラするため、私も二回目で耐え切れず手を離した訳だ。だが今までより効果的にダメージを通しているため、無理やりもう一発頭突きしようと大きく振りかぶった所に、マキナちゃんの回し蹴りが炸裂。見事に私の身体が後ろに吹っ飛ぶ。

お互いに息も絶え絶えの状態にも関わらず意地で体勢を整え、次の瞬間、右と右の正拳突きをぶつけ合う。そのまま足技を同じ場所、同じ威力でぶつけ合ってしのぎを削る。そして互いに相手の胴に拳を何度も何度も放ち、一際強い気を込めてあばらの中に入り込む一撃を打ち込む。向こうはまだ怪我が残っている身体でここまで決闘を続けているから、私が思う以上に疲弊しているはずなのに、なんて重いパンチを放つんや……!

「マァァキナァァァッッ!!!!!!」

『ヤァァガミィィィッッ!!!!!!』

私と違って彼女は声が出ないが、その気迫は本物で字面だけで空気が震動する程だった。そのまま私と彼女の間で超インファイトの激闘が繰り広げられる。互いに一歩も譲らず、絶対に耐えて相手を倒す、という気持ちだけで拳を振るって戦い続ける。殴れば殴られ、蹴られたら蹴り返し、頭突き同士をぶつける。もはや非殺傷設定って何だったのか考える事すらどうでも良く、今はただこの瞬間だけを生きていた。

そしていつの間にか……拳を交えている内に、私はこの戦いを終わらせたくないと思い始めていた。マキナちゃんの想いを受け止める度にその痛みで、生きている実感が得られた。傍から見ると痛々しくて、青くて、泥くさいが……当人同士にとってはスポーツのような一体感があった。過去の哀しみも未来の不安も今だけは忘れていられる、まっさらで健全なひと時……精神的に死にかけていた私の心を再起させてくれる最高の決闘だった……。

だけど……終わりは必ず訪れる。サバタ兄ちゃんがいなくなってしまったように、この決闘も決着がつこうとしていた。

バキィッ!!!

互いの魔力が込められた拳が相手の顎にクリーンヒットし、頭の中が揺れたせいでたまらず背中から倒れる。ボクシングならノックダウンの鐘が鳴っていた所だろうが、私達は視界がおぼろげになってもまだ立ち上がって、戦う意思を見せ付けていた。

『まだだ……まだ、終わってないッ!!』

もはや立つ事すらやっとというギリギリの状態で、それでも私達はゆっくり一歩ずつ相手に近づき……もう技術なんてほとんど無い原始的な大振りのパンチを放つ。

「『おぉぉぉぉおおおおおおおッッ!!!!!!!!!!!』」

ドゴォォォッ!!!

もはや猛獣の唸り声同然の雄叫びを上げながら、ただひたすら拳を振るう。一発一発に全体重が乗っかって重いパンチとなっているため、喰らう度に意識が飛びそうになる。しかし意地と気合いだけで毎回耐え、同じようにパンチをお見舞いする。それをもう何度目かわからないぐらい繰り返し……刹那、

「―――――あ」

ふっ……と私の身体全体が全く言う事を聞かなくなって、前に倒れてしまう。右を向いたうつ伏せのままピクリとも動けなくなった私は、敗北を本能的に理解した。

「ハァ……ハァ……、も……動け、へん……」

ああ、やっぱり勝てなかったなぁ……と思った次の瞬間、すぐ左隣から人が倒れる音がする。もう顔を動かす体力すら残ってないから見れないけど、マキナちゃんも同時に限界を迎えたらしい。つまりこの決闘は……、

『引き分け……か……。少しは強く……なったか……』

「いいや……私の負けや……。先に倒れたし……そっちは怪我が残ったままやから……」

『戦いの場に……言い訳は存在しない……。この決闘は……引き分けだ……!』

「そっか……。……少しだけ……認めてもらえたんかな……? ほんの少しだけ……届いたんかな……?」

虚空を見上げて、結界の向こうでほのかに輝く月を見つめる。そこからサバタ兄ちゃんが見守ってくれているような……そんな気がした。僅差で立っていたというのに、引き分けだと言い張って自分が勝ったとは言わないマキナちゃんに、どこかサバタ兄ちゃんと似た意地と気遣いを感じた。
そんな風に倒れながら天を見上げる私達……皆が思ってたような魔法戦じゃなかった事からあんまし役に立たなかった結界が解かれると、空から降ってきた冷たく白い結晶が頬をなでる。どうやら決闘の間に、外では雪が降ってきていたらしい……。

「そういや、今日ってクリスマスやったな……あと一時間ぐらいで25日も終わっちゃうけど」

『クリスマス?』

「生誕祭って意味や。地球の日本だと、恋人や家族と祝ったりする日なんよ……」

『恋人や家族、か……。家族同然の仲間はいるけど……血の繋がった家族は、お互い一人もいないな』

「せやね……お父さんもお母さんも、ずっと昔に事故で死んでしまった。マキナちゃんも11年前の事件のせいで……」

『そう、あの事件が全ての終わりの始まりだった。私にとっても、そしてシャロンにとっても……』

「あのさ……度々出てくる名前やけど、もしかしてシャロンって私を助けた月詠幻歌の子……?」

『そして唯一生き残ってた……私の幼馴染み。彼女の受けた心の傷は相当深く、リインフォースの姿を見るだけで怯えてしまう程だった。アクーナが滅んで、生きる事を諦めて、サバタ様のおかげでもう一度生きようとして、私や王様達と暮らして心の傷もほんの少しずつ塞がってきて……サバタ様がいなくなった後も、ゆっくり治していこうと思ってたのに……』

「……ごめんなさい。シャロンさんがああなったのは、私のせいや……。謝って済む問題やないけど……本当にごめんなさい……」

『…………。一つだけ言わせて、彼女はまだ生きてる……。いや、どこかで生き延びていると信じてる。私達はサバタ様に惹かれた、それはシャロンだって同じ。彼から貰った想いを消さないために、きっと何があっても生きようと足掻いてるはず。だから私は彼女を迎えに行く……二度と独りにしないために、シャロンを探して世界を渡る……。もしかしたら徒労に終わるかもしれない、信じていた所で現実は残酷かもしれない。それでも命の続く限り探し続ける……それが私の道だ。本当の“報復”はその後に決めさせてもらう……』

「そうなんか……私から一つお願いしたい事がある……。時々でいい……これからの私を見ていてほしい。もし間違った道に進んでたら、私を止めて欲しい……! マキナちゃんが見てくれていると思えば、自分の選んだ道に自信が持てるから……」

『…………』

完全に力尽きる前に私の意思を全身全霊で示したが、返事を聞く前に意識を保つ体力も全て使い果たした私は、そのまま静かに心地よい睡魔の中へ落ちてしまった……。







クリスマスなのにロマンどころか青臭い決闘しかしなかったような気がする翌日、病院で目を覚ました私は、先に意識を取り戻したマキナちゃんが王様達と共に帰ったとリインフォースから聞いた。それで伝言を託されて内容を聞いた所、結局私とマキナちゃんの関係は何も変わらなかったという事がわかった。

『ぶつかる事で分かり合う、なんて話はよく聞くけど、八神とは決してそうならない。あの決闘はお互いの気持ちとケジメを付けるためのもの……サバタ様とシャロンが守った命に価値があるのか見定めるためのもの……。個人的に思う所はあるけど、二人が命を懸けた意味を無駄にはしたくない。だから八神の頼み事を聞くわけじゃないが、心に留めておいて。……もし八神がサバタ様の覚悟を裏切るような真似をしたら、望み通りこの私が引導を渡す。そうならない様にゆめゆめ気を付ける事だね……』

この伝言の後、次に会う機会が不明なのでシャマルがクラールヴィントに収納していた例の自筆の本を渡し、内容に軽く目を通したマキナちゃんは呆れながらもその本を受け取り、ヴォルケンリッターの皆に私が誤った道に進まない様に見張っているように告げてから王様達と去ったそうな。その時のシャマルの心中複雑な表情は印象深かったとシグナムが教えてくれた。
なお、本局の局員達は彼女達の高い魔導師能力とアンデッドを倒せる数少ないエナジー使いという事で、ここを去る前に勧誘しようとしたが、それはなぜか地上の局員達が断固抗議して喰い止めたらしい。理由はよくわからないけど様子を見ていたヴィータ曰く、地上から本局に対して「彼女達に余計なちょっかいを出すな」って言う声が聞こえたとか。彼女達は地上と何らかの関係があるんやろうか?

「まあ、会えなくとも彼女達もどこかで元気にやっているでしょう。……ところで主はやて……じ、実は……その……」

「なんで途中からリインフォースはそんなに頬を赤らめてるん? 私、何かされたんか?」

「ええと…………あのですね? 実は……マキナは去る直前に………あ……あ………ああ……主はやてに、くく……口づけを交わしました!」

「は~そうなんか、口づけなぁ~……そうかそうか……………へ? くくくく、口づけぇ!?」

いきなりとんでもないカミングアウトされたわ!? ちょ、ま……マジなん!? 私のファーストキスは寝てる間にマキナちゃんに奪われたっちゅう事か!!? 私、百合ちゃうのに!?

「『これで絶対に忘れられなくなるよ。今回の“報復”は大切にするんだね』だそうです」

「な、ななな、なんちゅうとんでもない“報復”をするんやあの子はぁぁあああああ!!!!!」

えっ? って事はアレかいな!? おまえの初めては未来の恋人じゃない、このマキナ様のものだぁー! って感じなん!? これじゃあ確かに忘れようにも絶対忘れられへんやん! もう何もかもが、彼女の思惑通りにはめられたわ!

「ちなみにその光景はテスタロッサ達を始めとした知り合い皆が見ていました。こう、ズキュゥゥゥンッ! って熱い口づけを見た事で、私達もその……す、すみません。上手く言葉に出来ません」

「(真っ赤)ご、ごめんはやて……あ、あたしからも何も言えねぇ……」

「はてさて……今の時代は女同士にするのが普通なのだろうか……? 男の俺にはわからないな……」

「そう言えばマキナちゃんって、ああ見えて結構大胆だったわね。普段からサバタさんへの好意と狂信的な崇拝を全く隠さないし……あ」

「そんな地雷踏んだみたいな顔せんでも大丈夫やよ。シャマル、私はもう大丈夫や。むしろサバタ兄ちゃんの事を吹っ切れたら、今度は私の初めてを奪われていたという事実で頭がいっぱいや……」

もう何というか筆舌に尽くしがたい気持ちやけど、これだけは言える。最後の最後で、彼女に出し抜かれたって訳や……。アハハ……もうマキナちゃんには敵わんわ……。

「は、話は変わりますが先程リンディ提督から、アースラの補給が完了したので我々を地球に送ってくれる話が来ています。ミッドチルダはしばらく復興に時間がかかりますし、ここに居ても特にする事がありません。戦いも終わった事ですし、久しぶりにあの家に帰りませんか?」

「あ~そう言われてみれば大体2ヵ月ぐらい、地球に帰って無かったなぁ。……うん、そうやな、“皆”で家に帰ろっか」

そう言うとリインフォースや騎士達、扉の向こうで見守っていたフェイトちゃん達は一瞬悲しげな眼をする。皆とっくにわかってるんや……もうあの家にサバタ兄ちゃんは帰ってこない、と。その事実は……私だけが受け入れられていなかった。でもマキナちゃんと決闘してから、私は彼の死をやっと認められるようになった……哀しみを受け入れられるようになった。だからこそ、彼と共に暮らしたあの家に帰ろうと思えるようになった。立ち上がる力は取り戻した、前に進む力も復活している。後は……過去を全て受け入れるだけだ。

ただ、口づけの件は少し受け入れる時間が欲しい。流石の私もインパクトが大き過ぎた……。

さて……次元空間内もファーヴニルが吸収した魔力が封印時に解放されたおかげで、次元航行艦で地球に戻れるようになった。早速地球へ出発するアースラに乗ると、先に乗ってたフェイトちゃん達が私達を気遣って声をかけてくれた。ただ、マキナちゃんとの決闘がこの結末で良かったのか、仲直りできなかったのにいいのかとなのはちゃんが強く訊いてきたが、これで良かったのだと言い切ると彼女も渋々納得してくれた。なんで彼女があそこまで聞いてきたのか疑問やけど……もしかしたら、ぶつかれば絶対に分かり合えるなんて思ってたりしたんかな?

ともあれ数時間後、地球に到着した事でアースラの転移装置を使い、私達はいつもの広場に降り立った。リンディさん達はやる事が大量にあるので本局へ戻り、なのはちゃん達も同様にそれぞれの家へ帰った。そうして久しぶりの海鳴市、久しぶりの我が家に帰ってきた私は……年末に向けて掃除とかしなければなぁ、と思った。なにせ2ヵ月も放置していたんや、郵便受けには大量の新聞とチラシが、家中のあちらこちらには埃が溜まっていた。

という訳で皆一斉に掃除に取り掛かり、私も台所の掃除を中心に行った。シグナムはリビングを、シャマルは寝室を、ヴィータは皆の手伝いを、ザフィーラは庭を、リインフォースは二階を担当している。色々やる事は多いけど、とにかく今は家を綺麗にする事が先決だった。

「そう思ってたら………案の定や」

掃除中、ふと皆の様子を見ると……シグナムは、サバタ兄ちゃんが使ってた模擬刀を手に見つめていた。サバタ兄ちゃんは庭で時々シグナムの剣の相手をしていたから、その分思い入れがあるんやろうな。
ザフィーラは、庭の盆栽の前で目を閉じていた。しばらく手入れしてなかったから見た目がボーボーになってしまってるけど、その趣味を恭也さんから教わるきっかけになったのはサバタ兄ちゃんやった。
シャマルは、外に干しているサバタ兄ちゃんが使ってた布団に、顔を埋めていた。そういえば時々潜り込もうとしては、リインフォースに毎回止められていたっけ。でもその後にリインフォースが偶に欲に負けてサバタ兄ちゃんの布団に潜り込んでいたのを見逃す私ではなかった。
ヴィータは、前にサバタ兄ちゃんにねだって買ってもらった“のろいうさぎ”というぬいぐるみを見て、よく面倒を見てくれていた事を思い返していた。あの時のヴィータは、本当に嬉しそうに笑ってたなぁ。
リインフォースは、なんか小さな箱を持っていた。よくわからないけど、棒状の何かと糸のようなモノが見える。あれは一体何やろ?

そうして皆がサバタ兄ちゃんと過ごした思い出に浸るのを時々呼び戻して、一時間ぐらい頑張って掃除したらピカピカとまでは言わないが、ようやく落ち着ける清浄感が家に戻った。何て言うか、人がいなくなった家というのは2ヵ月だけでここまで寂れるものなんやなぁ、と改めて実感した。

「……ふぅ、大体こんな所やね。皆、お疲れさま」

掃除が終わってコタツで一息つく皆に、シャマルが台所からお茶とせんべいを出す。ヴィータが特に疲れた様子で突っ伏しているが、その理由は掃除の方法が全くわからなかったシグナムを彼女が主にフォローしたからや。なんちゅうか……剣以外だとシグナムって結構ポンコツなんやよなぁ……ま、ギャップがあって可愛いとは思うけど、ヴィータには苦労をかけてしまって申し訳ない。

「主」

「どうしたん、リインフォース?」

「実は兄様の部屋に、このようなものが……」

物憂げな表情でリインフォースが持ってきたのはさっきの謎の小箱で、中にはリインフォースに似合いそうな縞々のセーターと、ほとんど完成目前だけど作りかけの淡い白色のマフラーが入っていた。……ん? ちょっと待って、これがサバタ兄ちゃんの部屋にあったって事は…………。

「ええ、このマフラーとセーターは間違いなく兄様が作っていたものでしょう。どうして作っていたのかはわかりませんが……」

「あ、それあたし、知ってる。前にはやての足の検査で石田先生の所に行った時、クリスマスは贈り物をするものだって兄ちゃんが石田先生に教えられたんだ。それで何を贈れば良いのかって訊いたら、手作りだと相手にとても喜ばれるから時間があるなら作ってみたらって……」

「そういえば兄上殿は、時々部屋で何らかの作業をしている時がありました。以前気になって尋ねたら、ちょっとした手作業だ、とだけ答えてくれましたが……まさか主達がパーティを考えていた裏で、こんな粋な事をしていたとは……」

「ああ……兄上殿の深い愛情が、これを見ているだけで伝わって来る……。いなくなった後も、我々は兄上殿の気遣いの深さには勝てなかったな」

「セーターはリインフォースに、マフラーはきっとはやてちゃんに贈るつもりだったのね……。ニダヴェリールの件が無ければ、ファーヴニルが目覚めていなければ、ラタトスクがあんな事をしなければ、この“クリスマスプレゼント”は完成していたはず……。今更起こった事は変えられないけど、願わくば最後まで作ってもらいたかった……!」

言葉にする内にシャマル達は嗚咽が止まらなくなってきていた。これを作っていたであろう時の姿や、皆と過ごした日々が鮮明に脳裏に映り、感情の発露が抑えられなくなってきていた。皆が今抱いている気持ちは、先日まで私も感じていたから我が身のように理解できる。だから落ち着くまで、しばらくそっとしてあげよう。

淡い白色のマフラーを小箱から出した私は、残る仕上げを済ませるべく編み物棒を手にする。裁縫の経験は少ないけど、これぐらいの仕上げなら一時間ぐらいですぐに終わらせられる。サバタ兄ちゃんは時間が無くて最後の仕上げが出来なかった……だから私が完成までの仕上げを引き継ぐ。せっかくここまで作ってくれたんや、ちゃんと完成させて使ってあげたい。

皆が見守る中、編んでいる間に頭の中で思う……サバタ兄ちゃんはずっと私達を想ってくれてた。それを私達もわかってて、恩返しのパーティをするつもりやった。でもこれを見てわかった……パーティをやれてたとしても、サバタ兄ちゃんの方が一手上回っていた事を……。

「……よし、完成や」

早速巻いてみると、この“純白のマフラー”はサバタ兄ちゃんの“月光のマフラー”のようにかなり長く作られており、普通の巻き方だと立っていても端が床に届く程やった。一人で使うなら巻く数を増やさなあかんけど……、

「主、ご一緒してもよろしいですか?」

「ええよ~。皆も入って入って~」

リインフォースがマフラーの一部を首に巻いて、私と彼女の二人マフラーとなる。そこからヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラがリインフォースと同様にマフラーの一部を首に巻いていく。全員が巻いて丁度良い感じになっているから、もしかしたらこのマフラーはそのつもりで作られていたのかもしれない。

「6人マフラー、と言うより八神家マフラーやね。ほんま、あったかいなぁ……」

「ええ、とても暖かいです……じんわりと心に染み渡ります……」

「あったけぇ……ぽかぽかする……」

「こうして皆で巻いてると、兄上殿の深い愛情が感じられるな……」

「ええ。回復魔法では再現できない、本当の安らぎが感じられるわね……」

「うむ、兄上殿の心がこもっているからここまで暖かいのだろうな……」

私達は一ヵ所に集まって自然と笑顔を浮かべ、サバタ兄ちゃんの匂いが微かに残るマフラーに皆で顔を埋めるのだった。








12月31日……管理局はなのはちゃんを代表に、私とフェイトちゃんをファーヴニル封印の功績を称える意味で表彰式に呼んできた。断る間もなく連れていかれた本局の会場で、私達は伝説の三提督や上層部の人達からたくさんの拍手と、管理局でも滅多に与えられない最高栄誉賞という勲章を授けられる事となった。

「絶対存在の力を制した称号……嘱託魔導師、高町なのは。君に“エターナルエース”の称号を授ける」

「勝利の希望を照らした称号……嘱託魔導師、フェイト・テスタロッサ。あなたに“エターナルブレイズ”の称号を授けます」

「世界秩序を守り抜いた称号……騎士見習い、八神はやて。君に“エターナルデューク”の称号を授けよう」

伝説の三提督のレオーネ・フィルスがなのはちゃんに、ミゼット・クローベルがフェイトちゃんに、ラルゴ・キールが私に、それぞれ勲章バッチを取り付ける。式典に来る前に指示された通りに、私達は敬礼をする。ただ……なのはちゃんとフェイトちゃんはともかく、勲章をもらっても私はあまり嬉しく無かった。

「新たなエースの門出だ、盛大に祝おう」

「おめでとう。あなた達こそが、真の英雄です」

「君達のように立派な魔導師がいれば、管理局の未来は安泰だ」

彼らからこんな甘言をささやかれて、二人は照れたり喜んだりしているが、どんな褒め言葉を聞いても私は何も思う事がなかった。今まで一度も経験が無い式典の主役扱いにある程度緊張はしていたが、内容が内容だから正直に言ってさっさと帰りたかった。

局員達の鳴りやまない拍手に包まれる中、私達は伝説の三提督から握手を求められる。あまり気が進まないが敬礼を止めて手を降ろしたら、彼らはその手を掴んでカメラに握手が映りやすいように隣に移動してきた。すると記者が一斉に私達を撮り、カメラが何度もフラッシュを瞬かせる。対外的にはめでたい事なのだろうけど……やはり真相が伝わっていない以上、気乗りはしなかった。

本局上層部の局員らしい人達からも握手を求められるが、素直に応じた二人とは違い、私はそれを無視して会場から去って行った。都合の悪い真実を隠したがる管理局を内側から変える……そのためにもきな臭い連中と馴れ合うつもりはない。皆を守るためにも……私達が生き残るためにも……マキナちゃんとの約束を破らないためにも……そして、サバタ兄ちゃんに託された未来を失わないためにも、私は戦う。どれだけの苦難が待ち受けていようが、絶対に屈したりしない。命の限り、務めを果たしてみせる……!


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~~Side of エレン~~

「はい。シェアのナンバーワンだったニダヴェリールの消失により、魔導結晶や希少金属の産出量が急激に減少……レアメタルやエネルギー資源の需要と供給のバランスが近い内に乱れるはずです。管理世界は今までのエネルギーの消費量に慣れてしまっていますから、いずれ深刻なエネルギー不足に悩む羽目になります。―――……確かに、ファーヴニル事変の影響で自分達のツケが払えなくなり、失業者は世界恐慌やバブル崩壊後並みに発生してしまうでしょう。結局の所、新生エースを持ち上げようと、管理局の支持率の低下は否めません。―――……ええ、この状況を上手く利用すれば、あなた方にも逆転勝利の芽が生まれます。そしてファーヴニル事変の真相を握る事は、管理局の首根っこを押さえる事にもなります。今後の外交にも切り札が……。それでは……“オーギュスト連邦”議会長……また……」

とある議会に通信を終えた直後、ミッド式でもベルカ式でもエナジーでもない、特殊な魔方陣を展開してどこかへ通信を繋げる。

ツー……ツー……キンッ。

「はい、私です。サバタは命を懸けて未来を繋ぎ、消滅しました。彼の想いは彼の撒いた小さき太陽達が受け継ぎ、多くの心を照らすでしょう。―――……安心して下さい、彼は最期まで約束を破っていません。今回の戦いで消滅はしましたが、それは一つの寿命を迎えただけ……。彼の魂は真の楽園へと昇っていき、そして……来るべき時、私達の前に再び姿を現すはずです。―――……ええ、わかっています。いずれ彼女にも旅立ってもらわなくてはなりません。その後のサポートはお任せを……。……それでは師匠……いえ、“先代ひまわり娘”……お達者で」

 
 

 
後書き
殴り合い:MGS4ラストをイメージ。
マキナの口づけ:本人にとってはマークを付ける意味。スナイパーウルフが傷で標的に印をつけるように、彼女が何か印をつけるとしたらなぜかこうなりました。
式典:MGS3ラストをイメージ。
オーギュスト:ボクタイDS 暗黒城オーギュストより引用。

エレンはこの物語の最も重要な知識を持っています。彼女の真意がどこにあるのかは、続編で解明されると思います。

息抜きのネタ

「うぬは、力が欲しくないか?」

「え?」

sts時代で夜の自主練中のティアナの前に、空から仮面の男が飛翔してくる。

「我はグラーフ。力の求道者。うぬは、力が欲しくないか?」

「ち、力?」

「そう、力だ。うぬの教導を行っておる者を圧倒できる力……兄の無念を晴らせる究極の力だ」

「兄さんの無念を……! そんなものをくれると言うの? い、いや……私には魔導師としての力がある」

「しょせんは、まがい物の力。果たして、それで勝てるかな?」

「ま、まがい物!?」

「まがい物の苦痛。偽りの破壊。それではだめだ! 我が真の力を与えてやろう!

我の拳は神の息吹!

”堕ちたる種子”を開花させ、秘めたる力をつむぎ出す!!

美しき 滅びの母の力を!!」

「ふぉぉぉぉ~! す、すごい! これなら隊長全員を相手にしても勝てそう!!」

「ちなみに使うたびに髪が抜けてハゲるんで、要領と用法を守って正しく使うのだぞ!」

「エ……!? は、ハゲ……!?」

「さらば!!」

後日、育毛剤を眺めて真剣に悩むティアナの姿が見られたそうな……。

 
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