| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

機動戦士ガンダム0091宇宙の念

作者:むらたく
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

宇宙編
レーモ7攻略編
  第14話 Space of the nightmare

レーモ7総司令部ー

「敵艦隊は部隊を二つに分け、挟撃するつもりか…小癪な!」
総司令が嘲笑する。
「MS隊を基地外部に展開!アレキサンドリア級、マゼラン級で迎撃しろ!」
戦闘が開始して既に数時間。
圧倒的有利な立場にあったレーモ7駐留部隊。
一度敵の攻勢を許すものの、その鉄壁たる防衛網は未だ覆らない。
「司令!参謀本部より緊急入電です!」
「?読み上げろ。」
「了解、⁉︎」
命令を受けた通信兵が戦慄する。
「何、どうした⁉︎読み上げろ!」
通信兵は震えつつも伝令を読み始めた。
「現在戦闘中ノ全部隊二対シ、即刻停戦及ビ撤退ノ指示ヲ下セヨ。駐留部隊ハ月ヘト撤退シ、待機セヨ。」
「馬鹿な⁉︎」
それは正しく本部からのレーモ7を明け渡せとの命令だった。
「現宙域に於ける戦闘指揮権は私にある!戦闘は継続し、奴らを叩き潰せ!」
「し、しかし、今命令ハ連邦政府、及ビ宇宙軍ノ決定デアリ、背ク場合ハ軍法会議二処ス、とのことです‼︎」
「…‼︎クソッタレ‼︎」
司令がモニターパネルを叩きつけた。
「……これより全艦艇、MS部隊は撤退し月へ向かう。命令を下せ…」
静かな声が、より静かなブリッジに響く…
「了解です」

レーモ7外宙域。
「……マルロ?」
融合炉の爆発が渦巻き、視界を消した。
「うあああああ‼︎」
初めて見せるメアリーの激情。
悲しさと悔しさと怒りに身を任せ、怒号を上げて突撃する。
「くっ‼︎ふざけやがって‼︎」
本来なら静止するべきはずのフーバーも、金色の機体めがけ突進した。
二機が激しく鍔迫り合い、ハンマ・ハンマがヘッジホッグの両腕をクローで押さえた。
「よくも…マルロを…!」
モノアイを光らせ、トリガーを引こうとする。
「くっ⁉︎このヤロー‼︎」
その寸前、
被弾したデルタガンダムがハンマ・ハンマの有線アームを切り落とした。
ハンマ・ハンマの弱点は、武器が両腕に集中しているため、有線アームを切断されたときの火力の喪失にある。
込み上げてきた憎しみ、怒りも、一瞬で絶望に変わる。
「あぁ…いや、来ないで‼︎」
武器を失い、的になった鉄くずは、儚き華の様に散ってゆく。
「離れろ‼︎俺が止める!」
被弾したハンマ・ハンマを後退させ、ライフルのトリガーを引く。
ビームは機体下部を直撃した。
「⁉︎」
不意の射撃に、デルタガンダムは直撃を受ける。
「ぐぁぁ!」
衝撃で機体をバーストさせるフラン。
両脚を爆発によって失い、片腕も使い物にならない。
「死ねるかよォ」
満身創痍の体を気合の雄叫びで奮い立たせる。
しかし、重くのしかかる痛み。
鼻から吹き出す血を拭うため、ヘルメットのバイザーを開け、宙を舞う赤い球体を見る。
「これ以上は…まじで死ぬ…」
ボロボロの機体と入れ替わりに、黒き衣装に身を包んだ死神が前進する。
「やらせはしない!誰も死なせは‼︎」
両腕を突き出し、構える。
レギーナがその照準をバウにロックしたその刹那。
「⁉︎」
自分の射程外からの殺気を感じ取ったナナが、機体を緊急回避に移行させる。
フーバーとナナ、両者のモニターに極太の火線が横切る。
「味方の火線⁉︎」
そう言葉を発すると同時に、額に閃光が走る。
撃て
そう本能が命令し、正面の敵にビームライフルを撃ち放つ。
時間にしてほんの僅か、しかし戦場では長すぎる沈黙が起こる。
「…弾切れぇ⁉︎」
焦る思考。機体を後退させ、火線の主に目をやる。
「くっ…遅かったか…」
歯を食いしばり、アイラに指示を出す。
「俺はフーバーを支援する、アイラは後退した味方機の救援に向かえ‼︎」
「了解!」
よく知る気配が二つ。
ザクIII改とドライセン、グラン大尉の隊か⁉︎
死、怨み、安堵、動揺。様々な心を飲み込んでなお、悪夢の様な戦いは続く。 
 

 
後書き
前話の補足ですが、イーグル隊の宙域のバーザム隊は全滅したのではなく、すでに撤退をしていました。撤退命令→フーバー達の戦闘、という流れです。
次回に続きます! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧