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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年

作者:レゾナ
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第二十九話 全

ピンポーン

「あ、来た来た。にしても遅かったなぁ……」

そんな事を呟きながらるいは一足先に来ていた今回の主役を部屋に待ってもらい、玄関に向かう。

「はぁい」

そう言って玄関を開けるとそこには待ちわびていた人物達。

「来たわよるい」

「お邪魔します、るいちゃん」

「やっほぅ、るい!来たよ~!」

「ね、姉さん、近所迷惑になっちゃうよ?」

るいが待っていたのはアリサ、すずか、フェイト、アリシアだ。

「遅かったわね?確か指定したのって十一時だったでしょ?もしかして……何か予定とかあった?」

「そうね、確かに予定はあったわ。でも、それは別に私達じゃなくてもよかったし、全部聖に押し付けてきたわ」

「?どういう事?」

「ああ、それはね……」

困惑するるいにすずかが説明する。

何でも、今日はなのはとはやて、フェイトとアリシアに勉強を教えてあげる予定だったという。

なのは達はただでさえ、管理局で忙しくて勉学に力を注げないのだ。

だからこそ、成績優秀であるアリサやすずかに頼んできたという。

いや、あれは頼むというより懇願に近い感じだったよとアリシアは訂正したが。

「なるほどね、何かごめんね」

そう言ってるいは謝罪するが

「いいわよ別に。それにこんな文面で呼び出されたらそりゃどんな予定もキャンセルするわよ」

そう言ってアリサはるいがここにいる全員にあてたメールを見せる。

『皆に話があるの。全の事についてよ。予定がつくなら十時半に私の家に来て』

こんなメールがここにいる四人に送られてきたのだ。

普通の感じならアリサ達も渋っただろう。

しかし、ある一言『全の事について』。この一言で四人は勉強会を中断してここにやってきたのだ。

「こんな言葉がついてるならすっ飛んでくるわよ」

「うん、私達全君の事についてあまり知らないし」

「確かにそうなんだよねぇ……」

「私達も全の両親が誰かって事位しかわかんないし……」

「そう、それに今まで人が変わったようになってたのも気になるのよ」

そう、全の事という事はそういう謎もわかるんじゃないか、と期待してアリサ達はやってきたのだ。

「まあ、わかるんじゃないかな?とりあえず、入って。私の部屋で待ってられるから」

「?待ってる?誰が?」

「まあ、行ってのお楽しみ」

そう言ってるいは四人を自室へと案内する。

「連れてきました」

『ああ』

部屋の前で立ち止まったるいはそう言うと、中からアリサとすずかには聞き覚えのない声が返ってきた。

「「あれ?今の声って……?」」

どうやらフェイトとアリシアは今の声を聞いた事があるらしい。首を傾げる。

部屋の扉を空ける。

部屋の中は所謂女の子の部屋といった感じでぬいぐるみなどが所々に置かれている。

そんな部屋の中央には小さなテーブルが置かれており、そこには一人の女性が座っていた。

「「み、ミサキ執務官っ!?」」

と、その女性の姿を見た瞬間、驚いたようにフェイトとアリシアが叫ぶ。

「執務官?」

「え?管理局の人?」

アリサとすずかはまだ状況が掴めないのかちょっと困惑気味だ。

「う、うん。私執務官資格取ろうかなって思ってるんだけど、結構難しいんだ」

「この人はそれをやりぬいた凄腕の執務官さんなの。しかも執務官試験に一発合格」

「い、一発合格!?」

「す、凄い方なんですね……」

フェイトが難しいと言ったのだ、相当難しいのだろうとアリサ達は思った。

それを一発で合格したというのだから驚く。

「そこまで難しくはなかったさ。きちんと予習もしていたからね。それで……君たちが全と幼少期を過ごしたという子達、だね?」

「「「「っ!?」」」」

目の前のミサキ執務官から全の名前が出た事にアリサ達は驚愕する。

なぜ無関係の筈である彼女の口から全の名前が?それも言い方といい、何か過去の全の事について知っているような感じがアリサ達には感じられた。

「あの……全の事、何か知ってるんですか?」

代表してフェイトがミサキに聞く。

「ああ、知ってるよ。それこそ()()()()からね?」

「「「「ええっ!?」」」」

アリサ達はまた驚く。前世とはどういう事か。

「ちちち、ちょっとミサキさん!?いきなり何カミングアウトしてるんですか!?」

これは予定になかったのか、るいが慌てる。

「何だい、言ってなかったのかい?それじゃ君が転生者で全の前世での幼馴染だという事も?」

「「「「えええええぇぇぇぇぇっ!!!???」」」」

「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!???」

ひとまずこの騒動を収めよう。そう決意したるいだった。





「はぁ、はぁ、はぁ……な、何とか納得してもらえた……?」

「え、ええ。何とかね……」

とりあえず、今まで隠してきた事を暴露するるい。

自身が転生者である事。そして聖や全も転生者であり、全の前世では幼馴染であった事。そして

「そしてミサキさん、貴方が……前世で全が所属していた……その、暗殺者の組織の人間だっていう事も……」

「うん、そうだね。そう踏まえれば色々と辻褄が合うし」

「私達もまだ子供だけど、聖やるい、全は何というか……子供離れしてるって感じがあったしね」

「うん。見守る大人みたいな感じだったよ」

どうやら、説明をした事で納得してくれたようだ。

「ようやく終わったかい?」

いつの間に淹れたのかティーカップに入れた紅茶を飲むミサキ。

「貴方のせいでしょ!?場をかき乱して!?」

「ああ、そうだったね」

ミサキはそう言うと、ティーカップを置き

「皆、今回は急な呼び出しに応じてくれてありがとう」

上品に両手を床につき、頭を下げてきた。

「「「「(えっ!?この人、こんなに気品あったっけ?)」」」」

アリサ達はその態度というか、姿勢に困惑する。

「ああ、まあ驚くわよね。何でも前世でお嬢様学校に通ってたらしくて。意識するとそっちが出せるようなのよ。まあ、普段はさっきみたいな感じで気さくな感じらしいんだけどね」

るいが一応説明する。

「それで呼び出した理由なんだけどね……核心的な所に関しては話せないけど……皆が疑問に思っている事に答えたいと思ったの。皆、少しは疑問に思った事はない?今まで聖に好意を寄せていたのにいきなり全への好意に変わった事」

「「「「「っ!!??」」」」」

その言葉にミサキを除いた全員が驚く。

それは全員が抱いていた疑問だったからだ。

そう、記憶を取り戻すまでは自分達は確かに聖の事が好きだった。だが、なぜ記憶を取り戻した瞬間に全への好意に変わったのか。それが疑問だったのだ。

「その疑問に答えるよ。それはね……ある存在のせいだ。ここではぼかすよ。その存在の正体に関しては全に聞いてください。その存在のせいによって君たちの記憶から全の存在は消えていた。そして、まったく違う記憶が植えつけられていたんですよ。そうだったでしょう?るい」

「え?わ、私?」

るいはいきなり話を振られたからか少し困惑してから考え込む。

その様子を見逃さないとしているのかアリサ達も一言も喋らず黙ってるいが話すのを待つ。

「……確かに、私が全と離れたのは今位の年の時です。そしてそれまで全と遊んでいた頃の記憶はまったく違う人と遊んでいた記憶に塗り換わっていました」

「そう、その通りです」

「そういえば……」

と、アリサがいえばそれぞれも記憶を掘り起こし先ほどのミサキの言葉が真実だとわかり始めた。

「それこそが正体なの。その時に君たちの記憶の奥底とはいえ、聖少年と出会っていたという記憶に塗り換わっていたんです」

「そ、そんな事が出来るの!?そのある存在って!?」

アリサが詰め寄る。だって、誰でも信じられないだろう。記憶を操ると言っているのだ。

「はい、出来る。と言っても証拠がないから信じてはもらえないでしょうけど……でも、私はそれを本人から聞きました」

「本人って……全君?」

「はい、そうですすずかさん。それと報告書にも載ってたんですけど……全、つい最近まで銀髪に染めて変な事ばっかり言ってたんですよね?」

そう、五人ともそこにも疑問を抱いていたのだ。

「それは……まあ、これも推測でしかないんですけど……多分ですよ。その時全の体を動かしていたのは違う人物だと思うんです」

「それって……二重人格って事?」

フェイトが思った事を口にしたが

「いや、二重人格ではありません。まあ、簡単に言うならからっぽになった全の体に違う魂が入っていてそいつが自分の意志でやっていた事って感じでしょうか?」

「え、え?ちょっと待ってください……あの、整理させてもらっていいですか?」

さすがのアリサも話がこんがらがってきたのか一旦整理したいと言った。

「えっと……簡単に言えばあの時の全は全じゃなくて、全の体に入っていた違う人物だったって事?」

「その通りです。これは近辺の商店などを聞き込みして行き着いた答えでした」

「え?」

「その頃の時、全の評判は学校では中々に最悪だったようですが……商店街などでは良かったようですよ。礼儀のいい子だ、あそこまで礼儀のいい子供は中々いない。といった感じでした、まあ今でもその評判は変わらないようですが」

「そう、なんだ……」

しかし、そうすると学校ではなぜわざと嫌われるような事をしていたのだろうかという新たな疑問が生まれる。

「まあ、後は本人に聞いてください。さて、他に疑問はありますか?」

「えっと……こんな事聞くのっておかしいんですけど……全君、前世じゃ何でその……暗殺者になっていたんですか?」

「……私の、母への恩返しなんですよ」

え?と口を閉ざするい達。

「これ以上は言いたくありません。全にとって……苦い記憶にも繋がりますので」

「あ、すいません。何か……」

「いえ、いいですよ。気になるのも仕方ないですし……それで?他にはありませんか?」

「えっと、他には……」

「そうですね……それでは、最後に一言だけ。どうか最後まで……全を裏切らないでください」

そう言って先ほどのように頭を下げる。

「あ、頭を上げてくださいミサキ執務官!」

「そ、そうですよ!私達絶対に全を裏切りませんから!」

「そうです!絶対に裏切ったりしません!」

「むしろ、好きな人の事を嫌いになんてなれないよ!」

「そうです!私達は誓います、絶対に裏切らないって!」

「皆……ありがとう、本当にありがとう……」

この時、ミサキは静かに涙を流した。この時の涙の意味をるい達は分からなかったが、それでもそれ位に全の事を心配していたのだと決意を新たにした。











一方、その頃

「へっくしゅ!ずずっ……誰か、噂でもしてるのか?」

全は自室で予習をしていた。

「それにしても……こうやってると、あの頃を思い出すよ……元気に暮らしてるだろうけど……」

そう言いながら椅子から立ち上がると窓際までやってきて窓を開け、空を見上げる。

「俺は幸せに暮らしてますよ、美咲さん。それに双覇(そうは)さん、メリルさん……誠悟(せいご)さん……」

前世で一緒の組織で一緒に行動をしていたかつての仲間……そして、自身に知識や色々な事を教えてくれたもう一人の恩師といっても過言ではない人物の名前を呟くのだった。 
 

 
後書き
つまりはそういう事です。

いきなり違う人物へと好意が変わったのは元の人物への好意に戻ったから、という事です。

後、遅くなり申し訳ありません。

今月から本格的に夜勤が始まりまして……書く気力が湧かないんですよね。

それでも少しずつ書いていきますので。

ちなみに双覇さんのフルネームは双葉(ふたば)双覇、メリルさんのフルネームはメリル・ブランケットでございます。

容姿などは出た時に出しますので。後、誠吾さん。えぇっとですね……彼は名前を言われればわかる方がいるかと思います。

フルネームは伊東(いとう)誠悟です。わかる方いるかな?私、この方が主人公してるゲーム大好きなんですよね。主にキャラの性格がwww 
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