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MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士

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新婚編 (番外編)
  愛の巣のジークドロシー夫妻

 
前書き
バルムンク!!(挨拶) 

 
太陽が昇り闇の帳が開けられ朝がやってくる。太陽は規則正しく空へと昇り大地を煌びやかに照らし上げていく。ここは神秘と魔法の国"カルデア"。世界に存在する特殊な能力を持つARMが産み出された国でもあり、今は世界を救った英雄の二人が住む国としても非常に有名なところでもある。

「今日も、良い朝だな」

太陽を背にしながらカルデアを空から監視するように飛行する男が一人。背中には竜の翼を生やした男は自在に空を泳ぐように舞いながら高度を徐々に下げながら自宅へと向かっていた。彼の名はジークフリード、世界を救った英雄の一人として祭り上げられているうちの一人であり、今はカルデアに居を構えている。

これはそんな彼の新婚生活を描いた物語である。



「ジーくん♪」
「んっどうかしたか?」
「ううん呼んで見ただけ♪」
「そうか」
「♪」

居間で過ごす二人。夫婦である二人の仲は非常に良好且つ円満である。新婚なのだから当たり前だろうとも思えるがそれは二人が互いの事を深くまで理解しているからなせる事である。夫であるジークはどこからか仕入れてきて服のカタログを読み、妻であるドロシーはそんな彼の膝に頭を乗せながら読み物をしている彼の凛々しい顔を眺めている。

ただそれだけなのに二人は酷く幸せそう、当たり前の事を二人でするっと言う事が彼らにとっては至上の幸せになりえるのだろう。出会ってから平穏に時間を過ごすという事をしてこなかった二人は一日一日の中に出来る幸せを精一杯噛み締めながら生きている。

「ジーク♪」
「なんだ?」
「私も呼んでみただけ♪」
「そうか」
「ええ♪」
「って何しれっとジーくんの膝枕を味わってるのよディアナ!!!」

何時の間にか二人の家にやってきていたのは掟の騎士という名の番人をしているジークの補佐をしているドロシーの姉"ディアナ"であった。ディアナもジークに心底惚れているのか、意中の人(ジーク)が妹と結婚しているというのにも関わらず猛烈なアタックを繰り返している。

「いいじゃないドロシー。固い事を言わないの♪」
「言うに決まってるでしょ!?ジーくんは私の旦那様なのよ!!なんで軽々しく膝枕に随伴してるのよ!!!というかジークもなんで黙認してるの!?」
「………」

カタログからちらりと視線をずらして二人を見るジークだが溜息を付きながら口を開く。

「どうせ何を言っても無駄、と解っているからだ。強気に拒絶して以前凄い泣かれてな……それで諦めた」
「泣き落としは女の最高の武器の一つよね♪」
「アンタって人は………」

一応姉の事は嫌っていないドロシーだがここまで旦那を狙っているのならば黙っている訳には行かず色々と策を講じているのだが、様々な意味で頭の回転が凄まじいディアナはそれを毎回毎回潜り抜けており良い結果は望めておらず毎度頭を抱えている。

「っというかディアナ。確か掟の改正案を持ってきてくれたのではなかったのか……?」
「ええ勿論、ここに………あれっ」

自信満々に腰にあるポーチに手を伸ばすが其処にポーチは無い。がばっと立ち上がりながら全身を隈なく捜すが見つからない、そんな時ある事を思い出し汗を流す。

「ま、まさか………き、昨日行ったレスターヴァ城に忘れたんじゃ……」
「おい」
「だ、大丈夫アンダータで直ぐに……ってアンダータもポーチの中じゃない!?い、急いで取ってくるわ!!」
「ああおい!!変装忘れるなよ!?」
「解ってる!!ああもうまたうっかりやっちゃった~!!」

ぱたぱたと慌しく家から飛び出していくディアナ、ああ見えて結構うっかりやな所がありジークは結構意外な一面だと思っている。

「というか今からレスターヴァに行く気なのディアナ……アンダータ無しだと凄い時間掛かるわよ………?」
「だな……下手したら明日帰って来る事になるかもな」

これは絶対に今日中に帰ってこれないなという確信を揃って持つ夫妻、そしてドロシーはディアナが家から飛び出したを確認するとジークに抱きついた。

「おっと………」
「やっと、二人っきりだね♪」
「フッ……ディアナには悪いが、君と二人っきりの空間が一番俺には好ましいようだ」

ディアナを嫌っている訳ではないがやはりジークの中での一番はドロシー、妻だからという事もあるが彼女には様々な意味で救われている。思いいれも愛情も彼女が一番強い。笑いながら妻の身体を両の腕の中へとおさめる。

「やん♪今日は何時もより積極的♪」
「出会ったばかりの君に倣ってみてね。なんなら今此処で―――深いキスでも落とそうか?」
「―――ッ!!え、えっとその………し、してほしい、かな………?」

何時もは活発で猛烈なアタックをしてくる彼女だが攻める事が得意だが受ける事は経験が薄く直ぐに赤面ししおらしくなる。物欲しげに上目遣いな潤んだ瞳は保護欲と加虐心を心地良く刺激する。猫と戯れるように下顎へと手をやり優しく撫でる。心地良いのか瞳を細くしその感触に身を委ねる彼女の姿に更にぞくぞくと下心が掻き立てられる。

「本当に、可愛い人だよ君は」
「ん―――」

彼は愛する人を膝の上に座っている彼女を引き寄せ口付けを交わす。普段からキスをし互いの体温や愛情を確かめ合う二人だがこの時のキスは普段よりも互いの情を絡めあうような物だった。

「んっ―――もっと、お願い……?」
「本当に、可愛い人だよ君は」

更にキスをせがんで来るドロシー、意地悪げに指で唇を尖らせて強請る彼女の口を押し止める。不満げな表情を浮かべる彼女に空かさず口付けを交わすジーク。驚愕しながらその感触を味わうドロシーは幸せげに彼への愛を心の中で言葉にするのであった。 
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