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ポケットモンスター 急がば回れ

作者:おうーん
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28 グリーン対カツラ 2

かつてミュウの研究に携わっていた4人、オーキド、フジ、カツラ、そしてサカキ。
過去の復讐心に燃えるカツラと説得を試みるオーキドとフジ、ロケット団の野望を企むサカキの三つ巴となる。

グリーン「この年寄り共、俺のこと忘れてねーか?」

オーキド「すまんなグリーン、お前のバトルに水を差すようなマネをして」

グリーン「まあ、フーディンが休めたからいいけど」

先程のダメージは自己再生ですっかり回復している。

カツラ「……そうだったな。
オーキドへの復讐の手始めとしてお前の孫を叩き潰す!」

グリーン「やっと再開か」

フーディンとウインディは臨戦体勢を取る。

カツラ「ウインディ、大文字!」

5つの方向に燃え盛る巨大な炎が火の粉を撒き散らしながら突進してくる。
フーディンは火柱と火柱の間を潜り抜けようとする。
しかし大文字は風車のように回転してフーディンを阻む。

グリーン「サイコキネシスで掻き消せ!」

タイミングが遅かったが大ダメージは免れる。

カツラ「ウインディ、神速!」

サイコキネシスの死角、頭上から素早い攻撃がくる。
反応しきれなくフーディンはふっ飛ばされる。

カツラ「同じ手を喰らうようではまだまだだな」

グリーン「くそっ!
フーディン、サイコキネシス!」

観客席ではオーキド、フジ、サカキとブルー、そしてイミテが観戦している。

サカキ「ところでフジ博士、ミュウをどこへ隠したのですか?」

フジ「教えても無駄じゃ。
あの島は心正しきトレーナーしか行くことができん。
ロケット団なんぞ近づくことすらできんのじゃよ」

サカキ「ほう……それは楽しみだ」

オーキド「お前の計画に早く気づくべきじゃった。
今度こそ止めてやるぞ、サカキ!」

サカキ「もう手遅れだと思いますがね。
既にフリーザーとサンダーの能力はブルーのメタモンが手に入れました。
その証拠に、ファイヤーのいるこの島以外のカントー全域は天候のバランスが崩れて異常気象に見舞われてますよ。
あとはファイヤー……この前座試合が終わったら盛大にやるつもりです。
老いぼれた貴方がたに止められますかな?」

オーキド「ブルー、目を覚ますんじゃ!
ロケット団の計画に利用されるんじゃない!」

サカキ「いくら呼びかけても無駄ですよ」

イミテはブルーをちらちら見るが、周りを気にしている様子は全くない。
ただ黙ってフィールドのバトルを見ているだけである。

カツラ「ウインディ、神速!」

上に意識を集中していたフーディンは、真横から突撃してきたウインディに対抗する手段もなく攻撃を受ける。

カツラ「意識を集中すればするほど死角には気づかなくなる」

グリーン「くそっ、何か対抗する手段はねえのか……」

グリーンは観客席を仰ぐ。

グリーン「ブルーを救うためには悪に立ち向かう力が要る。
悪に立ち向かう力か……」

カツラ「何を呆けておる!」

すぐ目の前までウインディは来ている。

カツラ「ウインディ、とどめの神速だ!」

フーディンはかなりのダメージを受けている。
次の攻撃をくらったらもう後が無い。

グリーン「フーディン、サイコキネシス!」

カツラ「無駄だというのがわからんのか!」

ふらふらのフーディンの死角は大きい。
そこをついてウインディは攻撃を仕掛けてくる。

グリーン「悪に立ち向かう力、それは格闘だ!
フーディン、地球投げ!」

フーディンは足で力強く地面を踏みしめると周囲のあらゆるもの、フィールドに落ちていた塵や小石から吊橋の支柱や溶岩までもが空中に投げ出される。
ウインディも例外ではない。ジムの屋根を突き破って空に落ちていく。

カツラ「な……何だこの技は!?」

フーディンは超能力で周囲に反重力を作用させる。
そしてフーディン自身も反重力に身を任せ、勢い良く地面を蹴って飛び立つ。
水平感覚に慣れ始めたウインディを空中で捉え、反重力を解く。
日本晴れの空からグレン島全体が見える。
そしてフーディンは島の中心にある活火山の火口に向かって、落下の勢いを使ってウインディを投げ飛ばす。

オーキド「グリーン、乗るんじゃ!」

オーキドはモンスターボールからピジョットを出す。
山頂へ飛んでいくつもりだ。

グリーン「サンキュー、じーさん!」

グリーンを乗せるとフジとイミテを残して、ウインディの開けた天井の穴から飛び立つ。

サカキ「我々も行きましょうか」

天井の穴を見上げるカツラをサカキが促すと、ジムの外にヘリコプターが間もなく到着する。
ヘリコプターにはナツメとエリカが乗っていた。

ナツメ「場外に出てもバトル続行なんて、ルールで認められていないのでは? しかもあんなに遠くまで飛んで……」

サカキ「もはやこの勝負にルールなど必要ない。
そうでしょう? カツラ博士」

カツラ「その通りだ」

エリカ「まあ、なんと白熱したバトルでございましょう!」

ブルーは窓から活火山を眺めている。
山肌は緑に覆われて、山頂へ向かうにつれ疎らな茶色が目立つようになり、稜線付近は茶色一色である。
山頂を目指してピジョットが一直線に飛んでいき、凹地の脇の峰に止まる。
上空から見ると巨大な釜のようにぽっかりと穴が開いている。
そのカルデラから絶えず噴煙があがっていて噴気が活発なのがわかる。
ヘリコプターは比較的平らな峰を選んで止まる。

カツラ「ウインディはどこだ!」

釜の中に新しくできた穴がある。
ウインディが落下してできたのだろうか。

グリーン「こりゃ勝負あったな。次のポケモンを出せよ」

フーディンは自己再生をし始める。
しかしカツラは穴をじっと見つめたまま動かない。

ブルー「……来る!」

サカキはブルーの言葉を聞き逃さない。

サカキ「ついにファイヤーが現れるか!」

穴は周囲にひびを這わせていく。
割れた塊がカルデラの空洞に落ちる。
そしてマグマが噴き出す。

オーキド「いかん、火山が噴火した!」

グリーン「バトルどころじゃねえな」

マグマは釜に溜まっていく。

カツラ「あれは……」

何かを見つける。
マグマの噴出に乗ってそれは高く飛び上がる。

カツラ「ウインディ、大文字!」

グリーン「えっ?」

火口から渾身の大文字が放たれる。
フーディンは完全に不意を突かれる。
炎技は強い日差しを受けて風も焦がす勢いである。
気づいた時には大の字がフーディンの五体を包み込んでいた。

カツラ「決まったな。よくやった、ウインディ」

かの国の言い伝えにある伝説のポケモンとはいえ、摂氏1000度には耐えられない。
瀕死の状態で釜の淵に掴まるところをモンスターボールに収められる。

グリーン「そんな……負けちまった……」

フーディンも戦闘不能である。
うなだれるグリーンの肩にオーキドは手を置く。

オーキド「グリーンよ、見事なバトルじゃった」

グリーン「でもこれじゃあ、あのじじいはじーさんのことを……」

オーキド「わしとて簡単にやられる気はない。
それよりここは危険じゃ。早く避難しよう」

カツラ「どうした、早く次のポケモンを出さんか」

カツラはブーバーを出している。
このフィールドを得意とするポケモンは他にいないだろう。

グリーン「何言ってんだよ、俺にはもう手持ちが……」

カツラ「もう出していたのか。サングラスでよく見えなかった。
ではゆくぞ! ブーバー、炎のパンチ!」

グリーン「ちょっと待て! 俺にはもう手持ちポケモンはいねー!」

カツラ「じゃあそこにいるゲンガーは何だ!」

グリーン「ゲンガー?」

強い日差しに浮かび上がるグリーンの影から顔を出している。
グリーンはこの顔を知っている。かつてバトルで苦戦を強いられた時、この顔には何度もむかっ腹を立たされたことがある。

グリーン「うわっ! こいつはブルーのゲンガーじゃねーか!」

サカキ「あれはあの時捨てた、オリジナルのゲンガーか。
オーキドの孫について来たのか、あるいはメタモンに……?」

ブルーは久しぶりに会う相棒にも無表情である。

サカキ「まあいい、あのポケモンは何も覚えていない。無力だ」

ブーバーの炎のパンチがくる。

グリーン「避けろ、ゲンガー!」

命令はゲンガーには届かず、炎のパンチはクリーンヒットする。

グリーン「ゲンガー、シャドーボールだ!」

しかしシャドーボールではなく、突進するようで突進ではない奇妙な攻撃をする。

カツラ「何だあれは?」

サカキ「カツラ博士、あのゲンガーは技が使えません。畳み掛けるなら今です」

ゲンガーの奇妙な攻撃は簡単に弾き返されて自分がダメージを受けるだけである。

オーキド「悪あがきじゃ!
あのゲンガー、技を1つも覚えておらん!」

グリーン「どういうことだよ、じーさん!」

オーキド「さっき、あのゲンガーはブルーのポケモンと言ったな?
まさかとは思うが、メタモンに記憶を抜き取られたのかもしれん」

グリーン「メタモンはイミテで最後じゃなかったのかよ!?」

オーキド「そのはずじゃが、サカキのことじゃ。何を隠しておるかわからん」

グリーン「どうでもいいけど技を覚えてねえんじゃ勝ち目ねーぜ」

悪あがきを繰り返していては相手を倒すどころか自滅である。

オーキド「技マシンさえあれば……」

グリーン「技マシン……!
イミテが持ってる! 研究所で貰ったやつだ!」

オーキド「本当か! よし、わしが借りてこよう!」

グリーン「頼んだぜ、じーさん!」

オーキドはピジョットに乗ってジムへ戻る。

カツラ「待て、オーキド! まだ勝負はついていないぞ!」

グリーン「おい、じじい!
メタモンはお前が作ったんだったよな?」

カツラ「それがどうした!」

グリーン「ゲンガーはメタモンに記憶を奪われたんだ!
じーさんが技マシンを持ってくるまで待つのが筋だろ!」

サカキ「もはやこの勝負にルールなど必要なかったはずでは? カツラ博士」

サカキはカツラの耳元で囁く。

グリーン「そいつの言葉に耳を貸すな!
ブルーをそそのかして悪事の片棒を担がせようとしてる奴だぞ!」

サカキ「奴はオーキドの孫……復讐すべき相手ですよ」

グリーン「このゲンガーだって元々ブルーのポケモンなんだぞ!
そいつがこんなまともにバトルもできないようにしちまったんだ!
いい加減に目を覚ませ! 本当に復讐するべき相手はそいつだ!」

カツラ「わしは全てを失った。
息子夫婦も、孫娘も、研究も……
そのわしを今まで支えてきたのは、もはや復讐心だけだ。
今更どうしろというのだ! わしの気も知らん小僧共が!」

そのとき、激しい地鳴りと共にマグマの海からひときわ大きな噴火が起こる。
高く飛沫をあげながら溢れるマグマの中から1体の鳥ポケモンが現れる。 
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