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幸せゲット

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第二章

「けれど今の御前だとな」
「何かドツボだしな」
「それだったらな」
「凶引いてな」
「実際にとんでもない日になるな」
「この展開だと」
「本当に憂鬱だよ」
 当の信彦自身もというのだ。
「これから何が起こるのか」
「だからもう帰れよ」
「それで家の中でずっと寝てろ」
「さもないとこれからさらに起こるぞ」 
 不幸な出来事がというのだ。
「だからもう帰って寝てろよ」
「今日一日穏やかにしてろ」
「そうしてろ」
「悪いこと言わないからな」
「いや、それでもな」
 まだ言う信彦だった、友人達の忠告に妙に自分でも不思議に思う位意地を張って言うのだった。
「俺早退とか嫌いだし」
「だからか」
「今日は帰らないでか」
「学校にいるのか」
「そうするんだな」
「ああ、そうするよ」
 そこは絶対にというのだ。
「下校までな」
「絶対にこれからまた起こるぞ」
「悪いことがな」
「ドツボの時ってそうだからな」
「どんどん起こるからな」
 そうしたことがというのだ、だが信彦はそれでも引かなかった。
 それでだ、こんなことを言ったのだった。
「七難八苦でも受けるさ」
「山中鹿之助さんかよ」
「実際にそんな風になるからな、このままだと」
「まあそこまで言うのならな」
「学校にいろ」
「そして不幸を受け止めろ」 
 周りもこう言うしかなかった、それでだった。
 信彦は学校にい続けた、だが周りが忠告した通り不幸は続いた。
 授業中いきなりはじめて聞く様な問題、しかも授業がとびきり下手でわかりにくいことで知られている先生に黒板での解答を求められた。当然解ける筈もなく先生に嫌味を言われた。
 体育の授業ではだ、何と。
 クラスでとびきりブスで性格の悪い女子にだ、痴漢を見る目で見られてこう言われた。
「あんた私のこと見てたでしょ」
「何でそうなるんだ」
 信彦はその女子に目を怒らせて反論した。
「見てる筈ないだろ」
「私の体操服姿に欲情して」
「御前にか?」
 その目を怒らせたうえでの言葉だ。
「どうしてそうなるんだ」
「私が奇麗だから」
「そこはノーコメントな」
 女子の容姿を言えばクラスどころか学園中の女子全てを敵に回すことになるからだ。女は弱くない、夜叉だと思うべきなのだ。
 信彦はそのことがわかっているから言わなかった、それでこう返した。
「で、体操服か」
「体操服姿を見てよね」
「あのな、うちの体操服はな」
 彼等が通っている学園のそれはというと。
「上下共にジャージだろ」
「手首、足首まであるね」
「厚い生地の濃紺のな」
 それこそ色気も欠片もないだ。
「そうしたジャージの何を見るんだよ」
「男は見るでしょ」
「見るか」
 信彦は言葉も怒らせた。 
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