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ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝

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それぞれの想い

『BATTLE ENDED』

「圧倒的だ…」

「自分でも中々チートなガンプラを作り上げてしまったわ」

新しく出来上がったガンプラのテストで、ここにいる全員(トウイを除いて)と俺、ユウ、ヨシナでバトルをした。結果は想像以上の性能を誇り、完全勝利を果たした。

「これなら勝てる…! 」

「よし!じゃあ早速……………どうするよ皆? 」

「確かに、完成したところでエイジの行方が分からないんじゃ意味無いわね」

「「「「「………………詰んだ」」」」」

全員でそう呟いた時、俺のスマホに着信が入った。スマホをポケットから取り出して電話に出ると、相手はランさんらしい。

「もしもし。どうしたんですかランさん? 」

『サオトメ君。今君はどこにいる? 』

「どこって………今皆でいちば模型店で集まってますけど? 」

『なら丁度いい。今から迎えを寄越す』

「えっ?ちょっ、ランさん?いきなりどうしたんですか? 」

『奴がまたこの付近に出没したらしい』

「!そうですか。場所はどこですか? 」

『場所は………白石学校だ』

「………リンヤ達の所か」

そうこうしていると、店の外から車が数台停まった音がした。俺達はすぐに車に乗り込むと、運転席にランさんが座っていた。

「では向かうぞ。ガンプラはもちろん、完成しているのだろ? 」

「はい」

「出来てまーす! 」

「問題ない」

ランさんは車に乗った俺とユウとヨシナとシノを一瞥し、すぐに車を発進させた。その後ろに車が一台、トウイとイチノセとモチヅキとアマミヤが乗っていた。

「丁度いい機会だ。到着するまでに、少し昔話をさせてくれ」





ーーー--

それは何気ない小さな出来事。だが本人にとっては……いや、ビルダーにとっては大きな出来事だったのだろう。

奴……エイジは小さい頃から生粋のガンプラ好きだった。起きては寝るまでガンプラを作り、完成させては飾ったりバトルをしていて、本当に楽しそうにしていた。

だが、小学生の頃だったか。エイジは突如ガンプラを止めてしまったんだ。親族の者に聞いたら傷だらけで帰ってきて、いつも持ち歩いているガンプラが無かったと言っていた。
それだけではない。家にあったはずのガンプラも、いつの間にか無くなっていたらしい。

(のち)に聞いた話では、エイジはその日誰かとガンプラバトルをしていたそうだが、その時何が起きたかは誰にも教えてないそうだ。傷だらけで帰ったそうだし、暴力を受けていたのだろう。

そして新学期が始まると同時に、親の都合もあり母国に帰国した。結局、エイジは最後までガンプラをしなかったそうだ。





ーーー--

「帰国してからはどうだったか知らないが、君達がエイジの映像データを取っていてくれて助かった。すぐに奴だと気づくこともできたしな」

ランさんはそこで話を区切り、そこから黙ってしまった。ランさんの話を聞いてると、何かが引っ掛かっているような気がした。

「………ランさんはエイジという人物と知り合いだったのですか? 」

「そうそれだ。何かそんな気がしてたんだ」

「ええ。確かにそうね」

「ランさん、結局どうなんですかー? 」

「………その通りだ。二年間だけの友人だがな」

「そうですか…」

「話はここまでだ。そろそろ着くぞ」

窓の外を見ると、白石学校が見えた。そして校内に入り車を止めて降りる直後、ランさんに止められた。

「エイジの事は頼んだ。すまないが、今奴を止められるのは君達だけだ」

「「「「………はい! 」」」」

俺達は力強く返事をし、今度こそ車から降りようとした時に、俺だけランさんに呼び止められた。

「悪い。先に行っててくれ」

「OK! 」

「先に行ってるわね」

「承知した」

シノ達はそのまま校舎内に入っていき、俺はランさんの方へと振り返った。

「サオトメ君。前に私が言った事は覚えているか? 」

「前に……? 」


『負けは弱さの証明ではない。むしろ自分の弱さを知る糧となる。弱さをしれば、人は強くも優しくもなれる………本当に戦うべき相手は、そこで倒れそうになる、諦めようとしている自分自身だ』

『サオトメ君。君は一つ大きな勘違いをしている。それに気づけば、自ずと道は切り開かれる。それに……君は一人ではない。もし一人で立ち上がれそうにないなら、仲間と共に立ち上がればいい。君達にはそれが出来る筈だ』

あの時の言葉か……。

「はい。覚えてますけど…」

「気づけたか? 」

「………今はまだわかりません。けど、必ず答えを出してみます」

「そうか………では頑張ってくれ。私達もそろそろ捜索に向かわなければいけない」

ランさんはそれだけ言い、その場を後にした。後続に、助手の人の車も付いていった。
二台の車が校門から抜けると、そのすれ違い際にもう一台車が入ってきた。大きさ的に八人乗りは出来るトヨタの車だ。

「ってうおぉっ!? 」

その車は荒い運転をして俺の目の前まで来て、ぶつかる直前にブレーキをかけながら車を横にした。てか殺す気か!?
車からは、いちば模型店に残されていた筈の皆が崩れるように降りてきた。

「ふー。着いたぜ野郎共」

運転席からサカキが降りてきて、額の汗を拭きながら乗車していた皆に声をかけた。

「し、死ぬかと思ったぞ…」

「サカキさん…運転がすごく荒いです」

「目、目が回る……」

「ふん。だらしないな。鍛練が足りてないんだ」

「あばばばばば…」

「や、やはり乗るじゃなかったですの…」

「うぷっ……」

「少しは安全運転をしてくれよ…」

「もうジェットコースターは怖くないわ…」

一人一人感想を言い、その様子から、いったいどれだけ命の危機を感じたかが見てとれた。

「てか何でお前達も来たんだ? 」

「何言ってやがんだサオトメ。俺達だって見届ける必要だってあるだろ? 」

「そうです。僕達は一緒に戦った仲間じゃないですか」

「そういうことや」

「…………そうか。じゃあ早速行こうぜ。これが最終決戦だ」





ーーー--





「ヒロヤさん! 」

「リンヤ……それにクオンにジュンイチ。後は下がって任せてくれ」

俺はリンヤ達を一瞥すると、トウイやシノがリンヤ達の元へと向かい、ガンプラを持ってバトルシステムから離れていった。

「…………よう。また会ったな」

「最終決戦か~。燃えてくるね! 」

「ここで終わらせてもらおう」

『……その声と顔は、あの時のゴミ共か。いったい何をしに来た? 』

フレユールガンダムのヴァニタスライフルから粒子が噴出され、次第にハイパーメガランチャーの砲頭へと形を変貌させた。

『言っとくが、今俺は虫の居所が悪い………早急に消え失せろ! 』

ヴァニタスライフルの引き金が引かれ、メガランチャー級の攻撃が俺達三機を呑み込もうとしていた。

「何しに来たかって………? 」

バックパックに装備されている鞘から黒い剣を引き抜き、そのまま粒子を纏わせて斬撃波を放つ。斬撃波はMAに匹敵するほどの巨大で、ヴァニタスライフルの攻撃を斬り裂いていった。

「お前を倒しに……止めに来たんだよ! 」

エルグライアガンダムはもう一つの剣を引き抜いて構える。

ケルサスガンダムエクシードの発展機で、カラーリングはいつもと違う赤色と白で統一されており、全身に青いクリアパーツがさらに増設されている。左肩にだけは円状の無色透明なクリアーパーツが取り付けられている。
バックパックはケルサスガンダムエクシードとほぼ変わらないが、右手用の赤黒い剣【フィーディスクリーザー】。左手用の青白い剣【フォルトゥナディクス】が納まっている鞘が二つ装備され、更にアームが二つ取り付けられX状で折り畳まれていた。

「そういうことだよ! 」

アルカナムプリスティンも同じくガンダムアルカナムの発展機で、ガンダムアルカナムを基本ベースにして、全身に巫女装束の千早(ちはや)の衣を纏っていた。肩部はむき出しの状態になっており、肩に装備されているステルスドラグーンに干渉しないようにされている。サイドアーマーには七聖刀を両刃剣にした七聖剣 絶と七聖剣 極を装備している。
バックパックはスターゲイザーのリング状の惑星間推進システムとゴッドガンダムの六枚の羽状のエネルギー発生装置がミキシングされたものを装備している。

「では始めようか」

ランスロットガンダムは、バーサル騎士ガンダムをHGサイズにして改造されている。カラーリングは青と白で統一し、マントは赤にしてある。
右手には電磁ランスを改造した雷炎ランス。左手には、聖騎士アルピオンガンダムのシールドを強化した盾。聖剣デュランダルを強化した聖剣デュランダルⅡを右腰に装備。背中には光の弓矢を。鎧は聖騎士の意向を残しつつ、バーサル騎士ガンダムの鎧にエッジをきかせている。

『ゴミ共がぁ……もう一度塵にしてくれる! 』

フレユールガンダムが装甲から粒子を全面放出し、フレユールガンダムから後ろは剣で覆い尽くされた。

「さあ………行くぜ! 」

赤黒い剣フィーディスクリーザーと青白い剣フォルトゥナディクスを構え、アルカナムプリスティンは七聖剣 絶と極を、ランスロットガンダムは雷炎ランスと盾を構える。
そして、フレユールガンダムが剣を掃射すると同時に、エルグライアガンダム三機は前へと向かっていった。

『速いっ……!? 』

「おおおぉぉぉぉぉっ! 」

ケルサスガンダムエクシード、ガンダムアルカナム、聖騎士ガンダム以上の速度で剣を弾きながら前に進み、すぐにフレユールガンダムへと接近した。

「はあっ! 」

『コイツっ! 』

右手のフィーディスクリーザーに粒子を纏わせ、フレユールガンダムに向けて降り下ろす。フレユールガンダムはリトリビュで防ぎ、すぐに後退する。

「てえええぇぇりゃああぁぁぁぁっ! 」

『ぐっ…!』

フレユールガンダムが後退した直後、エルグライアガンダムと入れ替わるようにアルカナムプリスティンが七聖剣 絶と極にヴァワチュールリュミエールを纏わせ、二刀を一斉に降り下ろす。
フレユールガンダムはヴァニタスライフルの銃口を剣へと変化させて攻撃を受け止め、今度はアルカナムプリスティンに右足で蹴りを入れて吹き飛ばす。

「もらったっ! 」

フレユールガンダムの背後からランスロットガンダムが現れ、雷炎ランスを突き出した。フレユールガンダムは来ることが分かっていたのか、宙返りをして雷炎ランスをかわした。ランスロットガンダムを踏み台にして高くジャンプし、そこからランスロットガンダムに向けて剣を一斉掃射する。

「ふっ! 」

ランスロットガンダムとフレユールガンダムの間に割り込み、右手のフィーディスクリーザーにバスターソード級の粒子を纏わせて剣を一気に凪ぎ払う。

「ステルスドラグーン! 」

「ファンネル!パワーゲート! 」

アルカナムプリスティンがステルスドラグーン二基を射出し、ランスロットガンダムはマントの内側からフィンファンネルを四基射出し、プラフスキーパワーゲートを展開する。

「いっけぇーーっ! 」

ステルスドラグーン二基がパワーゲートを潜っていくとステルスドラグーンの速度が加速し、フレユールガンダムへと向かっていった。
フレユールガンダムは慌てることもなくリトリビュを振るい、軽々とステルスドラグーン二基を切断した。

『この程度の攻撃。………っ!? 』

「アサルト・ストライク! 」

エルグライアガンダムが右手のフィーディスクリーザーに粒子を纏わせ、フレユールガンダムに向けて突き出しながら突進していた。
フレユールガンダムはステルスドラグーンの対処をしていた為反応に遅れ、ヴァニタスライフルで防ごうとしてくるがこちらの方が少し速い。
しかしほんの少しヴァニタスライフルで軌道を変えられ、攻撃はフレユールガンダムの左肩に切り傷を付ける程度だった。

「フォース・アインス! 」

左手のフォルトゥナディクスに粒子を纏わせ、フレユールガンダムを中心に四角形を描くように水平に四回、回り込みながら斬り払う。

『失せろっ! 』

フレユールガンダムはすぐに体勢を立て直しており、リトリビュとヴァニタスライフルで攻撃を防ぎ、装甲から粒子を放出して剣を全方位に掃射する。
エルグライアガンダムは直撃は避けたものを近距離であったため数発かすり、アルカナムプリスティンとランスロットガンダムは剣を弾いては防いでいる。

「ちっ………やっぱりそう簡単にはいかないか」

エルグライアガンダムは一度フレユールガンダムと距離を取り、アルカナムプリスティンとランスロットガンダムの元へと戻っていった。

「だが戦えている。この調子で攻めていこう」

「けど、この三機相手に互角で戦えるなんて凄いね…」

『チョロチョロ動き回りおって……更に傷まで付けるなど………万死に値するぞ!貴様らぁぁぁぁっ!!! 』

フレユールガンダムは上空へと高く飛行しながら粒子を装甲から放出し、次第にフレユールガンダムの姿が見えない程剣で埋め尽くされていった。

「ヒロヤ。アレの使い方はもう大丈夫? 」

「ああ。流石にもう慣れたかな」

「では、任せるぞ」

アルカナムプリスティンとランスロットガンダムは一歩下がり、エルグライアガンダムは多数の剣を見渡す。

『散れっ! 』

エイジが叫んだ瞬間、多数の剣が同時に掃射をし、三機を呑み込もうとしていた。
俺はすぐにコンソールでコマンドを選択すると、エルグライアガンダムのバックパックのアームが開き、アームから六枚の緑色の光の翼が展開された。

「インフィニティブレイド!! 」

エルグライアガンダムの光の翼から大量の光の線が、向かってくる剣に対して放たれた。光の線と剣が触れると、鉄と鉄がぶつかり合ったかのような甲高い音が鳴り響きながら剣を弾いていった。

『なっ!? 』

フレユールガンダムから掃射された剣を全て弾ききり、地面には消えかかっている無数の剣が落ちていた。

『これはいったい……? 』

「別に驚く事じゃない。お前と同じく、無数の剣に対して無数の剣をぶつけただけの事だ」

フレユールガンダムが装甲から粒子を放出し、フィールドやビームの粒子を吸収して剣にするのに対し、エルグライアガンダムの粒子で剣をつくる。
そして、キハラの推測とリンヤ達や俺達に対しての攻撃から確信した。

「お前の攻撃は………直線上にしか攻撃出来ないな?もしソードピットやファンネルみたいに自由自在に操作出来るなら、俺達が弾く前に軌道を変えればいい。けど、やらないということはそういうことなんだろ? 」

『───っ! 』

「お前の過去の話は聞いたが、詳しくは知らない。けど、だからって皆のガンプラを破壊して回るのは間違っている」

左手のフォルトゥナディクスを構え、その剣先をフレユールガンダムに向ける。

「…さあ………構えろエイジ。今までの借りを、ここで返してやる! 」

『────っ図に乗るなよ!貴様ぁぁぁぁぁっ!! 』





ーーー--





「ここも外れか……」

白石学校から半径5kmになると流石に範囲が広く、めぼしい場所が数え切れないほどある。

「だが諦める訳にはいかん。何としても見つけなければな」

車に乗り込み、すぐにその場を後にした。救援を頼んだので捜索範囲は分担されているが、それでもこの地域に来るまで時間がかかる上に、人数も少ない。

「…………エイジ……何故あの時何も言わなかったんだ……。せめて何かを言っていてくれれば……このような事には…」

遠い昔の事を振り返るが、振り返ったところでどうにもならない。出来るのは、今この瞬間をどうするかだ。
頭ではそう分かってはいるものも、あの時の出来事が頭から離れないでいる。

「クソッ…」

小さく、だが確実に聞こえる大きさで呟いた。
 
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