| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

逆襲のアムロ

作者:norakuro2015
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

13話 様々な事情 11.23

 
前書き
かき回しておいて個人的にもよくわからなくなってきました。
このキャラクターたち動き過ぎます(笑)


 

 
* カンプル市 インペリアルホテル内 ラウンジ 11.23 11:30


ララァが一通り告白を終えると、疲れのせいかすぐ眠りについてしまった。
何もすることもできないシャアとアムロは仕方ないから1階のラウンジにて休憩を取ることに決めた。

シャアとアムロは1階のラウンジにて飲み物を注文し席に着くと、お互い天を仰いでいた。
するとアムロが呟いた。


「オレのあの願い。シャアとララァを救い、自分の未練を拭い去る・・・オレはやはりイレギュラーだだったのか・・・」

「・・・そうだな。あのイメージ・・・私でないことが何よりの救いだ」

「そうですか・・・シャアさん・・・」

「しかし、何故君はシャアさんと呼ぶのかね。かつてのライバルであり憎むべき存在じゃないのか?」

アムロは体を戻し、シャアの顔を見て話した。

「あのイメージの通り、オレの宿命のシャアはあのシャアで貴方ではない」

「そうか・・・」

「それでだ。シャアさんはこれからどうするのか聞きたいのだが・・・」

シャアは少し思案顔し、アムロに答えた。

「ふむ、少なくとも最終的な小惑星落としなどという愚行はせんよ。私は対話によって人類は地球より巣立つことが良いと思う。歴史上テロは世界を震撼させるだけで、テロがその後の主流になりはしない。つまり結果が出せないんだ」

シャアは目の前のコーヒーをすすり、話を続けた。

「君に言われた通り一個人での歴史的な革命など不可能故に、私は目の前のできることを一つずつをこなしていく。私の存命中に全てが達成されなくてもよい。ただより良い方向への世界を推し進めていく努力ぐらいならできる。この戦争でも多くの人命が失われ過ぎた・・・」

「・・・そうだな。この世界のシャアはごくごく普通の方らしい。立派ですよ」

「フフフ・・・君に言われると少々照れるがな」

「そうですか?」

「ああ、私は20そこそこだが。君は30近いからな。大人の君からそう聞くと褒められて素直に嬉しいものさ」

「まあこの通り内側だけで、外見が付いていっていないがな」

アムロもコーヒーに口をつけ、一息入れた。

「シャアさん。またジオンに帰るつもりかな?」

「・・・ああ。一通りの考えがまとまったら戻るつもりだ」

「ララァはどうする?」

「ふむ、一応私の持ち物になったことだから私が持っていくのが筋だろう。しかし、ララァの意見を尊重する。決して望まず兵器にはしない」

「そうか、それでララァのことはどう思う?」

シャアはアムロに質問に苦笑した。

「君らの縁のララァとは違って、私にとってはまだ会って間もない少女だ。恋慕など感じ取れる訳がない。その質問はナンセンスだよ」

「そうか・・・そうだな。失礼した」

「まあ、あのイメージならいろいろ気にするのも無理もない。大事にはするつもりだよ。だから本人次第ってことさ。私はガルマとジオンの派閥改革でもすると思う」

「ジオンも色々あるみたいだな」

「そうだな。あのジオンも兄弟間でイザコザがある。今は何とか一枚岩だが、いつ歪み壊れるかわからない。そうなったときが深刻だ。多様な思想が無秩序な軍事力を持つ。考えるだけでもゾッとする」

シャアはかなり深刻な事態をも考慮に入れていた。アムロもそれに同意した。

「今の連邦もそうさシャアさん。もう終戦後の派閥闘争に明け暮れている。この間もそのせいでレビル将軍が失われた」

「しかしアレは戦死だと・・・」

「貴方が知っている報道がすべてデマなのさ」

「謀殺か・・・そうか。空しいものだな戦争は・・・」

それから少しお互いに話込んだ。そしてアムロはあることを決断した。

「ああ。被害に遭っている人たちを助けるためにオレは動きたいと思うが非力だ。オレは政治屋にはなれやしない。向いていないからな。だからシャアさん、できることなら貴方の手助けをしたい」

「手助け?」

「ああ、丁度良いことに貴方はクワトロ・バジーナ大尉だ。マドラス基地に寄り、連邦の最新技術を根こそぎ持って行け」

「いいのか?」

「アメリカ戦線を維持するためには必要なものだ。今のジャブローに全てを譲る訳には行かない。ずっとザクの壁でもそろそろ持たないだろう。だからガルマさんも内通など工作に走っているのだろ?」

「・・・そうだな。あれでは年越しも危ういだろう」

「ガルマさんの思想は地球にとって、人類にとって優しいことだと思う。別のサイドでスペースノイドに優しい国作りをすれば良いと思う」

「そうか。君がそう言うならお言葉に甘えよう」

「ああ、シャアさんの大望が叶うことを願うよ」

「有難う。それじゃあそろそろララァを見に行こうか」

「そうだな」

そう言って2人とも席を立ち、部屋へ戻っていった。


* 某宇宙 メガラニカ内 聖櫃 ???


フル・フロンタルはサイアム・ビストの前に立っていた。
サイアムは高齢のため、冷凍睡眠装置の中で世界動向を気にしながら生き永らえていた。

フロンタルは傍にある石碑を見て、サイアムに話しかけた。

「こんなものが貴方の力の源とはね・・・」

サイアムは無言だった。フロンタルが話続けた。

「この最後の憲章文面・・・今も先もどう役立つのか、全く理解できない」

「・・・それを恐れた政府が包み隠したいものだった。今の政府の弱みだ。確かにそのまま発表しておけば良かったかもな。それが裏目に出た・・・あのテロが連邦の最大の失敗だった」

サイアムはゆっくりとフロンタルの問いに答えた。フロンタルは笑った。そしてサイアムが眠るこの聖櫃について何故分かったかをフロンタルに質問した。

「何故、この場所がわかった」

「・・・そうだな。私は私が何者であるかは知らない。その原因がどうやらこの場所を知ることができたことと言えよう」

フロンタルは少し歩きながらサイアムに話続けた。

「私は少し先の未来を知っている。そして私は今も昔も全てを知っている。その時間軸の全ての怨念が私を形作った。ベースがあったのだがそれを汚染し、私を分からなくするほどの人の想いがここに集約している」

サイアムは深くため息をついた。フロンタルはサイアムに提案した。

「私の持ちうるテクノロジーをビスト財団に提供している意味はこの時代の進化の加速だ。その速度に伴った色々な騒乱が人々を絶望に導くであろう。その終局でこの憲章が如何に効果的か、または無意味か確認したらどうかな?」

「なんと・・・苛烈な・・・」

「そうさ。人は鈍感なものでね。追い込まれないといつまでたっても対岸の火事と思う節がある。この絶望に一石を投じて希望へ変えるチャンスを私は与えたいと思っている。これは私の中のパンドラボックスだよ」

サイアムはこの石碑をパンドラの箱と呼んでいた。災厄の箱だ。
しかしその考えを改める必要があると思った。本当の災厄は目の前にいた。

フロンタルは明確な時期をサイアムに提示した。

「8年だ・・・この8年間でこの地球圏をゆっくりとかき回し、サイコフレームの感応機能を使い、人々に選択を迫ることにしよう・・・それまで生きていられるかなサイアム・ビスト」

「・・・無論だとも・・・それが私への手向けになるのだな」

「フフフ・・・期待してもらおう」


* マドラス基地 グレイファントム艦橋 11.24 14:00


シャアとララァはアムロに案内され、ブライトの下へ来ていた。
アムロは2人を紹介した。

「艦長。紹介します。こちらクワトロ・バジーナ大尉。そして秘書のララァ・スンさん。キャルフォルニアから技術士官として数日間滞在する予定です」

シャアはスーツ姿でララァも紺のスーツ姿でブライトの前に立ち挨拶を交わした。

「ブライト艦長。クワトロ・バジーナです。少しの間ですが、この基地で勤務することになりました。多少なりともデータを採取することになりますが宜しく」

「ララァ・スンです。大尉について何か連絡事項ございましたら遠慮なくおっしゃってください」

「ああ、宜しく。キャルフォルニアからとはあちらはいかがですか?」

ブライトはシャアに語り掛け、シャアは無難に話を合わせた。

「あちらも酷いもんです。連邦内部での派閥争うで戦線を維持するのがやっとです。士気も下がり気味で製造ラインも捗らない」

それは真実であった。シャアはアムロの話から想定し、ガルマからの戦況の定時連絡も受け結果話をした。ブライトはそうですかと答え、どこも上手くいかないものですねと言い、挨拶が終わった。

シャアとララァはその足でアムロのアレックスを見学に行った。そこにはメカニックチーフのオルムがいたのでアムロがシャアに紹介した。

「オルムさん、こちらはクワトロ・バジーナ大尉です。キャルフォルニアから技術士官として派遣されました」

「オルムさんですね。話は伺っております」

オルムはシャアの堂々としてかつ気取らない感が好印象に映り、シャアの求めるデータを懇切丁寧に教えていった。

「・・・で、レイさんが作っているムーバルムフレームが・・・、そこで今それに合わせて新素材のガンダリウムγを試作段階だができたそうで、良かったら全てデータありますけど、持っていきます?」

「ああ、宜しく」

「ですよね。聞いています。キャルフォルニアの方は全てのラインが凍結されたらしいですから。最新のデータが入ってこないと」

シャアはその新情報に驚きを見せた。アムロも驚いてオルムへ聞いた。

「オルムさんどういうことですか?」

「どうやらあのダグラス中将の部隊がジャブローに心証悪くしたそうで、それ以来なーんもジャブローから支援がないそうだ。キャルフォルニアの工場もアナハイムが止めたそうだ。きっとジャブローからの圧力らしいが・・・」

「そうですか・・・」

アムロは味方同士の内紛が実戦指揮官レベルまで到達していることにこの戦争の深刻さを改めて考えさせられ、シャアも複雑な思いだった。しかし、オルムは一つ良いニュースを持っていた。

「そうそう、実は噂なんだが。ジャブローからトリントン基地へ左遷されたブレックス准将が密かにジャブローの動きをけん制していると聞いたぞ。それに同調したものは少なくないらしい。地球軌道上で展開している艦隊もティアンム中将、ワイアット中将もそれにもれないらしい」

アムロはその話を聞き、少し安堵した。ブレックスが動き始めた。良い知らせだ。
オルムは話続けた。

「もうすぐ宇宙で大反攻作戦が実施されるらしい。圧倒的戦力でソロモンとルナツーの同時攻略を行うそうだ」

「同時にか・・・」

シャアは呟くとオルムは頷いた。

「そうだ。あのビンソン計画も大詰めでな。もうすぐ終戦という噂だ。だから我々がこう休暇取っている間にでも終わっているかもしれんがね」

オルムは気楽そうに言って、シャアにバックアップしたデータを渡した。

「はい、こちら」

「有難うございますオルムさん。きっとダグラス中将も喜ばれるでしょう」

「そうだな。地球も早くいろいろ片付くとよいんだけどねえ」

そう言ってオルムは整備班の下へ戻っていった。
シャアはアムロにお礼を言った。

「アムロ君。君のお蔭でデータが手に入った。なるべくガルマを説得し、そのブレックス准将というひととコンタクトを取りたいと思っている。私らが望むものはスペースノイドの自立と地球に残るものの支援だ。戦うことではない」

「ガルマさんはジオンを捨ててそれを選ぶと?」

「そうではないが、彼は私に言った。ジオンの思想を実現し人類は未来を目指すと。ジオンの派閥争いで勝つことを目指している。だが、それが無理と分かれば私が彼を説得し、ジオンに囚われない国作りも必要と説く」

「そうか・・・」

アムロはシャアの置かれている立場を理解した。そうそう思うようには事は運ばない。段階を踏み、結果一つの下に集まっていれば万事片付くことだ。焦らずとも時代は加速度的に変わってきている。その時もそう遠い未来ではないだろうと。

シャアはアムロに再び話しかけた。

「ガルマという男は純粋な坊やだ。彼のような実直さが今もこれからも必要だ」

シャアはララァと基地の寄宿舎へ戻っていった。アムロは自分の立ち位置的にもはや敵味方など問題としなかった。していることの表面化するには早すぎるため取り繕うことには最善を尽くした。そしてララァの告白により別のシャアとの決着を意識し始めていた。

「どこにいるかわからないが、運命ならば、宿命ならば、必ずめぐり会うはずだ」

そうアムロは口にして、自分の寄宿舎へ足を向けた。


* 地球軌道上 連邦艦隊 12.10 10:00


ビンソン計画とV作戦が達成され、地球軌道上には3個艦隊補給艦含めおよそ500艦艇を超す陣容となっていた。この当時の主力モビルスーツもジム・カスタム、ジム・キャノンⅡとなり、その搭載数も艦艇数のおよそ5倍となっていた。

艦隊司令官はマクファティ・ティアンム中将、グリーン・ワイアット中将、ジャミトフ・ハイマン少将であった。

ジャブローは中立派のゴップ大将と急進派のジーン・コリニー大将がほぼ牛耳っており、それ以外の保守派は各地前線か各基地へ左遷させられていた。

そのことにティアンムとワイアットは不快に思い、コリニーに近いジャミトフに常々当たっていた。

ティアンム艦隊の旗艦バーミンガム級ティアンム艦橋にてワイアットとジャミトフ、それぞれ副官を連れて作戦会議をしていた。と言ってもジャブローから既に指針が出ており、それについての確認だけであった。

ティアンムが会議室上で先に話始めた。

「我が艦隊は星1号作戦に入る。ワイアット提督はルナツー攻略。ジャミトフ提督はサイド7を始めとするジオンの中継基地攻略と各サイドの治安維持を務めることになる」

皆ジャブローからの指令ということで各自同意の上頷く。ワイアットはそんな中ジャミトフに噛みついた。

「しかし、コリニー大将がいろいろ動いているそうじゃないか。何かとケチ付けると補給が止まるなどと・・・我が艦隊に起きたら一大事だぞ。ジャミトフ提督はどうお考えかな?」

ジャミトフは少し笑みを浮かべ反論した。

「閣下は少しお疲れのようだ。味方同士でそんな不始末起きるはずがない。終戦が近いのだ。政治的にも戦後処理を考えてのことだろう。むやみな戦線拡大や戦力投入などする必要はない。要はジオン本国を潰せば全て片付く話だ。それが閣下はもしや皆殺しをしたいとおっしゃるのか?」

ワイアットはぐっとジャミトフを睨みながらもその発言に返答を窮した。
ティアンムはため息を付きジャミトフに話しかけた。

「しかしなジャミトフ提督。現に地球での戦線維持に各部署が困っているという実情がある。ジオンの力は地上では失いつつあるからそれ程以前ほど侵攻される危険性はないだろう。現場はそれをどう見るかはまた説得が必要になるのではないかな?一兵士が作戦のため飢えてしまう恐怖に悩まされては戦う前に負けてしまいかねない」

「・・・そうですね。私の方から宇宙軍につきましてはある目途が立つまで存分にとお伝え致しましょう。その目途がつきましたら提督たちに必ずやお伝え致します。それでいかがかな?」

ティアンムとワイアットは目を合わせ、これ以上突っ込む余地がないなと思い同意した。
ジャミトフは満足そうにして締めにこう述べた。

「良かった。名将と言われる両提督からご理解いただけて。では、これより提督らの艦隊が安心安全での航行をできるよう各中継基地壊滅という露払いをして参ります。それもある程度の目途が立ち次第、両提督とも発進してください。きっと良い星間旅行となるでしょう」

ジャミトフは会議室を後にした。


* サイド1周辺 ジュピトリス級 シロッコ艦 12.10 13:00


シロッコはレイ博士らが開発した試作ムーバブルフレームの実用化にいち早く成功していた。
しかし、それを軍部や技術部には伝えなかった。ジャミトフからも必要以上に有効なことは伝えることはないとも言われていた。

そしてアナハイムからもガンダリウム合金の生成を得て、PMX-000 メッサーラを開発しその試験運用をしていた。

ジュピトリスの艦橋にいたライラ・ミラ・ライラ中尉が敵の勢力圏内であることを頻繁に警告するにもシロッコは全く動じず、むしろ無視をしていた。それに気づいたライラはシロッコの事を放っていた。

すると、敵接近の警報がジュピトリスに響いた。

「シロッコ大佐!敵が近づいてきています。至急帰投してください」

ライラがそう言うと、シロッコは了解したと言った後真逆の事を告げた。

「これより敵の撃退をする」

そう言うとシロッコのメッサーラはジュピトリスより遠ざかり、接近中の敵の方へ向かっていった。
ライラは苛立ち「もう知るか!」と座っていた椅子を蹴り飛ばし壊した。

シロッコは度重なる悲観的な設定のシミュレーションを尋常じゃない程こなして、空間認識能力の限界を広げていた。元々勘が鋭かった自覚も有ってか、敵の数を感覚で捕捉していた。

「・・・敵は2機か・・・」

シロッコはその敵に近づくと、敵がいるところとは違う場所から無数のビーム砲を発射してきた。
シロッコは驚いたがすぐさま対応し、全て華麗に避け切った。

「危ないことをする。敵は・・・」

シロッコは望遠で2体の敵を見た。2体ともとんがり帽子頭のモビルアーマーだった。

そのとんがり帽子頭のエルメスというモビルアーマーに乗っていたのは、マリオンとクスコであった。
フラナガンで調整を受けていたニュータイプと呼ばれる操縦者であった。

「マリオン!あの紫色全部避けたよ」

「そうみたいね・・・侮れない」

マリオンとクスコも認識能力が高く、その高さは敵対するパイロットの技量にも及んでいた。
果たして私たちで勝てるのかどうかそれぐらいの問題の相手であった。

シロッコは猛然とエルメスへ突っ込んでいった。マリオンたちも2機ともビットで応戦したが、シロッコのメッサーラに掠りすらしない。クスコを射程に収めたシロッコが直撃弾を打つときにシロッコはおぞましいプレッシャーを感じ、シロッコは急進してその場を飛びのいた。

「なんなんだ・・・この気持ち悪さは・・・」


すると、フル・フロンタルが乗るプロト1がエルメスとメッサーラの間に入って来た。
フロンタルはメッサーラに向けてビームライフルを発射した。

シロッコも上手く避けようとするが何故か避け切れない。
メッサーラはモビルアーマー体型からモビルスーツへ変形し、なんとか避け切ったものの腕を一本持っていかれていた。

シロッコはすかさずビームサーベルでフロンタルに斬りかかり、フロンタルはそれに応戦した。
フロンタルはその間にマリオンとクスコへ帰投命令を出し、その場を逃がした。

シロッコはフロンタルに問うた。

「貴様は何者だ!」

「フッ・・・私はこの世の「理」であり「終わり」でもある」

「なんだと・・・」

メッサーラのサーベルはフロンタルのプロト1のサーベルをはじき、プロト1のサーベルの持ち手を切り取った。これにはフロンタルも感嘆した。

「素晴らしい・・・実に素晴らしい才能だ。今は時期ではないが良ければ君にもいろいろ伝えてあげよう」

シロッコは対峙した相手の話を聞いていた。フロンタルの話にシロッコは耳を傾けた。シロッコの勘がそれが良いと判断したためだった。

「そうか・・・理解した。貴公がそういう存在であると。ならばいつか教えを乞いに行くとしよう。名を何と申す?」

「フル・フロンタルだ」

「パプテマス・シロッコだ。また会おう」

そう言ってシロッコは再びメッサーラを変形させ、ジュピトリスへ帰投した。
フロンタルはシロッコに会えて喜んだ。

「マリオン達の試験運用だったが、思わぬ収穫が得られた。上々だ」

フロンタルも自身の艦へ帰投していった。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧