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9人の勇者のはぶれ者

作者:暁之ライ
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序章 王都離脱編
  濡衣

図書館を紹介されてから13日目。俺はレベル1を除くレベル4までの本を完読することができた。
武器図鑑10冊、武器の心得19冊、シュベラル周辺の魔物図鑑1冊、上等魔法までの魔法書魔力属性10×4で40冊、亜人《ニンファ》図鑑1冊、獣人《ビースト》図鑑1冊、亜人《イビル》図鑑1冊、その他基礎知識2531冊。合計2,604冊を読んだことになる。通常ならそんな数を13日で読めるわけがないのだが1日をかけて50冊読んだ時に《|読書時間短縮:Ⅰ》というスキルを獲得した。
これは本を読むスピードが上がるというもので約30分で読めるものが15分で読めるようになった。2倍の速度でだ。
それを繰り返していると10日目。
1,500冊目を読み終わると共に称号が解禁された。名前は《|速読者》。それに付与されている効果が読書時間短縮レベル3上昇、というものだった。
結果的に通常の読むスピードの10倍になった。これは早い。

そして2,604冊を読んで手に入れた有力な情報は大きく三つ。

一つ、魔力には火、水、氷、土、雷、風、木、聖、光、闇、空、無
の12種類の属性があるということ。
火、水、氷、土、雷、風の6種類はRPGでもお馴染み。
木は植物を操ったり生やしたりする魔法らしく、聖はいわゆる回復魔法と同じ、光は浄化、発光、加護系、闇は侵食、幻術、負荷系、空は空気を操るらしい。無は特別らしく特別な魔法を扱うらしい。時間操作などの魔法も無は使うことができるそうだ。しかし個人個人で魔法は違うので魔法書にはなっていない様子。
それぞれ最下等魔法から始まって神等魔法までで合計10段階あるらしく複合魔法もありそちらも十段階だ。しかしこの図書館のレベル4には上等魔法書以下しか無くそれも闇はなかった。

二つ目は他種族の存在。
魔族がいるからって当たり前?いや、いないかもしれねえじゃねえかよ。オタクの俺にとっては必要事項だ。

三つ目はジョブ図鑑に俺の再現師が載っていなかったことだ。
特別なジョブなのかは知らないが多分特殊固有職業なのだろう。
特殊固有職業とは基本職業とは違い、珍しい特殊職業よりも数が少なくその人物にしか現れない職業らしい。特殊固有職業を持った者は例外なく最強になっている(って書かれてた)。ちなみに勇者は特殊職業でもないらしい。ただの称号らしいが効果は《|?????》となっていてわからない。

「…ふあぁぁ…」

流石に寝る時間を3時間に抑えて本を読み続けていたのが体に来たのか突然の睡魔に襲われてしまう。
別に急ぐつもりはないし俺は椅子に腰掛け、机に突っ伏して目を閉じる。

明日からはギルドにいって冒険者登録しよう。

そう心に誓い俺は眠りについた。






「おい、起きろ!ウンゼンキクト!おい!」

怒号がすると共に俺の意識は夢の世界から呼び覚まされた。重い瞼をこじ開け、俺の名前を呼んだ奴に目を向けようとして顔を上げるとそこには鎧を身に纏った兵士らしき髭ズラのおっさんがいた。その隣にはジッと俺を見つめているこちらも鎧を身に纏い、兜を装備している青年がいた。

「…何の用すか?こちとら13日間ほぼ徹夜してる身できついんすけど」

俺がそう言うと二人は目を合わせうなづき合いそれぞれ俺の腕を掴んだ。

「ちょ!?なんすか!?ホモか!?俺はノーマルだ!離せ!」
「我々はホモではない。貴様を捕まえに来た城の兵士だ。城まで付いて来てもらおう。」

冷静に答え、俺を引きずる二人。
俺が何をしたんだよ!本読んでただけだぞ!

二人は俺を図書館の外まで連れ出すと俺の体をグルグルに縄で縛り、馬車の中に放り込んだ。
そして口にロープを巻かれ喋ることの出来なくなった俺は何かがおかしいと思い逃げようと体に巻かれた縄を解こうと体を動かすが、一向に縄が解ける気配がなくその様子を見ていた兵士はまるでゴミを見るかのように俺を見ていた。



「おら、さっさと歩け」
「歩きにきぃんだよ!縄を解けやおら!」
「うるさい!早く行け!」

城に着くやいなやすぐさま馬車から出され蹴られながら王室まで歩かされる。こいつ…手加減してねえよな絶対。

「…勇者キクト…いや、罪人キクト!貴様犯した罪はわかっているな?」
「は?」

王室に入れられ何が何だかわからないままマールドが俺に向け怒りの表情を浮かべ話しかけてくる。その隣にはまるでゴミを見るかのような眼をした綾上達がいた。

「貴様シラをきるつもりか?貴様は重罪を犯したんだぞ?」
「…だからなんのことだし?」

一切心当たりがない。俺は13日間ずっと図書館にいたはずだ。したことといえば読書だ。それしかしてない。水と食事はシャルさんが持ってきてくれたし、とには出ていないはずだ。犯罪なんて起こせるわけがない。

「まだしらばくれるのか!貴様はシャル・ルゲナートを殺しただろう!」
「はぁ!?殺してねえよ!殺す意味皆無だろ!」

身に覚えがない。というか死んだのか?シャルさんは。
知らなかった。けど俺はやってない。
てかやる意味すらない。俺はシャルさんに感謝以外の感情を抱いてなんかない。なぜ俺の為に飯を運んでくれたひとを殺さないといけないのか。

「嘘をつけ、この魔水晶に写っていた映像を見てもそう言えるか!」

俺の目の前に運ばれてくる台座の上には大きい水晶が置かれていて、俺の前で止まるとその水晶にはくっきりと俺の顔が映っておりシャルさんと何かを言い争った後、突然シャルさんに切り掛かりシャルさんが倒れたところまで映っていた。

「う、嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ!俺はこんなことしてない…これは人違いだ…俺じゃない!」
「これは間違いなく貴様だ!キクト!罪を認めろ!」
「違う!綾上達だって俺の性格知って_______________ッッ!」

興味の無いことには無頓着だと!
皆に向けアピールしようと綾上たちに顔を向けるとただ一人、綾上達の背後にいた黒ローブを着た奴が口角を上げていた。
そしてその黒ローブはフードに手を掛けてゆっくりと降ろしていく。

「!!??」

そのフードの下にはいつも見慣れている顔があった。
黒い髪、紫色の眼。そしてその顔は鏡越しに見る_____俺自身の顔。

「くそ!そういうことか!!」

つまり俺は嵌められたのだ。
図書館に人は客以外に入り口にいた奴一人しかいなかった。しかもそいつはサボり癖があり時々寝てたことがある。だから俺にはアリバイが無い、いや__________最初からなかった。

人間なんて金を積めば幾らでも嘘をつく。「俺が出て行ったか?」とか聞いて目の前に金が置かれたんならすぐ「はい、出て行きましたよ」と答えるだろう。

やられた。俺がバカだった
こうなることは予測できた。

ステータスが低ければレベルを上げればいい。なのに俺はレベルを上げずに本を読もうとしていた。明らかに邪魔だ。それに本にも書いていた。

《|たとえレベル1で《|火魔法》を所持していようと魔力が低ければ使用することはできない》

そして俺が言ったことを思い出す。

『い、いや…体力以外全ステータス…一桁台…』

体力以外ということは魔力も一桁、という風に思われてしまったのだろう。いや、思われても当然だ。しかも本には《|知力の高さは魔法の威力や効果に比例し_____》なども書かれていた。ということは知力も魔力も一桁。赤ん坊以下。つまり塵《役立たず》。

くそ!知力チートを隠すために墓穴を掘った!しかも俺のせいでシャルさんは殺されてしまった。間接的に俺が殺したと同じじゃないか。

「…人殺し」

綾上達の誰かがポツリと呟いた。それを止めるものはいなくゴミを見る目で見つめてくる。

「おまえら_____!?」

お前らの背後に犯人はいる!振り向け!振り向けよ!

そう叫ぼうとして口を開こうとした瞬間、息を飲んだ。
先ほどの黒ローブの顔が変わり、髪の色も変わる。

くそ!またか!
俺の顔をしているんだから気付けばよかった!おそらく幻術系か変化系のスキルか魔法なのだろう。問い詰められそうになっても術を辞めれば簡単に言い逃れできるだろう。

「おい!此奴を牢屋へ連れてけ!明日、処刑する!」
「「はっ!!」

マールドが兵士2人に向け命令を下すと兵士2人は俺の腕を掴み俺の抵抗をなんとも感じず引きずり始める。

冗談じゃない。濡衣で処刑?ふざけるな。
俺が殺したんじゃない。罰せられるのはそこの黒ローブのはずだ!

「ひ、『火の玉よ』!【火玉《ファイヤーボール》】!!」
「「ぁぁぁぁ!!!」」

兵士2人の突然目の前に現れた火の玉がそれぞれの腕に辺り腕が片方吹き飛び、2人は断絶間を上げ、燃えながら地面に倒れる。

火系最下等魔法《|火玉》
魔法書に乗っていた火系魔法使いなら最初に覚える極めて初歩の魔法だ。使用魔力は10と極めて少なく普通なら威力は少ない。『普通』なら。
この《|火玉》は他の魔法と同じで知力が高ければ高いほど威力は高くなる。
火系魔法使いの平均知力値は200程度(|昔書かれたであろう本に書いてあった)。単純計算で俺にはその5,000倍の威力を出せる。最も実際にはもっと少ないだろうが十分だ。

「な、な、な」

その光景を見て驚きを隠せないマールド。綾上達に至っては何人かその光景に思わず吐きそうになっていた。

「勝手に俺を犯人に仕立て上げて処刑?ふざけんな!勇者なんかやってられるか!俺は自由に生きる!『土の玉よ』【土玉《|アースボール》】!」

《火玉》の土版、《土玉》を作り出しまっすぐ壁に穴を開けると俺はその穴から外に飛び出した。 
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