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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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Another19 痛み

 
前書き
スパイダーがいなくなり、意気消沈するエックス達。 

 
エックス達がエンシェンタス戦で負ったダメージをマッシモ以外が修理を終え、それぞれ身体を休めていた。

アル「…決して楽な戦いではないと覚悟はしていた。例え我が身が滅びようと私構わない…だが、仲間を失うのは辛いな…」

マッシモ「気紛れで、ちょっと謎めいていて変わったところのある奴だったけど…良い奴だったな、スパイダー…」

悲しげに言うアルやマッシモに同意するようにアクセルが頷いた。

アクセル「もう…死ぬのは悪い奴だけでいいのに…スパイダー、格好良かったね…」

シナモン「ギミアラ採掘場での戦いが終わってもいつも通りだと思っていたのに…こんなのって…」

ルナ「仕方ねえさ……戦いではいつ死が訪れるかは誰にも分からねえ…でもな…惜しい奴を亡くしちまった…」

マリノ「あ~あ~、もう…あんたらしんみりさせるんじゃないよ。これだからつるむのは嫌いなんだ。」

ルイン「マリノ」

その言い方を諫めようとしたルインだが、ゼロに止められる。

マリノ「それにしても…ちぇっ!!また私も助けられたって訳だ…こうなったら、とことんまでやるよ…リベリオンをぶっ潰してやる」

それだけ言うとマッシモが横たわるメンテナンスベッドの傍にある椅子に腰掛けた。

ゼロ「すまんエックス…俺は席を外させてもらう」

エックス「ああ…」

ゆっくりとした足取りでメンテナンスルームを出て行くゼロの背中はどこか寂しげだった。

ルイン「エックス…」

エックス「正直…まだ信じられないんだスパイダーのことを…スパイダーが…死んだことに…」

ルイン「うん…」

エックス「あいつはいつも軽くて、いつも人をからかって…俺とあいつは水と油みたいだったけど……でも、時々助けてくれる大切な仲間だった…助けてくれた借りを返すことも出来なくなった俺はどうすれば…あいつはもう…いないのに…」

拳を握り締め、脳裏を過ぎるのはスパイダーと共に過ごした日々。
時々スパイダーから、からかわれたりしたが、とても楽しかった。

ルイン「スパイダーのことを忘れないことじゃないかな…?」

エックス「忘れないこと…?」

ルイン「うん、私達がスパイダーの生き方、スパイダーなりの友情、スパイダーが私達に残してくれたことを忘れないこと…そして、スパイダーが繋げてくれた命で最後の最後まで生きて戦うことが、スパイダーの想いに報いる唯一の方法だと私は思うんだ。」

エックス「ああ…そうだな、スパイダーのためにも…戦わなければならないな…」

アリア「マッシモ君はもう少し安静ね…みんな、レプリロイドには死ぬという概念は存在しないと私は思うの」

シナモン「え?」

アクセル「どういうこと?」

アリアの言葉に全員が彼女を見遣る。
シナモンとアクセルは疑問符を浮かべていた。

アリア「壊れたり、機能停止してもその身体から新しいレプリロイドとして造り直されるから…例え別のレプリロイドになっても他のみんなのメモリー…記憶に、魂に残り続けるの……」

エックス「アリア…博士……?」

気のせいだろうか?
一瞬だけ彼女が自分達とは遠い世界の存在に見えてしまった。
全員も同じ気持ちなのだろう。
誰も声を発することは出来なかった。

アリア「だからね、スパイダー君もいなくなった訳じゃないよ。スパイダー君は君達のメモリーの中で生き続けているから………私、少し仮眠を取るから、マリノちゃん、少しの間だけマッシモ君の看病お願い…みんなも少し休んでね」

エックス「あ、はい…」

アリアに促され、エックス達はメンテナンスルームを後にした。
残されたマッシモとマリノはメンテナンスルームの窓から見える青空を見つめていた。

マリノ「スパイダーは私達のメモリーで生き続けているか…確かに無理に死んだことを受け入れるよりよかはマシかもね」

マッシモ「そうですね…でも、もし俺がもっともっと、もっともっと強かったら…マッシモ師匠みたいに強かったらあいつを救えたんでしょうか…?」

マリノ「馬鹿言うんじゃないよ。あの時誰にも何も出来なかった。あんた1人で背負い込むんじゃないよ」

マッシモ「…はい」

マリノ「そう言えば、あんたに礼を言ってなかったね…ありがとう助けてくれて」

マッシモ「え?」

首を傾げるマッシモに苦笑しながらマリノは説明する。

マリノ「ほら、エンシェンタスの攻撃から庇ってくれただろ?」

マッシモ「あ、いえ…別に礼を言われるようなことじゃあ……」

マリノ「言われるだけのことさ…あんたさ、いつも戦いになると私を庇ってくれるけど…どうして?」

マッシモ「え…?そ、それは…その…」

想いを寄せる人物からの問いに赤面するマッシモ。
アーマーで顔が隠れているから赤面していることには気付かれてないが。

マリノ「マッシモ?」

黙り込んでいるマッシモをマリノは不思議そうに見つめる。
マッシモは想いを伝えてしまおうかと思ったが、脳裏に師とスパイダーの死が過ぎった。
拳を握り締め、マッシモはマリノに頭を下げる。

マッシモ「すみませんマリノさん……今はまだ言えません…」

マリノ「今は…?」

マッシモ「はい…俺がこのアーマーを纏うのに…マッシモの名を名乗るのに本当に相応しい男になれたら…あなたに言います…すみませんが…それまで…待っていて下さい…」

頭を深く下げながら言うマッシモにマリノも苦笑しながら溜め息を吐きながら頷いた。

マリノ「分かったよ…待ってるよ。その時までね」

マッシモ「すみません……」

マリノ「でもさ、マッシモ」

マッシモ「?」

マリノ「あんたは私から見ても充分過ぎるほど強いよ」

それだけ言うと、飲み物を取りに行くマリノ。
マッシモは軽く頭を下げると再び空を見上げた。












































ヘリポートにて、ゼロは長い金髪が風で靡くのも気にせず空を見上げていた。

アイリス「ゼロ……」

ヘリポートにアイリスが来た。
彼女の栗色の髪も風で靡いていく。

ゼロ「アイリスか…」

振り返ったゼロの表情はとても悲しそうだった。
その表情を見たアイリスは胸が締め付けられるような感覚を覚えた。
ゼロは悲しげに微笑むと口を開いた。

ゼロ「アイリス…俺は今、リベリオンの奴らを手当たり次第に叩き斬ってやりたい気分だよ……」

アイリス「…………」

ゼロ「イレギュラーハンターを続けてきて、シグマとの戦い、新世代型レプリロイドの反乱、そして今までの戦いで俺は仲間を何度も失ってきた……その度に俺はそいつらの意志を継いで強くなることを誓ってきたんだ……」

アイリス「知ってる…あなたが兄さん達のことも一時も忘れたことなんてないことを…」

ゼロ「……俺も弱くなった物だな…昔はもっと簡単に割り切れたはずなのに…エックス達の甘さが移りすぎた…」

アイリス「ゼロ…あなたは最初から優しかったわ。ただ、それを表現出来なかっただけ…あなたが最初からとても優しい人だった」

ゼロ「…………」

アイリス「ゼロ…」

ゼロ「何だ?」

アイリス「もしあなたが挫けそうになるくらい辛い時…私はあなたの支えになれるかしら……?」

ゼロの頬に手を添えながら言うアイリスにゼロは微笑を浮かべる。

ゼロ「いや…アイリス…お前は笑っていてくれる方がいい…その方が…多分、支えになる…と思う…」

アイリス「ええ…私はライブメタルがないとあなたと一緒に戦うことも出来ないけれど…心は何時でもあなたの傍にいるから…」

直後である。
アイリスの指に雫が落ちたのは。

アイリス「…?…ゼロ…?あなた…」

ゼロ「…?」

その時…ゼロは己の目元に違和感を感じた。
何か液体のような物がとめどめなく溢れ出ていたのである。
それを見たアイリスは目を見開き、ゼロも驚愕する。
ゼロは人型レプリロイドには珍しく感情を表す機能として、涙を流す機能を搭載してはいない。

ゼロ「馬鹿な…涙だと…?」

ゼロは流れる涙に目を見開くが、アイリスはすぐさま原因に気付いた。
ゼロの身体に涙を流せる機能を搭載出来る人物は1人しかいない。

アイリス「ゼロ…きっとアリア博士よ…きっとこれは、アリア博士からのプレゼントよ」

ゼロ「チッ…余計なことを……」

強引に涙を拭き取るゼロに対してアイリスは微笑を浮かべた。

アイリス「いいじゃないゼロ…涙が流せるのは、とても素敵なことだから…」

ゼロ「アイリス…ありがとう……」

そう言ってアイリスの肩を抱き寄せるゼロ。
アイリス自身ゼロの求めに応じるまま、彼を出来る限り支えて行こうと固く心に誓った。 
 

 
後書き
何かようやくゼロとアイリスが進展したような気がする。 
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