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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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Another18 スパイダー

 
前書き
スパイダー(ある意味)永久離脱 

 
スパイダーの最大の切り札であるロイヤルストレートフラッシュがエンシェンタスに炸裂した。
その威力は凄まじく、部屋全体を爆煙で満たされた。

スパイダー「(こいつでくたばってくれ…こいつが駄目ならマジで打つ手がねえ…)」

現時点で疲弊しているエックス達にこれ以上の威力のある攻撃は繰り出せない。
全員が息を呑んで爆煙が晴れるのを待つが…。

エンシェンタス「ぐっ…い、今のは危なかったぞ。流石の俺も死を覚悟した…総統から超フォースメタルを頂いていなければ…確実にスクラップになっていた……」

ルナ「スパイダーのロイヤルストレートフラッシュは…とんでもねえ威力だったぞ…化け物か…てめえは…だが、そのダメージじゃあまともに戦えねえだろ!!この俺がとどめを刺してやる!!」

比較的ダメージが軽いルナがエンシェンタスにバレットを向けるがエンシェンタスは焦るどころか笑みを浮かべる。

エンシェンタス「ふふ…確かに俺はボロボロだが、お前達の状況が絶望的なのは変わりがない!!」

即座にエンシェンタスは背後のパネルを操作すると、警報が鳴る。

ルイン「何をしたの!!?」

エンシェンタス「自爆装置を作動させたのだ。これで後5分後に建物が爆発する!!」

エックス「なっ!?サードアーマー・全リミッター解除!クロスチャージショット!!!!」

サードアーマーのリミッターを解除し、クロスチャージショットを連発するが、電磁バリアで守られた特殊合金の扉はビクともしない。

エンシェンタス「そんな物で扉が開くものか!!」

マッシモ「なら…俺がベルセルクチャージで…」

マリノ「馬鹿言うんじゃないよマッシモ!!そんな状態でベルセルクチャージでぶっ放したら…」

ただでさえ今のマッシモは直ぐに治療が必要な状態なのだ。
そんな状態で高出力レーザーのベルセルクチャージを放ったら確実に自壊してしまう。

マッシモ「し、しかし…」

アクセル「多分、この扉はビームコーティングが施されているよ。多分僕らに逃げられないように。エネルギー弾とかの類は通用しないよ」

シナモン「それじゃあどうするんですか!!?」

アクセル「待って、今考えてるんだ!!」

何とか脱出をと、アクセルが考えを巡らせるが一向に考えが浮かばない。
エンシェンタスがそれを見て嘲笑いながら口を開いた。

エンシェンタス「ふはははは…万策尽きたな…それではそろそろ転送させてもらうとしよう。さらばだ…」

その時、誰よりも早く動いた者がいた。

スパイダー「うおおおおおお!!!!」

エンシェンタス「っ!!?」

スパイダーが絶叫しながらエンシェンタスを捕まえ、扉に向かい始めた。

エンシェンタス「ぐっ、悪足掻きを!!」

エックス「スパイダー!!?何を…」

ハイパーサードアーマーのバスターエネルギーを使い切り、フォースアーマーに換装していたエックスが目を見開いた。

スパイダー「ハイパーサードアーマーのクロスチャージショットの連発でも壊れないご自慢の扉らしいが、レプリロイド2体分の爆発の衝撃なら、扉を吹っ飛ばせるんじゃないか!!?」

ルナ「え…?」

それを聞いたルナの表情が青ざめる。
確かにスパイダーとエンシェンタスは特別製の戦闘用レプリロイドだ。
その高い出力を得るために高出力の動力炉を搭載しているためにその爆発の威力は相当な物だ。

ルイン「スパイダー!!馬鹿なことをしないで!!止めて!!」

エンシェンタス「己…っ!!」

スパイダー「悪いが止めないよ。理屈じゃないんだ!!」

もがくエンシェンタスを押さえつけながらスパイダーはカードスリットから1枚のカードボムを取り出し、全員を見遣る。

エックス「スパイダー!!」

スパイダー「…後は頼んだぜ、エックス!!ゼロ!!みんな!!」

カードボムから閃光が放たれ、スパイダーとエンシェンタスが光に包まれた。








































光に包まれたスパイダーは、段々意識が薄れていくのを感じていた。
時折記憶が飛ぶことはあったが、今回ばかりは完全に駄目だろう。
今思えば、エールが怪我をしてからだろうか?
かつて駆け出しの賞金稼ぎ時代、今のように仕事もなく、今は廃墟となっているラグラノ研究所のような場所で用心棒のようなことをしていた時期があった。
そして自分はエールと共に…ある物を奪って、あの男からエールが自分を庇って怪我をし…それから…それから先の記憶が酷く曖昧なのだ。
あの日から自分の記憶が時折飛ぶようになり、気付いた時には別の場所にいたりした。
普通レプリロイドの記憶は余程電子頭脳に異常がない限り飛ぶことはないのだ。
もしエックス達に気付かれれば検査を受けろと言われたはずだ。

スパイダー「(冗談じゃないぜ…)」

あの日以来からスパイダーは身体を弄られるのを酷く嫌っていた。
昔はそうでなかったのに、今は“検査”という物に危機感を感じていた。
まるで自分の秘密を見られるような。

スパイダー「(そんな大層な悪事は働いてないつもりだったんだがね)」

記憶が飛んでいた間に何か仕出かしたのかもしれないなと、薄れる意識の中、スパイダーは僅かに微笑んだ。
エックス達に後を託しながら。












































レジスタンスベースに戻ってきた一同の表情は沈んでいた。
マッシモは即座にメンテナンスルーム行きとなり、医療班に連れて行かれた。

シナモン「スパイダーさん……」

エックス「シナモン…あいつがスパイダーが命を張ってくれなければ…俺達はここに戻ってくることは出来なかった…」

泣きじゃくるシナモンの肩に手を置きながらエックスは言う。
しかし彼の表情もまた悲しみに歪んでいた。

ゼロ「スパイダーは…あいつは俺達の為に命を投げ出してくれた。だから俺達はスパイダーの魂に応えなくてはいけない。」

ルイン「うん…悲しむことは何時でも出来る…今は…スパイダーの分まで戦わなきゃ……」

アル「ああ…そうだな。この仲間達でリベリオンを倒そうじゃないか…スパイダーの為にも……!!」

死んでいったレジスタンスの仲間、エール、そしてスパイダーの犠牲を無駄にしないためにも、戦わなくてはいけない。
エックス達の結束がより強くなった瞬間であった。











































そして、ギミアラ採掘場から少し離れた場所では。

「チッ…奴め、余計な真似をしおって…」

全身をマントで身を隠し、所々損傷しているレプリロイドが1つのDNAデータを睨みながら呟く。
レプリロイドはDNAデータを握り砕こうとしたが、少しの間を置いて取り止めた。

「まあいい…まだこれには使い道がある」

レプリロイドはDNAデータを握り締めながら静かにこの場を去った。












































一方、ハンターベースでは、エイリア達が休憩室にて雑談していた。

パレット「そう言えば、先輩達ニュース見ました?レジスタンスの主力メンバーでやられた人が出たらしいですよ」

エイリア「折角エックス達が合流したのに、残念ね…。今回犠牲になった1人は、レジスタンスでもかなり腕の立つレプリロイドだったらしいわ。元賞金稼ぎだったらしいけど…それにしても聞く限り、レジスタンスの主力メンバーには賞金稼ぎとか泥棒とか、素性の怪しいレプリロイドが多いわね。エックス達が上手くやっているのか心配だわ」

非合法なことをしていた元賞金稼ぎのアクセルや元ジャンク屋のルナ、イレギュラーハンターでも細かいことは気にしないタイプのルインはともかく、イレギュラーハンターの中でも堅物に部類されるエックスとゼロがイレギュラーすれすれの面子と上手くやっていけるのかと心配したが、どうやら今のところは大丈夫のようだ。

ダグラス「いやー参った参った」

頭を掻きながら現れたのは、ハンターベースの整備班のチーフメカニックであるダグラスである。

レイヤー「ダグラスさん、どうでしたか?アクセルとルナさんが保護した彼の容態は…?」

ダグラス「ん?なあに、もう大丈夫だ。何てったってこっちにはアリア博士と双璧を為す天才的工学博士のゲイト博士がいるんだからな」

少しして、休憩室に入ってきたゲイトもダグラスの言葉が聞こえていたのか苦笑を浮かべながら自販機にクレジットデータを入力して、昼食代わりのコーヒーとハンバーガーを購入する。

ゲイト「おいおいダグラス。あまり担がないでくれよ。それにしても驚いたな…」

購入したばかりのハンバーガーを口にし、コーヒーを啜りながらゲイトは呟く。

パレット「何がですか?」

ゲイトの呟きが聞こえていたパレットが疑問符を浮かべながらゲイトに尋ねる。

ゲイト「ああ、修理してみて分かったんだけど、ギガンティス製のレプリロイドの思考回路の思考パターンは正に人間そのものだ。」

エイリア「それってもしかして…」

ゲイト「ああ、エックスやアイリス、そして元人間のルインやルナみたいな思考回路を持つレプリロイドが造られているんだよ。ギガンティスでは、思考パターンが人間そのものだから純粋なイレギュラーも誕生しかねないね」

パレット「うひゃあ…それってエックスさん達みたいなレプリロイドがギガンティスには沢山いるってことですか?」

ゲイト「まあ、簡単に言えばそうなるね、いずれにしても、ギガンティスのレプリロイドは僕達よりもエックス達や人間に近い存在だということだよ。彼らの人間的思考回路が、今回の反乱の引き金になったのは間違いないと思う」

エイリア「そう…」

ゲイト「そうそう、エイリア。彼の身元は分かったかい?」

エイリア「ごめんなさい、まだ分かっていないの。IDタグかDNAコアがあれば簡単に割り出せるんだけど…」

レイヤー「IDタグはまだしもDNAコアまで抜き取られているなんて…これはどう考えても犯罪です」

ゲイト「ああ、ギガンティスでは何かが起こっている。厄介なことにならなければいいけどね」

ハンバーガーを食べ終え、コーヒーを飲み干すとゲイトは立ち上がる。

ゲイト「さて、僕は少し仮眠を取るとするよ。身元が割り出せたら教えて欲しい」

エイリア「分かったわ」

ゲイトはゴミを捨てると、仮眠を取るために自室に戻るのであった。 
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